【会社設立時の資本金】見せ金が絶対にダメな理由

【会社設立時の資本金】見せ金が絶対ダメな理由
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会社設立時の資本金は、第三者から見た会社の信頼度につながる指標とです。
現在は資本金が1円でも問題ないとはいえ、実際に1円で設立されることはほとんどありません。「見せ金」で資本金を多く見せたいと考える人もいるでしょう。

ここでいう「見せ金」とは、実際にはない資本金をあるように見せること。見せ金は違法行為であり罰則の対象です。社会的な信用を失えば商売もうまくはいきません。絶対にやめましょう。

この記事では、見せ金の危険性や会社が被る不利益について解説します。

資本金の「見せ金」とは?

資本金の「見せ金」とは?

見せ金」とは、資本金が実際より多くあるように見せかける一時的なお金のことをいいます。
コツコツ貯めるなどした返済不要の自己資金ではなく、一時的に借りたお金を資本金として払い込み、登記後に引き出して返済するなどの方法で資本金額を多く偽装します。

しかし、一時的に借りすぐに引き出してしまえば、結局その資金は手元に残らず事業のための資金とは言えません。

現行の会社法では、資本金は1円でも会社設立が可能です。
しかし、資本金は会社の体力とも呼ばれ、資本金が多いほど金融機関などからの信用度も高まります。そのため、見せ金を使おうと考える人が出てきてしまうのです。

なぜ「見せ金は絶対にダメ!」なのか

なぜ「見せ金は絶対にダメ!」なのか

見せ金は法に反する行為であり、処罰の対象となり得ます。ではなぜ、見せ金は法律で禁止されているのでしょうか。

それは、見せ金が企業の社会的責任を無視する行為であり、横行すれば企業という存在の信頼性を根底から揺るがす事態となるからです。

見せ金で資本金が少ない事実を隠すことは、倒産のリスクが高いという事実を隠すのと同じことです。
倒産すれば、その企業を信頼して融資した金融機関や個人投資家、株主などのほか、取引先や従業員とその家族など、関係者すべてに多大な損失を与えます。

そのため法律で禁止され、もしそれに触れれば処罰対象とされているのです。

見せ金が違法となるのは会社法と刑法

見せ金が違法となるのは会社法と刑法

見せ金については、会社法と刑法において罰則の規定があります。

資本金の見せ金と会社法

会社法には、次のような条文があります。

【会社法第52条の2】
「発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う」

つまり、見せ金を使って資本金を偽装した場合、発起人は偽装した全額を支払う義務があります。
また、会社法第52条の4では、発起人は、その支払いをした後でなければ株主としての権利を行使できない、としています。

さらに、資本金の払込は会社設立時の発起人の任務と言えるため、見せ金で不正を行うことはその任務を怠ったとも受け取れます。
見せ金によって損害が生じれば、賠償責任を負うことにもなります(会社法第53条)。

資本金の見せ金と刑法

また、刑法157条1項には、登記簿や公正証書の記載について次のような規定があります。

「公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿(中略)の原本に不実の記載をさせ(中略)た者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

資本金の額は、会社の登記簿に記載する項目の1つです。
つまり、見せ金で資本金額を偽ることは、登記簿の原本に不実の記載をさせること。発覚すれば5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

要注意!「預け合い」も違法

見せ金と似た行為に、発起人と金融機関による「預け合い」があります。
「融資を受けるが、返済するまで借りたお金は引き出さない」という約束を交わした上で、発起人は金融機関からお金を借ります。
借りたお金をその金融機関の口座に入金し、会社設立時の資本金に充てるという手口です。

表向きは資本金が十分にあるように見えますが、実際は自由に引き出せず、いざというときに使うことはできません。これも資本金の偽装と見なされ、罰則の対象となります。

資本金の見せ金と判断されてしまうケースとは

資本金の見せ金と判断されてしまうケースとは

もしかしたら、見せ金をしても「発覚しなければ大丈夫」と思う方もいるかもしれません。
確かに、取引先や顧客とのやり取りだけで見せ金が発覚することはまずないでしょう。

しかし、金融機関による融資審査などの際に、次のような理由で露見することとなります。

Case1 不自然な口座の履歴

金融機関から融資を受けるには、自己資金の額を確認するために通帳のコピーなどを提出します。
審査では、口座の取引履歴が確認されます。直前に、短期間でこれまでにない高額な振り込みが突然あれば、入手経路などを確実に問われます。

