会社設立時に必要な定款認証での公証役場の役割

会社設立時に必要な定款認証での公証役場の役割
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株式会社設立の際は、定款を作成して公証役場へ持ち込み、公証人の認証を受ける必要があります。
公証役場は全国にあり、公文書の作成や私文書の認証などをする役場です。
株式会社を設立する場合、公証役場で公証人の認証を受けることにより、定款が公のものとして効力を持ちます。

本記事では、会社設立時の定款認証における公証役場や公証人の役割について、定款認証の流れとともに解説します。

会社設立時に訪れる公証役場について

会社設立時に訪れる公証役場について

会社設立の際に足を運ぶ公証役場。まずは、公証役場がどのような場所で公証人がどのような役割をもっているのかを知っておきましょう。

公証役場とは

株式会社を設立する際は、公証役場で定款に認証を受け、その定款を添えて法務局に登記申請をすることが必要です。

公証役場は「役場」といっても区町村役場とは異なり、法務省が管轄する機関です。
会社設立時の定款認証だけでなく、例えば協議離婚の際に合意内容を記した公正証書を作成したり、法に則って確実かつ信頼性の高い遺言書を作成したりする業務を行っています。

公証役場は北海道から沖縄まで全国各地にありますが、特に人口の多い地域に集中しています。
日本公証人連合会」によれば、公証役場は全国に約300カ所あり約500名の公証人が在籍しています。

公証人とは

公証役場では、公証人と事務を担当する書記などが働いています。
公証人は、裁判官や検察官、弁護士としての長い実務経験がある人、あるいは裁判所の事務官や副検事、司法書士などで長く経験がある人の中から公募で選ばれます。

公務員ではないため税金から給与が払われるのではなく、仕事を請け負う際の手数料を収入源としています。
とはいえ法務大臣により任命される、いわば「準公務員」とも言える存在です。

会社設立時に公証役場に行く理由とタイミング

会社設立時に公証役場に行く理由とタイミング

会社を設立する場合、会社の憲法となるルールを「定款」として決めておくことが義務付けられています。

株式会社の場合、作成しただけの定款は効力を持たず、公証人による認証が必須です。そのため、設立前に公証役場に行く必要があります。

定款認証を受ける理由

公証人は、定款の内容に不備がないか、法に適したものか、適正に作成されたものかを確認します。
これが「定款認証」です。

定款認証が必要とされる理由の1つは、会社のルールを公的なものにすることによって、社内トラブルや株主・取引先などとの金銭的なトラブルを防ぐためです。
また、認証を受けることにより、勝手な変更はできなくなります。それにより対外的な信頼性も高まります。

公証役場に行くタイミング

会社設立時に公証役場に行くタイミングは、定款を作成した後、法務局に登記申請をする前です。

作成した定款は、まず原案として公証人に見てもらいます。この場合はメールまたはFAXで送ることも可能です。
原案を修正したら、正式に認証を依頼します。その際には定款と手数料を持参し、公証役場に出向く必要があります。

定款は、紙でなく電子媒体で作ること(電子定款)も可能です。
電子定款はテレビ電話によるオンライン申請も可能で、その場合は手数料を口座振込にしたり、証明となる書類を郵送してもらったりすることもできます。

定款認証を受ける際での必要書類

定款認証を受ける際での必要書類

定款認証に必要となる書類は、定款が紙なのか電子なのかもしくはオンライン申請なのか、または発起人本人(全員)なのか代理人なのかによって異なります。

電子定款についてはこちらの関連記事をご覧ください。

この記事では、基本となる紙の定款の場合を例にして説明します。

定款3通

定款は、同じものを3通(A4サイズ、片面印刷)用意します。
1通は公証役場に保管される用、1通は自社で保管しておく用、もう1通は登記申請用の謄本となります。

この定款3通には、発起人全員分の印鑑を押すこと、すべてのページに契印(割り印)を押すことが必要です。

発起人の印鑑登録証明書

定款は会社の発起人が作成するものです。その証明として定款の最後には個人の実印を押します。

発起人が複数いる場合には、全員の印鑑が押されます。
そのため、定款認証の際には印鑑の確認のために発起人全員の印鑑登録証明書が必要です。3カ月以内に発行された印鑑証明書を用意します。

実質的支配者となるべき者の申告書

実質的支配者」とは、設立する会社の決議件を直接的・間接的問わず①50%を超えて保有する人、②25%を超えて保有する人、③事業に影響力を有する人、④代表取締役などを指します。

