
起業して成功するためには、マーケティングの知識が必須です。
しかし、あまりマーケティングを意識していなくても成功した、という事例がないわけではありません。
成功しやすい市場を選択した、競合を寄せ付けない圧倒的な品質を持っていた、といった事例も多々あるでしょう。
逆に、マーケティングの知識があれば絶対に成功する、というものでもありません。
目次
おさえておきたいマーケティング知識

マーケティングの書籍を読み漁り、徹底的に市場分析を行い、その上でチャレンジしたにも関わらず失敗に終わった、という経験を持たれる方もいると思います。
いくらマーケティングができていても、商品、サービスに魅力がなければ収益にはつながりません。
このようにマーケティングに力を入れれば入れるほど、成功確率が上がるというものでもないのですが、最低限の知識を把握しておかないとマーケティング観点の欠落によって市場選定を失敗したり、その後の改善がうまく機能しない可能性があります。
マーケティングだけをやっていても成功しませんが、マーケティングの基本を把握することで起業の成功確率は上がるので、その前提で以降に紹介する内容をご覧ください。
そもそもマーケティングとは?
しばしば「マーケティング」は「販促」と捉えられがちですが、 マーケティングは販促とは異なります。
「マネジメントの父」と呼ばれる、経営学者ピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」と言っています。
つまり、顧客や市場のニーズを読み取り、サービスや商品の考案から、プロモーション、流通にいたるまでを実行するプロセスを指しています。
知っておきたいマーケティング理論家
マーケティングについて学ぼうとした時、まず最初に名前が出てくるのが前述のドラッガーではないでしょうか。
これに加えて代表的なマーケティングの理論家が、フィリップ・コトラーとマイケル・ポーターの2名です。
どちらもビジネスに携わるのであれば、必ず知っておきたい人物と言えます。
コトラーのSTP分析
コトラーはマーケティングにおいて、どの市場でどのような価値を提供していくか明確にすることを重要としました。
そのために3つの要素
- セグメンテーション(segmentation):市場細分化
- ターゲティング(targeting):ターゲットの抽出
- ポジショニング(positioning):強みの明確化
を提唱しました。
これらの頭文字をとって「STP分析」と呼びます。
ポーターの5つの競争要因(5フォース分析)
アメリカの経営学者ポーターは、経営戦略を考える上で「競争要因」を知ることが重要であると説きました。
その「競争要因」には、以下の5つの競争要因があり、これを考慮する必要があると言っています。
- 新規参入者の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 代替品の脅威
- 既存企業同士の競争
マーケティングを分類する
マーケティングという用語は非常に抽象的です。
顧客が求めているサービスを提供し、収益を得る過程のほとんどがマーケティングに該当すると言っても過言ではないでしょう。
PDCAサイクルをうまく回すことが重要だ、競合分析を徹底するべきだ、自身の強みを明確にすべきだ、などいろいろなことが言われますが、これらはすべてマーケティングの手法です。
いろいろな人がいろいろなノウハウを提供しているため、結果的に何が正しくて何をすべきなのか混乱している人も多いはずです。
では具体的に、どういう区分でどのように考えるかについてですが、まずはマーケティングを以下の分類で考えてみてはいかがでしょうか。
- 市場を知る
- 自分の強みを知る
- 実行に移す
切り口はいろいろで絶対的な正解はないのですが、上記のように手順で切り分けるとわかりやすいです。
具体的な方法は、時代によっても収益化の方法によっても変わってきますが、手順やマーケティングの流れ自体は同じです。
マーケティングの流れ

ひとことでまとめると、市場を把握し、自分を把握し、行動に移すことができれば成功します。
世の中のどこをどう見渡しても、成功するビジネスがまったくないなんてことはありません。
それが見つかったところで、自分にはできないという可能性はありますが、自分でもできることは確実に見つかると言っても過言ではないでしょう。
もちろん現状の状態では、能力不足ということは多々あるので、必要に応じてスキルアップを図る前提ではあります。
そして市場と自分の合致する部分が見つかったら、後は行動に移すだけです。
単純化するとこのようになり、これらすべてがマーケティングです。
市場を知る
自分を知るのが先か、市場を分析するのが先か、という議論は昔からあるもので、今でも結論は出ていないでしょう。
人によって主張は様々です。
向き不向きがあるかと思いますが、どちらかというと自分に明確な強みがある方は自分の強みを先に分析し、そこを軸に市場を選定していくのが良いと考えられます。
たとえば和食屋で長年働いていて、独立後は和食作りのノウハウを提供したいと考えていたとします。
この場合、和食という自分の強みが明確なので、方針がお菓子作りに代わったり、ましてやまったく畑違いのプログラミングで起業するようなことはないわけです。
まったく無駄とは言えませんが、和食で起業しようとしているのにIT業界の市場分析を行ってもあまり意味はないでしょう。
上記のような場合、先に自分の強みを明確にして、市場を合わせていく形になりますが、そうではない方も多いはずです。
自分に明確な強みやできることがない場合は、先に市場分析をするのがおすすめです。
出てこないものは出てこないので、市場に合わせる形で後から自分の強みやできることを考えるのです。
市場分析の方法はいろいろありますが、インターネット、SNS、実際に足を運ぶ、すべて重要です。
分析する内容は、広い部分だと業界、職種の把握、より細かくは競合の強み、弱み、条件、収益、などをわかる範囲で洗い出していきます。
自分の強みを知る
市場分析はノウハウに従って進められても、自分の強みやできることが何かわからない、という方は多いでしょう。
この場合ハードルを下げて、市場分析した結果から消去法で、自分にもできることを選択するのがおすすめです。
もともと差別化ができていなかったり力不足の分野でも、継続することで第一人者になれる可能性があります。
最初はみんなゼロなので、たまたま起業段階で人より一歩秀でているものがあるかないかの差だけです。
起業後に抜きん出ることも十分可能です。
実行に移す
アイデアがあって自分にできると確信していても、実行しないと成果にはつながりません。
結局のところ、頭の中でのシミュレーションが完璧でもその通りにはならず、失敗することの方が多いです。
成功するためには失敗も経て繰り返しチャレンジ、試行錯誤することが欠かせません。
マーケティングを無視して動くと労力、時間、資金の無駄になる可能性が高いですが、マーケティングばかりやっていても一生利益は出ません。
まとめ

マーケティングとは広義では、商品やサービスを顧客へ提供するためのプロセスを最適化することです。
基本的なマーケティングが分析できたら、後は実行しつつ、試行錯誤しながら改善していく流れがベストでしょう。
決して一過性ではなく、PDCAをコツコツと回し、継続的に改善していく必要があります。
細かいスパンで「PDCA」を行い、より多くのデータと経験を手に入れ、中・長期的「PDCA」で良い結果を出していきましょう。

