起業家インタビュー #1(前編)株式会社えん 藤井 洋一さん  

起業家インタビュー 豊田市飲食店経営 きさらぎ藤井様
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6年ほど前に個人で飲食店を開業し、その後法人化をされた藤井さん。
開業時の苦労やこれまで取り組まれてきたこと、成功に必要なことなど、いろいろと教えていただきました。

藤井 洋一さん
豊田市にある「割烹・すし きさらぎ」店主。
地元産のものを中心としたこだわりの食材に、ひと手間をかけた日本料理が自慢の同店。
こだわりの職人としてのみならず、戦略的な経営にもその手腕を発揮している。

飲食店は、初めはすごく嫌だった

起業家インタビュー 豊田市飲食店経営 きさらぎ藤井様

飲食の道に進まれたきっかけは?

僕、出身が岐阜なんです。岐阜で実家が寿司屋さんをやってて。なので飲食店で育ったんですけど、でも昔はやりたくなかったんですよ、飲食店。
飲食店って終わるのが遅いじゃないですか。それに土日も仕事だから、親と接する機会も少なくて。
家と店は近くにあったんですけど、親は仕事だから一緒にいるわけにはいかないじゃないですか。
だから初めはすごく嫌でした。
でもそのうち「跡を継ぐ」という話になって、でも当時はまだ働きたくないしなと思って、調理の専門学校に行ったんです。

そこからどのような心境の変化が?

名古屋調理師専門学校に行ったんですけど、そこには飲食店の家の子たちが集まってきていたんですよね。
それで飲食店の息子さんたちとかと仲良くなったんです。
人って環境で変わりますよね。周りに自分の家を継ごうとしていたり、「こういうことをやりたい」っていう子がいたりして、「あ、そういう子って結構いるんだ」と思いました。
地元では(家が飲食店だからといって)「じゃあ料理やるよ」っていう子はいなかったので、そういう意識が持てなかったんですよね。


専門学校でそういう子たちに囲まれて、授業で調理をしたり、飲食店でアルバイトしたり、先輩や年上の人から話を聞いたりするうちに、「飲食店もおもしろいのかな」と思うようになってきたんです。
友達も多かったので、いろんなところからいろんな情報が入ってきて、考え方が変わってきて。
環境って大事だなと思います。

先のことを見据えて決めた就職先

卒業後はどのような進路を?

その頃はとりあえず1年くらい就職しようと思っていたので、就職先はいろいろ探しました。
たくさん見ていた中で、大将がお寿司をつくって、息子さんが料理を担当している割烹とお寿司のお店があったんです。
ウチは実家が寿司屋だったので、寿司はまあ実家でやればいいかなと思って、そのときは。寿司よりも料理を覚えた方が、いろんなことができるようになってプラスになるだろうと考えました。
時代的なこともあるかもしれません。当時はまだ日本料理の方が盛んで、日本料理を覚えておいた方が今後役に立つだろう、という考えに自然となりました。寿司の方が簡単だろう、そう考えられている時代だったんですよね。


そこには7年くらいいました。でもやっぱり、すごく厳しかったです。修行っていう感じですよね、昔は。
賄いを作って勉強するんですけど、それを初めは食べてもらえなかったりとかして、辛い思いもしました。

経験の中で気づいた大切なこと

起業家インタビュー 豊田市飲食店経営 きさらぎ藤井様
春には満開の桜がお店を彩る

そのお店の後にすぐ独立を?

いえ、名古屋で焼き鳥屋とか和食屋とかを経営する会社に友達がいて、そこなら自由にいろんなことをやらせてもらえると聞いたんです。料理経験があるということで、その会社に入りました。
初めは料理長のような立場で、そのあと店長になりました。そのときに、自分が作ったものを「おいしい」と言ってもらえることがすごくうれしい、というのを実感したんです。
店長をやらせてもらったことで、気づいたこともありました。料理人として料理をやっていればいい、というのと経営はまた別の話じゃないですか。職人なのか、商売人なのか、みたいな。そこには7年ほどいて、いろいろ勉強させてもらいました。

今のお店に来たいきさつは?

