飲食店経営は、始めるのは難しくないものの、順調に続けていくことは簡単ではありません。
「飲食店の経営なんて楽勝だよ」という経営者の方は稀でしょう。
では、飲食店開業の先達たちにとって、どのようなことが大変だったのでしょうか。
この記事では、実際の飲食店経営者の方にその大変さを聞き、原因や対策を紹介します。
当サイトを運営し、実際に数多くの経営者さんをサポートする税理士法人のコンサルタントからのアドバイスコメントもあるので、ぜひ参考にしてください。
目次
飲食店を開業して大変だったこと
独立して飲食店をオープンさせた場合、いったい何が大変と感じるのか。主な5つを紹介していきます。
大変だったこと・その1~客が来ない
好立地のフランチャイズ店を引き継いだというケースでもない限り、最初からお客様がたくさん来てくれるというのはごく稀です。
多くの場合、開店したのにお客様が入らないという状態に直面します。
考えられる問題点
主な理由として考えられるのは、事前の告知が足りないこと。お店の存在、開店すること自体が知られていなければ、偶然通りがかるなどしない限り来店にはつながりません。
必要な対策
必要なことは、開店前から継続して集客を図ることです。
例えば地域のフリーペーパーなどへの広告出稿や、チラシの作成・配布、グルメポータルサイトへの掲載。
店舗のホームページを作成してメニューやスタッフを紹介したりするのも効果的ですし、SNSの利用もしておきたいところ。SNSにも種類があるので、店がターゲットとする層に届く手段を選ぶ必要があります。
飲食店なら、今やInstagramは必須です。
たくさんの人に「食べてみたい」「食べて自慢したい」と思わせるインパクトのある写真を投稿して、来店客を増やしましょう。
体験談を読んでみよう
飲食店の経営を続けながら、「大変だと思ったことはない」と言い切るのが、こちらの記事で紹介している経営者さんです。
とはいえ、お話を聞くと、集客や売り上げアップのためさまざまなことに頭を巡らせ、あらゆる工夫を続けられていることがわかります。ぜひ読んでみてください。
大変だったこと・その2~固定客がつかない
開店当初は、目新しさから行列ができるほど多くのお客様が来てくれるケースもあります。しかし、安心したのも束の間、徐々に客足が遠のき、気づけば売り上げがかなり落ちている、というケースも少なくありません。
考えられる問題点
何がダメだったのかと言えば、一度来てくれた人に「もう一度来たい」「今度はあの人も連れて来たい」と思わせることができなかったこと。せっかく来てくれた、常連になる可能性がある人を逃してしまっているのです。
必要な対策
まずは、来てくれたお客様を十分に満足させることが必要です。さらに、何度来ても飽きないような工夫をする必要もあります。
日替わりメニューで毎日のランチ利用でも楽しめるようにしたり、毎日来てもお財布事情が厳しくならない価格設定にしたり。客層によっては、積極的にコミュニケーションを取ることで、次回の来店につながることも期待できます。
どこの食材を使っているか、他の店とはどう違うのか、といったこだわりをメニューに記載したり、お客さんに説明してあげたりしましょう。
コミュニケーションも取れますし、付加価値がついてお客さんの満足度もアップします。
番外編:お客様が多すぎても辛い?
中には、お客様が増えすぎて、店を回していくのが肉体的に辛くなってしまうパターンもあります。お客様が少ないとメンタル的に辛く、多すぎるとフィジカル面で辛い、というわけです。
しかし、お客様が来ないことに比べれば贅沢な悩みと言わざるを得ません。集客の増加で売上も増加できれば、人を雇うことで肉体的な辛さは解消できます。
ただし、集客が増えているのに売上が伸びないというのであれば問題です。価格設定の見直しや仕入れ値の交渉など、売上に比例して利益も上がる仕組みを作らねばなりません。
メニューやコストの見直しには、ABC分析をしてみてください。
利益率・原価率の高いメニューと低いメニューを把握し、高低を合わせたセットメニューにすれば、ある程度のコントロールができますよ。
大変だったこと・その3~店主の想いと客のニーズが異なる
来店や定着にもつながることとして、「お客様のニーズに合った料理やサービスを提供する」必要があります。料理人として材料や味付けにいくら自信のあるメニューでも、来店してくれた人が食べたいと思うかどうかは別問題だからです。
考えられる問題点
味には自信があるのに注文されない、客足が遠のく、という場合は、「プロダクトアウトになっていないか」を見直してください。
飲食店におけるプロダクトアウトとは、店側の都合や要望を優先して料理やサービスを提供することです。
自分の店を持つ限りは、自分が食べてもらいたい料理を、自分が良いと思う状態で提供したいと思うのは当然でしょう。しかしそれでは、お客様との間に大きなズレが生じる可能性が高いのです。
必要な対策
「自分が」ではなく「お客様が」という視点を軸に、メニュー開発や価格設定などを行いましょう。客側の意見やニーズを優先して料理やサービスを提供するのが、飲食店における「マーケットイン」という考え方です。
