【飲食店の開業資金】居抜き物件で節約!デメリットやチェック項目も解説

居抜き物件で飲食店の開業資金を節約!デメリットやチェック項目も解説
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飲食店の開業に限らず、できるだけ初期費用を抑えて開業したいと思っている方は多いと思います。
そんな場合には「居抜き物件」の活用が効果的です。
ただ、居抜き物件には意外な落とし穴もあり、きちんと理解していないと「これではやりたかったお店ができない」「かえって大きな費用がかかってしまった」ということになりかねません。

そこでこの記事では、居抜き物件の基本事項からメリット・デメリット、居抜き別件を契約するときの注意点についてまとめました。

この記事を参考に、居抜き物件のメリットを有効に活用してください。

居抜き物件とは

前の店舗が使用していた内装・厨房機器・什器等の設備がそのまま残っているテナントを「居抜き物件」といいます。

通常テナントの賃貸借契約では借主に「原状回復義務」があり、退去時に床・壁・天井・内装などがないコンクリートむき出しの「スケルトン状態」に戻さなければなりません。
しかし居抜き物件の場合、あえて内装・設備等をそのままにしておき、次の事業者が前の内装・設備をそのまま使って営業することができるのです。

居抜き物件であれば前店舗のオーナーは原状回復費用をかけずに退去できるし、次のテナントは内装・設備等の初期費用を抑えて開業できます。
さらに物件のオーナーにとっても賃料が途切れることがないというメリットがあります。

このように居抜き物件は関係者すべてにメリットがあるため、テナントの賃貸借でよく利用される方法なのです。

居抜き物件の契約

通常テナントを賃貸するときは物件オーナーと賃貸借契約を締結します。居抜き物件ではさらに、前店舗のオーナーと造作譲渡契約を締結することになります。

居抜き物件では建物内の内装・設備を次の店舗に譲渡することになるので、賃貸借契約とは別にこれら造作の譲渡に関する契約を締結する必要があるのです。
後ほど説明しますが、居抜き物件ではこの造作譲渡契約の内容がとても重要となります。
よく内容を確認して、行き違いやトラブルを避けなければなりません。

内見の際にあった設備がすべて譲渡契約の対象になっているとは限らないので、居抜き物件を借りる場合には必ずこの造作譲渡契約の内容も確認しましょう。

居抜き物件の最大のメリットは資金の節約

居抜き物件のメリットは、やはり初期費用を大きく抑えて資金の節約ができる点です。
初期費用が少ないほど開業のハードルは下がるため、この点は居抜き物件の大きなメリットでしょう。

その他にも居抜き物件にはいくつかのメリットがあるので、ここでは居抜き物件のメリットについていくつか紹介します。

メリット.1 出店コストが抑えられる

すでに何度も述べているように、居抜き物件は前の入居者が使っていた設備をそのまま使えるため、初期投資を抑えて開業することができるのが一番のメリットです。

飲食店では厨房設備にかかる費用が高くなりがちですが、内装にこだわったデザインを施したりすれば、さらに費用はかかります。
この点、居抜き物件にある既存の設備を活用すれば、初期費用を大幅に抑えられるのです。

初期費用を安く抑えることができるということは、出店時の投下費用を回収できるのも早いということ。
その分、仕入れの強化や設備の追加投資などに資金を回せるようになるため、経営が安定しやすくなります。

ちなみに日本政策金融公庫の2019年の調査でも、開業費用を節約するために「中古の設備や備品を購入した」という人が少額開業では36.2%、非少額開業では49.0%と多くの割合を占めています(日本政策金融公庫「250万円未満の少額開業の実態」参照)。

このことからも居抜き物件をうまく活用することは、少ない資金開業するため大きなポイントになると言えるでしょう。

メリット.2 短い工期で早く開店できる

スケルトン状態から飲食店を開業する場合、内外装工事をして必要な設備をすべて自分で揃えなければなりません。
業者との打ち合わせから工事の着工、そして店舗の完成まですべてを含めると、おおよそ2~3ヶ月程度はかかるものです。