正当な理由があるならまだしも、融資担当者が納得する答えができなければ、見せ金だと判断されて然るべきでしょう。

Case2 個人名での高額な振込

個人名での高額な振込も、見せ金だと判断される恐れがあります。
これまでにない高額なお金が個人的に振り込まれていれば、疑われても無理はありません。

まず疑われるのは一時的な借金による見せ金です。

しかし、例えば「個人事業主から業務委託を受けている」「契約書や領収書がある」など、健全たる事情があるなら話は変わります。
関係をしっかり口頭や書面などで説明し、お金の出所や自己所有のお金である事実を明らかにできれば問題にはなりません。

また、口座の履歴状況などによっては、10万円~20万円程度でも疑われるおそれがあることにも注意が必要です。

Case3 タンス預金、宝くじの当選金など怪しい言い訳

実際に「会社設立の自己資金としてタンス預金を口座に入金した」「宝くじの当選額を自己資金にした」というケースもあるかもしれません。
しかし口座の履歴説明を求められた際、説明があやふやだったり、証明ができなかったり、宝くじの当選のようになかなか発生確率の低い言い訳だったりすると、見せ金を疑われることとなります。

金融機関から融資を受ける際は、少なくとも直近6ヶ月分の金融取引についてしっかり説明できるようにしておきましょう。

資本金の見せ金はデメリットの方が大きい

資本金の見せ金はデメリットの方が大きい

見せ金がダメだというのは冒頭からお伝えしている通りですが、ここで改めて見せ金を使うことの具体的なデメリットを挙げていきます。

見せ金を使ってしまう人の心理としては「自己資金不足だが信用度を上げたい」ということ。
しかし信用度を上げるどころか、真逆の結果を招くことを理解しておきましょう。

1.違法行為として罰せられる

見せ金と発覚すれば、会社法では「仮装した金額を全額支払う義務がある」とされています。
実際には20万円しかないのに資本金を500万円としたなら、差額の480万円を支払うこととなります。そもそも自己資本がない状態からお金を工面しなくてはなりません。

それだけでなく、刑法では「公正証書原本不実記載罪」として、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

2.融資が受けられなくなる

融資を受ける際は、自己資本がいくらあるかが審査の重要なポイントとなります。
そのため見せ金で資本金を多く見せようとするケースがありますが、審査の際に前述のとおり口座の不自然な履歴などから発覚してしまいます。

融資は信頼されて初めて実行されるもの。見せ金という嘘をついた時点で会社は信頼を失います。当然ながら、融資してもらうことは出来ないでしょう。

3.見せ金に課税される恐れがある

見せ金によって所得税が課せられるリスクもあります。

見せ金のために一時しのぎで借りたお金であれば、返済しなくてはなりません。
実体のないお金の移動のつじつまを合わせるために、経理上は「役員貸付金」などとして処理するケースが多く、役員が会社から資金を受け取り、借りた元に返済するというお金の流れが発生します。

この場合、役員は会社から借入していることになりますが、返済されなければ報酬を受け取ったのと同じとみなされ、見せ金の金額に対して課税される恐れがあるのです。

仮に金融機関の審査や税務調査などで、会社設立後すぐに会社が役員へ高額貸付をしていることが判明すれば、会社の信頼を著しく損なうことにもつながり、いずれにしても事業運営に支障をきたすことになるでしょう。

4.会社設立自体が無効となる

借入れしたお金を見せ金とし、会社設立直後に引き出して返済したことで、資本金の払込が無効とされた判例があります(最高裁判例・昭和35(オ)1154)。

会社の設立が成立する要件の1つが「資本金の払込」をすることです。払込が無効とされれば会社設立自体も不成立となります。

5.脱税行為として罰せられる

「役員貸付金」として処理できないからと、見せ金分の金額の領収書やレシートを集め、経費として処理しようとするのもよくある手法ですが、これは「脱税行為」にあたります。
脱税は重い罰則の対象となるため、これも絶対に避けるべき行為でしょう。

資本金は、その金額のまま保有する必要はなく、事業に必要な物の購入などに使って経費とすること自体に問題はありません。
ただし、それには事業のために使った証明となる領収書などが必要です。

