【会社設立やることリスト】
株式会社を立ち上げる手続きと流れを解説

会社設立やることリスト
【記事を読んで「いいね!」と思ったらシェアをお願いいたします!】

会社設立をするには、準備が必要です。「設立の手続き」というと法務局に会社設立の商業登記をすることですが、ある日突然法務局に行っても手続きはできません。

また、事業の開始には他にもしなくてはならないことがたくさんあります。

この記事では、会社の設立に必要な準備や手続き、設立して事業を始めるまでにやることをリスト化していきます。各項目についてもわかりやすく説明するので、参考にしてください。

なお、記事の最後には「会社設立までに必要なものチェックリスト」のダウンロードリンクもあります。ぜひご活用ください。

目次

3つの段階ごとのやることリスト

会社設立にはやるべきことが多いため、会社設立の前と設立手続き、設立後の3つの段階に分けて紹介していきます。

ちなみに、会社形態は4つありますが、ここで紹介するのは数が最も多く、もっとも手間と費用がかかる「株式会社」の例です。

また、株式会社の設立には株主を外部に募る「募集設立」と、発起人だけが出資する「発起人設立」があります。この記事では、規模の小さい会社で一般的な「発起人設立」を例に説明します。

順に紹介していますが、場合によって前後したり、同時進行する必要があったりもします。流れは大まかなものとして見てください。

やること概要
1発起人の決定・発起人=会社設立を思い立った人
・会社設立後は株主となる
・発起人は1人以上、複数でも可能
2会社の基本事項の設定・社名や事業内容、本店所在地など
3資格や許認可などの確認・事業に必要な資格・許認可について事前に確認する
4事務所の物件探し、仮契約・本契約は資金調達の後
・許認可が必要な業種は内装工事業者などにも相談する
5事業計画書の作成・自社の強みやビジネスモデル、売上見込みや必要資金などを第三者にわかるようにまとめる
・融資を受けるにも必須
6専門家への相談・事業計画書の内容や資金調達のアドバイスを受ける
・定款作成や登記手続きなどについて相談する
7資金調達・融資申し込み・親や親戚、金融機関などを頼って資金を調達
8事務所の賃貸借契約・資金調達の目途が立ってから本契約
・法人になるのを前提として個人で契約
・入居日の確認も
9法人用印鑑の作成・登記申請に必要
・会社の実印となる代表者印(丸印)が必須
・銀行印や認印も作っておく
10個人の実印と印鑑証明書の準備・定款などに押印、添付するため
11あいさつ状の作成・送付・営業開始の1カ月前くらいに送れるよう準備

各項目の青色文字から説明箇所に飛べます。

会社設立時にやることリスト

次にいよいよ会社設立の手続きに入ります。

12定款の作成~
公証人による認証
・「定款」は会社の基本ルール
・株式会社は公証人による認証が必須
13資本金の払い込み・発起人の個人口座に出資額を振り込む
・発起人が1人でも必須
・金融機関に払い込んだ証明が必要
※通帳のコピーと払込証明書の作成も行う
14登記申請書類の作成・準備・登記申請書などへの記入
・取締役の実印と印鑑証明書も必要
15設立登記の申請~
登記完了
・管轄の法務局で申請
・申請した日が設立日になる
※資本金の払い込み後2週間以内

設立登記が完了すれば、公に会社としての存在が認められたことになります。

会社を設立したらやることリスト

会社を設立したら、納税や保険に関する手続きを行います。その際に必要な印鑑証明書の取得などから始めます。

16登記簿謄本印鑑カード、印鑑証明書の取得・登記完了したらすぐ可能
・以降の手続きに必要
17税務署への届出・管轄の税務署への届出
・法人税などに関する手続き
※設立登記後2カ月以内
18自治体への届出・都道府県税事務所と市町村役場
・定款と登記事項証明書を添付
19社会保険への加入・健康保険と厚生年金
・加入は必須
・管轄の年金事務所へ
20労働保険への加入・労災保険と雇用保険
・従業員を雇うなら必須
・労基署→ハローワークの順
21国民健康保険からの脱退・社保加入による資格喪失の手続き
・市役所での手続き(14日以内)
※会社員で社保加入していた場合は不要