豊田に僕の叔父がよく行くお店があったんですね。大将には娘さんしかいないから後継ぎがいないけどどうか、という話があって。
それでその大将と2年くらい一緒に働かせてもらいました。で、大将が店を辞めるとなったんですが、そのときにものすごくたくさんのお客さんが来てくれたんですよ。
普通は、飲食店の廃業とかって売り上げが落ちちゃってやめる方が多いじゃないですか。でもこのお店はそうじゃなくて、大将が辞めたいからやめたんです。たくさんのお客さんを見て、ああこの店は周りの人から愛されてるお店なんだな、と思ったので、自分もここでやろうと。

名前を変えてもいいし、どんな業態にしてもいいよ、と言われたんですけど、このお店が愛されているからこそお客さんも来てくれるんだと思ったので、寿司は残そうと思いました。
寿司は実家で覚えればいいと思ってたのでやったことがなかったんですけど、まあそれは慣れればなんとかなるかなと。
店名はそのまま使ってもいいと言われ、店の歴史もそのままもらえるし、商売的に考えてもその方がいいと思いました。それで、名前も残して、寿司も残して、さらに新しいものを加える、というスタイルにしたんです。
個人でいきなり「よし、やろう」っていうのではなく、戦略的には2年くらい前からいろいろ動いていました。「こうやったら絶対当たるだろうな」っていうのを考えたりして。

やる気だけでは上手くいかない

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カウンターでも気軽に食べられる、がコンセプト

独立・開業にあたって一番大変だったことは?

大変っていうのはなかったんですよ。なんか楽しいというか、どっちかと言えば「やらないといけない」とか
「変えていかないといけないな」という気持ちが強かったので、大変だと思ったことはなかったです。
「こうしておけばよかった」ということもないですね。アドバイスならたぶんたくさんあります。

そのアドバイスをぜひお願いします

よく、「やる気がある」とか「なんとかなる」っていう人がいると思うんですけど、それだけではどうにもならない部分があるんですよね。
やる気とか勢いってすごく大事なんですけど、だからって何をやっても成功するわけではないので。
自分勝手ではダメなんです。それはお客さんの求めているものなのか、というところをまず考えないと。
自分がやりたいと思うことと、お客さんが求めていることとは違うので、そこをちゃんとわかっているかどうかですね。
僕は寿司は握れなかったですけど、お客さんは寿司を求めていたので、それに応えられるまで努力をしたんです。

だから今では豊田でもかなり人気の寿司屋になりました。

開業前の分析やその後の対応力で差がつく

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お店の名物「穴子の箱まぶし」

計画やリサーチはやはり重要?

そうですね。たとえば「ここでお店を出そう」となったときには、「なぜそこでやりたいのか」というのも大事なんですよね。立地条件もあるし、客層もあるし、それに合わせた単価も関係してきます。

すごく高単価な業態でやりたいのに、学生の街で始めたらそれはおかしいですよね。そういった分析も大切です。

開業後に上手くいかないときは?

スタート前の段階も大事ですけど、スタートしてからも変化、対応していかないと。
やるのって簡単なんですよ。何でもそうですけど、やりだすことは簡単なんですけど、それは単なるスタートですよね。それまではみんな頑張るのに、なぜかスタートしてからは頑張らない人が多いんです。
やってみてうまくいかないと、何か違うもののせいにしたりして、段取り方を間違えちゃうんですよね。
商売が当たるか当たらないかなんてわからないじゃないですか。なのに「やる気はすごくあるからたぶん大丈夫だろう」というのでやり出しちゃう。
そこがたぶん違うと思うんですよね。そういう人には商売のセンスがないのかもしれないなと。

後編はこちらをご覧ください!

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