将来独立・開業を考える人にとって気になるのが、どんな資格を取っておけばいいのだろう?ということですよね。
独立開業できる資格の種類はたくさんありますが、難易度が高すぎるものや、本業として十分な収入の確保が難しいものもあります。
この記事では、独立開業できる資格のうち、独立している人が多い仕事、独立開業でもニーズの高い仕事を厳選して紹介します。
最初に資格選びのポイント、最後に成功のポイントもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
独立開業におすすめな資格の特徴
独立開業におすすめな資格とは、次のような特徴があり、独立開業が有利になる資格です。
- 難易度が高い
- その資格の独占業務がある
- 人手不足でニーズが高い
- 高い報酬が得られる
- 一人でも仕事が完結できる
- 年齢を問わず活躍できる
- 国家資格である
それぞれ説明していきます。
難易度が高い
難易度が高いということは、専門性が高く、希少価値があるということです。誰にでもできることではないので、競合が少ない地域であればより有利です。
その資格の独占業務がある
士業などの資格には、「独占業務」といってその資格を持つ人にしか請け負うことを許されていない業務が存在します。
独占業務のある資格ならニーズもあるので、独立開業向きと言えます。
人手不足でニーズが高い
少子高齢化や業務の大変さなどで、なり手が少ない、あるいは離職者が多く人手不足となっている職種で、かつニーズが高ければ、独立開業をしても食べていける可能性が高いです。
この記事では、そのうち看護師や助産師など医療福祉に関する資格について後の章で紹介します。
高い報酬が得られる
独立開業するからには、その仕事で食べていけるほどの収入が確保できなくてはなりません。報酬の高い仕事であれば、お客さんの数が少なくても収入が得やすくなります。
ただし、独立開業で儲かる仕事というのは、取得や仕事の難易度も高いものがほとんどです。
一人でも業務が完結できる
組織に所属しなくても一人で業務が請け負える、他の資格との連携を必要としない業務の資格も、独立開業におすすめの資格です。
例えば誰かの指示を得なくてはできない資格や、その資格だけでは仕事ができない場合は、独立開業ができない、もしくは独立後の連携相手を探すなどの準備が必要です。
年齢を問わず活躍できる
例えば高齢になっても仕事のできる資格であれば、独立開業しても長く続けられ、定年を気にすることなく生涯現役で活躍できます。
若いうちに独立開業せずとも、会社を定年になってから独立開業するという選択肢もあります。そのため、体力勝負よりも知識を生かせる資格の方がより独立開業におすすめだと言えるでしょう。
国家資格である
資格には、国が法律に基づいてその分野の知識や能力を認める国家資格と、それ以外の団体などが主催する民間資格があります。
独立開業に有利になるのは、やはり国家資格です。難易度が高く、法律に基づいたものとして知名度も高いので、信頼性も高いです。
独立開業におすすめの国家資格15選
では、独立開業におすすめの資格を紹介していきます。
資格名をタップすると、該当の説明部分へ移動します。
資格名 | 難易度(合格率) |
---|---|
税理士 | 19.5% |
公認会計士 | 7.6% |
司法書士 | 5.1% |
行政書士 | 12.13% |
弁理士 | 6.1% |
社会保険労務士 | 5.3% |
不動産鑑定士 | 8.3% |
土地家屋調査士 | 9.6% |
宅地建物取引士 | 17.2% |
一級建築士 | 9.9% |
1級FP技能士 | 3.1% |
柔道整復師 | 49.6% |
あん摩マッサージ指圧師 | 88.6% |
鍼灸師 | はり師70.4% きゅう師71.7% |
美容師 | 59.7% |
1つずつ見ていきましょう。
税理士
税理士は、税務・会計に関する業務を行う専門家です。
税務の代理や税務書類の作成などは税理士の独占業務となっています。企業にとって欠かせない存在であり、平均年収は700万円~800万円と高い水準です。
