キッチンカー(移動販売車)での開業の仕方|費用は?必要な許可は?

キッチンカー(移動販売車)での開業の仕方・費用・許可
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オフィス街の路上やイベント会場などで、食べ物を提供するキッチンカー(移動販売車)。飲食業での開業に、まずはキッチンカーで、と考える人も多いのではないでしょうか。

キッチンカーでの開業は、店舗を構えるより初期費用や固定費が安く済むメリットがあります。

この記事では、キッチンカーでの移動販売について、人気の理由やメリット・デメリット、始めるにあたり必要な手続きなどを解説します。

目次

キッチンカー(移動販売車)が増えている現状とその背景

海外のキッチンカー

日本でも各地のオフィス街やイベントで見かけるようになったキッチンカー。 アメリカでは「フードトラック」と呼ばれ、日本とは比較にならないほどメジャーな存在です。 日本では2015年頃から増えてきており、これからさらに増えるものと予想されています。

東京都だけの数字を見てみても、自動車で飲食店営業を行っている店舗の数は平成28年度で2,375、平成30年度には3,002、令和元年度には3,381と着実に増えてきています(東京都福祉保健局「食品衛生関係事業報告」)。

この背景として、主に次の4つの事情が挙げられます。

その1 実店舗よりコンパクトな運営が可能

キッチンカーは実店舗と比べてローコストで出店でき、人件費や広告費といったランニングコストも抑えることができます。

実店舗の飲食店であれば、まず土地・建物が必要です。しかも店舗の立地条件は売り上げに大きくかかわるため、ある程度の高額な家賃がかかる場所に出店する必要もあります。

キッチンカーなら不動産にかかる費用は不要、内装工事も車の改造なので店舗より少額です。車はスペースが限られるので、持てる什器や在庫にも限りがあります。つまりその分、店舗より節約ができるということです。そのため、キッチンカーであれば、初期費用300万円前後から開業できます。店舗を持つ前にキッチンカーで勝負してみたい、と考える人が増えているのも当然のことでしょう。

その2 SNS向きであり集客もローコストで可能

Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)、LINE(ライン)などSNSの普及は、キッチンカーの集客にも大きな役割を果たしています。

近年では、キッチンカーの多くが単なる移動販売の道具ではなくレトロスタイルの車両などをつかうなどして写真映えするものとなっています。また、提供するメニューにも見た目や色彩の豊かさ、流行などを意識したものが多く、利用客がSNSに投稿したくなるような要素がたくさんあります。

「おいしそう」「めずらしい」など人目につくメニューをInstagramに掲載すれば、「いいね」をもらったり、拡散してもらったりして、知名度を上げることができます。 Twitterでその日の出店場所や今後の出店予定を告知しておけば、それを見て来てくれる人もいますし、「SNSを見てきました」など会話が生まれることもあるでしょう。

その3 コロナ禍でのニーズの高まり

もう1つ、キッチンカーの増加の背景を語るのに欠かせないのが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により生まれた「新しい生活様式」です。ここ数年の増加はこれが一番の原因とも言えるでしょう。

コロナ禍で店舗での営業ができなくなった店主たちが駐車場などのスペースを借りてキッチンカーでの営業を始めたことは、当時ニュースにもなりました。

テイクアウト、しかもキッチンカーでの移動販売であれば、緊急事態で人が少なくなったオフィス街で出店している人も、人が集まりやすい場所で営業することができます。いわゆる「3密」を避けやすいこと、リスクを抑えて外出できることから、利用する側の不安も軽減できます。

もともとコロナ以前より、野外での音楽イベントや手作り市といったイベントが増えてきたことによる増加傾向はありましたが、それがコロナで一気に加速した状況となっています。

移動販売を始めるメリット・デメリット

上記のように、すでにキッチンカーを開業することへの追い風はある状況ですが、ここで改めて移動販売を始めることのメリットやデメリットを見ておきましょう。

移動販売の4つのメリット

開業費用・運転費用(ランニングコスト)が安い

キッチンカーなど移動販売の最大のメリットは、前章でも述べたように開業までにかかる初期費用や毎月かかるランニングコストが少なくて済むということです。

実店舗で営業するには、店舗の敷金から賃貸料、内装や設備の工事費、什器・備品など必要なものが数多くあります。

なかでも実店舗での営業で大きな負担となるランニングコストは「人件費」でしょう。キッチンカーには物理的に多くの人は入れません。調理担当と売る担当の2人、もしくはすべて1人で行うのが一般的です。