ここまでで公的な会社としての手続きができたので、いよいよ事業開始に向けたオフィスの準備をしていきます。

22法人口座の開設・定款や登記事項証明書、印鑑などが必要
23オフィスの内装工事・必要に応じて
・天井や壁、レイアウト変更など
24電気・通信・空調・セキュリティ環境の整備・電気(必要に応じて水道やガス)の契約・開通手続き
・ネットの回線契約とプロバイダー契約なども
25事業に必要な許認可の申請・当リストの「3」で確認した許認可の取得・届出など
・飲食業などは要件に沿った内装等の工事や設備の導入が必須
26什器・備品の導入、事務用品・消耗品の購入・はじめは必要最小限にするのがベター
・購入かリースかなども要検討
27会計ソフトなどの導入・事業内容や規模などにより必要なソフトやツールを導入
28企業ロゴ、名刺、看板、制服等の制作・制作会社などに依頼
・必要に応じて社名入り封筒なども
29独自ドメインの取得、ホームページ制作・自社サイトの制作
・サイトありの方が信頼度アップ
・自社独自のメールアドレスに
30パンフレット・チラシ類の作成・配布・宣伝用ツールの作成
・宣伝活動は営業開始の前から

必要な設備や備品などは、業種や事業内容によって、大きく異なります。自社に何が必要か、早めにリストアップしていきましょう。

ただし、初期費用をかけすぎて資金繰りに困るケースも少なくありません。最初は必要最小限に抑えておきましょう。

会社設立する前のやることリスト

会社設立の流れ

ここからは、上のリストの各項目について詳しく見ていきましょう。

会社設立の手続きに入る前に、会社の基本的な事項を定め、事業の計画を立てる必要があります。

発起人の決定

まずは発起人を決めます。発起人(ほっきにん)とは、会社を設立しようと思い立ち、実際に手続きを行う人のことです。15歳以上なら誰でもなれます。1人以上いればよく、人数の上限もありません。

ただし発起人は、必ず出資をしなくてはなりません。そして、会社の設立後は株主となります。

1人で会社を立ち上げる場合には、決めるまでもなく自身が発起人です。設立後には、株主かつ取締役となります。

会社の基本事項の決定

発起人が決まったら、「発起人会」を開き、会社の基本事項を決めます。決めた事柄は、「発起人会議事録」(1人の場合は「発起人決定書」)として、文書に残します。

組織についての事項と、株式・資本金についての事項に分けて説明します。

組織についての事項

組織としての枠組み、事業の軸となる次の事柄を決めます。

  • 会社名(商号)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 発起人の総代(代表者)
  • 決算時期(事業年度)
  • 組織設計(役員や任期)

商号は、候補が決まったら類似商号がないかを法務局の公式サイトなどで確認しておきましょう。同一の住所で同じ商号は使えません。

「事業目的」は、将来的に手を広げる予定の事業もあれば含めておくと、登記の変更などの手間が省けます。

「事業目的」は、将来的に手を広げる予定の事業もあれば含めておくと、登記の変更などの手間が省けます。

本店所在地は、定款には番地まで細かく記載する必要はありません。同地区内で移転の可能性があるなら、住所変更による変更登記をしなくて済むよう、市区町村までにしておけばよいでしょう。

ただしその場合は、登記の際に「本店所在地決議書」で番地までの住所をを提出する必要があります。

本店所在地をどこにするかは、この記事も参考に決めてください。

資本金・株式に関する事項

資本金など会社の基本事項を決める

資本金の額や株式などについても、決めておく必要があります。

  • 資本金の額
  • 会社設立時の発行株式数
  • 一株あたりの金額
  • 各発起人が引き受ける株式の数
  • 発行可能株式の総数
  • 現物出資の有無、あるならその内容
  • 株式の譲渡制限を設けるかどうか
  • 払込先の金融機関

一株あたりの金額は、一般的には1万円~5万円とされることが多いですが、自由に決められます。

資本金が100万円で発起人が2人いる場合、1株を10万円として10株を発行、5株ずつ引き受けることもできますし、1株を1万円として50株ずつ引き受けることも可能です。等分にするという決まりもありません。

