経営者の認知症と事業承継のトラブル

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認知症の現状とトラブル事例を知り事業相続リスクを回避

経営者の認知症と事業承継のトラブル

現代の日本では社会全体の高齢化が進む中で、認知症を発症する人の割合も年々、増加の傾向です。
認知症を発症した場合、日常レベルでは生活に支障がなくても、財産や不動産の管理、法的手続きなどに困難が生じるケースが多いでしょう。
相続問題が生じた場合、相続人、被相続人のどちらに認知症の人がいてもトラブルが発生するリスクが生じます。

今回は、認知症による相続に関するトラブル事例と、リスク回避の方法について解説します。

認知症の状況

高齢化社会が進む中、認知症患者は増え続けています。
令和元年に厚生労働省老健局が発表した「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」に、認知症の人の将来推計があります。
これによると、2012年に462万人だった認知症高齢者数は、2025年700万人に達し、2050年には1000万人を超える可能性が示唆されています。

認知症にはよく知られているアルツハイマー型認知症のほかにも、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉型認知症など原因によりいくつかの種類があります。
いずれの種類の認知症にも、効果的な治療薬がないのが現状です。

また、症状や進行具合は人によってさまざまです。
必ずしも日常生活や社会生活が不可能になるとは限りませんし、認知症を発症しても、意思決定権を行使できる場合もあるのです。

これからの社会では、認知症高齢者といかに共存するかが重要なテーマになります。
厚生労働省は、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中で、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すとしています。

相続トラブル事例

経営者の認知症と事業承継のトラブル

認知症患者が被相続人になる場合、トラブルが発生するリスクがあります。
親が認知症になった場合、子が親の財産を管理するケースは少なくありません。
子が親のキャッシュカードを使って預金を引き出す、有価証券を換金する、生命保険を解約するなどのケースがありますが、いずれも子が勝手に親の財産を使うことは違法です。
たとえ親のために善意で行った場合でも、法的手続きを取らずに親の財産を使用、処分した場合、他の兄弟姉妹や親戚に、損害賠償責任を追及される可能性があります。

逆に、相続人の中に認知症患者がいる場合も、トラブルになる可能性があります。
認知症患者が相続人の場合は、遺産分割協議ではなく、法定相続分による分割としなければなりません。
本人の意思決定権が行使できず、本人が不利益を被るのを防ぐためです。
あらかじめ相続分の分割方法について話し合っていたとしても、書面(遺言書)に残していない場合などは無効とされます。

成年後見制度を利用することもできますが、認知症の相続人に一定の資産がある場合は、家庭裁判所により専門職後見を付けられる可能性があります。
専門職後見には月々の報酬を払う必要が生じます。
生涯にわたって払い続けなければならない費用になるため、これもひとつのリスクになります。

意思決定権の確認によるリスク回避

親が認知症になった際、子供に財産管理をしてほしいと考えているのであれば、認知症になる前に、子が親の財産管理をする契約を締結しておくことです。
契約さえ交わしておけば、親の預金を引き出すことも、資産を売却することもできます。
他の兄弟姉妹や親戚にとやかく言われることはありませんし、使い込みを疑われ、損害賠償請求されることもありません。

ただし、場合によっては契約の必要性を理解されず、親に契約を拒絶されることがあるかもしれません。
契約なしに親の財産管理を行うことになった場合は、親の預金を引き出した日付、金額、目的を出納帳などに記録、領収書を保管するなど自身の正当性を証明する証拠を用意しておくことです。

証拠によって、善意で親の財産を管理したことが周囲に理解されれば、トラブルのリスク回避につながります。
遺言書を作成しておくことも、相続トラブルのリスクを回避する方法のひとつです。
被相続人が家族以外に世話になった人などに財産を分けたい場合も、遺言書に記しておけば相続人の理解が得られやすいでしょう。

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

遺贈者自らが手書きで作成するのが自筆証書遺言です。
作成しやすい反面、形式に不備があると無効にされるリスクがあります。

公正証書遺言は、公証役場で作成するため不備はなくなりますが、証人と費用が必要です。
相続に自分の遺志を確実に反映したい場合は、公正証書遺言を作成しておくと安心です。

遺贈者が認知症と診断されていても、症状によっては意思決定権が認められ、遺言書が有効とみなされる裁判の事例もあります。
認知症になる前に作成しておくに越したことはありませんが、認知症を発症してもあきらめる必要はありません。

まとめ

経営者の認知症と事業承継のトラブル

相続トラブルのリスクを回避するには早めの準備が必要です。
相続人や被相続人に認知症を発症する人がいたとしても、初期であれば意思決定が可能である場合があります。

元気なうちに遺書などを用意することに抵抗感を抱く人もいるでしょうが、大事な家族や周囲の人をトラブルに巻き込まないために、元気なうちにこそ相続対策を行っておくべきです。

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