車両に関しては車両の取得費用や維持費、ガソリン代や駐車場代などはかかるものの、店舗を持つことに比べれば安いのは確実です。

席数での制限なく売上が伸ばせる

キッチンカーでは、車両の中で利用客が飲食することはほとんどありません。席がないということは、満席になることもなければ回転率が気になることもありません。

実店舗であれば座席数が決まっているため、座席数×稼働率で売上が決まり、店舗の広さでも変わってきます。しかしキッチンカーなら材料があれば限界まで売上を伸ばすことができます。

複数の商圏で勝負ができる

キッチンカーの最大の特徴は「移動ができる」ことでしょう。

実店舗を構える際には事前に十分な商圏分析をして、勝負する場所を特定しなくてはなりません。しかしキッチンカーであれば、日によってイベントやオフィス街などに移動するなど、複数の場所で営業ができます。

ターゲットがいそうな場所を選んで営業すれば、売上のアップも可能です。午前中はあのイベントに出店、午後からはいつもの場所で営業、など臨機応変に動けるフットワークの軽さもキッチンカーの大きな魅力です。

お客さんとの距離を縮めやすい

キッチンカーでの営業は、お客さんとの距離を近づけやすいというメリットもあります。店舗でもリピーターはできますが、そもそもキッチンカーは常にオープンな環境のため、「店に入る」という客にとってのハードルが低いです。

さらに、購入するときにはたいてい1対1という状態です。他のお客さんが並んでいたとしても、会話の内容などを聞かれている可能性も低いので、客側からも声がかけやすいと言えます。

人と話すことが好きな人には特に、たとえ1人での営業であってもコミュニケーションをとることで大きなやりがいや手ごたえを感じることができるでしょう。

お客さんのみならず、イベント場所への出店によって同業の仲間とも出会え、地域を超えた繋がりが生まれる可能性も高いです。

移動販売のデメリット

移動販売には、デメリットともいえる注意点などがあります。主な3つを見ておきましょう。

必要な営業許可を把握し取得する必要がある

キッチンカーの移動販売であっても、店舗での営業と同じように保健所による営業許可を受ける必要があります。そして、キッチンカーの場合は売り場を移動をするため、出店する各地域の保健所で営業許可を申請しなくてはいけません。

営業許可を取得するには費用もかかるので、どの地域で出店するかなどはある程度絞っておく必要もあるでしょう。

また、何を売るか、車内で調理をするかどうかなどによって、必要な営業許可の種類も異なってきます。何をどのようにして売るかを決めたら、それに必要な許可が何なのか、必ず確認しなくてはなりません。

営業許可については、次の章でも説明します。

出店場所の確保が難しい

次に出店場所の問題です。
キッチンカー運営の最大の悩みは「出店場所が見つからない」という点と「競争が激しい」という点でしょう。
現状では、出店スペースというのはそこまで多いわけではありません。
そのため、新たに参入してくる方との競争が必ずあるということは覚悟しておきましょう。

結局のところ、多くの販売実績がある場所は、出店の費用などの捻出を考える必要があります。
また整備費やガソリン代といった、キッチンカーならではの維持費も発生するため、結局キッチンカーのメリットである、家賃などのランニングコストの削減にならないというケースもあり得ます。

キッチンカーで開業する際には、他の競合店舗にはない魅力をPRできなければ失敗してしてしまう恐れがあるのです。

信頼される・選んでもらうための努力は必須

キッチンカーの場合、自店のみで出店している場合には、「地に足のついた店舗でない」ということから信頼性に欠けるというデメリットも多少ですがあります。また、イベントなどで競合店舗が揃う場面では、その中から自分の店を選んでもらわなければ売り上げが上がりません。

イベントでは、ある店舗には長蛇の列が、またある店舗には客がいない…というのはよくある光景です。選ばれるキッチンカーになるための努力は欠かせません。

集客に力を入れてある程度の知名度を確保したり、同じ場所で継続して出店することで信頼を得たりしていく必要があります。

キッチンカー(移動販売)の開業までの流れ

移動販売を始めるには、キッチンカーの準備、商品の仕込み場所の確保、出店場所などを1つ1つ具体的に考えていく必要があります。

STEP.1 店舗のコンセプト・メニューを決める

まずは自分がどんな店(キッチンカー)をつくり、どんな人に何を売るのか、どのように売るのかを決めましょう。すでにある程度は考えているかもしれませんが、ここを具体的に設定しておくかどうかで成功への道のりが違ってきます。