金額の決め方や発行可能株式総数については、こちらの記事で解説しています。

現物出資とは、金銭でなく不動産や車などによる出資です。こちらの記事を参考にしてください。

「株式の譲渡制限を設けるかどうか」は、自社の株を外部の人が自由に取引できるようにするかどうかということです。こちらの記事で解説しています。

必要な資格や許認可などの確認

事業を行うのに、資格や許認可が必要なケースがあります。自社の事業に必要な資格や許認可についても調べておきましょう。

無資格・無許可での営業は違法であり、絶対に避けなくてはなりません。

業種によっては、施設の要件などもあり、取得に時間がかかったり、工事などが必要となったりもします。二度手間やコストの無駄を避けるため、早めに確認してください。

こちらの記事も参考にしてください。

事務所の物件探し、仮契約

事業目的や内容、許認可の要件などに基づき、物件を探します。必要に応じた市場調査、商圏分析なども行って決めてください。

この段階では法人契約でなく個人契約となるため、会社設立の準備中であることを不動産会社などに伝えた上で探しましょう。内見は必ず行い、電気などのインフラについても個別で契約が必要かどうかを確認しておきます。

ただし、融資で資金調達する場合、まだ融資審査がどうなるかわからない時点で本契約をするのはリスクが大きく危険です。仮契約などでまってもらうよう交渉してください。

バーチャルオフィスでの会社設立を視野に入れている人には、こちらの記事もおすすめです。

店舗の場合は特に立地が成功の大きなカギを握ります。こちらの記事も参考にしてください。

事業計画書の作成

会社設立にかかせない事業計画書の作成

どのような事業をどのようなビジネスモデルで展開するか、何をセールスポイントとして他社とどう差別化するか、売り上げ見込みはどれくらいか、といった計画を作成します。これを事業計画書(または創業計画書)と呼びます。

事業計画書の作成は法的義務ではありませんが、事業の成功に必要なものです。また、融資を受ける際にも提出が必須です。

専門家への相談

会社設立には専門家への相談が得策

事業計画を作成したら、会社設立の手続きや事業について、専門家に相談することをおすすめします。

事業計画の立て方で迷った時にも、中小企業診断士や税理士などに相談できます。税理士には、節税の視点で設立準備のアドバイスをもらえる可能性もあります。

会社設立の手続きに必要となる定款の作成・認証や登記申請は、司法書士に代行してもらうことも可能です。顧問契約することを条件に、格安の金額で設立手続きを代行してくれるところもあります。

資金調達・融資申し込み

事業計画で必要な資金額や外部からの調達が必要な額が明らかになったら、資金調達に動きます。

借りる場合は、親や親族のほか、金融機関への融資申し込みが一般的です。創業時によく利用されているのは、日本政策金融公庫です。

近年では、クラウドファンディングで資金調達するケースも増えています。

資金調達の方法については、こちらの記事で解説しています。

事業計画から融資まで、税理士のサポートを受けるのもおすすめです。

事務所の賃貸借契約

資金調達の目途が立てば、事務所の正式な賃貸借契約を結びます。契約の前に審査が行われ、審査に通ったら入居可能、その時点から家賃が発生するのが一般的です。

会社設立手続の予定日や営業開始予定日、必要な工事とその期間などを考慮して契約し、営業開始前の家賃支払い期間をなるべく短くしておきたいところです。

法人用の印鑑の作成

会社設立の際は、法人としての印鑑(実印)が必要となります。いわゆる「代表者印」と呼ばれるものです。

その他、銀行口座用の銀行印なども一緒に作っておくのが一般的です。

個人の実印と印鑑登録証明書の準備

会社設立には、定款の作成と認証、登記の申請という法的な手続きを行います。その際には、発起人の個人の実印や印鑑登録証明書が必要です。

印鑑登録証明書は、市区町村の役場などで取得できます。実印の登録が済んでいない場合は、役所に印鑑登録するところから始めましょう。

印鑑登録証明書は、3カ月以内に取得したものしか受け付けられないため、各手続きをする日の3カ月前よりも過去に取得したものは使えません。

あいさつ状の作成・送付

個人事業からの法人成りであれば、既存の取引先や顧客あてに会社設立を知らせる必要があります。あいさつ状を作成し、会社設立の後ではなく前に届くように手配しておきましょう。