ただし開業するには、日本税理士連合会の税理士名簿に登録する必要があり、登録免許税として6万円、登録手数料として5万円の計11万円がかかります。
また、所属する税理士会への会費と、支部への会費を納める必要があり、金額は8万円~9万円で各会により異なります。
公認会計士
公認会計士は、監査・会計に関する業務のスペシャリストです。
監査は公認会計士の独占業務であるほか、税理士登録を行えば税務も取り扱うことができます。公認会計士の平均年収は、厚労省の調査では税理士と同等の高い水準です。
開業には公認会計士名簿への登録と、日本公認会計士協会への入会が必要です。
また、登録免許税6万円や、会計士協会の入会金および設備負担金として8万円~9万円の費用がかかります。
入会後は、月々1万円ほどの会費も必要です。会費の額は所属する地域の会によって異なります。
司法書士
司法書士は、登記のスペシャリストとして知られる職種です。不動産の登記や会社設立などの商業登記、遺言書や内容証明といった書類の作成などを行います。
登記業務は司法書士の独占業務です。行政書士との業務の境がわかりにくいですが、司法に関する書類は司法書士、より一般の生活に関係する書類は行政書士の専門分野です。
開業には、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録する必要があります。登録免許税は3万円で、登録手数料は2万5千円。月に1万5千円~2万円程度の会費も払うことになります。
行政書士
行政書士は、官公庁に提出する書類や事実証明などに関する書類の作成や提出手続きに関する専門家です。
書類作成は行政書士の独占業務ですが、官公庁に提出するものすべてに独占権があるわけではありません。他の士業でも作成できる書類や、他の士業しか作成できない書類もあり、線引きがわかりにくいのが実状です。
開業するには、日本行政書士連合会の行政書士名簿に登録し、行政書士会へ入会する必要があります。
登録免許税は3万円、登録手数料が2万5千円かかるほか、地域により20万円~25万円ほどの入会金がかかります。月々6千円の会費も必要です。
弁理士
弁理士は、知的財産の保護に関する専門家です。特許事務所にいる専門家と言った方がわかりやすいかもしれません。特許や実用新案、意匠や商標の特許庁への出願は、弁理士の独占業務です。
業務上、最新の科学技術や研究についても深く理解する必要があり、試験の難易度も最難関クラスです。
開業には日本弁理士会への弁理士登録と入会が必要です。6万円の登録免許税と、登録料および登録月分の会費1万5千円、入会後は月々の会費の支払いが必要です。
社会保険労務士
社会保険労務士(以下 社労士)は、労務や社会保険に関する業務の専門家です。企業の雇用に関する手続きや、雇用関連の助成金の申請、就業規則の作成などは社労士の独占業務です。
厚労省による令和4年分の賃金構造基本統計調査では、年収が約780万円と高めですが、労働時間も長くなっています。
開業には、全国社会保険労務士会連合会の社労士名簿に登録し、都道府県の社会保険労務士会に入会する必要があります。登録免許税が3万円、手数料3万円と入会金、年会費が必要です。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、その名のとおり不動産の鑑定評価を行う専門家です。不動産の鑑定評価が独占業務となっており、鑑定評価書の作成やコンサルティングなどを行います。
開業には、国土交通省の不動産鑑定士名簿に登録しなくてはなりません。登録免許税として6万円、手数料として62,800円が必要です。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、土地や建物などの調査や測量、不動産登記の代行などを行う専門家です。
土地の一部を売買したり、住宅を新築、解体したりした場合に必要となる不動産登記事項証明書の「表題登記」は土地家屋調査士の独占業務となっています。