「実質的支配者となるべき者の申告書」は、①~④に該当する人の氏名や住所、生年月日などと、暴力団員や反社会性力などに該当しないことを申告するための書類です。

日本公証人連合会のWebサイトなどからダウンロードし、必要事項を該当者全員分記載しましょう。

実質的支配者となるべき者の身分証明書

条項の申告書を提出する上で、実質的支配者となる人の身分証明書が必要となります。
これは顔写真付きのものでなくてはなりません。

(代理を立てる場合)委任状

定款認証は、発起人全員が公証役場に出向くことが原則です。
しかし、発起人の一部や司法書士や行政書士といった専門家が代理人となることもできます。

その場合は、上記必要書類のほか、発起人全員の実印が押された委任状と代理人の身分証明書2種類、代理人の実印(法人の場合は登記簿謄本と印鑑証明書および実印)が必要です。

定款認証はどこの公証役場で受けられるか

定款認証はどこの公証役場で受けられるか

設立する会社の本社所在地を管轄する法務局、もしくは地方法務局の管轄区域内であればどの公証役場でも定款認証を受けることができます。

例えば、東京都渋谷区に株式会社を設立する場合、渋谷の公証役場に限らず東京都内であればどの公証役場を利用しても認証してもらえます。
ただし北海道は、札幌、函館、旭川、釧路で管轄区域が分かれているため要注意です。

また電子定款の場合、認証できるのは「指定公証人」のみですが、指定公証人がいない公証役場もあります。

定款認証に必要な手数料

定款認証に必要な手数料

紙の定款認証を受けるには、次のような手数料と印紙税の納付が必要です。

  • 定款認証手数料
  • 謄本交付手数料(謄本用紙1枚につき250円)
  • 収入印紙代(4万円)

定款認証手数料は、令和4年1月1日より次のように定められています。

  • 資本金の額などが100万円未満の場合:3万円
  • 資本金の額などが100万円以上、300万円未満の場合:4万円
  • そのほかの場合:5万円

定款認証と謄本交付の手数料は公証役場に出向いた当日に現金で支払いますが、収入印紙は郵便局や役所などで事前に購入する必要があります。

定款認証の流れ

定款認証の流れ

紙の定款認証の流れを見ていきましょう。

電子定款の認証の流れについては、こちらの記事をご覧ください。

1 公証役場に定款の原案を送付する

定款(原案)を作成したら、まずは公証人に事前チェックをしてもらいます。
設立予定の会社の本社所在地にある公証役場に電話かメールで連絡を入れます。公証役場によっては、電話連絡でなくメールに定款案を添付して送れば、内容の確認をしてくれるところもあります。

このとき、定款案と一緒に「実質的支配者となるべき者の申告書」の提出を必要とする公証役場もあります。

2 定款案を公証人にチェックしてもらう

送付した定款案の内容に不備はないか、必要書類に不足はないかなどを、公証人が事前のチェックをしてくれます。

3 公証役場から結果の連絡を受ける

定款案の内容確認が完了すると、公証役場から連絡があります。
不備や修正すべき箇所があれば、指示どおりに修正します。定款について不明な点があれば、この時点で確認しておきましょう。

特段、修正等がなければ公証役場に行く日時を決めます。公証人が不在の場合などもあるため、日時は必ず決めて予約しておきます。

4 定款(原本)3通を作成する

修正などが済んだ定款(原本)を3通用意します。原本には発起人全員の押印と契印(割り印)をします。

万が一、訂正が必要となったときのために、定款の最終ページの余白(欄外)に発起人全員の捨印を押しておくと安心です。

5 必要書類を提出し定款認証を受ける

予約した日時にあわせ、発起人全員もしくは代理人が公証役場に出向きます。
定款(原本)や必要書類を提出したら、書類を確認してもらいます。

待ち時間はおよそ20分から30分ほど。公証人の認証を受けたら、会社保存用と登記用の定款を受け取ります。


以上が、定款認証で公証役場に行く際の流れです。

前述のように公証役場には代理人を立てることも可能です。
定款の作成時に司法書士や行政書士などのサポートを受けている場合、定款認証も委任するのが一般的です。

委任すれば、公証役場に出向いたり定款案の修正をしたりといった手間もなく、本業に専念できます。

まとめ~定款認証・会社設立手続きもBricks&UKで~

会社設立時に必要な定款認証での公証役場の役割

会社設立にあたり、会社のルールを記載した定款を作成し、公証役場で公証人の認証を受けることを定款認証といいます。

認証を受ければ、定款の改ざんや紛争などのリスクが回避できます。
義務でもありメリットにもなるので、面倒かもしれませんがしっかりと行いましょう。

定款の作成や公証人とのやり取り、定款認証や設立登記など、会社設立に関する手続きは、専門家に任せることも可能です。
正しい手続きのため、本業に専念するために、専門家を活用するのがおすすめです。

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