あいさつ状の文面等については、こちらの記事を参考にしてください。

会社設立する際のやることリスト

会社設立の流れ

ここまでの準備が済んだら、いよいよ会社設立の手続きに入ります。

定款の作成~公証人による認証

定款とは、会社の憲法とも呼ばれ、基本事項などをルール化したものです。

定款の「絶対的記載事項」

定款には、次の5つを必ず記載するよう会社法に定められており、「絶対的記載事項」と呼ばれています。いずれも、冒頭の準備段階で基本事項として決めておいたものです。

  • 商号(社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金額
  • 発起人の住所・氏名

定款の記載事項については、こちらの記事で解説しています。

公証役場での相談・認証手続き

定款は、公証役場で認証を受け、はじめて効力を持ちます。認証を受ける前に、草案の時点で記載内容について相談しておきましょう。修正などの手間が省けます。

公証役場によっては、この相談時に「実質的支配者となるべき者の申告書」の提出が必要な場合もあります。犯罪目的での会社設立を防ぐための書類で、相談時でなければ、申請時の提出が必須です。

完成した定款と、準備しておいた個人の実印、印鑑登録証明書などを揃え、公証役場に定款認証を申請します。

公証人役場や定款認証に必要なものなどについては、こちらの記事を参考にしてください。

定款の作成や認証は、電子定款としてPDFで作成、オンラインでの手続きも可能です。電子定款についてはこちらの記事で解説しています。

資本金の払い込み

会社設立する前にやること~資本金の払込
yu_photo – stock.adobe.com

基本事項として決めた資本金額のお金を、銀行口座に振り込みます。この時点では法人用の口座はまだ作れないため、発起人または発起人総代の個人口座に入金します。

発起人が複数いる場合は、振込によって出資額と出資者が記録として残るようにします。

また、発起人が1人の場合でも、口座の残高にかかわらず、資本金分の額を改めて入金しなくてはなりません。

入金の記録は、通帳をコピーして残し、払い込みの証明書を作成します。作成方法などはこちらの記事で詳しく説明しています。

登記申請書類の作成・準備

資本金の払い込みが完了したら、2週間以内に登記申請を行う必要があります。次のような書類を揃え、法務局に申請します。

  • 株式会社登記申請書
  • 認証済みの定款
  • 発起人の決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 取締役個人の印鑑証明書
  • 資本金の払込証明書
  • 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
  • 添付書類(「登記すべき事項」を記載したもの)

申請を専門家に依頼する場合は、委任状も必要です。

「登記すべき事項」とは

登記申請書には、「登記すべき事項」とされている内容について記載する必要があります。いずれもここまでに決めた項目です。

ただ、項目が多いため、別紙に掲載したり、CD-Rなどに保存したりして提出するのが一般的です。

  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数
  • 発行済み株式の総数(種類ごとの数)
  • 取締役の氏名
  • 代表取締役の氏名と住所
  • 株式の譲渡制限に関する規定
  • 取締役設置会社の場合はその旨
  • 監査役設置会社の場合はその旨と監査役の氏名
  • 公告方法(定款に定めた場合はその内容)

登記申請書と収入印紙貼付台紙、添付書類は、順番に並べてホチキスでとじます。ただし、登記すべき事項を記載した別紙はまとめずクリップなどでとめます。

印鑑届書も同時に準備

登録申請時には、「印鑑届書」も同時に提出するのが一般的です。一緒に準備しておきましょう。

印鑑届書とは、法人の印鑑登録をするものです。個人は市町村に印鑑登録をしますが、法人は法務局に行います。

印鑑届書を登記申請書と同時に提出すれば、代表者個人の印鑑証明書は1つで併用できます。別の日に届け出る場合は、それぞれに印鑑証明書が必要です。

ちなみに、設立登記の申請も、マイナンバーカードやICカードリーダライタなどがあれば、オンラインで行うことができます。印鑑届は、登記をオンラインで申請した場合には任意となりました。

しかし、会社設立後の行政手続きや他社との契約など、実印が必要となる場面は数多くあります。任意とはいえ、届出しておくのが得策です。

設立登記の申請~登記完了

書類や印鑑の準備ができたら、いよいよ設立登記の申請です。申請は代表者本人が、本店所在地を管轄する法務局に行います。

法務局が登記申請を受け付けた日が、会社の設立日となります。

会社設立のような商業登記では、不動産の登記とは違い、登記が完了したことの連絡は入りません。管轄の法務局の公式サイトで、「登記完了予定日」(公式サイトの画面右側のタブ)を確認しましょう。