開業には、日本土地家屋調査士会連合会の土地家屋調査士名簿に登録する必要があります。また、手数料として2万5千円の納付が必要です。
宅地建物取引士
土地や建物などの不動産取引を公正に行うために存在するのが、宅地建物取引士です。
取引について契約がなされる前に、条件や設備についてなど重要事項を説明すること、文書での説明書や契約内容が書いた文書に記名・押印することは、宅地建物取引士の独占業務です。
開業には、都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引士証を交付してもらうことが必要です。登録手数料は3万7千円、宅地建物取引士証の申請手数料として4,500円もかかります。
ちなみに試験合格後、1年以上経過して取引士証を申請する場合には、法定講習を受けなければなりません。
一級建築士
建造物の設計を手がける資格です。
建物の設計の専門家である建築士。ニ級建築士や木造建築士などもありますが、中でも業務の幅が最も広く、難易度も高いのが一級建築士です。
一級建築士には、設計する建物の大きさなどに制限がありません。小さなものから大規模な建造物まで設計できるので、独立開業するなら一級を持っておきたいものです。
開業には、(公財)日本建築士会連合会に登録する必要があり、登録免許税6万円と、免許登録の申請に3万円程度の費用がかかります。建築士会への入会は任意です。
1級FP技能士(ファイナンシャル・プランナー)
顧客の目標や夢に向けた資金計画を立てたり相談・アドバイスなどを行うのがファイナンシャル・プランナーです。FP技能士は、その知識・技能レベルを証明する国家資格です。
資格保有者は保険会社など企業に所属する人が多いですが、独立することで、所属会社の利益に関係なく、中立的なアドバイスができるようになります。
FP技能士には1級~3級がありますが、2~3級の合格者は多く、独立開業にはやはり1級レベルの知識を持っておきたいところです。FP技能士の場合、開業に登録などの義務はありません。
柔道整復師
柔道整復師は、接骨院や整骨院、ほねつぎと言った治療院の先生としてよく知られる国家資格です。
医師のような外科的治療・薬物治療ではなく、主に手技や温熱療法などで骨折や脱臼などの治療をします。
柔道整復師は、骨折や脱臼などの治療に健康保険の適用(療養費の受領委任)が可能です。整体やカイロプラクティックなどとは、この点も大きく異なります。
開業には、まず柔道整復師名簿への登録を行い、免許証を交付してもらう必要があります。登録免許税は9,000円、他に手数料4,800円などがかかります。
また、「施術管理者」となる必要があり、実務経験と研修の受講をして厚生局に申請しなくてはなりません。その後、保健所への開設届の提出も必須です。
ちなみに、資格取得には専門知識などを国が認定する学校で学ぶ必要があり、独学での受験は不可能です。
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師(はり師・きゅう師)
あん摩マッサージ指圧師は、手や指を使って指圧やマッサージを行うための資格です。正確には「あん摩」と「マッサージ」、「指圧」の3種類を総称した資格です。
「鍼灸師」とまとめて呼ばれることの多い「はり師」と「きゅう師」は、免許は分かれていますが、両方を取得する人が多い資格です。
医師の診断書や同意書があり、病院やクリニックで治療を受けていない場合のみ、健康保険の適用が可能です。
開業には、取得資格に応じて「あん摩マッサージ指圧師名簿」「はり師及びきゅう師名簿」への登録が必要です。登録免許税9,000円(免許ごと)と、1免許につき5,600円の手数料がかかります。
柔道整復師と同じく、国の認定する学校で学ぶ必要があり、独学での資格取得はできません。
美容師
美容師はもはや説明するまでもないですが、髪のカットやパーマ、セットなどにより容姿を整えるプロフェッショナルの資格です。