自分がやりたいこと、という視点も重要ですが、市場のニーズを把握し、他店との差別化を図ることも重要です。

メニューには、単なる調理品でなく次のようなこだわりを掲げることでアピールもしやすくなります。

「炭火焼にこだわった飛騨牛の串焼き」
「地元の食材だけを使ったホットサンド」
「本場の味を再現したアジアンフード」

コンセプトが決まれば、車両の種類や色、内装や店名デザインなどにも反映できます。メニューには、集客を考えて見た目のSNS映えを意識することも大切です。

STEP.2 キッチンカーを用意する

次に、キッチンカーの車両を準備しましょう。
キッチンカーはまさに「店舗」であり、自分が1日の多くを共に過ごす相棒ともなる大切な存在。見た目だけでなく耐久性、燃費の良さなども考えて選びたいところです。

車両の準備については、説明が長くなるので次の章で改めてお伝えします。

STEP.3 保健所で営業許可を取る

キッチンカーの営業許可は、その出店地域の保健所で営業許可を申請する必要があります。許可なしでの営業は違法行為であり、罰金や営業停止といった処分を受けるほか、そもそも資金調達の時点で融資が受けられません。必ず取得しましょう。

営業許可取得の流れ

また、営業許可にも種類があり、できることとできないことがあります。そのため、まずは保健所に相談に行くところから始めます。

手順を簡単に書くと次のような流れです。

1. 管轄の保健所に事前相談に行く
2. 営業許可申請書類を準備する
3. 申請書類を保健所に提出、手数料を納付
 このとき検査の日程なども相談
4. 施設(車両)完成の確認検査
 (問題があれば再検査)
4.営業許可書の交付

ただし相談時に施設の設計図が必要な保健所もあれば、相談は必須でない保健所もあります。また、申請と検査を同時に行うなど、保健所によって多少異なるケースもあります。

営業許可は、出店場所や自分の住所などを管轄する保健所に申請します。異なる地域で営業する場合にはその地域の保健所の営業許可も受けていなくてはならないので注意してください。

車両の検査ポイント

施設(キッチンカー)検査でポイントとなる項目には次のようなものがあります。

  • 運転席とキッチンが区別されていること
  • 給水タンクと排水タンクの容量が同等で十分であること
  • シンクの数とその大きさが適切であること
  • 手洗い用と原材料等を洗浄・消毒する設備を別で設けること
  • 食費や器具等を収納する棚などを設置し、扉や蓋で衛生的に保管できること
  • 換気扇がついており、十分な換気ができること

このほかにもいくつかの項目があります。保健所や販売を行う方法などによって検査内容が異なることもあるので、その都度確認をしてください。

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STEP4.販売場所を確保する

出店する地域だけでなく、具体的な出店場所を調査しておくことが必要です。
主な出店場所として考えられるのが、オフィス街やイベント会場、スーパーマーケットの駐車場です。

【オフィス街】

安定した利益を生みだすためには、オフィス街のランチ需要を狙うのがキッチンカーでのセオリーです。

ターゲットとなるのが30代~40代の男女ですので、健康に良さそうな商品などに需要がありそうです。
場所の許可は土地の所有者に交渉をして、駐車場などを借りる必要があります。

【イベント会場】

お祭りや、野外フェス、スポーツ場などのイベントは、キッチンカーの最も稼ぎやすい場所だと言えるでしょう。
多くのイベント参加者がターゲットになるため、上手くいけば莫大な利益を生みだすことも可能です。

ただし、イベント会場は出店料が必要になるケースが多いため、イベント参加者にはどのような顧客がいて、どのようなニーズがあるのかを事前に検討するようにしましょう。

【スーパーの駐車場】

スーパーの駐車場もキッチンカーの定番の場所です。
焼き鳥、焼き芋、クレープ、たい焼きなど、利用した経験もあるのではないでしょうか。

家族連れや子ども連れの主婦などが、ターゲットとして多く訪れる場所であることから、夕食のおかずになる鳥の唐揚げや子どものおやつなどのニーズがありそうです。

もちろん、これ以外にもキッチンカーで販売できる場所は他にも多数あると思います。
これまでのイメージに捉われることのない、新たな営業場所を模索してみましょう。

STEP5.集客をする

キッチンカーの集客方法は様々です。
集客のためには、これまでは広告宣伝を行うというのが最も効果的だと考えられてきましたが、メディアに広告掲載を行うのは非常にコストがかかります。

