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個人事業主のための持続化給付金まとめ
個人事業主の皆さま「持続化給付金」という支援制度はご存知でしょうか?
連日テレビのニュースや新聞やネットで、目にした方も多いかもしれません。
しかし、自分が対象になることは可能なのか、申請方法が正しいのかどうか不安がある、といった方も多いはずです。
そこで、持続化給付金の基本的な概要や、2020年5月26日時点でわかっていることについて解説します。
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持続化給付金を受け取るための条件
まずは個人事業主が、持続化給付金を受け取るための条件について解説します。
具体的な条件は以下です。
- 売上が前年同月比で50%以上減少している(1~12月の内、ひと月でも半減の月があれば該当)
- 確定申告をしている
基本的な条件はこの二つです。
ただし、白色申告をしている場合や、青色申告でも一か月の売上の証明ができない場合は、2019年度の売上を12で割った額が、去年分の売上となります。
去年分の売上と比較して、2020年のいずれかの月の売上が50%以上減少していれば、持続化給付金の対象として該当するということです。
白色申告などで、去年の一か月分の売上が証明できない状態で、去年の一か月分の売上を対象としてしまうミスが相次いでいるようです。
この点にはご注意ください。
わかりやすいように例を挙げると、以下のようになります。
【例】2019年の売上
1月 10万
2月 20万
3月 30万
4月 40万
5月 50万
6月 60万
7月 70万
8月 80万
9月 90万
10月 100万
11月 110万
12月 120万
【例】2020年の売上
5月 25万円
現実的にはありえない数字ではありますが、例として上記の売上だったとします。
このとき、一ヶ月分の売上を証明できる場合、2019年5月の50万円と2020年5月の25万円を比較し、50%の売上減となります。つまり持続化給付金の対象になるということです。
一方で、白色申告などで一か月あたりの売上が証明できない場合、事情が変わってきます。
まず2019年分は12ヶ月分の売上を合計し、それを12で割ります。
(10万+20万+30万+40万+50万+60万+70万+80万+90万+100万+110万+120万)÷12=65万円です。
この65万円と2020年の、対象月である25万円を比較するということです。
今回の例ではどっちにしても50%以上減少しているので、持続化給付金の対象となります。
また青色申告をしていて、一か月の売上が証明できる場合も、あえて12ヶ月分を足して12で割った数字で売上比較することも可能です。
なるべく自分にとって有利な条件を選択できるということです。
持続化給付金の支給額
最終的に支給される金額は、上で説明した方法で比較し、その差額分に12を掛けた金額です。
上の例だと、2019年分の売上額を12で割った数字である65万円と、2020年5月分の金額である25万円を比較すると、差額は40万円です。
この40万円に12をかけると、480万円となります。
上限が100万円なので、100万円支給されるということです。
つまり50%減少が証明できる対象者のほとんどは、100万円満額の支給となるでしょう。
2020年の対象月の収入が20万円で、2019年が10万円だとしても、支給額の計算結果は120万円となります。
それほど売上が多くなくても、満額支給の対象になるということです。
持続化給付金の必要書類
持続化給付金の必要書類は以下です。
- 確定申告書類(青色申告の場合は確定申告書第一表と所得税青色申告決算書、白色申告の場合は確定申告書第一表)
- 2020年分の対象月の売上台帳等
- 通帳の写し
- 本人確認所の写し
詳しくは、経済産業省の資料を見ていただくのが一番良いと思います。ざっくり上記のような書類が必要になる、と把握しておいていただくと良いかと思います。
それほど面倒な準備が必要なわけではなく、これらの書類を添付してオンラインで申請を行うだけです。
確定申告していない場合はどうなる?