お店を開店するまでの準備の段階でも賃料は発生するので、工期が長いとそれだけ出費もかさみます。
しかし、居抜き物件を使うことで工期を大幅に短くすることができます。
前店舗の設備をほぼそのまま利用できるのなら、かなりの短期間で開店することができるでしょう。

開店までの日数の短さは売上にも直結するので、短い工期で早く開店できるということは店舗経営を行う上では大事なことです。

メリット.3 顧客を引き継げる可能性がある

前テナントが同じ飲食店の業態であれば「その場所には飲食店がある」と周囲に認知されており、以前のテナントの顧客をそのまま引き継げる可能性があります。
この点は集客における大きなメリットと言えるでしょう。

また一般的に飲食店を開業するときは、まずはしっかり商圏分析をして顧客となる層のニーズを的確に把握し、ターゲットに好まれるメニューを提供しなければなりません。

この点、居抜き物件なら以前のテナントがどんなお店であったかを知ることで、ある程度の顧客層を想像することができます。
そのためゼロからメニューや商品を考えるのに比べれば、お店づくりもしやすいとい言えるでしょう。

居抜き物件の最大のデメリットは自由度が低くなること

居抜き物件でコストを節約するには前のお店のレイアウトや設備などを引き継ぐことになるので、店舗デザインの自由度が低いというデメリットもあります。
もし大幅な変更をするとなれば、場合によってはスケルトンよりも大きな費用がかかるケースも出てきます。

このように居抜き物件にはいくつかのデメリットもあるので、こちらで紹介するデメリットも押さえておいてください。

デメリット.1 レイアウト変更がしにくい

前のお店の内装デザインをもとに改装することになるので、レイアウトを大幅に変更することは難しくなります。
お店のオリジナリティを出そうとしても店舗の内外装の印象を引き継いでしまうので、完全にオリジナルなお店づくりをするならスケルトン物件の方が向いているでしょう。

居抜き物件を利用するのであれば、お店のレイアウトをそのまま活かすことができる物件選びがポイントです。

デメリット.2 設備の故障などのリスクが高い

居抜き物件の内装や設備をすべて中古で引き継ぐとなると、故障や破損などのリスクがあります。
内装工事や設備投資が抑えられることが居抜き物件のメリットですが、修理や買い替えに費用がかかってしまい結果的にはかえって高くつくこともあるのです。

居抜き物件を活用する際には内装や設備を事前にしっかりチェックしておき、古い設備であれば故障することを見越して料金を交渉するなど、自分が損をしないための対策はしておいた方がよいでしょう。

デメリット.3 場合によってはスケルトン物件よりもコスト増

設備が整っているため初期費用が抑えられることが居抜き物件のメリットですが、レイアウト変更や配管設備などの工事が必要だと、結果的にはスケルトン物件以上にコストがかかるということもありえます。

これはオリジナリティあるお店作りをしようとして内外装にこだわり、前店舗のレイアウトから大幅に変更を加えることで大がかりな工事が必要になるような場合です。
レイアウトを大きく変更するとなれば設備を解体して床・壁紙などの撤去し、全体的に作り直すための費用がかかってしまいます。

居抜き物件を活用したいのであればレイアウトや設備をそのまま使えるか、一部を変更するだけですぐに営業できるような物件を選ぶようにしましょう。

デメリット.4 退去時は原状回復が原則

通常テナントを借りる場合には退去時に原状回復義務が発生するため、物件をスケルトン状態にしなければなりません。

居抜き物件の場合は自分が借りるときに内装や設備が整っているため、借りたときの状態に戻せばよいと誤解しがちです。
しかし居抜き物件であっても、退去時にはスケルトン状態に戻さなければならないのが一般的です。
そのため、前店舗のオーナーが設置した内装・厨房機器・什器などをすべて撤去して原状回復しなければなりません。このことは覚えておいてください。