ここでは、それ以外の集客方法を考えてみたいと思います。

Facebook

Facebookページが拡散することで、あなたの店のファンを増やすことができます。
人気のページになると拡散もされやすくなるため、少額でもFacebook上で広告を活用することでその効果を上げることができます。

Twitter

Twitterのフォロワーを増やすことで、あなたの店のことを多くの方に知ってもらうことができます。
キッチンカーとTwitterの相性は非常に良く、積極的に使いたいSNSツールと言えます。
その日の出店場所や、新商品の情報などをつぶやくことで店の来店者を増やすことが可能です。

Twitterユーザーをどのようにあなたの店に誘導できるか、ということは真剣に考える必要があります。

Instagram

Instagramは写真で商品の魅力を瞬時に伝えることができるSNSです。
イベントなどの写真だけでなく、短い動画をアップすることでキッチンカーの雰囲気や、臨場感を伝えることができます。

最近では特に影響力が伸びているSNSなので、使わない手段はありません。

You Tube

キッチンカーの店舗の雰囲気をYou Tube動画で伝えるというのも良いのですが、あなたの店のコンセプトや、出店するまでのストーリーを動画にして伝えることでお店のファンを増やすことができます。

人は頑張っている人を応援したくなるものです。
お店の苦労や商品開発までをリアルに伝えたり、あなたの目標を伝えることで多くのファンを増やすことができるかもしれません。

他にも多くのツールがあります。
今や情報発信はTV・新聞・雑誌などのメディアを通さずに伝えることができる時代になりました。
自身での発信を積極的に行うようにしましょう。

キッチンカー(移動販売車)はどうやって用意する?

開業の流れの章で前述したキッチンカーの準備について、準備方法と車両の種類の2つの視点で見ていきます。

自作か依頼か完成済みを購入か

「既製品のキッチンカー」は販売されていないので、既存の車両を改造してキッチンカーにする必要があります。入手方法は主に次の3つです。

  • 市販の車を自分で改造する
  • 専門業者に改造を依頼する
  • すでに改造された車(新車 or 中古車)を購入する

費用が最も安く済むのは自分で改造することでしょう。自分のこだわりを反映したカスタマイズが可能です。ただし、キッチンカーについては保健所で営業許可をもらう必要があるため、許可の要件を確認し、それに沿うように作らなくてはなりません。

もちろん、キッチンカーのカスタマイズをしている専門業者に依頼する方法もあります。
インターネットで「キッチンカー カスタマイズ」や「移動販売車 業者」などのキーワードで検索して探すのもよいですし、すでに開業した仲間がいれば紹介してもらうのもよいでしょう。中古であれば中古車販売業者の中で、キッチンカーを多く取り揃えている業者を探すことになります。

また最近では、キッチンカーのリースも可能です。
購入に比べて費用がかからないので、最初はリースしてスタートするのも1つの方法です。

どの車両をベースにするか

キッチンカーのベースになる車両には、いくつか種類がありますが、何を扱うか、どんな場所で営業するかなどによって選ぶ必要があります。候補となるのは次のような車両です。

  • 軽トラック
  • 軽バン
  • 1 t、1.5 t トラック
  • ワーゲンバス
  • フレンチバス 

おしゃれなキッチンカーとして代表的なのはワーゲンバスやフレンチバスと呼ばれるレトロな車両です。しかしこのようなすでに生産終了の車両は入手が難しいこと、手に入ったとしてもメンテナンスが難しく、維持・修理のために費用がかさむ可能性が高いことも頭に入れておきましょう。

キッチンカー(移動販売車)に必要な資格・許可、手続きなど

移動販売をスタートするにあたって、必ずしておくべき手続きは、「食品衛生責任者証」と「保健所の営業許可」を取得することです。

イベント会場などでなく路上での出店をする場合には、「道路使用許可申請」も行う必要があります。

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それぞれどんなものか見ていきましょう。

食品衛生責任者証の取得

移動販売であっても、食品を取り扱う場合には店舗営業と同様に食品衛生責任者の配置が必須です。

食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が開催している講習会を受講することで取得できます。
食品衛生責任者養成講習会」は、各都道府県で開催するスケジュールが異なり定員も決められているため、資格を取得していない方は早めに講習会を予約するようにしましょう。

食品衛生責任者証には有効期限や更新の必要もないため、早めに取得しておいて損はありません。

保健所による営業許可の取得

前述のとおり、キッチンカーには保健所の営業許可を取る必要があります。どのような事業を行うかによって、営業許可には「食品営業自動車」、「食品移動自動車」という種類の違いもあります。