シャンプーからカット、パーマ、ブローまで一人で完結できるため、独立開業におすすめの資格の1つです。働き方も、美容室を開くだけでなく、面貸しなどを利用するフリーランス、介護施設などに出張するといった選択肢があります。
美容室を開くには、保健所の検査を受け、美容所登録をする必要があります。
また、美容師も養成学校の卒業が必須で、独学ではなれません。
独立開業で社会貢献!今後も活躍できる資格
独立開業するなら、前述のとおりニーズの高さも重要なポイントです。ニーズの高い職種にもいろいろありますが、少子高齢化が進む日本では、次のような資格を持つ人が有利になる可能性が高いです。
- 看護師
- 助産師
- 保育士
- 認定ベビーシッター
- チャイルドマインダー
ベビーシッターやチャイルドマインダーは民間資格であり、看護師などのように学校に通う必要がないため、子育てを終えた主婦の方などにもおすすめです。それぞれ見ていきましょう。
看護師(国家資格)
看護師は、資格を持っていても、出産による離職などで看護師として働いていない人が多いこともあり、人手不足の状態が続いています。
独立開業してフリーランスの看護師になれば、病院やクリニックと雇用契約でなく業務委託契約を結び、常勤でなくヘルプのような形で働くことができます。
また、人を雇って訪問看護ステーションやデイサービスといった介護の分野で起業したり、単発で仕事を請け負うイベントナースやツアーナースになったりすることも可能です。
助産師(国家資格)
助産師も、人手不足となっている職業の1つです。少子化が進む日本ですが、もちろんAIに取って代わられることなく今後も必要不可欠な仕事です。
産科・産婦人科医師が減少傾向にあるため、助産師として独立開業することには社会的な意義もあります。
この章で紹介している他の資格も女性が多いですが、助産師は女性にしかなれない仕事。そのため、女性特有の人間関係が原因で離職する人も少なくありません。その点、フリーランスになれば、例えばお局のイジメに苦しむこともないでしょう。
保育士(国家資格)
保育士も、看護師と同様、資格を持っていても保育士としての職に就かない人が多く、人手不足の状態が続いています。
少子化とはいえ、共働き世帯も増えました。子どもの健やかな成長を見守る保育士の仕事も、とても重要な意義を持ちます。
人手不足となっている原因には、給料の安さと人間関係の悪さによる早期離職があります。周囲の人間関係は、フリーランスになることで解消できる可能性が高いでしょう。
給与については、個人事業主となれば自分で決められますが、単価を上げる、安定して仕事を得るための努力も必要です。
認定ベビーシッター(民間資格)
ベビーシッターとは、保護者が仕事などで不在の際に、その家庭に訪問して子どもの世話をする仕事です。依頼主の教育方針などを理解した上で、その家庭・その子に合った対応をする必要があります。
保育園では組織として個別の対応はしにくいですし、園の方針もあります。しかしベビーシッターであれば、自分の裁量でできることも増える、というより、いかに臨機応変に対応できるかがカギとなります。
この資格を取得しなくてもベビーシッターとして働くことはできますが、トラブルも多いため、無資格者では敬遠される可能性が高いです。
開業には、都道府県に対し、認可外の居宅訪問型保育事業の届出が義務付けられています。またその前に、認可外保育施設の指導監督基準を満たす必要もあります。
チャイルドマインダー(民間資格)
チャイルドマインダーも、保護者の不在時に子どもを預かる仕事です。
ベビーシッターとの違いの1つは、チャイルドマインダーは家庭に訪問するのではなく、自宅などに保育ルームを設置して少人数(3~4名 年齢にもよる)の子どもを見るということです。
子どもの教育に高い質を求める保護者からのニーズが見込めるので、報酬も高く設定できる可能性があります。
開業には、認可外保育施設の設置届を出す必要があります。また、ベビーシッターと同じく認可外保育施設の指導監督基準を満たさなくてはなりません。
飲食店の経営に資格は必要?
