起業家インタビュー #2(前編)株式会社松柏苑 熊谷 圭太さん  

起業家インタビュー2
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数社の会社勤めを経て、2018年5月に愛知県初となる、自費リハビリ専門施設を立ち上げた熊谷圭太さん。
コロナ禍でも業績を伸ばし続ける秘訣や、起業の心構えとは?いろいろな事をお聞きしました。

社長になろうと決めていた

創業のきっかけを教えてください

昔から、「社長になりたい」と思ってたんです。性格がすごくわがままなんで、サラリーマンは無理だから自分でやるしかないだろうと決めてました。ただ、何屋さんで独立するのかは決めかねていて。

実は大学時代ずっとバイトしていた飲食店のオーナーから、卒業のタイミングで店を買わないかって話をもらったんです。買う気になりかけてたんですけど、オーナーが「飲食以外にも楽しい仕事はあるから、決める前に1回サラリーマンやってみれば?」って言ってくれて。

それでまずはサラリーマンに?

そうなんです。大学を出た後「とりあえず東京に行こう」って思って、ベンチャーの広告代理店で働きました。社長と、あと僕を含めて3人くらいの小さな会社で、1年いかないくらいかな。

そこで、会社ってこういうことをやるんだっていう全体像が見えたので、次は、大きな会社はどうなのか、大人数でどういう風に回ってるのかを見てみたいなと。
ちょうど「うちの会社においで」っていう話をくれた人がいたので、東証一部上場の大きな企業で働きました。
そしたらそこは典型的な年功序列で。何歳くらいになったら給料がいくらで、給料がこれくらいだったら家はあの辺りで家族が何人で、とかって、もう先が読める気がしたんですよね。
その瞬間に「つまんないな」と思って。やっぱり自分で会社を立ち上げようと決めました。

そこですぐ起業されたんですか?

いえ、まだ何をやるか決まってなかったんです。ただ正直、もう何屋さんでもいいかなと。自分でやれれば最終的には一緒かなと思ったので。

それで、真似できるような会社はないか、順調に進んでる会社ってどう大きくしていったのか、その辺りをちょっと見たいなと思って、税理士事務所に入りました。
税理士事務所で働けばファイナンスの知識もつくし、税務の知識もつくし、何よりいろんな会社の社長と話せるんで。

そこでは税務だけじゃなくいろんなことを学べたし楽しかったんですけど、このままズルズルいたら辞めるきっかけがないなと思ったんです。それで、30歳になったタイミングで「辞める」ことを先にしてみようと思って辞めました。

老後の人生や社会を豊かにするために

今はどんな業種で何店舗くらい経営を ?

まず、今日来てもらったのが介護系の「株式会社 松柏苑」っていう会社で、リハビリ施設が3店舗、デイサービスが1店舗、訪問看護が1事務所ですね。
あとは飲食の会社もあって、天ぷらの居酒屋さんが2店舗、焼肉屋が1店舗、あとお肉の小売店が1店舗あります。

起業してから展開スピードが早い!すごいですね。
すべてゼロから始めたんですか?

介護系の方は、デイサービスだけだった松柏苑をM&Aで買いました。ただ、買うと決めた後いろんな事情でタイミングを待つ間に、別で相乗効果が期待できる事業も買って、規模を大きくして合理化することで立て直そうと思ったんですね。それでM&Aの仲介業者のサイトを見ていて、最初に買ったのがこのリハビリ施設です。

介護業界に注目したのはなぜですか?

僕のおじいちゃんがまさに脳梗塞で半身麻痺だったんです。それをおばあちゃんが介護する、まさに老老介護っていうのを見ていて、「これは大変だよな」と思ったのが大きかったですね。

おじいちゃんも、昔は元気で明るかったのに、脳梗塞で体が不自由になってから結構ふさぎ込むようになってしまって。介護していたおばあちゃんが先に他界してしまったから老人ホームに入ったんですけど、それからまたメンタルの調子が悪くなって。

今は医療が発達しているから、生物学的に長く生きていくことは可能かもしれないけど、人として自分らしく生きていくのってやっぱり厳しい、っていうのを目の当たりにして、そこを何とかしたいなと。
よく健康寿命って言いますけど、健康でいられる年齢の上限ですよね、そこから生物的な寿命がきて亡くなるまでの間、体が不自由でも楽しく自分らしく生きられる社会を作りたいと思ったんです。それでこの業界のことをいろいろ調べたのが始まりですね。

なぜまったく違う「飲食」と「介護」という2つの業界に?

前に勤めてた会社が経営理念に掲げてた「社会を豊かにする」っていう言葉が僕は結構好きで共感してるんですけど、飲食とか介護とかってどっちも「仕事が大変」「給料が安い」「休みがない」とかって、イメージ悪いじゃないですか。でもそれって全部変えられると僕は思ってるんです。

製造業ってすごく学術的に無駄のないようブラッシュアップされてますよね。飲食や介護でもそれがやれるんじゃないかと。

完璧とまでいかなくても、ある程度やれると体現して、あとはもっと若い人達が引き継いで立派な形に組み立ててくれたらいいなと。僕はその突破口を作れたらなと思っています。

まずは「人ありき」で考えた

人脈もお金もないところからどう始める?

起業って、人脈もお金もないところから始まりますよね。
事業を任せたり頼ったりする人って、どうやって見つけたんですか?

