現物出資の流れと、その後の仕訳について

現物出資の流れと、その後の仕訳について
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現物出資とは、その名の通り固定資産や知的財産など現金以外の資産で出資することです。
創業時の資本金増額手段として、あるいは事業増強時の資金調達手段として、現物出資は経営者にメリットのある手段です。

手元に現金がなくとも資本金を増やせて便利ではありますが、現金出資と比較するとやや複雑な手続きが必要となります。

この記事では、現物出資における手続きの流れと、出資のご財務処理における仕訳、この2点について解説します。

そもそも「現物出資とは?」という人はこちらの記事を読んでみてください。

現物出資に必要な手続き

現物出資に必要な手続き

現物出資を行うには、現金での出資と同じく「株式会社設立登記申請書」の作成が必要なほか、「調査報告書」「財産引継書」も作成する必要があります。

手続きとしては、大きく次の5段階で行っていきます。

  1. 出資対象となる「現物」の時価調査
  2. 現物出資について定款に記載(発起人決定書含む)
  3. 調査報告書の作成
  4. 財産引継書の作成
  5. 資本金額の計上に関する証明書の作成

それぞれの手続きについて見ていきましょう。

STEP1. 出資対象となる「現物」の時価調査

現物出資で最も避けるべきは、出資財産を過大評価することです。
現物時価を水増申告することで多くの株式を取得するような不正があってはなりません。

金銭での出資を行った他の株主に対して不公平であり、資本の額に相当する財産が出資されるべきという会社法の「資本充実の原則」にも反します。

そのため、現物出資は発起人のみに認められており、現物の時価調査では原則として、裁判所が選んだ検査役による調査査定が行われることになっています。
しかし、次のようなケースでは調査を省略できます。

  • 現物出資の総額が500万円以下の場合
  • 発行する株式が発行済み株式の10%以下の場合
  • 市場価格を持つ有価証券かつ市場価格を超えない出資額の場合
  • 弁護士、税理士、公認会計士、監査法人などの証明を受けた場合(不動産の場合は不動産
  • 鑑定士の鑑定証明も必要)
  • 金銭債権の負債の帳簿価額以下での出資の場合

しかし、何らかの理由で後日、検査役による調査が行われることも。その際に自己申告の現物価額と実勢時価とにギャップがあれば、追加払い込みなどの要求がされるおそれもあります。
現物時価を申告する際は、適切な調査により適正に行わなければなりません。

STEP2. 現物出資について定款に記載

金銭以外の現物を出資する発起人がいる場合、その旨と次のような詳細の内容を必ず定款に記載しなければなりません。

  • 現物出資者の氏名
  • 現物出資の対象となる資産の内容
    (商品名、製造会社名、製造番号などの詳細情報)
  • 現物出資の対象となる資産の金額
  • 現物出資額に対して付与する株式数

また、「発起人決定書」「発起人会議事録(発起人が複数いる場合)」にも記載します。
以下に、記載例をサンプルとして載せておきます。

【定款への記載例】

(発起人の氏名等)
第○○条 発起人の氏名及び住所並びに設立に際して割当てを受ける株数及びこれと引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
発起人住所:○○県○○市○○区○丁目○番○号
発起人氏名:○○
現物出資:○○株

(現物出資)
第〇〇条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産及びその価額、割り当てる株式の数は別表の通りである。 

このように記載し、前述の現物についての詳細を「定款別紙」として記載するのが一般的です。

STEP3. 調査報告書の作成

前述の通り、現物出資における現物価値の調査報告書は本来、裁判所が選任した検査役によって作成されるものであり、条件を満たす場合には検査を省略できます。

その場合は、取締役・監査役など役員による調査報告書および附属書類(財産引継書)の作成で代用できます(厳密にいうと、監査役設置会社の場合は設立時取締役および設立時の監査役)。

調査報告書には、現物出資財産が適正価格で出資されているという報告が書かれている必要があります。

STEP4. 財産引継書の作成

「財産引継書」とは、出資者である発起人から、現物出資の対象(調査報告書に記載した不動産や工作機械などの現物)会社に対して引き継がれていることを証明するためのものです。

その他手続きについて、もし現物出資の対象が不動産の場合は所有権移転登記、証券や車などの場合は名義更新手続き等も行う必要があります。

STEP5. 資本金の額の計上に関する証明書の作成

「資本金の額の計上に関する証明書」は、会社設立時に法務局に提出する書類のひとつです。
出資された現金や現物出資の合計額から、会社が負担する設立費用を差し引いた「登記簿に記載される資本金額」の資産内容を記載します。
具体的には、次の内容が明記されている必要があります。

  • 払い込みを受けた金銭の額
    (総額の2分の1までは資本準備金として計上可能)
  • 給付を受けた金銭以外の財産の価額
  • 「現金+現物出資」の合計額
  • 日付
  • 会社実印
  • 会社名と住所
  • 取締役氏名

この書類は、新会社法施行により法務局への提出が義務づけられました。 設立時の代表取締役の記名と押印が必須です。

現物出資の税務処理の仕訳まとめ

現物出資の税務処理の仕訳

現物出資は、個人や若年層の起業家に法人化のチャンスを与えてくれる出資方法です。
しかし、税法上の手続きにおいても現金出資に比べて処理が煩雑になるので、注意が必要です。

この章では現物出資の対象となる資産の税務処理における「設立時」と「決算時」の仕訳についてまとめました。

設立時の現物出資の会計処理の仕訳について

設立時の現物出資の資本金計上の仕訳は、次のように記載します。

「借方」に 現物出資品目名 ○○円
「貸方」に 資本金 ○○円

決算時の現物出資の会計処理の仕訳について

現物資産は、 決算時に減価償却資産として処理することが可能です。

「借方」に減価償却費 ○○円
現物出資品目名 ○○円

使用可能期間が1年未満、もしくは取得価額が10万円未満の場合、「少額の減価償却」として全額を費用化することができます。

ただし、「使用可能期間が1年未満」の意味するところは法定耐用年数ではなく、業種において「消耗性」と判断されるものです。

現物出資は充分な知識を蓄えてから実行しよう

現物出資の流れと、その後の仕訳について

創業時は個人事業主としてスタートした場合も、後々、収益が増えるにつれて(1つの目安として年収700万以上)法人化することを検討するようになるでしょう。

創業時の段階で現物出資による会社設立を検討するのも一つの方法です。しかし現物出資にかかる手続きは簡単ではありません。

あらかじめ、大まかな流れや必要な書類などは把握しておくとよいでしょう。難しいと感じたら、税理士など専門知識のある人に相談してください。

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