書類などの不備や要修正箇所があれば、法務局から連絡が入ります。完了予定日までに不備などの連絡がなければ、登記は完了したものと考えられます。

こちらの記事で、定款認証や登記申請の流れについてさらに詳しく説明しています。

会社設立後すぐのやることリスト

登記が完了し、晴れて公的に会社という組織ができたら、次は法人としての税金や保険の手続きを行う必要があります。

登記簿謄本、印鑑カード、印鑑証明書の取得

まずは、この後の手続きに必要となる、登記簿謄本や印鑑証明書を取得します。必要な枚数は各5枚程度ですが、従業員を雇う、他社との契約を交わすなど、ケースにより必要枚数は異なります。何部ずついるかを確認しておきましょう。

印鑑証明書の交付には、「印鑑カード」が必要です。印鑑カードの取得には「会社法人等番号」の記入が必要で、会社法人等番号(12桁の番号)は登記簿謄本に書かれています。

いずれも即日で受け取れるので、窓口に行き登記簿謄本→印鑑カード→印鑑証明書の順に取得するとよいでしょう。

書面による登記簿謄本の取得には1部につき600円、印鑑証明には1部につき450円の手数料が必要です。手続きごとに「3カ月以内」など期限があるため、予備で多く取っても無駄になるので要注意です。

オンラインで請求すれば手数料が少し安くなりますが、すぐには受け取れません。

印鑑カードを一度発行してもらえば、以降は印鑑証明書と登記簿謄本を同時に申請することもできます(ただし手数料はそれぞれ必要)。

税務署への届出

会社設立したら税務署に届け出ること

会社を設立したら、法人として法人税や消費税、源泉徴収税(従業員がいる場合)などを納めることになります。そのために、税務署に会社設立を知らせる手続きを取ります。

管轄の税務署に、次のような書類を提出します。

  • 法人設立届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇う場合)

また、税金の納付について特例的な扱いを受けたい場合には、次のような書類も提出しておくのが一般的です。

提出書類概要
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書・従業員10名以下で源泉徴収税を年2回の納付にしたい場合に提出
青色申告の承認申請書・税務申告を節税効果の高い青色申告で行う場合に提出
減価償却資産の償却方法の届出書・償却方法を「定率法」以外にする場合に提出
棚卸資産の評価方法の届出書「最終仕入原価法」でない方法を取りたい場合に提出
事前確定届出給与に関する届出書役員への賞与を経費にしたい場合に提出

どのような書類を提出しておくかは、経理方法や自社へのメリット・デメリットなどを考慮して決める必要があります。出すべきかどうか判断がつかなければ、専門家に相談することをおすすめします。

税金についてはこちらの記事も参考にしてください。

地方自治体への届出

県や市など、地方自治体にも法人の設立を知らせなくてはなりません。

本店所在地を管轄する都道府県税事務所と市区町村役場に、それぞれ書類を提出します。

届出書の名称は自治体により微妙に異なります。例えば東京都の場合は「法人設立・設置届出書」ですし、愛知県では「法人設立・事務所等設置報告書」です。名古屋市では「法人の設立・事務所事業所新設申告書」です。

この際、定款や法人の登記簿謄本を添付する必要があります。必要書類についても各自治体で異なるため、県や市の公式サイトで確認してください。

社会保険への加入

会社を設立したら、役員も雇用する従業員も、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入対象となります。

健康保険と厚生年金に関しては、次のような書類を年金事務所に提出します。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

新規適用届は、会社が社会保険適用事務所となるための届出です。資格取得届は、個人が保険に加入するための書類です。扶養家族のいる人については、被扶養者の届出も必要です。

パートなど短時間労働の従業員でも、条件を満たせば加入させる必要があるので注意が必要です。保険料は労使折半、つまり会社と本人が半分ずつ負担します。

労働保険への加入

従業員が1人でもいるなら、労働保険’(労災保険と雇用保険)への加入も義務です。まずは次の書類を労働基準監督署(労基署)に提出します。

  • 保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書

その後、雇用保険についてハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」を提出、従業員ごとに「雇用保険被保険者資格取得届」を出して、加入の手続きをします。