マーケットインでは、店の立地やターゲット層を特に重視しなくてはなりません。例えば地方の郊外にある和食レストランの場合、高級素材にこだわる静かな高級店へのニーズはどれほどあるでしょうか。
三世代で利用でき、メニューも和食にこだわらない気軽なお座敷レストランの方がニーズは高いと推察できます。実際に近隣店の客層などを見て分析する必要もあるでしょう。
もちろん中には、自分発信のプロダクトアウトで成功する例もあります。しかしそこには、経験などで長年培われてきた勘、運といったもの、あるいは他店にはない突出した魅力が不可欠です。
大変だったこと・その4~資金調達ができない
飲食店の開業には、まとまった資金が必要です。店舗物件の契約をはじめ、厨房機器の導入からトイレットペーパーといった消耗品の購入に至るまで、あらゆることにお金がかかります。
そのため、ほとんどの経営者が資金調達に苦労しています。しかし、お金が貯まってから店を始めようと思うより、「まずは始めて、店で儲けたい」と思う人が多いよう。確かに、貯まるまで待っていてはチャンスを逃しかねないのも事実です。
考えられる問題点
自己資金でまかなえない分を融資などに頼るのはよいのですが、自己資金がほとんどない状態で店を持とうとするのは、無謀といっても過言ではありません。
まともな金融機関の融資であれば、必ず厳しい審査が行われます。融資を受けられるのは、返済能力があると見なされてこその話です。計画性のない人物に事業経営で利益が上げられるかどうかは疑わしいもの。返済能力が低いと判断され、融資を断られる可能性が高いでしょう。
必要な対策
まずは店を始めるのに必要な資金がどれくらいかを、概算でも計算してみてください。
融資でいくら借りたいのかは、金融機関からも聞かれます。「借りられるだけ借りたい」では計画性のなさを指摘されることに。何にいくら必要で、自己資金がいくらあって、あといくら足りないのか。それが現実的かつ具体的で堅実な金額かどうかもカギとなります。
必要な資金額を計算した上で、独立前に自己資金も貯めていくことが必要です。コツコツと計画的に貯めてきた預金であれば、融資審査でも高く評価されます。
資金については、開業直後に使いすぎてしまう人も多いので要注意です。
融資などで資金調達ができたとしても、当初の計画になかったもの、大して必要でないものを買ったりしないよう気を付けてくださいね。
大変だったこと・その5~お金の管理ができない
飲食店を開業しようと思う人の多くは、「店を経営したい」という人より「自分の料理の腕で勝負したい」という人でしょう。
そのため、収支の管理が苦手という人は少なくありません。飲食店では、客足は順調に伸びているのに閉店を余儀なくされる「黒字倒産」のケースもあります。
考えられる問題点
独立するからには、調理だけでなく金銭面の管理も自分でしなくてはなりません。しかし、経営やお金の勉強をせずに飲食店経営を始めてしまう人も多いのが現状です。
店への入金が後日になるものが多く、逆に出金(支払い)が早い場合などは、入金までの間の手持ちの資金がないことで倒産せざるを得なくなることも。
また、そもそも資金の多くを借り入れに頼って始めてしまうのも失敗のもとです。開店して数カ月~半年程度は赤字経営の状態となるのが一般的。返済に追われていては、経営が軌道に乗るまでに事業や生活の資金が底をつきかねません。
必要な対策
今や会計ソフトなどを使えば、誰にでも簡単に経理業務が可能になっています。しかし、収支が合わないなど基礎的なことでつまずかないために、最低限の簿記の知識は身につけておきたいものです。
経営が軌道に乗れば、管理も大変になります。そうなれば税理士などの専門家と顧問契約し、任せるのが一般的です。
私たちにご相談いただければ、経営や節税のサポートはもちろん、各種補助金などの資金調達もお手伝いできます。
相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
体験談を読んでみよう
海外にまで手広く事業を展開しているこちらの経営者さんは、「ノリでやる前に勉強した方がいい」とおっしゃっています。
体力面から精神面、マーケティングやブランディングなど、経営者として学ばれたことがたくさんあるもよう。ぜひ読んでみてください。
飲食店の開業を成功させるために
飲食店の経営者が大変だと思うこと、苦労することは、大きく分けて「集客」と「お金」に関することの2つです。どちらがなくても経営は成り立ちません。
また、集客を得るにはお客様のニーズを把握し、それに合った料理やサービスを提供することが不可欠です。料理の世界が好きで始めても、自分の好きなことだけをしていては上手くいかないのが難しいところです。
飲食店の経営は誰にでもできると思っている人もいますが、街では毎日のように新しい店ができ、つぶれていく店もあります。世の中の状況やニーズは常に変わり続けています。常に自分で考え、実行して進み続ける必要があることも覚悟しておきましょう。
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