例えば機械を購入した領収書があっても、事業所に機械がなければ虚偽の申告と見なされます。脱税となれば、重加算税が課せられるほか、悪質と見なされれば10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(もしくは両方)の対象となります。

見せ金と疑われてしまわないために

見せ金と疑われてしまわないために

借入でなく実際に返済不要の資金でも、見せ金と判断されて大きなダメージを受けるおそれがあります。
見せ金でないと証明できるよう、次のようなことに気を付けてください。

タンス貯金は定期的に口座へ入金する

口座に一度で多額の入金があると、見せ金を疑われることにつながります。

タンス預金は金額を決めて低額にとどめ、定期的に口座に入金しましょう。例えば1カ月に1回のペースで同じ額を入金していけば、コツコツと貯めたことを証明できます。

宝くじや親類からの支援などは証拠資料を残す

「宝くじが当たった」「親類から支援を受けた」などで口座に高額の入金がある場合は、証拠となる書類や資料を残しておいてください。
宝くじに当たった場合は、「当選証明書」を発行してもらえます。
高額当選によって口座に大きな金額が振り込まれると、税務署からお金の出所について聞かれる可能性も高いため、当選証明書はその際の説明によく使われるものです。

親類からの支援なら、贈与契約書を作っておくのが安心です。
ただし、その親類の財務状況によっては形式だけの贈与が疑われる恐れがあるほか、年間110万円を超えると贈与税の課税対象となることにも注意が必要です。

株・不動産・債券などの売却益を資金にする

資金となるものとして持っている株や不動産、債券といった資産を売却し、現金化することも検討してみましょう。
多額の資金調達が期待できますし、多額の入金でもこれなら見せ金と疑われることもありません。

株・不動産・債券などを売却する際には、証券会社や不動産会社などから発行される書類を証拠として保管してください。金融機関の融資担当者などからお金の出所を問われた際には、これを提示して証明とします。

会社設立時によく活用される資金調達法

会社設立時によく活用される資金調達法

会社設立には、見せ金でなく正当な手段で資金を調達しましょう。

創業時には、次の2つの資金調達法が活用されることが多くなっています。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」

新創業融資制度」は、新しく事業を始める人や、事業を開始してから税務申告を2期終えていない人向けに設備資金や運転資金を融資する制度。原則として無担保・無保証人で3,000万円(そのうち運転資金1,500万円)を上限として融資を受けられます。

ただし、どの融資制度が適用されるかは融資を申し込む側から指定することはできず、あくまで審査の過程で公庫側が決定します。
そのため、条件を満たさないと公庫が判断すれば、開業時でもこの制度を利用できないケースがあり得るの注意してください。

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地方自治体の「制度融資」

制度融資」とは、都道府県などの地方自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資制度。市区町村が窓口になる場合、「融資あっせん制度」と呼ばれていることもあります。

自治体によって融資の内容や条件は若干異なりますが、多くが低金利で長期借入が可能、融資条件が決まっていて少ない負担で借入できるようになっています。

信用保証協会が保証人の役割をしてくれることで金融機関からの審査に通りやすくなり、自治体によっては金利を一部負担してくれるため、返済も楽になります。

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融資を受けるには「事業計画書」の内容が重要

融資を受けるには「事業計画書」の内容が重要

事業計画書とは、今後どのように事業を展開するのか、収益の見込みはどうなっているのかといった点を第三者にもわかるようにする計画書です。

創業融資を受けるための審査では、事業計画書(創業計画書)の提出は必須であり、記載内容が融資の可否を大きく左右します。
そのため、記入欄をただ文字を埋めるだけでは絶対に審査には通りません。
作成には税理士や中小企業診断士といった専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。特に創業融資について、知識や実績が豊富で信頼できる専門家に相談してみてください。

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まとめ

【会社設立時の資本金】見せ金が絶対ダメな理由

資本金の下限がなくなった現在でも、会社設立にあたり資本金を多く見せる「見せ金」を使うケースがあるようです。
しかし、見せ金は企業の信頼を損なう違法行為であり、絶対にしてはいけない行為です。見せ金の問題点や違法性を認識し、資金はコツコツと貯めていきましょう。

もちろん、視野を広げて不動産や株などの資産を売却をするのも1つの方法です。
もしくは、創業時でも利用のハードルが比較的低い日本政策金融公庫の創業融資制度や、自治体などの制度融資を活用してください。

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