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事業拡大を目指す経営者の方へ

事業は小さく始めて、軌道に乗ったら徐々に拡大させていく拡大戦略が、事業経営に関するリスクヘッジの定石です。
最初から大きく出ると、その分、どうしてもリスクが大きくなります。
一方で、事業を小さく始めた後、軌道に乗れば次は、いざ事業拡大する際にどのような方法があるのか、という検討も必要です。
そこでこのページでは、中小企業や小規模な事業者が事業規模を拡大していく際に、知っておくべき経営知識について解説します。
新市場開拓や市場拡大を狙うタイミングの経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
事業拡大が必要な理由
既存の事業を継続できれば、必ずしも事業拡大は必要ない、と思われるかもしれません。
それは一理ありますが、今の時代、事業が淘汰・衰退するのは早いです。
既存事業の成長は必ず鈍化し、同じことを繰り返していても生き残りは難しいと言えるでしょう。
既存市場に固執することなく、新市場への進出や新製品の開発・投入、経営の多角化などで、市場シェアの獲得を常に意識しなければ、安定した売り上げは確保できないでしょう。
また成功している事業ほど、真似される可能性が高いです。
競合に真似されると顧客が分散するので、売上が低下する傾向にあります。
また真似をした競合が、さらに事業を進化させていく可能性も高く、結果的に自社のアイデアであっても負けてしまうかもしれません。
そして経営者の思考停止も大きな問題です。
事業の変化がないと考えが保守的になり、競争に負けやすくなります。
事業拡大とまではいかなくても、少なくとも常に変化や向上が必要ということです。
事業拡大において重要な経営知識

事業拡大と言っても、大まかには以下の二通りがあるでしょう。
- 既存の事業への投資をそのまま大きくする
- 新規事業を立ち上げる
具体的には、飲食店の集客に成功したから店舗を拡大する、従業員(社員)を増やす、店舗数を増やすなどが該当します。
ネットビジネスなどでも外注化して納品スピードを上げる、在庫数を多くする、などのさまざまな戦略が考えられます。
いずれにしても、まずは現在の市場や参入余地のある市場について綿密に分析しなければいけません。
その上で、これまでに確立したノウハウを活用するため、比較的、低リスクで行うことができる手段と言えます。
特に経営知識が必要になるのは新規事業の立ち上げです。
新規事業の立ち上げに必要な知識
新規事業を立ち上げるうえでもっとも重要なのは、シナジー効果です。
シナジー効果とは、 1+1が2以上の効果を生む相乗効果のことです。
新規事業を立ち上げる際も、既存事業とまったく無関係な事業を設立するよりは、関連性の高い事業を立ち上げた方がシナジー効果が働きます。
たとえば本業にプラスしてアフィリエイト事業を行う場合、サイトの内容は本業に関係するものが良いでしょう。
YouTubeの広告収入を狙う場合も同様で、本業に関係ある内容の情報を発信していくのがベストです。
資格を有する専門家が、その専門知識を活用した情報発信なら、十分強みとなり得ます。
例を挙げるなら、法律事務所を営む弁護士が、法律関連のサイトでアフィリエイト収入を得たり、弁護士YouTuberとして法律関連の解説動画をアップするような事例がこれに当たります。
新規事業にはスピードも重要
新規事業にはシナジー効果が重要で、シナジー効果を意識したうえで事業を選定するということでした。
次に重要になるのがスピードです。
事業拡大だけでなく、ビジネス全般においてスピードは大きな武器で、成功には必要不可欠です。
市場は常に変化しているので、いくら良い事業プランを持っていてもスピードが遅いと実行までに陳腐化してしまいます。
さらに短期間で多くの労働力や資金を投入するからこそ、利益につながる場合も多々あります。
また、新規事業が成功するとは限りません。
もちろん成功した方が良いのですが、失敗する可能性の方が高いと言っても過言ではないでしょう。
そのため、失敗を避けようと慎重に時間をかけたい、という心理が働くかもしれませんが、時間をかけるということは、それだけ機会損失が発生することでもあります。
程度の問題ですが、失敗するのにもスピードは重要です。
つまり先延ばしして失敗するよりも、早く失敗した方が良いということです。
早く失敗した方が良いという言い方は、変に感じられるかもしれませんが、早く判断を下して次の成功のために、事業を組み直した方が良いということです。
どれだけ事業計画を練っても必ず予想外のことは発生し、100%成功する事業はありません。
あまりにリスクが高い計画や、失敗しか見えないような事業計画は避けるべきですが、ある程度の算段が立てば不完全な部分があっても早く着手し、短期的に時間や労力を割くことが重要です。
トライ&エラーやPDCAサイクルと呼ばれるものですが、失敗も含めて回転数を上げていくことが事業成功への近道です。
失敗しないということはありえないので、失敗しないように保守的になるのではなく、失敗も含めて早くやらないと競合に置いて行かれます。
事業買収という選択肢も
事業拡大の際に、必ずしも自社で一から作る必要はありません。
シナジー効果の働きそうな他社の既存事業を買収するのも一つの選択肢です。
特に人手が足りない、既存事業で手いっぱい、という状況で事業拡大したい場合、M&Aで買収した方がノウハウ、資源、顧客、などが比較的簡単に一気に手に入ります。
成功している事業を買収すれば、そのまま成功が継続するとは限りませんが、選択肢の一つとして視野には入れておいた方が良いでしょう。
まとめ

「事業拡大」には人員や組織をまとめる能力だけではなく、もっと俯瞰して見られる視点や、会社全体の経営方針をどのように舵とりしていくか見極めるための対応力・マネジメント力、といった別ベクトルの資質が求められます。言い換えれば「経営学」に関する知識が必要となります。
事業拡大を成功させるなら、経営学に関する知識を身につける機会を持ったり、専門知識を持つ人材を雇うなどして対処する事も必要です。
経営者として求められる資質を、的確に備えるという点にも気を配る事が、事業拡大を成功に導く鍵になるでしょう。

