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起業時に融資を受けるならどこにするべき?
起業の際、資金調達の手段として、融資を受けたいと考える方は多いのではないでしょうか。
扱える資金が増えることでできることも増えますし、そもそもある程度の資金力がないと、挑戦そのものが不可能な事業はたくさんあります。
融資を受けられるか受けられないかは、事業の運命を左右すると言ってもいいでしょう。
ただ一言で融資といっても、融資を受けられる機関はさまざまです。
一体どこで融資を受けるのが、起業時には適しているのでしょうか?
どんなところで融資が受けられる?
融資を受けられるところと聞くと、ほとんどの方はまず銀行が思い浮かぶのではないでしょうか。
都市銀行、地方銀行など区分けはありますが、銀行には何かあったときにお金を借りるところというイメージが強くあります。
原因は自動車や住宅、教育など、まとまった資金が必要となったときに銀行でローンを利用する方が多いからだと思われます。
起業時の融資は銀行以外にも様々なところが行っており、市町村などの自治体が創業時の支援を行っていることもあります。
ただ自治体の場合、あくまでも支援なので、金額がさほど大きくはありません。
小規模な事業を行うというのならともかく、本格的に創業するつもりならばきっと物足りないと感じるでしょう。
実は、起業時に融資を受けるならおすすめなのが「日本政策金融公庫」です。
民間の銀行は、起業時の借入先としてはあまり向いていません。
一部、融資に積極的な地方銀行もありますが、その地方に住んでいなければそもそも融資を受けるのがとても難しいです。
それでは日本政策金融公庫は、どのような点が融資の申込先として優れているのでしょうか。
日本政策金融公庫の概要
日本政策金融公庫は、2008年10月に設立された株式会社で、特殊会社という形態をとっています。
特殊会社とは国策を推進するための団体であるものの、事業を行政機関として行うよりも、会社形態で行った方が適切であるような場合にとられる形態です。
現に財務省所管の会社で、政府が100%出資しており、実質的に公的機関として扱われています。
公共性の高い事業を行うことために設立されたので、民間金融機関と違い、利益追求を目的としていません。
そのため、創業による雇用創出を積極的に支援するスタンスを取っています。
以前存在した、国民生活金融公庫と農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の3つが行っていた業務を引き継ぐような形で事業を行っています。
中小企業や農林水産業に従事する方などへの資金調達支援が、主な事業内容です。
日本政策金融公庫で融資を受けるメリット
メリット.1 創業の相談がしやすい
日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとして、まず創業の相談がしやすいことが挙げられます。
創業となると多くの人にとっては初めてのことで、よく分からず不安になることも多いでしょう。
その点、日本政策金融公庫は、全国152支店に創業サポートの窓口があり、専任の担当者が様々な相談に応じてくれます。
創業したいと思っても、具体的にどうしたらいいのか中々思い浮かばないものですが、相談をすることで漠然としかしていなかった創業の中身が明確にできると思います。
具体的には、創業計画書など必要書類の作り方や融資申し込みの流れ、融資制度等についてくわしく説明してもらえます。
また、たとえ融資を受けられなかったとしても、プロのコンサルタントに話を聞いてもらえるだけでも、本物のビジネスの空気が体験できます。
多くの人にとって、創業時のネックとなるのが、ビジネスを知っている人が身近にいないことです。
経営について知っている人と実際に話をする機会が普段ない人は、またとない機会を簡単に作り出すことができるので、ぜひ一度創業サポートデスクを訪ねてみるべきでしょう。
例えば、アイデアというのは思いついたときは、誰もが素晴らしいものを考えついたと感じるものですが、ビジネスを知っている人からすれば、凡庸でパッとしないアイデアであることなんてザラにあります。
自分が考えていることがどのようなものであるのか、というのが客観的に判断できるだけでも、相談する価値があります。
メリット.2 低金利でかつ融資を受けやすい
法人向けの融資の場合、個人的にローンを組んだりするのに比べると金利ははるかに安く、例えば三井住友銀行のビジネスセレクトローンでは借入利率が2.125%~となっております。
ただし、銀行からの融資の場合、創業融資というよりは事業を既に始めていて、更に事業を拡大したい場合や、既に事業での収益を継続的に上げているような企業でなければ、審査に通らないことがほとんどのようです。
余程個人的に信用のある人であるというならばともかく、これから創業をしようという人にとって、銀行から融資を受けるというのはとても難しいのです。
