起業家インタビュー #2(後編)株式会社松柏苑 熊谷 圭太さん  

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前編では、起業前の準備から実際に創業に至るまでの経緯と、起業するにあたり重視していたことなどをお聞きしました。
後編は、経営で大切なこと、経営者としての心構えなどを伺います。

起業に欠かせないのはお金についての理解

起業するにあたって、「ここは大事」というポイントは何でしょうか?

まずは財務、お金のことを理解してないと、起業しても上手くやっていくのは無理だと思いますね。 経営で大事なのはキャッシュが回ってるか回ってないか、この一点しかないと思ってて、そこの感覚がないとやってけないんじゃないかなと思います。

常にお金の流れを見て計画を立てているんですか?

なんとなくはしてますね。あと常に財務の状況は頭に入れてある感じです。
正直そんなに細かく月ごとの試算表とかバチンバチン数字出してるわけじゃなくて、でも頭の中ではなんとなく計算してて。
税務の仕事をしてたこともあって実際の数字ともそんなに差がないんで、お金の流れは見れてるのかなと思ってます。

経験が生きてるんですね

たとえば今ここに1つ物件が空きました、って話が来たら、飲食店をやるなら家賃がいくらだから保証金がいくら、内装工事がこれくらいで、オープンまでにどれくらいのお金が出てくのか、っていうのはすぐわかります。
いろんな人が僕にそういう話を持ってきてくれるのも、やれるかどうか時間をかけて精査しなくても1日2日程度で判断できるから、っていうのがあると思います。

オーナーとプレイヤー、どっちになりたいのか

起業する人に向けて何かアドバイスはありますか?

2つあります。
まずは、自分がどうなりたいのかを明確にすることが大事ですね。

将来像を明確にするための自己分析ができてない人って多いと思うんです。
飲食店なら自分はオーナーとして何店舗か持ってやっていきたいのか、プレイヤーとして一生現場でやっていきたいのか。

オーナーとして多店舗展開していくことを見据えているんだったら、誰かに任せることを前提にビジネスを進めていくべきなんです。
自分の手が届く範囲で好きな業態の店を一から始める、失敗したくないから初期投資を抑えて小さく始めていく、となると、利益をどんどん生み出して大きく成長して、っていうのは難しいんですよね。

僕はオーナー側に回って人に任せる仕事をしようと思ったので、飲食店はフランチャイズでしかやってないし、今後もたぶんフランチャイズでしかやらないって決めてます。

オーナーならフランチャイズが理にかなってる、と

僕も現場で一からやるのは憧れですし楽しいと思うんですけど、これがさっきの「どうなりたいか」の話で。
オーナーとして人に任せようとしたら、任せる内容とかいろいろ固まってないと任せられないじゃないですか。

あと、融資を受けるにしても、オリジナルでこういうお店をやりたいんです、って事業計画を持っていくのと、フランチャイズで景気のいいところに加盟するのと、どっちが融資を受けやすいかって言ったら、それはフランチャイズなんですよね。
自分オリジナルの店は、その後でもできると思うんです。
フランチャイズでたとえば5店舗、合格点が出せる店ができたら、それを基盤に「そろそろ趣味の店をやるか」って。それだとすごく話が早いけど、逆はちょっと難しい。

では、もう1つのアドバイスは?

仕事として経営者をやろうと思っていると、「なんか違った」ってなるかもしれないということですね。

僕自身もやり始めてわかったことですけど、経営者になった瞬間に、仕事ではあるんですけど、これはもはや生き方っていうか人生そのものになってくるんだなって。大変なのは覚悟してましたけど、仕事と生活は切り分けられると思ってました。

でも自分が休みの日でも現場が動いてれば電話がかかってくるかもしれないし、稼働状況も気になるし、休みでも休みじゃないんですよね。
任せるとは言っても見守りはするスタンスだからというのもありますが。
そういうのが相当ストレスになるような人だったら、たぶんお勤めされてた方がいいですよ、って言いたいですね。

自分の会社をやっていくってことが自分の人生だ、生き様だって思えるんだったら、自分の裁量100%でやっていけるからたぶんすごく楽しいんじゃないでしょうか。

専門家の手を借りることも大切

確立された仕組みや専門家のノウハウを有効活用するのも大事なんですね

自分で何でもやろうとしても上手くいかないですよ。
僕も税理士事務所にいたころは、先生って呼ばれたりどんどん上のポジションに行けたりして「たぶんできるな」って思ってたんですけど、それは狭い箱の中だけの話で。勘違いしてたんですよね。自分って全然なんだって気づきました。

だから謙虚にいかなきゃいけないし、しかも飲食とか介護とかなんてその道のプロの人達と仕事をしていくわけだから、自分ひとりがどうこう言うよりその人に任せるとか頼るとか、知恵を借りた方がよっぼど無駄がなくて効率的だし、楽しい答えが出るんだろうな、と思うようになったんです。
お金の知識がないとダメっていう話をしましたけど、たとえば税務に関する知識が自分になくても、しかるべき人にちゃんと報酬を払えばちゃんとしたサービスを受けられるんだったら、頼むべきじゃないでしょうか。

お金をかけるのが嫌だという人も多そうですが・・・

知識がないのに「手数料取られるのはイヤ」とかって渋ると相手もいい気持ちで仕事できないし、「お金がもったいない」って変に自分でやろうとしても、それはいつか行き詰まるでしょ、って僕は思います。

ビジネスにはWebとかブランディングとかもすごく大事だってこれまでの経験でわかってるので、そこもちゃんとプロにお願いしてますよ。

僕はたまたま働いた経験があって自分でできたことも多少あったんですけど、税務とかWebとか、人の手のかかる仕事って、安かろう悪かろうだと思うんです。工数を削るから安くします、でもその分クリエイティブは落ちるよ、クオリティは限られるよ、って話になるじゃないですか。
そこはケチらない方がいいと思います。人のお給料に関してもそうですよね。

経営者に必要な戦略、気づけないと難しい

これからの経営者に必要なこととは?

