美容院を開業するためには、おおよそ1,000万円~2,000万円かかると言われています。
では、そのうち設備にはどのくらいかかるのが相場なのでしょうか。
目次
美容院の開業にかかるお金ランキング
冒頭でご紹介した通り、美容院の開業にかかるお金は1,000万円~2,000万円です。
居抜き物件ではなく、新規で設備をまるまる用意する場合このくらいかかるのも仕方がないのですが、何にどのくらいの費用がかかるのか、トータルを1,000万円として、内訳をランキング形式でご紹介します。
あまり細かく区分しすぎるとかえってわかりにくくなるため、おおまかな概要をご紹介していきます。
美容院の開業にかかるお金ランキング第1位「内外装工事費」
ざっくりと大枠でくくったということもありますが、やはり工事費用がもっともかかります。
具体的な金額としては500万円程度が相場なので、だいたい全体の50%程度が内外装工事費ということです。
内外装工事費の内訳としては、空調設備、照明設備、給排水設備、ボイラー設備、看板設置、全体の設計デザイン、などの費用がかかります。
元のテナントの状態にもよりますが、汚い場合などはもっとお金がかかるかもしれません。
例えば、外壁を全面的に替えるとなるとさらに数百万円かかるでしょう。
他にもトイレが汚くて、すべて取り換えるようなケースもあります。
となると、相場としては500万円程度、工事の規模が大きくなる場合は1,000万円程度を想定しておくべきです。
美容院の開業にかかるお金ランキング第2位「美容設備費」
これもご想像通りかと思いますが、内外装の工事費の次に美容設備にお金がかかります。
具体的には、シャンプー台、イス、美容器具、ミラーなどです。
場合によってはパソコン、電話、掃除機なども購入することになるでしょう。
これらをすべて用意すると、だいたい200万円程度かかります。
もちろん物によって金額が変わってくるので、たとえばシャンプー台やイスにこだわればより高くなります。
内外装がもともと整っているテナントの場合は、美容設備費の方が高くなる可能性もあります。
美容院の開業にかかるお金ランキング第3位「運転資金」
運転資金とは、従業員の給料、薬剤費、など美容院を運転していくために必要な資金のことです。
そのため、美容設備のような初期投資は省いた費用になります。
運転資金がどのくらいかかるかもケースバイケースなのですが、売上が軌道に乗るまでの数か月でだいたい200万円程度が相場でしょう。
ただし運転資金は従業員の人件費が占める割合が高いため、従業員が何人いるかによっても大幅に変わってきます。
自分一人で営業するような場合だと、当然もっと金額は低くなります。
そういう意味で、相場は同じ200万円ですが運転資金の方を第3位にしました。
美容院の開業にかかるお金ランキング第4位「テナント費用」
テナント費用とは建物の賃借費用、保証金、仲介手数料、前払い賃料などのことです。
テナントを借りたタイミングではもっともお金がかかるため、相場としてはだいたい150万円程度です。
美容院の開業にかかるお金ランキング第5位「その他」
その他という大枠でくくりましたが、これはたとえば広告宣伝費や開業期間の生活費などです。
いくらかかるかは千差万別ですが、だいたい10万円~15万円程度と考えておくと良いでしょう。
ただし、例えばホームページにこだわるような場合はもっとお金がかかります。
今の時代SNSやホームページからの集客はかなり重要ですが、今まであまりやったことがなければどうするべきか迷うかもしれません。
また当然本業の開業準備があるので、ホームページやSNSに力を入れることは難しいでしょう。そうなると外注化するのが効率的な選択です。外注化もどこまで力を入れるかは様々ですが、広告宣伝に力を入れる場合は数十万円は必要でしょう。すでに固定客を持っていて当面はそこまで広告宣伝に力を入れないということであれば、10万円程度から最低限のホームページを作ることは可能です。また、専門的な知識やツールがあれば「WordPress」や「Wix」といった無料で利用できるホームページ作成ツールを利用するのもひとつの手です。
開業資金をどのように捻出するか
以上のように、美容院を開業するためには大金がかかります。
美容院を開業する人の多くは元美容師で、たとえば何か事業をやっていて特別資金力があるというケースは少数派でしょう。
つまり、多くの場合会社員としての給料を貯金していただけで、大きな資金力があるわけではない、という状態でスタートすることになるのです。
では、一体どこからお金を捻出するのでしょうか。
説明するまでもないかもしれませんが、ほとんどは融資を受けることになります。
複数の統計がありますが、日本政策金融公庫の調査によれば美容院を開業する人の65%程度は、日本政策金融公庫や金融機関から融資を受けています。
残りの人は、自己資金のみで開業する人が26%程度、親族に出してもらう人が7.6%です。
あくまで目安の数字ですが、過半数は融資を受けていることになります。
とはいえ融資を受ける場合も、自己資金0円でOKというわけではなく、自己資金が少なすぎると特に日本政策金融公庫の融資審査に不利になります。
最低限の目安は自己資金が1割なので、1,000万円の融資を受けたい場合は100万円用意するということになります。
しかし実際には、1割では融資審査に有利とはいえない状況なので、4割程度は用意したいところでしょう。
つまり1,000万円借りようと思ったら400万円は貯金しておきたいということです。
ただし1,000万円必要な場合、自己資金と融資分を合わせて考えることができるので、例えば300万円弱用意して700万円強の融資を受ければトータルは1,000万円を超えます。
美容院の開業段階での貯金額に関する明確な統計データはないのですが、相場としては数百万円の貯金があって、数百万円~1,000万円程度の融資を受けて開業するケースが多いでしょう。
実際、美容師が300万円~500万円程度を貯金額の目標に設定して、この目標額を達成したら融資を受けて独立開業する、というケースは多いです。
ちなみに融資審査の際は、この目標額を設定したエピソードやそれを達成して開業に至ったエピソードなどは有効です。
なぜなら、きちんと目標設定をしてそれを実行する能力があることをアピールできるからです。
目標設定をして達成できる人は、独立開業後も成功する可能性が高いと言えるでしょう。
細かなノウハウや計画よりも、目標設定をして目標達成に向かって努力を継続する能力が事業の成功に重要だと考える融資担当者も多いようです。
ただしノウハウや計画性が不要というわけではないので、その点は創業計画書で詰めていく必要があります。
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まとめ
美容院の設備費用の目安は500万円~、美容院を開業するための全体の費用としては1,000万円~かかるということでした。
これらを自己資金で賄う人もいますが、全体の1/4程度です。
十分な貯蓄をしていたベテラン美容師であったり、若手であればネットやメディアで人気の一部のカリスマ美容師のような人くらいでしょう。
あくまで推測ですが、自己資金で開業できる美容師はキャリアの長いベテランであるケースが多いかと思います。
それ以外の方は融資を受けることになります。
融資を受けるためには自己資金を用意しておくことが必要で、美容院の開業資金を考えると数百万円の貯金が必要です。
数百万円の貯金にプラスして数百万円~1,000万円程度の融資を受け、美容院の開業資金を賄うということです。