ただし、場合によっては前の店舗が残した内装・設備はそのままでよいという契約もあります。
賃貸借契約書の内容を事前によく確認しておきましょう。

居抜き物件はとにかく初期費用を抑えて早く開業したい人向け

以上のメリット・デメリットを総合的にみると、居抜き物件は初期費用が抑えられる分、店舗のデザインに大きな制約があるのが特徴です。

設備の故障・原状回復費用などの負担もありますが、やはり何よりメリットは店舗経営における高額の初期費用を抑えることができる点です。
したがって、とにかく安い初期費用で早くお店を開業したいという人には居抜き物件が向いているでしょう。

とはいえ開業を急いで中途半端な条件の居抜き物件を契約してしまうと、後々後悔することもあります。
ですから、後ほど解説するチェックポイントもきちんと確認し、自分に合った物件を選ぶことが居抜き物件選びではとても大事です。

居抜き物件で飲食店を始めるのに必要な開業資金

居抜き物件で飲食店の開業資金を節約!デメリットやチェック項目も解説

居抜き物件で飲食店を開業するにはどのくらいの開業費用がかかるのか、スケルトン物件で開業する場合とも比較してみましょう。

【開業費用・例】

スケルトン物件居抜き物件
テナント賃貸借
(造作譲渡費用)
155万円250万円
内外装工事368万円80万円
機器・什器・備品等186万円50万円
運転資金169万円169万円
保証金・ FC加盟金6万円6万円
合計884万円505万円

スケルトン物件での開業費用は、日本政策金融公庫による新規開業事実態調査の結果を参考にしたものであり(日本政策金融公庫「創業の手引き+」参照)、これをもとに居抜き物件の場合の開業費用を算出すると、おおよそ500万円になります。

居抜き物件では造作譲渡費用が発生する分、テナント賃貸料が高くなりますが、工事費用や設備費用は大きく抑えられるのが特徴的です。
運転資金は169万円とやや多めになっていますが、日本政策金融公庫の調査によれば約6割の飲食店が開店から黒字になるまで半年以上かかっているので、運転資金はできるだけこれくらい確保しておいた方が無難でしょう。

ちなみに近年「1円企業」に代表されるような少額開業が注目されていますが、日本政策金融公庫の「250万円未満の少額開業の実態調査」によれば、飲食業での250万円未満の少額開業は、全体の4.7%にとどまります。

居抜き物件を活用したとしても、飲食店では250万円未満の少額開業は難しいでしょう。
また同調査によれば、飲食業の開業費用は156万円(少額開業)~1,295万円(非少額開業)と幅広くなっています。

居抜き物件でも造作譲渡に費用がかからない場合もありますし、立地や土地の広さなどによっても費用が異なります。場合によって初期費用は大きく異なるのです。

居抜き物件を見るときのチェックポイント

「居抜き物件だから設備もそろっていて安心」と思うかもしれませんが、注意していないと予想外のことがあります。

例えばきちんと内見をして確認しないと、そもそも違う業種の居抜きかもしれません。
また、内見の際にあった厨房設備が当然残っているものかと思ったら、実は造作譲渡契約に含まれていなかったということもあり得ます。

このようなミスマッチが起こらないよう、この章では居抜き物件を契約する際のチェックポイントを紹介します。契約の際には必ずこれらのポイントを確認してください。

ポイント.1 設備・内装等について

内装については、テーブル・椅子・ショーケース・レジなどの什器が自分のつくりたいお店の雰囲気に合ったデザインかをよく考えましょう。
後々買い替えることになるとかえって費用負担が大きくなるので、この点は妥協せずにしっかり選ばなければなりません。

次に電気・ガス・水道などの配管設備です。
電気やガスの容量、コンセントやガス管の換気・排水などの位置は問題なくそのまま利用できるか、必ず確認しましょう。

厨房機器はすべて中古品を使うことになるので、故障のリスクも負わなければなりません。
正常に作動しているかどうか、敷設されてからだいたいどれくらいの年数が経っているかも見ておくと良いです。
また同じ飲食店でも扱うメニューが異なれば、必要な機器も違います。
自店のメニュー作りに合った機器が揃っているかも確認して、もしなければ追加で必要な機器を設置するためのスペースがあるかもチェックしましょう。