労働保険の保険料は、労災保険は全額を会社が負担します。雇用保険は従業員本人も一部を負担します。

詳しくはこちらの記事で説明しています。

国民健康保険からの脱退

会社設立をするまで個人事業主などで国民健康保険に加入していた場合、会社が健康保険に入ることで国民健康保険から脱退する必要があります。

会社で加入した健康保険の保険証と、これまで使っていた国民健康保険証、本人確認書類を持参して市区役所で手続きしてください。

会社員を辞めてすぐ会社設立した場合には、退職した会社で脱退の手続きをしてくれるので、何もする必要はありません。

年金保険については、脱退の手続きは不要です。会社として厚生年金加入の手続きをした時点で、基礎年金番号にもとづき自動的に脱退となります。

税金や保険関連の手続きについては、こちらの記事でさらに詳しく紹介しています。

事業の開始までにやること

税金や保険といった公的な手続きが済んだら、いよいよ事業のスタートに向けた準備をしていきましょう。

法人用口座の開設

設立登記が完了すれば、法人名義の銀行口座も作れるようになります。法人口座は必須ではないものの、収支の管理や税務申告、対外的な信頼性の面では作っておくのが得策です。

次のような書類を準備し、銀行などの窓口で申し込みましょう。現在はネットで申し込みができる金融機関も増えています。

  • 代表取締役となる人の印鑑証明
  • 会社の登記簿謄本
  • 会社の定款
  • 会社の実印
  • 代表取締役の身分証明書
  • 銀行印として使う印鑑

必要書類は金融機関によって多少異なるので注意してください。

法人口座開設の審査は厳しいので要注意

会社設立したらぜひ作りたい銀行口座ですが、開設ができないケースもよく聞かれます。背景には、近年、架空口座を使った犯罪の増加により審査が厳格化しているという現状があります。

事前に必ず金融機関の公式サイトなどで必要な物を確認し、すべて揃えた上、代表者本人が出向いて手続きしてください。事業計画書などを持っていくなど真摯な姿勢で臨み、犯罪とは無関係であると信用してもらいましょう。

大手銀行ほど審査が厳しく、信用金庫やネット銀行は比較的ハードルが低い傾向です。オフィスから遠いと不審に思われる可能性があるので、近くの金融機関を選ぶのもポイントの1つです。

オフィスの内装工事を契約・依頼

事業内容や事業形態に合わせてレイアウトを決め、内装工事をしてもらいます。複数の業者から相見積もりを取り、工期やコストなども考慮して選びましょう。

営業許可等が必要な事業であれば、許認可の条件に適合させる必要があります。業種に特化した工事業者に依頼するのが安心です。

電気・通信・空調・セキュリティ環境の構築

事業に必要な環境を整えます。電気や電話、インターネット回線のほか、空調やセキュリティの環境も整える必要があります。

オフィスビルに入居する場合には、まず指定業者があるかどうかなどを確認します。業者の選定から自社で行う必要があれば、複数の業者から相見積もりを取って決めましょう。

事業に必要な許認可の申請

事前に確認しておいた、必要な資格や許認可などについては、営業を始める前に正式に取得しておかなくてはなりません。

許認可と一口に言っても、1日講習を受ければ取れるようなものもあれば、取得のために店舗や工場の設備工事などが必要なものもあります。営業を始めるまでに取っておく必要があるので、開業のスケジュールに合わせて動いていきましょう。

許認可や届出を行っていないことが発覚すれば、法令違反となり、営業停止など大きなペナルティを科せられることになります。

什器・備品の導入、事務用品・消耗品の購入

什器とは、デスクやキャビネット、ソファーなど、オフィスや店舗で使う家具のことです。

パソコンやプリンター、ブラインドやホワイトボード、ごみ箱や掃除機といった備品や、ペンやコピー用紙などの事務用品を必要に応じて揃えます。

コスト削減のためには、リースなども活用しましょう。

会計ソフトなどの導入

必須ではないものの、会社では会計ソフトを使うことをおすすめします。日々のお金の管理や帳簿付け、決算業務を行うのに役立ちます。

計算ミスにすぐに気づけたり、正しい帳簿の記載ができたりするほか、経理担当者の負担軽減や人件費の節約にもつながります。

会計だけでなく、自社に必要なソフトやツールがあれば導入します。

企業ロゴ、名刺、看板、制服等の作成

事業内容や理念、ブランドイメージを伝えやすくするために、会社あるいはブランドのロゴを作成します。テーマカラーを決めておくとデザインが固まりやすくなります。

デザインを学んだ人であればロゴの自作も可能ですが、業者に依頼するのが一般的です。

ロゴができたら、名刺にもロゴを入れて作成しましょう。必要に応じて店の看板やオフィス玄関の表示、制服などの制作も依頼します。

独自ドメイン取得、ホームページ制作

独自ドメインを取得すれば、独自のホームページやメールアドレスを作成することができます。ドメインとは、メールアドレスの場合「@アットマーク」より右(後ろ)の部分です。独自ドメインであることで、信頼性が高くなります。

