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おすすめは株式会社か合同会社!
法律上、設立できる法人の種類はいろいろありますが、現在は株式会社または合同会社のどちらかを選択するのが一般的です。
(以前は有限会社というものもポピュラーでしたが、法律の改正によって現在は新たに有限会社を設立することはできません)以下では、株式会社と合同会社の違いについて具体的に解説いたします。
こういう方には株式会社がおすすめ
株式会社は、もっともポピュラーな会社設立の方式と言えます。
中小企業庁の調査によると、2018年の1年間で新しく設立された法人の数は1091件ですが、そのうち株式会社は778件と、全体の7割以上を占めています。※ちなみに上の合計1091件の内訳は以下のようになっています。
- 株式会社:778件
- 合同会社:312件
- 合資会社:1件
取引先からの信用を重要視する方
企業経営者の中には、将来的に証券取引所に上場するような大会社を作ることを目指している方もいらっしゃるでしょう。
証券取引所に上場する場合には、法人設立の形態は必ず株式会社でなくてはなりません。
トヨタ自動車やパナソニックといった日本を代表するような会社も株式会社のかたちで運営されています。
いったんは合同会社を設立し、その後に株式会社に組織変更するということも可能ですが、組織変更には事務的な負担と登記費用が必要となることに注意しておきましょう。
将来的に上場するような大会社を目指す場合
近年では、小規模な事業者であっても、広く出資者を募ってお金を集める方法が増えてきています。
具体的には、クラウドファンディングやベンチャーキャピタルといった方法が存在しています。
こうした方法を選択する場合には、外部から見た場合の信頼性が重要ですから、合同会社ではなく株式会社を選択する方が望ましいでしょう。
(ただし、事業内容を評価されることの方がより重要なので、会社の形式は必ずしも決定的に重要な要素ではありません)
こういう方には合同会社がおすすめ
合同会社は、2006年に会社法という新しい法律ができてから設立することができるようになった、新しい会社設立の方法です。
税金や社会保険料の負担といった面では、合同会社と株式会社とで差はまったくありません。
一方で、設立費用や会社運営の柔軟性の面では、株式会社と合同会社とで異なる点がありますので注意しておきましょう。
設立費用を少しでも抑えたい方
まず、株式会社と合同会社とでは設立のためにかかる費用が異なります。
具体的には、それぞれ以下のような金額が相場となります。
株式会社の設立費用 | 25万円程度 |
合同会社の設立費用 | 10万円程度 |
この金額の差は、株式会社の場合には公証人に定款の認証をしてもらう必要があること(5万円)と、設立登記を行う際に納める登録免許税(株式会社は15万円・合同会社は6万円です)の金額に差があるためです。
少しでも費用を抑えて会社設立を行いたい場合には、合同会社を選択するのが良いでしょう。
会社運営に特定の人以外が入らないようにしたい方
株式会社の場合には、会社に対して必要な金額の出資を行えば、会社の株主になることができるのが原則です。
一方で、合同会社では、会社の株主(持分を持つ社員)になるためには社員全員の同意が必要です。
会社の重要な運営については家族だけで行いたい同族会社や、外部からの買収ができないようにしておきたい場合には、合同会社を選択することにメリットがあるでしょう。
(ただし、株式会社であっても定款に株式譲渡の制限を記載しておくことで同様の効果を得ることが可能です)
会社の組織設計をより柔軟に行いたい方
会社を設立する際には、その会社をどのような組織で運営するのか?を決めなくてはなりません。
株式会社の場合には、この組織設計のルールが法律で厳格に決まっています。
例えば、取締役が複数人いる場合に取締役会を設置したり、取締役会を設置した場合には監査役を置かなくてはならなかったりといったような具合です。
この点、合同会社では組織設計をより柔軟に行うことが認められています。
税金や社会保険の扱いは同じ
株式会社と合同会社には上で見たような違いがありますが、税金や社会保険の扱いについてはどちらの法人もまったく同じように扱われます。
事業から利益が出た場合には、その金額に応じて法人税を負担しなくてはなりませんし、従業員を雇用する場合には健康保険や厚生年金といった社会保険に加入させなくてはなりません。
税金や社会保険の負担については、株式会社と合同会社でどちらの方が有利ということはないことに注意しておきましょう。
法律上設立できるその他の法人
上では代表的な法人設立の方式として、株市会社と合同会社について解説致しました。
現在は選択されることはほとんどないものの、法律上は以下のような方式での会社設立を行うことが可能ですので、念のために知っておきましょう。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
なお、公益目的の事業を営む場合には、以下のような方式が選択されることもあります。
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 公益社団法人
- 公益財団法人
- NPO法人
さらに、法人格は認められないものの、複数の事業者が集まってプロジェクトを立ち上げるようなケースで選択するメリットがある方式として、LLP(有限責任事業組合)というものもあります。
まとめ
今回は、これから会社を設立して事業を運営していくことを検討している方向けに、株式会社と合同会社の違いについて解説致しました。
それぞれの方法のメリットとデメリットを理解した上で、ご自身の状況に適した会社設立の方法を選択するようにしてください。

