飲食店舗として、今や「国民食」と言えるほど不動の人気を誇るのがラーメン屋店舗です。
コロナ禍の影響で飲食業界全体の落ち込みはあるものの、食の選択肢としてのラーメンの人気は依然、衰えてはいません。
そんなラーメン屋を、アフターコロナを見据えてこれから開業したいと考える人もいるのではないでしょうか。
本記事では、ラーメン屋の開業に向けた情報収集をしている人のために、開業資金はどのくらい必要になるのかについて、初期費用を抑えるコツを踏まえながら解説していきます。
目次
ラーメン屋を開業するための費用の相場は?
まず、ラーメン屋を開業するためにはどの程度の資金が必要になるのか、大まかな目安について紹介しましょう。
店舗開業にかかる資金には、物件の取得費用や家賃、内外装工事費用、厨房機器などの設備費用、客席などの備品費用などがあります。
これらの費用はお店の広さや出店場所などで変わってきますが、例えば、カウンター席だけを用意する10坪程度の店舗である場合に家賃が15万円程度で想定すると、開業資金はおよそ1,000~1,500万円が相場と考えられます。
次章からは、設備資金と運転資金に大別して解説していきます。
ラーメン屋開業に必要な設備資金
ラーメン店舗を開業するための初期投資として、必要な設備資金について解説します。
1.物件取得費用
店舗を開業するためには物件が必要です。
物件取得費用としては、家賃の7〜15か月分くらいが目安となるでしょう。
例えば、家賃が15万円なら100~230万円程度です。
この物件取得費用には、前払い家賃や、保証金・敷金、礼金、仲介手数料などが含まれています。
それぞれにかかる金額はおおまかには以下の通りです。
これらはあくまで目安なので、実際の契約前に確認が必要です。
前払い家賃 | 家賃の1~2か月分 |
保証金・敷金 | 家賃の4~8か月分 |
礼金 | 家賃の1か月分 |
仲介手数料 | 家賃の1か月分 |
2.内外装工事費・什器費
店舗の見栄えや店内環境を整えるために必要な費用ですが、内外装工事費はおおまかに500~1,000万円、什器費は50~100万円くらいになるでしょう。
ただし、この金額は店舗に対してどのくらいこだわりを持つかによっても変わってきます。
ゼロから改装するのではなく、以前に店舗として使われていた居抜き物件で開業を目指すのであれば、工事費用や什器に掛かる費用をより低く抑えることができます。
3.厨房設備資金
ラーメン屋に必要な機器としては、茹で麺機、スープレンジ、ガスコンロ、冷凍庫・冷蔵庫、炊飯器などが挙げられます。
機器の性能や規模にもよりますが100~300万円程度の費用がかかります。
これらの機器をすべて新品で揃えようとすると高額となりますが、中古品やリース品を利用することでコストを低く抑えるという手段も取れます。
ラーメン屋開業に必要な運転資金
次に、開業後に必要となる運転資金について解説します。
家賃
家賃は売上の10%以下に抑えることをおすすめします。
ラーメン屋の営業費用としては、後から説明する食材費や人件費が大きな割合を占めるため、家賃はできるだけ抑えたいところです。
店舗の立地や広さによって家賃はさまざまですが、想定される売上金額が200万円程度であれば、家賃が15~20万円くらいに収まる物件を選びましょう。
食材費
ラーメン屋の運転資金で大きなウェイトを占めるのが食材費です。
例えば、原価率30%で、食材費が1日約2万円と仮定した場合(1カ月の売上が約200万円)とした場合には、毎月60万円の食材費が必要となります。
このような食材費は、例えば麺や餃子の皮を自家製とするか既製品とするかによっても大きく変わってきます。
このため、見込みの売上額や開業する店舗の特色などを踏まえながら食材選択を行うことが望ましいと言えます。
水道光熱費
ラーメンの調理では、水や電気、ガスを多く使用するため営業費用に占める水道光熱費の割合は無視できません。
厨房の規模や使用環境などにも左右されますが、かかる水道光熱費としては1ヵ月あたり売上の5~6%くらいは想定しておきましょう。
人件費
人件費は可能な限り削減したい項目ではありますが、小規模スペースの店舗であっても、ランチタイムなどの繁忙時間帯の営業をこなすためにはスタッフを雇用することも考えられます。
人件費としては売上の30%程度が目安となるでしょう。
人件費には給料のほかに交通費や社会保険料などが含まれてくるので、人件費を検討する場合には雇用に掛かるすべての費用を予め試算しておくことが重要です。
初期費用を抑えるにはどうすればいい?
