個人事業主から法人化(法人成り)するタイミングとは?注意点も解説

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個人事業主やフリーランスとして事業の収益が上がってくると、気になり始めるのが会社の設立(法人成り)ではないでしょうか。

「そろそろ個人じゃなく法人化した方がいいのか?」と思っても、いつのタイミングで法人成りすればいいのかはよくわからないですよね。

そこでこの記事では、法人成りに適したベストなタイミングについて解説します。法人成りのメリットや、注意すべきデメリットについても改めて見ておきましょう。

法人成りを決める2つのタイミング

法人成りを決めるタイミング

個人事業から法人化すると、社会的な信用度がアップする、節税の選択肢が増えるなど、大きなメリットがあります。

しかし、いつのタイミングで法人化すればより得なのか、つまり節税効果が高いのかも気になるところです。

節税という観点で法人成りを検討する場合には、次の2つのタイミングが目安となります。

  • 利益が800万円を超えたあたり
  • 売上高が1000万円を超えたあたり

それぞれ、なぜこのタイミングがよいのかを見ていきましょう。

利益が800万円を超えたあたり

個人事業主の所得税には、累進課税制度が適用されています。累進課税とは、所得が増えるほど税金の額が高くなる課税方法です。

法人税の場合は比例税率が採用されており、所得が増えても税額は増えません。

法人税の場合、中小企業なら800万円までは15%、800万円以上になると23.2%
大企業の場合は、所得の額に関係なく23.2%です(いずれも令和4年3月現在)。

一方、個人の所得税率は900万円までが23%、900万円を超えると33%となります。そのため、800万を超える利益があれば、法人成りした方が得になる可能性が高いのです。

個人事業主の税率は、大まかに言うと所得税が所得金額の5%~45%、復興特別所得税は所得税額の2.1%、住民税は10%となり、課される税率も所得が上がるにつれて上がります。

売上高が1000万円を超えたあたり

もう1つのポイントは、法人税でなく消費税の問題です。売上が1000万円を超えると、課税事業者となります。つまり、消費税の納税義務が発生します。

課税事業者となる基準は個人事業主も法人も同様です。しかし、個人事業主として売上高が1000万円を超えたタイミングで法人成りすることにメリットがあるのです。

消費税は前年の売上高に対して課されるもの。個人事業主としての売上高が1000万円を超えると、その翌年には消費税を払わなければなりません。

しかし、消費税には法人成り直後の2年間は原則として免税になるという制度があります。つまり個人で1000万円の売上を超えたタイミングで法人成りすれば、消費税がかかるのを2年先延ばしにできるのです。

ただし資本金が1000万円を超えている場合には、この免税措置は対象となりません。

これより早いタイミングでの法人成りは?

法人成りのタイミングについての疑問

所得にかかる税率という点で考えると、法人成りのタイミングは上の章で紹介した2点がベストでしょう。しかしこれより前に法人成りする人もいます。

早めに法人成りしておくことで、社会的な信用度が上がるとともに、取引先の契約がしやすくなったり、融資が受けやすくなったりする可能性もあります。

とはいえ、会社設立には登記などの手続きに費用がかかります。設立後も、赤字でも法人住民税の均等割り部分は支払う必要があるなどするため、資金に余力が必要です。安定した利益を継続して得られるかどうかも重要な判断ポイントです。

また、課税所得が330万円未満の場合、所得税の税率は5~10%なのに対し、法人税は15%。法人成りにより単純に税金が増えることになります。少なくとも330万円以上になってから、できればもう少し資金繰りに余裕ができてからの方が良いでしょう。

法人成りには節税以外のメリットのほか、デメリットもあるので総合的に判断することをおすすめします。

法人成りのメリット・デメリットをおさらい

法人成りのメリット

では、あらためて法人成りするとどんなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。

法人化することのメリット

前述の法人税と所得税についてのメリット以外に、次の6つの点が法人成りのメリットとして挙げられます。

  • 社会的な信用度が高まる
  • 赤字の繰り越しが最長10年可能になる
  • 役員報酬や退職金が経費にできる
  • 優秀な人材の確保がしやすくなる
  • 決算時期を自由に決められる
  • 後継者への事業継承がスムーズになる