介護の方でいうと、会社を買うときに「任せられる人がいるかどうか」を重点的に見てました。たいていの人は、会社を買うってなると財務状況とか売買金額とか、そういう表面的な数字を重視していますよね。
でも僕は、お金は大変だけど何とかやりようがあるって思ってるんです。それより人や人間関係はどうにもならないって思ってるので、そこを中心に物事みんな進めてきた感じです。

飲食業も同じですか?

飲食に関してはちょっと違いますね。飲食は経験があったし、好きだったんで。最悪はじめは僕が現場に入ってもいいって思ってたから、普通に求人募集をかけました。
ただ「この人になら任せられる」「この人だったらいいな」と思える人が見つかるまでは採用せず自分でやる、って決めてそれを続けて、絞って絞って。その結果、たまたまいい人に巡り合えたりして。そうやって「人ありき」で店を作ってきた感じです。
社長になってから尚更なんですけど、自分ひとりでやれることって本当に知れてて。会社を作った後ってもう自分では何もせず、みんなに任せるくらいにしていかないとたぶん大きくなっていかないんだろうなと。

人や、人との信頼感が大切なんですね

そうですね。上手く人に頼ることは大事で、それはただ助けてもらうっていうことではないんですよね。「自分でできることは限られてる」って自覚してるからこそ、わからないことは素直に聞いてみようとか、知ってることでも教えてもらったら「そうなんですね、ありがとうございます」って言って素直に接することができるんじゃないかと思います。
あと、人とのつながりで言えば、地元の先輩とかでも何か頼ったりしてもらったりして「お礼したいです」って言うと、「お礼はいらないから同じことを他の人にもしてあげなよ」って言ってくれる人が多いんです。だから自然にそうしてきた、っていうのもありますね。

やっぱり人脈を広げておくことは大切ですか?

人脈が大事ってよく言われますけど、ただ知り合いなだけじゃ意味がないと思います。「僕こういうすごい人知ってます」「こんな人とつながりあります」って言う経営者の人もいますけど、僕からしたら「それはすごいですね、で、あなたは何ができる人なんですか?」って。
そういう人に限って、話してみるとなんか薄くてペランペランだったりするんです。

不思議な話、たぶん会いたい人とか会わなきゃいけない人って、その時が来たら会えると僕は思ってて。なので今やり始めてちょうど1年くらいですけど、店舗を構えて細々とでも調子よくやっていけているからか、周りの人も気にかけてくれて。「こういう人が会いたいと言っている」「一度会ってください」っていう話ももらったりします。
だから、必要な人とは時が来たら会えるもんだなと。恋愛と同じで、追うからダメなのかなと思いますね。(笑)

人に任せること、人を育てることは難しい

人に任せることは大事だし必要だけど、本当に難しいなと思いますね。
簡単な作業なんて自分でやった方が全然早いですけど、それをやっちゃうと僕の時間が空かないし会社として育たないから、自分でやれば5分のところを1時間かけて教えたりとか。

で、任せた以上は怒ったらダメだと思って、失敗とかしても感情的に怒ったりせず、またチャンスをあげて任せる、それをし続けるのが結構大変だなと感じてます。

昔は「どうしてできないのか」「なんでそんなことしたんだ」とか思ってストレスだったんですけど、最近は、失敗したのは自分の伝え方、指示出しが悪かったのかなって思うようになりましたね。
任せられる人を探すのも難しいですけど、実際に任せるのも難しいんです。
相手も、やらされてる感じゃなくて「任せてもらったんだ」って思ってやってくれたらいいなと思います。

注意とかもしないんですか?

感情的に怒りはしないけど指摘はします。やったこと自体が間違ってれば指摘はするけど、「あなたに対して別にどうこうってわけじゃない、今後のために事実を真摯に受け止めて改善してほしい」っていうのは伝えて、これで僕のことを個人的に嫌いになるとか、そういうのはないようにっていうのを言い続けてる感じですかね。

でも、怒ってなくても意図的に「怒った」姿勢を見せることはあります。本気でやって失敗したならいいんですけど、露骨に手を抜いたとか、期限を破ったっていう場合は、やっぱり事の重大さを自覚してほしいし。仕事に真摯に向き合わないっていうのは話にならないって、きつく言わないと伝わらないんじゃないかと思うので。 言わないとまた同じことが起きるだろうなと思ったら、そうするしかないのかなと。

人を変えるのは難しいですよね

僕は、人が辞めるところって会社として弱いと思ってて。
辞めさせたくないと思ったら、責めるんじゃなくて経営者である自分を責める、自分が変わった方が早いんじゃないかなと思うんです。

100人の従業員がいたとして、1対100の構図で、全員に「俺の考えていることをちゃんと理解しろ」「お前らが変われ」って言っても無理な話で。
それに仕事するときって、気分が乗ってると早いし、パフォーマンスも高いじゃないですか。でもなんでこんなことやらなきゃいけないんだと思ったら遅いし、精度も低いですよね。
だったらもう、「仕事はまあ別に嫌じゃないよ、むしろ好きかも」っていう環境をずっと作り続けることがパフォーマンスにつながるのかなと。だから怒るとかネチネチ言うとか、「うわ社長来た、やりづらい」って状態にならないようにしたいんです。

後編はこちらをご覧ください!

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