というのも、銀行の審査は企業の事業が赤字か黒字か、延滞金の有無などで判断されるため、まだ始めてもいない事業に対して融資をしても良いと判断する材料が不足しているためです。
その点、日本政策金融公庫の場合、金利が銀行よりも低い上に創業者向けの融資も数多く行われているため、創業するのであれば日本政策金融公庫の方が断然おすすめです。
まず金利ですが、一例として中小企業事業の5年以内の基準利率を見てみますと、1.11%となっております。
信用リスクに応じて1%以下のプランもあるようなので、銀行よりもはるかに低い金利で資金を借りることができます。
メリット.3 創業時の融資制度が豊富
日本政策金融公庫の貸付制度はバリエーションが豊富で、創業を検討する様々な人にとって魅力があります。
創業企業を対象とした新企業育成貸付という分類があり、様々な条件で融資が行われています。
創業時に活用したい融資制度
新事業育成資金
「新事業育成資金」は新規性、成長性のある事業を始めておおむね5年以内の方などを対象としたもので、融資限度額は6億円です。
融資の期間は設備資金なら20年(据え置き期間は5年)、運転資金なら7年(据え置き期間は2年)の期間が定められています。
女性、若者/シニア起業家支援資金
「女性、若者/シニア起業家支援資金」は女性または35歳未満か55歳以上の方で、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方に定められています。
融資限度額は7億2000万円で、そのうち運転資金として融資を受けることができるのは2億5000万円となっています。
融資の期間は設備資金なら20年(据え置き期間は2年)で、運転資金なら7年(据え置き期間は2年)になります。
女性や若者だけでなく、シニアの方にもチャンスがあるので、日本政策金融公庫を活用することで多くの方が高いハードルだと感じていた創業がぐっと身近なものとして感じられるようになりました。
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再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
一度廃業したことのある方なども一定の要件に該当していれば、新たに事業を始めた場合「再挑戦支援資金」制度を利用して融資が受けられます。
事業を始めたばかりの方だけではなく、事業開始後7年以内の方であれば申請が可能です。
融資限度額は7億2000万円で、運転資金は2億5000万円となっております。
日本では一度失敗すると復活する機会がないといわれており、そのため積極的な活動が阻害されているという声もあります。
このように一度失敗した方でも融資を受けられるチャンスがあると、積極的に失敗を恐れず活動することが可能になります。
新事業活動促進資金
中小企業が新事業活動に取り組み、経営を向上させることを目的に作成する中期的な経営計画書を、経営革新計画と呼びます。
経営革新計画の認定を受けた企業や、連携による新たな事業を興すことを目的とした新連携支援の認定を受けたプロジェクトに対しては、「新事業活動促進資金」の融資を受けることができます。
融資額は7億2000万円で、運転資金は2億5000万円になります。
中小企業経営力強化資金
「中小企業経営力強化資金」は、外部専門家の指導や助言を受け、経営力を図る方を対象とした融資です。
また、中小会計要領などの会計ルールを適用することによって経営力を強化する場合でも適用されます。融資限度額は7億2000万円で、運転資金は2億5000万円です。
創業をするにはアイデアが必要ですが、誰しも素晴らしいアイデアが浮かぶとは限りません。
しかし外部専門家の指導や助言を素直に受け入れ、実行することで創業を行い、かつ融資を受けることもできます。
自身の適性を見定め、行動力はあるがやりたいことが思い浮かばないといった場合はこちらの融資を検討してみてもよいでしょう。
まとめ
創業時に融資を受けたいならば民間金融機関よりも日本政策金融公庫へ!
創業時に融資を受けたいなら、民間金融機関よりも日本政策金融公庫の方が申込先として適しています。
理由としては先に述べた通り、融資のプロが相談にのってくれること、銀行よりも低金利であること、融資のバリエーションが豊富であることが挙げられます。
多くの方が融資といえば銀行か、銀行で断られたら金利の高いノンバンクで借りるしかないというような認識を抱いていますが、現代では、こと創業に関してはその限りではありません。
ビジネスにおいて失敗すると全てを失うとなれば、結果、誰もが行動に萎縮してしまい、思い切った創業ができないという国の考え方からでしょう。
創業においては、何よりも思い切りが重要ですが、創業におけるノウハウが何もない状態では何をすればいいのかがまず分かりません。
日本政策金融公庫ならば気軽に相談もできますから、融資に限らず、創業全般の困り事で役立ちます。
ただし、いくら日本公庫が創業に対してで寛容であっても、融資を受ける立場なのですから、行くときは真剣な気持ちをもって臨みましょう。