ポイント.2 オーナーとの賃貸借契約

居抜き物件であっても、物件のオーナーとは通常の賃貸借契約を締結します。
先ほど説明したとおり、テナントの賃貸借契約では基本的に退去時の原状回復義務があり、居抜き物件であっても前の店舗が残した設備を撤去しなければなりません。

もっともこれはオーナーと取り交わす賃貸借契約の内容にもよるので、前の店舗が残した設備が退去時どうなるのかは事前にしっかり確認しておきましょう。

退去時に残された設備に関しては後々トラブルになりやすい点でもあります。
ですから契約時に賃貸借契約書の記載内容をよく確認しておき、物件のオーナーとも意思を共有しておくことで未然にトラブルを防ぎましょう。

ポイント.3 前テナントとの造作譲渡契約

居抜き物件では内装や設備を前テナントから譲り受けることになりますが、この際、前テナントとの間で「造作譲渡契約」を締結することになります。
この造作譲渡契約の内容をしっかりチェックしないと、自分が思っていた内容とは違う契約になっていることもあるので注意しなければなりません。

例えば、内装や設備といっても厨房機器の他にいすやテーブル、エアコンなどの空調設備、音響設備や食器類までたくさんの種類があり、何が譲渡の対象となるかは契約の内容次第です。

また場合によっては造作の中にリース品が混じっている場合があります。この場合はリース会社の許可なく譲渡したり、リース契約を引き継いだりすることはできません。
リース品をそのまま使いたいのであればリース会社との交渉が必要なので、造作の中にリース品が入っていないかどうかは必ずチェックしてください。

ちなみに通常、譲渡の値段には造作自体の値段だけではなく、お店の立地の価値が含まれているものです。
つまり好立地のテナントはその分だけ金額が高くなっています。
このように造作譲渡契約の内容は重要です。前店舗のオーナーと交渉して自分にとって良い条件での契約が締結できるよう、しっかり契約内容を吟味してください。

ポイント.4 前店舗の営業期間や閉店理由

前店舗が同業者なのに営業期間が短い場合、その場所はそもそも立地や利便性など飲食店の営業には適さないおそれがあります。
そのため前店舗の営業期間が極端に短い場合には、改めて立地や周辺環境が飲食店の集客に向いているのか考え直してください。

また、前店舗が退去した理由がなんらかのトラブルによるものであった場合、周囲に噂が広がっているかもしれません。
そのような悪い評判は新規出店にも悪影響を及ぼしかねないので、前店舗が閉店した理由も調べておくと参考になります。

内装業者や厨房設備業者に同行してもらうのがおすすめ

設備や内装の状態をチェックするのが大事であるとわかっても、実際に耐久年数がどれくらいなのか、修理するとしたらどれくらいの費用がかかりそうなのかを自分で判断することは困難でしょう。

そこでおすすめなのが、内装業者や厨房設備業者に同行してもらうことです。
業者に居抜き物件の内装・設備をみてもらい、自分のしたいお店作りのためにはどれくらいの費用がかかるのかをその場で見積もってもらいましょう。
見積もりの結果費用が多くかかるようであれば、別の物件を探すなどの対応も可能です。

このように居抜き物件を活用するには、理想の店舗づくりにかかる費用をできるだけ正確に見積もることが大事です。

まとめ

居抜き物件で飲食店の開業資金を節約!デメリットやチェック項目も解説

居抜き物件をうまく活用すれば、開業の初期費用や開業までの手間も大きく削減することができます。
ただし造作譲渡契約の内容や原状回復に関することなど、事前にしっかり確認しないと後々トラブルになることがあります。

場合によっては設備の修繕や買い替えなどにより、かえって大きな費用がかかってしまうこともあるので十分に注意しましょう。

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