独立開業で人気がある職種には、飲食店の経営もあります。飲食店を開くのに調理師免許が必要だと誤解している人もいますが、調理師免許は必須ではありません。
必要な資格はありませんが、開業には「食品衛生責任者」を置く必要があり、営業には保健所による検査を受けて「営業許可」を取る必要があります。
食品衛生責任者になれるのは、栄養士や調理師などの資格を持つ人のほか、都道府県の養成講習会を受講した人です。養成講習会は、17歳以上であれば誰にでも受講できます。
独立開業した方がいい人・そうでない人
資格を活かして独立開業する人は多いですが、資格を持っていても成功できるとは限りません。
企業など組織に属して働くのと、自分が経営者となって事業を運営するのではやるべきことが大きく違い、組織で働く方が力を発揮できる人もいます。
ここでは、独立開業した方がいい人とそうでない人とに分けて解説します。
独立開業した方がいい人
独立開業にした方がいい人というのは、独立しても十分に事業が成り立ち、生業としてやっていけるであろう人のことです。
次のような人は、独立開業に向けて行動することをおすすめします。
- 明確な目標がある
- ビジネスにつながる人脈がある
- 実務経験も十分にある
- 自分の働きに見合う給与がもらえない
- 勉強する意欲や好奇心がある
- ある程度の貯金がある
- 根気強い
それぞれ説明していきます。
明確な目標がある
事業の成功には、明確な目標が必要です。漠然と事業を始めても、ゴールがなければ迷走してしまいます。
資格を取ること、独立開業することがゴールではないので、資格を取って何がしたいか、独立して何を叶えたいのかが明確になっている必要があります。
ビジネスにつながる人脈がある
例えば、独立したら顧客になってくれるであろう人や、取引先・仕入先になりそうな相手がすでにいるなら、事業を早く軌道に乗せられる可能性が高いです。
会社員のように組織の一員としてつながりのある人も、独立して会社という看板が外れるとなくなることも多いので、その見極めも重要です。
実務経験も十分にある
事業として対価をもらう以上、それだけの価値を相手に提供する必要があります。それには実務経験が必須です。
例えば、相手の状況に合わせて臨機応変に対応する、起こり得る問題を予測して対策する、よりよい解決につながるアドバイスをする、といったことです。
自分の働きに見合う給与がもらえない
独立開業をして個人事業主となれば、会社から給与をもらうのとは違い、自分の働きが収入に直結します。
組織にいることが原因で、力を発揮しても報われていないのであれば、環境を変える必要があるでしょう。
勉強する意欲や好奇心がある
独立開業で収入を上げるには、勉強が不可欠です。事業分野での知識を常にブラッシュアップすることはもちろん、経営の分野についても勉強していかなくてはなりません。
また、例えば税理士のようなコンサルティングでは、お客さんの事業分野についても学んで対応する必要があります。好奇心を持って学び、向上していくことが事業の成長につながります。
ある程度の貯金がある
独立開業をするにも、業種や業態によっては多額の資金を必要とします。また、独立開業してすぐに契約がたくさん取れて事業が軌道に乗る、というケースは稀です。
数カ月は赤字となるのが一般的なので、それまで持ちこたえるだけの運転資金や生活費を確保しておく必要があります。
融資でも、自己資金の額が多いほど審査に通りやすく、借りられる金額が高くなる可能性があります。
根気強い
事業を始めてすぐは思い通りにいかないのが普通です。そのため、お客さんが来なかったり契約が取れなかったりしても、根気強く耐え、続けていかなくてはなりません。
あきらめたらそこで終わりなのは、独立開業でも同じです。
独立開業しない方がいい人
逆に、次のような人は独立開業してもうまくいかない可能性が高いです。
- 人付き合いが苦手
- 営業や勉強をしたくない
- 自分の知識やスキルに自信が持てない
- 自由な時間がたくさんほしい
- 貯金がほとんどない
- 資格はあるが経験はない
- 諦めが早い
当てはまる項目がない人はこれを課題とし、克服してからの独立をおすすめします。それぞれ見ていきましょう。
人付き合いが苦手
独立開業すると、社名というブランドがなくなり、個人として勝負することになります。一個人としてお客さんや取引先との信頼関係を築くことが重要であり、それには人付き合いをうまくしていく必要があります。
雑談が苦手、お客さんとの会話が弾まない、相手の言動ですぐに機嫌を損ねてしまう、逆になぜかいつも相手を怒らせてしまう、他人を信用できない…。こういった人についてくれるお客さんは、多くはないでしょう。
営業や勉強をしたくない
高難度の資格を持っていても、開業しただけではお客さんは集まりません。必要なのは、自分から積極的に動いて営業し、仕事を勝ち取ることです。