契約するサーバーなどの無料ドメインでもサイトは作れますが、サーバー会社のサービスが終了する可能性もありますし、サーバーを変える際に二重の費用がかかります。

パンフレット・チラシ類の作成・配布

会社案内や商品紹介のためのパンフレットや、店のオープンを知らせるチラシなどを作ります。

デザイン会社や印刷会社など、制作を請け負う業者は複数あるため、実績などを見て比較検討し、相見積もりで比べるなどして決めてください。

オープン当日に多くのお客さんに来てもらえるよう、オープンを知らせるチラシは早めに手配しましょう。


会社設立の手続きについて、この記事ではリストをざっと紹介しています。より詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

要注意!手続きの期限や必要な日数

会社設立の準備から事業開始まで、やるべきことそれぞれに必要な期間や締切などが存在します。さかのぼっていつから準備を始めるべきかを考え、場合によっては複数を同時進行で進める必要があります。

最後に、各種届出の提出期限や、手続きや制作、導入など何にどれくらいの期間が必要かを挙げていきます。

必要な申請・届出の期限

どの会社にも必須の期限と、場合によって守るべき期限があります。

すべての会社に義務付けられる期限

まず、会社を設立する際に注意すべきは、次の2つの期限です。

やること提出先期限
設立登記の申請法務局資本金を払い込んだ日から2週間以内
法人設立届出書の提出税務署設立の日から2カ月以内

税務署には、他にも状況に応じて提出する書類があり、期限が決められているものがほとんどです。

文書名期限
「青色申告の承認申請書」次のいずれか早い日
・設立日から3カ月経過する日
・第1期の事業年度終了日
「事前確定届出給与に関する届出書」設立日から2カ月を経過する日まで
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」期限はナシ、提出翌月に支払う給与から適用

青色申告(税金の控除額が大きいい)や事前確定届出給与(役員賞与を経費にできる)については、いずれも出しておけば節税のメリットが受けられるものです。上記の期限を過ぎたら、最初の事業年度には適用されません。

社会保険の手続きも、すぐに行う必要があります。

提出文書など提出先期限
健康保険・厚生年金保険の新規適用届所轄の年金事務所会社設立から5日以内
社会保険の被保険者資格取得届所轄の年金事務所新たに従業員を採用した日から5日以内
国民健康保険からの脱退市区役所会社の健康保険に切り替えてから14日以内

国民健康保険と会社の健康保険は、もし二重払いとなってしまった場合には返金してもらえます(原則)。とはいえ、手続きは早めにしておきましょう。

従業員を雇う場合の期限

従業員を雇う場合には、労働保険関連の手続きも次の期間内に行います。

届出名届出先期限
保険関係成立届所轄の労働基準監督署従業員を雇用した日の翌日から10日以内 所轄の労働基準監督署
概算保険料申告書所轄の労働基準監督署または都道府県労働局従業員を雇用した日の翌日から50日以内
雇用保険適用事業所設置届所轄の公共職業安定所事業所の設置日翌日から10日以内

無保険状態とならないよう、雇い入れたらすぐに手続きしておきましょう。

飲食店の深夜営業届など

事業が深夜に酒類を提供する飲食店の場合、深夜営業の届出も必須です。取得せずに営業すれば違法となるため、手続きは早めにしておきましょう。

届出名届出先期限
深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出所轄の警察署の生活安全課営業を開始する日の10日前まで

その他、業種によって許認可に期限があるケースもあるので、事前に確認し、期限内に手続きをしてください。

必要となる期間のめやす

締切があってもなくても、申請など手続きからその完了までに時間がかかるものもあります。ここでは、各手続きにどれくらいの期間が必要かの目安を挙げるので、スケジュールを立てる参考にしてください。