持続化給付金に関するよくある疑問として、確定申告していない場合はどうなるのか?ということが挙げられます。
実際、2019年分の確定申告をしていなくて、税務署に相談に行かれる方が多いようです。
結論としては、2019年分の確定申告をしないと持続化給付金は受け取れません。
今後なんらかの措置が取られる可能性もありますが、少なくとも2020年5月26日時点では、確定申告が必須条件になっています。
では現時点で、2019年分の確定申告をしていない事業者は持続化給付金を受け取れないのかというと、実は受け取ることが可能になっています。
なぜなら、今からでも2019年分の確定申告を行うことは可能だからです。
赤字になっていて、確定申告の義務がない個人事業主の方もいるかと思いますが、持続化給付金の算定はあくまでも売上比較です。課税所得は関係ありません。
つまり確定申告の義務がなくても確定申告をして、持続化給付金を受け取るということが可能です。
また持続化給付金に関しては、今後も何かしらの情報が出てくる可能性があるので、随時ネット等で確認することをおすすめします。
2019年創業の個人事業主の場合
では、2019年に創業した場合はどうなるのでしょうか。
2019年に脱サラして個人事業を始めたといった方もいるはずです。
そこで次は、2019年に創業した個人事業主の持続化給付金について解説します。
2019年に創業した事業者も持続化給付金の対象
まず結論として、2019年に創業した個人事業主も、持続化給付金の対象です。
この記事を執筆しているのは2020年5月26日ですが、たとえば2019年6月以降に創業した個人事業主の場合、今はまだ持続化給付金に申し込めないのではないか、と思われているかもしれません。
なぜなら2020年に売上が下がった月に対して、2019年の対象月がないからです。
しかし、2019年の6月以降に開業した場合も、現段階で持続化給付金に申し込むことは可能です。
2019年度のものに関しては対象月一か月だけでなく、月平均で計算することもできるからです。
2019年度の途中で創業した場合の計算方法
2019年の1月に創業した場合は、1月、2月、3月、4月、5月のいずれかで申し込みが可能です。
しかし、2019年の6月以降に開業した場合、2019年の各月を比較対象にすることができません。
たとえば2020年の1月に大幅に売上が減少したとしても、比較する2019年1月の売上がないからです。
しかし、2019年の売上を月平均で割り出し、それを2020年の1月と比較するようなことが可能です。
例として、2019年の10月に創業し、売上が以下のようになっていたとします。
10月 20万円
11月 30万円
12月 40万円
この場合の月平均は、(20万+30万+40万)÷3=30万円となります。
この30万円を2019年の対象月に売上に設定することができるのです。
2020年1月の売上が15万円だった場合、15万円と30万円を比較し、売上は50%減少したことになります。つまり持続化給付金の対象です。
ただし、たとえば任意の月と比較するようなことはできません。
2020年1月の売上が20万円だった場合、上の方法で比較すると20万円と30万円になり、売上が50%以上減少していません。
これは持続化給付金の対象から外れるということです。
ここで、2020年1月の売上20万円と、2019年12月の40万円を比較すれば、50%の減少で持続化給付金の対象になるのではないか、と思われるかもしれません。
しかしそれはできません。
あくまで同じ月で比較するか、2019年を月平均で計算するかの、どちらかの選択になります。
対象月以外の月で比較することはできません。
申告期間は2021年1月15日まで
上の計算方法を試した結果、持続化給付金の対象ではなかった、という方もいるかもしれません。
その場合、現状では持続化給付金に申し込むことができないのですが、まだ可能性はあります。
なぜなら、持続化給付金の申告期間は2021年1月15日までだからです。
これから対象月の売上が50%以上減少している月が出てくる。
大幅に売上が下がった月が出てきて2019年の月平均よりも50%以上減少している、といったことになる可能性もあります。
2020年度分に関しては、一か月でも売上が大幅に下がっている月があれば対象になる可能性があるので、2021年1月15日まで期限があることは、把握しておいた方が良いでしょう。
申告に必要な書類
個人事業主が、持続化給付金を申告するのに必要な書類は以下です。
- 確定申告書類
- 2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳等
- 口座情報
- 本人確認書類の写し
以上の書類が必要になります。
売上や振込口座を確認することを考えると、処理に必要な最低限の書類という印象です。
確定申告書類は、青色申告と白色申告の場合で、必要なものが異なります。
【青色申告の場合】
確定申告書第一表(1枚)
所得税青色申告決算書(2枚)
【白色申告の場合】
確定申告書第一表(1枚)
2019年の確定申告をしていない場合
2019年に創業された個人事業主の方は、もしかすると、まだ確定申告の経験がないかもしれません。
納税額を計算した結果納税義務がないのであれば、確定申告をしなくても問題はないのですが、持続化給付金を受け取るためには、2019年分の確定申告は必須です。
赤字で還付申告になるのか、ゼロ付近になるのか、もしくは多少の納税が発生するのかは、2019年分の課税所得によります。
そのため一概には言えませんが、いずれにしても、確定申告を行うということが重要です。
申告結果の数字に関わらず、確定申告をしていて、売上が50%以上減少したことが証明できれば、持続化給付金の対象になるということです。
まとめ
今回の持続化給付金は、虚偽申告や不正受給が悪質と判断された場合には、給付金の返還の他、極めて高い利率での加算金が課されるなど罰則規定があります。
当たり前ですが、虚偽申告や不正受給は絶対にしないでください。
申請は2021年1月15日までが受付期間とされています。
それまでの間、対象月は任意に選ぶことができますので、制度を理解して正しい給付申請を心掛けましょう。