また、資格は取って終わりではないことにも注意が必要です。例えば法律が関係する事業であれば、法改正の都度、新しい情報や知識を勉強して身につける必要があります。
自分の知識やスキルに自信が持てない
お客さんは、資格を持つ人の深い知識や高度なスキルを頼って仕事を依頼します。対価をもらうなら、自信をもって業務を請け負い、達成しなくてはなりません。
自信がないのに仕事を受けるのは、相手に失礼な行為です。自信がつくまで独立を待って経験を積む、考え方を変えるなどして克服しましょう。
自由な時間がたくさんほしい
独立すれば自由な時間がたくさんできる、と思う人も多いですが、責任感が強い人ほど逆になる可能性があります。
会社のように営業時間・勤務時間が決まっていないからこそ、稼ぐためにと寝る時間を削って事業に充てる人も少なくありません。独立開業する前に、そのメリット・デメリットを確認しておくことをおすすめします。
貯金がほとんどない
事業を始めるには資金が必要です。必要な資金は借りればいい、と思っても、自己資金の用意がない人に多額のお金を融資してくれる銀行はありません。
例えば不動産などを担保にお金を借りられたとしても、事業用に融資されたお金は事業にしか使えず、生活費は別でまかなう必要があります。
独立して自分が主体となり事業経営をするなら、計画的なお金の使用と管理が不可欠です。経営者の資質という点でも、貯金がまったくない人に独立起業はおすすめできません。
資格はあるが経験はない
未経験の分野でも、資格を取ることはできます。しかし、そのまま独立開業をして成功できるかと言えば、可能性は低いでしょう。
試験の合格のほか、一定期間の実務経験を必要とする資格も多いです。高度な知識や技術を必要とする職種に、未経験で独立開業というのは現実的ではありません。
未経験の有資格者と経験豊富な無資格者を比べた場合、後者の方が選ばれる傾向にあります。融資の審査でも、実務経験の長さは重要視されます。
諦めが早い
「自分が成功したのは、諦めなかったからだ」という成功者がいます。最初はなかなかお客さんがつかないかもしれません。思うような売上が得られない可能性もが高いです。
しかし、事業を始めて少なくとも数カ月の間は、赤字経営となるのが一般的。それでもすぐ諦めるのではなく、試行錯誤しながら続けることが大切です。
資格を活かした独立開業の成功ポイント
最後に、資格を活かして独立開業する場合に、成功の可能性をより高めるためのポイントを3つ紹介します。
ダブルライセンスを取得する
資格を2つ以上持つことで、取り扱える業務の幅がぐんと広がります。事業に必要となる資格ならなおさら、自分が複数所持するのがベストです。
例えば司法書士と行政書士、FP技能士と宅地建物取引士、社会保険労務士と中小企業診断士、看護師と介護福祉士など。
美容師がアイリスト、エステティシャンなどの民間資格を取り、トータルケアができる美容サロンを開くといったことも可能になります。
また、事業経営をするなら簿記の資格も役立ちます。どんな業種でも経理・会計は必要なので、資格を取らずとも勉強は必要です。
上位資格を取得する
資格を活かして開業するなら、肩書としてやはり上位の資格を持っている方が信頼され、有利です。もちろん、実務でも知識や技能の幅が広がります。
上位資格とは、例えばFP技能士や建築士なら2級より1級、看護師なら認定看護師や専門看護師のような資格です。
ここで紹介した以外の資格でも、上位資格を取って組み合わせることで独立開業が有利になるものも数多くあります。
資格に頼りすぎない
資格が独立開業に活かせるとはいえ、それ以外の魅力もなければ競合(顧客ターゲットを同じとする他の有資格者)には勝てません。また、例えばIT系やweb系の仕事は、資格より実績を重視されるため、資格を取れば優位というわけでもありません。
資格は、事業成功のための材料の1つです。それよりも、資格をどう活かすか、どうやって顧客のニーズに答えるかの方が重要です。
資格以外のセールスポイントもどんどん磨いていきましょう。
資格を活かして独立開業を成功させよう
資格の種類は数多くありますが、独立開業に直に役立てられる資格は多くはありません。難易度も高いので、覚悟を持って取り組む必要があります。
とはいえ、苦労して取った資格も独立開業の成功を保証するものではありません。積極的な営業による認知度の向上、まめなコミュニケーションによる信頼の獲得など、事業の成功に向けた努力を続ける必要があります。
これから資格を取るなら、資格の取得が目的にならないよう、資格を取って何がしたいのかを明確にしておきましょう。それが、独立開業の成功にもつながります。
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