業界の流れを追い続けて、戦い方を見つけて実行するってのがけっこう重要だと思いますね。

飲食で言うと、昔からずっとあって今も続いてるし、将来的にもなくならないビジネスだと思うんですけど、形って変わってますよね。昔はグルメサイトとかなかったから、店主が無愛想でも美味しければ流行った店が、口コミで叩かれて愛想よくしなきゃってなって。で次はSNSとか出てきて、美味しいし愛想がいいだけじゃなくて、映えないと流行らない、みたいな。

そういう情報はどうやって集めていますか?

ネットでいろんなサイト見たりとか、実際に街をブラブラしたりとかが多いですかね。僕、結構お散歩するようになって。界隈の飲食店をぐるーっと見て回るとか、自分の店舗がないエリアでも、人気のお店が多いエリアだったら見に行ってみようかなとか。
僕はゼロから何かするのは不得意なので、「1」をどこかから見つけてきて、その1を10にする戦い方でいこうと。で、そこに財務とか効率化とかいろんな考えを加えて、どこよりも早く10にふくらます、みたいな。

根拠もなく自分のアイデアだけで勝負!っていうのは難しいんですね

戦略はやっぱり重要だと思うので、状況を見て判断するべきっていうのに気づけないと難しいかもしれないですね。
飲食店なら、今カレー屋さんだけど売れないからオムライス出しましょうとか、そういう話ではないんですよ。たとえば店舗を構えて来てもらうビジネスが無理だから届けに行く形にしようとか、誰かに持っていってもらおうとか。
自分で考えるのが無理なら、上手くやっているところを探して、真似するところから始めるとかしかないんじゃないかな。

コロナ禍での起業、どう生き抜くか

コロナ禍で起業のタイミングに迷う人も多いと思うのですが…

僕は逆に、コロナ禍だからこれだけアクセルを踏んで、だんだん事業を大きくしていこうと思ってて。コロナのおかげで、融資が受けやすくなった、人も採用しやすい、普段なかなか空かない物件に空きが出た、っていう状況が生まれてますよね。
僕からしてみたら、この先こんなに攻めの姿勢でいける期間ってもう来ないんじゃないかなって。そう思ったら、今しかないと思いました。

コロナ禍を生き抜くにはどうすればいいと思いますか?

情報を入手して、ちゃんと取捨選択して適切な行動を取る、っていうことでしょうか。
国とか自治体とかって、結構いろいろ事業者とか個人を守るための働きかけをしてると思うんです。でもそれをちゃんと知らないとか、難しくてよくわからないからやれない、っていう人ってかなりいますよね。

でも、それをちゃんとやれば、コロナ禍で急成長するのは難しくても生き抜くことはできるんじゃないかなって。それをやるのが社長の仕事だと僕は思います。
どうしても自分でやれないんだったら、適切なお金を払ってアウトソースすればいいんじゃないでしょうか。

同業他社への転職、という選択肢をなくしたい

今後の目標など教えてもらえますか?

会社をもっと大きくしたいですね。
でも、大きくするのが目的というより、従業員が同業他社に転職するっていう選択肢をなくしたいんです、飲食でも介護でもどんな業界でも。
要はもう、うちの会社がいろんな面で最高で、でも何かしら不満があるとなったら、同業他社に行っても改善はされないから、独立するか、別の業界に行くしかない、ってところを目指したいなと。
待遇とか仕事のやりがいとか給与とか、どの面でもうちの会社って悪くないんだなって思ってもらいたい。それくらい会社としてしっかりするには、規模が必要なんですよね。
給料を上げるにも、管理職になりたい人に管理職やらせるにも、ある程度の大きさが必要なので。

飲食は居酒屋さん一本ですか?

そうですね。今は好きな業態の方がモチベーション高くやれるかと思っていて、経験もあるしということで居酒屋さんを選んでますね。
あと居酒屋さんって料理の種類も多いし接客の仕方もバリエーションあるし、あとは居心地とか、勝負のしどころっていっぱいあるじゃないですか。失敗したとしても、リカバリーしやすいかなと。

将来的にはカレー屋さんとかラーメン屋さんとかいろんな分野にチャレンジしていきたいですね。

大きく勝たなくても、負けなければ会社ってつぶれないんじゃないかって考えてるんで、僕はこっちの道で行こうと思ってます。

とにかく大切なのは「人」と力強くお話しされていたのが印象的でした。
どんなこともポジティブにとらえ、謙虚さ、感謝する心を忘れない姿勢が、コロナ禍でもこれだけ勢いよく成長している最大の要因ではないかと感じました。。

実際に起業に挑んだ経営者さまにお話を伺うインタビュー企画は、今後も順次更新の予定です。
次回もお楽しみに!

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