それぞれもう少し具体的に説明します。

社会的な信用度が高まる

法人成りする、つまり会社を設立するということは、法的な登記の手続きを踏み、決算書類を作って開示する必要性が生じます。

そのため、新たに契約しようとする取引先や融資を申請する金融機関からの信用が得られやすくなります。

赤字が最長10年繰り越せる

事業による赤字の繰り越しは、個人事業主であっても青色申告をすれば3年は可能です。しかし法人成りすれば、最長10年まで可能になります。

赤字が繰り越せれば、その後の黒字と相殺できて納税額が少なくなるのです。

役員報酬や退職金を経費にできる

法人は個人とは別の人格なので、事業主本人への役員報酬や退職金も経費にすることができます。

優秀な人材の確保がしやすくなる

会社として求人募集をした方が、個人名で募集するよりも人材が集まりやすく、結果的に優秀な人が見つかる可能性も高まります。

決算時期を自由に決められる

決算時期については、個人なら確定申告の時期が2~3月と固定されていますが、法人の場合は自社独自で決算期を決められます。繁忙期2~3月で重なる事業なら、ずらすことで負担が軽減できるでしょう。

後継者への事業継承がスムーズになる

経営を後継者に譲ることを想定している場合も、個人では自身が廃業手続きをして後継者が開業手続きをして・・・と手続きのやり直しなどの必要性が生じます。

法人であれば、代表者の交代の手続きだけでよりスムーズです。

あわせて読みたい

法人成りのメリットについては、こちらの記事でも解説しています。株式会社以外の形態を考えている人も参考にしてください。

法人化にはデメリットもあるので要注意

法人成りのデメリット

法人成りすることには、メリットも多いですがデメリットに感じられることもあります。

主なデメリットをあらかじめ知っておきましょう。

  • 設立・廃業の手続きに手間と費用がかかる
  • 税金の申告が複雑になる
  • 赤字でも住民税がかかる
  • 従業員の雇用で社会保険の加入義務などが生じる

それぞれ説明していきます。

設立・廃業に手間と費用がかかる

株式会社の設立には、法人登記をすることが必要です。それには、法人の印鑑や口座を作ったり、定款を作って公証役場で認証の申請をしたりといった前準備も必須で、個人の開業のように簡単にはいきません。費用も、約25万円ほどがかかります。

登記した内容を変更するなら変更登記の手続きと費用が、廃業するにも廃業の手続きと費用がそれぞれかかり、義務なので避けられません。

税金の申告が複雑になる

税金の申告が複雑になることもデメリットの1つ。法人税の計算などは、知識がないと難しいでしょう。

赤字でも必要な税金がある

法人になると、赤字となった年にも納めなければならない税金があります。それは、法人住民税の均等割り部分です。

雇用で社会保険などの手続きが必要になる

従業員を雇えば、その人数や労働時間などによって労働保険・社会保険に加入させる必要もあります。

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)は会社と従業員とで折半しなくてはなりません。労働保険については、雇用保険は一部負担、労災保険は会社が全額負担です。


こうしたメリット・デメリットも踏まえた上で、総合的に判断しましょう。

どうすればいいのかわからない、判断に迷う、という人は税理士など専門家に相談することをおすすめします。

あわせて読みたい

法人成りのデメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

法人成りは自身のベストなタイミングで

法人成りのベストなタイミング

個人事業主から法人成りするには、得られる利益の額について大きく2つの目安となるタイミングがあります。

1つは所得税と法人税の税率の交わるタイミング。所得が年800万円を超えるあたりがポイントとなります。
もう1つは、消費税が課税されるタイミング。これは売上高が1000万円を超えるあたりがポイントとなります。

とはいえ、それ以外にも法人成りにはメリットがあること、そして安定した利益を得て資金に余裕を持たせておきたいことも考え、税率だけではなく総合的に判断することが必要です。

また、法人成りには手続きの手間や費用、税金申告などの部分にデメリットがあります。それでも会社を立ち上げる人が多いのは、それ以上のメリットを得ることができるからでしょう。

法人成りを検討しているなら、当サイトの運営会社「税理士法人Bricks&UK」でご相談を承ります。ぜひ一度ご相談ください。

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