会社設立したら必ず法人口座を開く必要があるわけではありません。しかし、会社専用に使う口座を開設しておけば、経費の区別がしやすくなる。名義が会社になることで信頼度が増すなどのメリットがあります。
しかし近年、法人口座の開設は個人口座に比べて審査が厳しくなっています。というのも、犯罪などに悪用されるケースが多発しているからです。
そこでこの記事では、法人口座の開設をスムーズに行うための準備や対策について解説します。
目次
法人が口座開設に失敗する理由
まず最初に、法人が口座開設に失敗する原因について、あらかじめケーススタディを把握しておくと良いでしょう。
下記に考えられる主な原因を挙げていきます。
資本金額が低すぎる
資本金額については会社設立時に決めるので、後から後悔しないようあらかじめ知っておいた方が良いでしょう。
今は1円の資本金から起業することが可能ですが、資本金が少なすぎると口座開設でも不利になります。
理由はシンプルで、会社の信用力が落ちるからです。
今の時代資本金が少なくても起業できる事業は多いですが、対外的に不利になる場合があることは意識しておいた方が良いでしょう。
バーチャルオフィスである
従業員なしで一人で自宅で作業するような場合、必ずしもオフィスは必要ありません。
とはいえ、自宅を事務所として登録するのは嫌だから、バーチャルオフィスで登録する、といったケースも多いでしょう。
しかしバーチャルオフィスは、口座開設に不利になる可能性があります。
また、対外的にも印象があまり良くない場合は多いです。
オフィスを調べた際に実態がないと、当然相手は不安を感じます。
バーチャルオフィスを利用していた企業が不正を働いた、サービス利用者のお金を持ち逃げした、といったケースも実際に発生しているからです。
ちなみに自宅を登録した場合は、そこまで不利にはならないでしょう。
事業内容が曖昧
事業内容が曖昧では、外部からの信用を得られません。その結果、口座開設できない可能性があります。
事業内容が曖昧だと単に実績を出せるのかどうか不審なだけでなく、良からぬことを企んでいると判断される可能性もあるでしょう。
特に今の時代、社会の法律、モラルに反することをすると、すぐに問題になるので、当然、銀行としてもそのような企業とは関わりたくありません。
事業内容をはっきりさせることは、収益性のアピールだけでなく、危険性がないということのアピールにもなるのです。
法人の口座開設に必要な資料
法人の口座開設に必要な資料は以下です。
- 口座開設依頼書
- 登記事項証明書
- 認証を受けた会社の定款
- 法務局から交付を受けた代表取締役の印鑑証明書
- 法務局へ届け出た代表印
- 銀行印に使用する印鑑
- 本人の身分証明書
以上の資料が必要になるので、早めに揃えておくと良いでしょう。
法人が口座開設する際の注意点
法人が口座開設する際には、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
代表者が直接出向く
基本的に法人の口座開設を行う場合、代表者が足を運んだ方が良いです。
代行が絶対に無理かどうかは微妙なところですが、そもそも法人の口座開設は100%成功するわけではありません。
代行が手続きすることで、心証がマイナスになる可能性が高いので、代表者本人が行って手続きした方が確実といえます。
事業内容の説明が必要な場合もある
担当者が信頼に足る企業だと判断しないと、口座開設を断られる可能性があります。
手続きの際、急に事業内容について質問されるかもしれません。
融資のときほど細かく事業内容を細かく聞かれることはないのですが、とっさに聞かれたときに何も答えられないと、担当者は不審に思うでしょう。
そのような場合でも、事業内容をしっかり応えられるよう、最低限の準備をしておくことをおすすめします。
口座開設には時間がかかる
個人の口座はすぐに開設可能で、翌日には処理が完了するケースがほとんどです。
法人も同じだと考えていると、意外と時間がかかって驚くかもしれません。
具体的には、最低でも1~2週間程度の時間がかかります。
そして履歴事項全部証明書の発行に、さらに1~2週間程度かかります。
つまり最終的に1カ月程度かかる場合もあるということです。
開設口座の選び方
最終的にどの金融機関で口座開設するか迷うと思います。
口座を決めるポイントはいくつかあり、具体的にはアクセスの良さ、ATMや支店の数、手数料の安さ、知名度、資金を融資してくれるかどうか、などが決め手になるでしょう。
そのため、大手の銀行の口座を作れば良いというわけではありません。
実績がない状態から融資を受けたいのであれば、地域密着型の地方銀行、信用金庫、信用組合などに口座開設するのがおすすめです。
まとめ
法人の口座開設をスムーズに進めるためには、事前に金融機関が目を付けるポイント、必要書類、注意点などを把握しておく必要があります。
また口座開設に時間がかかる場合も多いため、その点はあらかじめ認識しておいて、余裕を持って手続きした方が良いでしょう。