食品営業自動車

いわゆるキッチンカーの多くがこの業態です。飲食店、喫茶店、菓子製造などの営業許可です。

クレープ、ケバブなどのキッチンカーを営業することができます。ただし、生ものを扱うことはできません。

食品移動自動車

食料品などの販売、乳類販売業、食肉販売業などの営業許可です。
包装されたものを販売するのみで、車内での調理加工は行わないという条件です。弁当などのキッチンカーを営業することができます。

自分がどのような商売を行うかを決めてから保健所に相談しましょう。

道路使用許可の申請

道路を「通行」以外の目的で利用することは、本来は認められません。しかし、やむを得ない場合には警察署への届出をして許可をもらうことができます。

何をするかによって4種類の許可があります。飲食店の開業であれば、「露店・屋台店」に該当するため「3号」の許可が必要です。

税務署への開業届の提出

営業開始する際、税務署に提出する届け出が「個人事業の開廃業届出書」。
これが、いわゆる「開業届」です。

事業を開始した場合、1か月以内の提出が所得税法229条により義務付けられています。
しかし、開業届を出さなくても罰則はありません。
そのため、実態としてはどちらでも良いというのが実情となっているのです。

ただ、利益が上がるにつれて、確定申告(白色申告・青色申告)にかかわる問題が出てきますし、出すメリットもありますので、原則、開業するなら開業届を出さなければならないと認識しておいてください。

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リスクに備えた保険への加入

食品を扱い、かつ車で移動しての営業を行う移動販売では、商品や車両の運転に関するトラブルが発生するリスクがあります。義務ではありませんが、万が一に備えて各種保険に入っておくことも検討しておきましょう。

キッチンカーの営業で想定されるリスクから、次の3つの保険に入っておくのが安心です。

  • 自動車保険(任意保険)
  • PL保険(生産者賠償責任保険)
  • 施設賠償責任保険

PL保険は、製造業なら製造した商品、販売業なら販売した商品によって他人に与えた損害について賠償責任を負った場合に使える保険です。

施設賠償責任保険は、業種に関わらず業務や施設の管理に伴い賠償責任を負った場合の補償です。しかしこの保険では自動車による損害や販売した食品による食中毒などについては対象となりません。

損害賠償責任を負ってしまうと、かなり高額な賠償金を支払わなくてはなりません。保険料の負担は必要となりますが、検討することをおすすめします。

キッチンカーの開業に利用できる補助金・助成金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者(従業員数の少ない会社、個人事業主)が行う販路開拓や生産性向上の取り組みに要する経費の一部を支援する制度です。
商工会、商工会議所のサポートを受けながら経営計画書、補助事業計画書を作成し、審査を経て採択が決定された後、所定の補助を受けます。

地域創造的起業補助金

新しく事業を始めようとする事業主が対象となります。
創業資金の2/3が補助され、返済義務はありませんが、一定の利益が認められた場合は返済義務が発生する場合もあります。
補助金が事業の経費に使われること、認定市町村での開業など、申請には条件があります。

ものづくり補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」のことで、名前の通りサービス、ものづくり、設備投資に対して補助されます。
返済義務がなく、少ない自己負担で設備投資ができます。

地域雇用開発助成金

雇用機会の少ない地域などで新たに事業を始める開業者を対象とした助成金です。助成金額は50〜800万。
対象地域での創業、2人以上の雇用などの条件があります。

▽詳しくは、姉妹サイト「助成金Tips」の記事もご覧ください。

まとめ~需要が高まるキッチンカーで起業を成功させよう

キッチンカー(移動販売車)での開業の仕方・費用・許可

新型コロナウイルスの影響もあり、キッチンカーへの注目は需要側・供給側ともに高まっています。

新しい生活様式に対応した飲食業のスタイルとして国も注目しており、その需要はさらに増す可能性が高いです。開業への追い風は吹いている状況ですが、営業許可が地域ごとに必要だったり、ケースによって必要となる許可があったりと複雑な面もあります。

キッチンカーで開業、成功するなら、あらかじめ必要な手続きなどを確認しておくことは必須です。わからなければ管轄の保健所、あるいは専門家に聞いてみましょう。

最後に、これからの飲食ビジネスに欠かせないキーワードを解説した記事も紹介しておきます。ぜひ読んでみてください。

https://tips-note.com/talk/
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