開業の初期費用を抑えることができれば、ラーメン屋開業後の資金負担を軽減することができます。
ここでは、開業資金をできるだけ減らすためのポイントについて解説していきましょう。
1.居抜き物件を借りる
初期費用を抑える効果的な方法が、以前に飲食店舗として利用されていた居抜き物件の活用です。
居抜き物件を借りるメリットは、その物件に残されている設備や内装などをそのまま使用することができる点です。
また、仮に追加の内装工事が必要になったとしても、ゼロから工事する場合と比べてより簡易的に済ませることができます。
このように、居抜き物件を活用することで内装工事に掛かる費用や厨房機器や什器の購入費用を低く抑えられるので、初期費用の削減が期待できるでしょう。
2.立地にこだわらず家賃の安い物件を選ぶ
物件の家賃は立地条件によって大きく変わってきます。
同じ面積でも、駅周辺や繁華街などと郊外とでは家賃に数倍以上の開きがあることも珍しくありません。
したがって、店舗の立地条件にこだわらずに家賃の安い物件を選ぶことも初期費用を抑える1つの手段と言えるでしょう。
ただし、家賃を優先するあまりにラーメン店舗の立地としてまったくふさわしくない場所を選ぶことがないように、家賃と立地条件とのバランスをみながら選ぶことが重要です。
3.レンタル・中古など厨房機器を安く揃える
厨房機器をレンタル品や中古品などで揃えることも、初期費用を抑える大きなポイントと言えます。
はじめてラーメン屋を開業するからにはすべて新品で揃えたいというこだわりも沸いてくると思いますが、事業が軌道に乗るまでは資金負担は極力減らしたいものです。
例えば、開業当初はレンタル品や中古品などで厨房機器を揃えておき、ある程度売上が立った段階で新品の機器を調達するやり方も考えられるでしょう。
4.自家製麺にこだわらない
自身のラーメン屋としての強みや売りをどこにおくかによりますが、提供する麺は自家製にこだわらず、既製品を利用することでも初期費用の削減が期待できます。
自家製麵をつくるためには、自身で原材料を調達し製麺しなければなりません。
したがって、原材料や製麺機の購入費用がかかる上に製麵作業に必要な人件費もかかります。
このような費用は開業当初の大きな負担になる可能性があるため、収益の観点から自家製麵ではなく既製麺を選択することも検討しましょう。
5.メニューを絞って効率化する
メニュー数を絞ることも営業の効率化により、初期費用の削減につながります。
商品メニューのラインナップを増やすことで幅広い客層の利用が期待できますが、その分食材費がかさむ上にさまざまな調理に対応するために厨房機器も充実させる必要があります。
また、多くのメニューを同時進行で調理することも求められるため、より多くの人件費がかかったりオペレーションの複雑化を招いたりするおそれがあります。
開業当初は、最小限のメニューに限定し効率的な店舗運営を優先しましょう。
実際に開業した方に聞きました!
実際にラーメン屋を開業した先輩起業家に、開業費用について聞いてみました。
開業時に見落としがちなことについて参考にできると思います。
- 人気ラーメン店Aさま…開業7年目 年商約1,000万円
Q.自己資金はいくらくらい用意されましたか?
自己資金は100万円ほど用意しました。その他は融資などで調達しています。
Q.当初の想定より多くかかった経費ってありますか?
クーラーや冷蔵庫、厨房機器全て、中古で揃えたので一年以内に次々壊れましたね(笑)
開業時はできるだけ初期費用を安く上げたいところですが、その先のリスクも考慮する必要があると勉強になりました。
初期費用を抑える方法として、厨房機器を中古で安く揃える方法を前述しましたが、開業した後に上記のように「故障」という事態もあり得るわけですね。
中古品の場合、品質や程度は一定ではありませんし、購入後の保証が無いケースがほとんどです。
これは意外と見落としがちな点かも知れません。
こういったリスクヘッジも想定した上で、どの方法を用いるか取捨選択することが、成功するか、あるいは失敗するかの分けれ道となりそうです。
開業資金の調達方法には何がある?