ただし期間はあくまで目安なので、より早く動くのが安心です。業者や業者の繁忙期などによっては、これより長い日数が必要となる可能性も高いです。

官公庁への手続き

会社の設立登記には、早くて1週間~10日ほどかかっているのが現状です。

手続き名完了までの期間
登記申請~審査完了1~2週間

3月など区切りのシーズンには申請も多くなるため、時間がかかる傾向にあります。

営業許可については、審査が完了しないと営業できないため、オープン予定日に間に合うように準備を始めてください。

手続き名完了までの期間
飲食店の営業許可申請~審査完了2~3週間
古物商の営業許可申請~審査完了2~3カ月
建設業許可の取得2カ月半~4カ月

建設業の許可の取得は、すべての業者に課されるわけではありません。1500万円未満の建築一式工事あるいは述べ面積150㎡未満の木造住宅工事、それ以外の工事で500万円未満の場合は「軽微な建設工事」として除外されます。

金融機関での手続き

金融機関の手続きにも次のとおり時間がかかります。

手続き名完了までの期間
融資申請から入金まで1カ月~3カ月
法人口座の開設2日~1カ月

融資については、必要書類を完備しても1カ月以上はかかるのが一般的です。各種の契約や購入などは、それを見越してスケジュールを立てる必要があります。

法人口座の開設にかかる日数には大きな幅があり、ネット銀行ならより早く審査が終わる傾向です。ゆうちょ銀行であれば、1カ月ほどは見ておかねばなりません。

オフィス物件・インフラ手続き

オフィス環境の整備にかかる日数も、場合によっては長くなります。業者の選定などを早めに進めておきましょう。

項目期間
賃貸物件の入居審査1週間~10日間
電話回線1~2週間
インターネット(光回線)1カ月~
電気・ガス1~2週間
水道3~4日

こういったインフラ系については、引っ越しが多くなる3~4月や9~10月などは申し込む人も多く、時間もかかる傾向です。

各種制作物にかかる日数

広告宣伝に必要な制作物なども、品質の確かな物を作るにはある程度の日数が必要です。

項目期間
ホームページ(自社ウェブサイト)制作1~3カ月
名刺作成2週間~1カ月
パンフレット作成1~3カ月
チラシ作成2~4週間

いずれも会社を知ってもらうための大事なツールです。業者選定や打ち合わせを早めにしておきましょう。

会社設立手続きは専門家に頼めば簡単!

会社設立手続きは専門家に頼めば簡単!

ここまで紹介した内容をすべて行うと考えると、始める前から疲れてしまいそうです。そこで利用したいのが、各種の手続きに長けた専門家・専門業者です。

会社設立の法的手続きには、定款などの書類作成に行政書士、登記申請に司法書士、税務を踏まえた会社設立では税理士といった専門家の利用が得策です。

必要な手続きをし忘れたり、書類の不備などで損をすることもありません。報酬の支払いが必要とはなりますが、経費にもできますし、費用対効果を考えれば損をすることはないでしょう。

特に、設立後も付き合いが必須な税理士には、会社設立時からつながりを持っておくのがおすすめです。当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、顧問契約を結ぶことで会社設立(会社印も!)が安くできるキャンペーンを実施中。ぜひお気軽にご相談ください。

【便利ツール】設立までに必要なものチェックリスト

会社設立手続きで必要になる主な書類を一覧にまとめました。チェックリストとしてぜひご活用ください。

いますぐチェックリストPDFをダウンロードする

【簡単・手軽】LINEから無料相談受付中!

【簡単・手軽】LINEから無料相談受付中!

いざ「起業したい!」と思ったものの、まず何をしたらいいのか?どのタイミングで起業するのがいいのか?などわからないことだらけではないでしょうか。
TipsNoteでは、起業に関するさまざまなご相談にLINEから無料でお応えいたします。

その他にも、LINE限定コンテンツや起業に役立つ情報を配信中です。せひ友だち登録してお役立てください。

友だち追加で限定特典GET LINE公式アカウント 友だち追加で限定特典GET LINE公式アカウント

『起業・創業パーフェクトガイド』無料配布中!

【記事を読んで「いいね!」と思ったらシェアをお願いいたします!】

何から始めればよいのか、何を準備したらいいのか悩まれている方のために、会社設立のイロハを詰め込んだ「パーフェクトガイドブック」を無料配布しております。
様々な疑問をこれ1冊でズバっと解決いたします!

社長に!!!おれはなるっ!!!!

そんなあなたにぜひ手にとっていただきたい!
メールフォームからお気軽にお申し込みくださいませ。


ダウンロードはこちらから

TipsNoteはあなたの
起業・開業を応援します

起業・開業まず何をすればいい?
融資のこと色々教えてほしい
手続きについて聞きたい