目次
信用保証協会を利用できるのは?
信用保証協会を利用できるのは、中小企業の経営者だけです。
学生の方が奨学金を借りる場合や、一般の方が住宅ローンを借りるような場合には、信用保証協会を利用することはできません。
なお、ここでいう「中小企業」に該当するかどうかは、業種別に資本金の額と従業員の数によって判断されます。
例えば、製造業を営んでいる方であれば、資本金は3億円以下、従業員は300人以下であれば中小企業に該当しますから、信用保証協会から保証を受けることができます。
サービス業の場合には資本金5000万円以下、従業員50人以下であれば中小企業に該当します。
どのような融資を受けるときに保証を受けられる?
上記の中小企業に該当する事業者の方であれば、事業に関連する融資を受ける際に保証を受けることができます。
具体的には、事業用の運転資金や設備資金などの融資について保証を受けられます。
ただし、保証協会から保証を受けるためには、金融機関で融資の審査を受けるのと同じように保証審査を受けなくてはなりません。
保証審査を受けた結果として、保証を受けられないということもありますから、必ずしも融資が受けられるわけではない、という点に注意しておきましょう。
なお、飲食業や建設業など、事業を運営するにあたって役所の許認可が必要である場合には、融資を受ける前にそれらの許認可を取得済みであることが求められます。
また、農林漁業者は信用保証協会による保証は受けられませんが、その代わりに農林漁業信用基金などから債務保証を受けることが可能です。
信用保証協会からお金を借りることはできる?
信用保証協会は「お金を借りたい人の保証人になること」が仕事ですので、信用保証協会から直接お金を借りることはできません。
保証人とは、簡単にいえばお金を借りた本人が約束通りにお金を返せなくなったときに、代わりにお金を払う約束をする人のことです。
そのため、信用保証協会を利用する場合には、必ずお金を借りる金融機関が別に存在することになります。
この金融機関は民間の金融機関であることもありますし、公的な金融機関であることもあります。
中小企業経営者が融資を受けられるのはどんな金融機関?
中小企業経営者が事業資金としてお金を借りる場合に、もっとも現実的な選択肢となるのは公的な金融機関からの融資です。
公的な金融機関には、制度融資と日本政策金融公庫の2つがあります。
制度融資とは、都道府県や市区町村などの地方自治体がお金を貸してくれるというもので、まだ実績のない開業したての人であっても、創業者向けの融資を受けられる可能性があります。
日本政策金融公庫も、中小企業経営者が利用しやすい公的金融機関ですが、日本政策金融公庫から融資を受ける際には、信用保証協会の保証を利用することはできません。
日本政策金融公庫からお金を借りる場合は、常にプロパー融資(信用保証協会の保証がつかない融資)となります。
なお、民間の金融機関であっても信用保証協会の保証付き融資を受けられる可能性はありますが、事業を始めてまだ期間が経っていない方の場合、民間の金融機関の融資審査に通るのは非常に難しいのが実際のところです。
信用保証協会と金融機関の両方から審査を受ける必要がある
信用保証協会から保証を受けてお金を借りる場合、お金を借りる金融機関と信用保証協会の両方から審査を受ける必要があります。
ただし、信用保証協会の保証がつくのであれば、実際にお金を出す金融機関にとって貸し付けのリスクはほぼゼロになりますから、信用保証協会の保証審査が通りさえすれば、金融機関の融資審査はほぼ問題なく通るといえます。
そのため、信用保証協会の保証付き融資を利用する場合は、「信用保証協会の審査が通るか」によって、最終的にお金を借りられるかが決まります。
信用保証協会の審査では、申込書に自社の概況について説明記載を行う他、事業計画書を添付するようにしましょう。
事業計画書の添付は必須ではありませんが、過去の実績に基づく具体的かつ現実的な事業計画書があるかないかによって、審査の評価は大きく変わります。
事業計画書の作成については、税理士からアドバイスを受けることができますので、ぜひ相談してみてください。
借りたお金を返せなくなったらどうなる?
信用保証協会から保証を受けて融資を受けた後、約束通りに返済ができなくなった場合はどうなるでしょうか。
実際にお金を借りているのは、金融機関や自治体からですが、これらは返済が滞った段階で、保証人である信用保証協会に対して、お金を支払うように求めます。
信用保証協会は融資の契約時に保証人になっていますから、本人に代わってお金を支払う義務があります。これを代位弁済と呼びます。
代位弁済を行なった信用保証協会は、当然ながら借金をした本人に対して「代位弁済した分を返してください」と求めることになります。
会社名義で融資を受けている場合も、信用保証協会の保証を受ける前提として、社長個人が保証をしていますから、社長の個人財産についても強制執行を受ける可能性があります。
民事再生や自己破産を選択したらどうなる?
信用保証協会による代位弁済まで進んだ段階では、「お金を返したいのはやまやまだけど、会社にも社長個人にもお金がない」という状況になっているのが普通です。
そのため、多くのケースでは民事再生や自己破産といった、借金を免除してもらうための法的な手続きを利用することになるでしょう。
これらの法的手続きを利用すれば借金の返済義務はなくなりますが、およそ10年間は金融機関のブラックリスト扱いになりますから、新たに事業資金を金融機関から借りることが極めて難しくなります。
通常、ある程度の規模以上の事業を運営するためには、金融機関の融資は必須ですから、事業の再開には高いハードルが課せられることとなります。
まとめ
今回は、信用保証協会を利用するための条件について解説いたしました。
中小企業経営者にとって、融資を受ける際に信用保証協会を利用できることは非常に大きな助けとなります。
融資による資金調達を検討している方は、信用保証協会の保証付きの融資を受けることを検討してみてください。