開業に必要な資金について解説してきましたが、この章では開業資金の具体的な調達方法について、3つの代表例を挙げて紹介していきます。
1.自分で貯金する
開業後のリスクも最も低く抑えるための資金調達方法は、自身の貯金で開業資金を賄うことでしょう。
資金調達の方法としては金融機関などからの借入が一般的ですが、借入後は売上に関わらず返済義務が生じるので経営リスクにつながります。
開業資金を自己調達だけで100%賄えるケースは稀で、ほとんどの場合は金融機関などからの融資を受けることになりますが、開業資金の一部でも自己貯金で賄えれば、その後の融資返済の負担を減らすことができます。
2.親族・知人から借りる
こちらも金融機関以外から資金を確保する手段ですが、自己資金の場合と異なり借入金の返済が必要です。
親族や知人からの借入を行う際に注意しておきたいのが、借入金が贈与に該当しないことを明確にしておくことです。
贈与とみなされてしまうと贈与税がかかります。
このため親族などから借入を行う場合には、借用書などを正面で取り交わし、返済条件などを明示しておきましょう。
3.融資を受ける
開業資金の調達方法としてもっとも広く活用されているのが、民間金融機関や公的機関からの融資です。
すでに解説したように、ラーメン屋の開業には1,000万円以上の開業資金がかかります。
さらに開業後の運転資金も考慮すると、それ以上の資金を確保しておくことが必要となるでしょう。
金融機関などからの融資であれば、事業計画などを踏まえて現実的に必要な資金の融資が受けられるので、早期の開業を目指す場合にはぜひとも活用したい調達方法です。
資金調達方法おすすめ①・日本政策金融公庫
前章で述べた融資については、民間金融機関を筆頭にさまざまな融資制度が提供されています。
そんな数ある融資制度の中でおすすめしたいのが、日本政策金融公庫による「新創業融資制度」です。
新創業融資制度は、政府100%出資の金融機関である日本政策金融公庫によって提供されており、無担保、保証人なしで受けられることが特徴です。
また、返済時の利率も比較的低く設定されているので、開業から事業が軌道に乗るまでに時間がかかると予想される新規の開業においては積極的に活用したい制度と言えるでしょう。
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資金調達方法おすすめ②・制度融資
別の融資制度についても紹介しましょう。それは地方自治体による「制度融資」です。
昨今、各都道府県や市区町村において地域振興を目的とした創業支援が活発に行われており、その一環として信用保証協会や民間金融機関と連携した資金融資にも力が入れられています。
例えば、東京都では「東京都中小企業融資制度」を提供しており、都内に事業所があること、創業の計画があること、創業から5年以内であることなどの条件を満たすことで最大3,500万円の融資を受けることができます。
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融資の決め手になるのが「事業計画書」
前章まで、日本政策金融公庫や地方自治体による制度融資について解説しましたが、いずれの制度を利用する場合にも必要となるのが「事業計画書」です。
事業計画書は、創業の動機や職務経歴などのほか事業の概略や事業の見通しなどを記載する書類ですが、融資の合否を決める上でとても重要な要素となります。
この書類によって、事業としての実現可能性がわかるだけでなく、融資担当者に対して経営者としての熱意や情熱を伝えることができます。
日本政策金融公庫の公式サイトで公開されている、サンプル書式などを参考に自分でも書くことができますが、ポイントを抑えた質の高い事業計画書を作成するためには専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
なお当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、専門家の観点で事業計画書の無料添削サービスを行っています。お気軽にご相談くださいませ。
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まとめ
アフターコロナを見据えて、今後もラーメン屋の出店が増えていくことが予想されます。
しかしラーメン屋を開業するためには、物件確保や内外装工事など開業準備の段階である程度の資金が必要であり、設備資金や運転資金をできるだけ低く抑える努力を行うとともに、事業が軌道に乗るまでの十分な資金を確保しておくことが重要です。
認定支援機関である「税理士法人Bricks&UK」なら開業資金の調達から、収支計画書の策定などの経営コンサル、集客支援、確定申告まで一貫したお手伝いを行っています。
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