経営者になるには?必要な知識や資格、方法を解説

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?
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「起業して経営者になろう」「社長になって会社を経営したい」と思う人は多いですが、経営者になるにはどうすればいいか、どのような知識や資格が必要なのかはあまり知られていません。

実は特別な知識や経験、資格がなくても、税務署に開業届を提出すれば個人事業主として経営者になることは可能です。
しかし、継続して事業を行うため、従業員を雇うなどして組織を率いるためには、経営者として持っておくべき知識があることも事実です。

本記事では、経営者を目指す人がもっておきたい知識や役立つ資格、経営者になる方法を解説します。

「経営者」とは何か

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

経営者とは、企業の経営方針や経営計画を考え決定し、経営に最終的な責任をもつ人のこと。
企業によって最高経営責任者(CEO)社長代表取締役など、さまざまな役職で呼ばれます。

基本的に経営者の役職は自由に名乗ることができますが、代表取締役は会社法に定義されている、株式会社を代表する権限を有する取締役のことであり「株式会社」以外では使用することはできません。

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経営者の主な業務は、次のようなものがあります。

  • 経営方針の策定
  • 資金繰り、資金の適切な配分
  • 事業の推進
  • 労働環境の整備
  • 人材の採用、育成、評価

企業規模によって、経営者が実際に行わなければならない業務の範囲は異なります。

例えば、大企業なら実務を信頼のおける優秀な人材に任せることができ、自分は会社の顔として事業の全体を見たり取引先との関係構築をしたりすることに注力できます。
しかし個人事業主や中小企業では、経営者自身が多くの実務をこなすことになるでしょう。

経営者になるために必要なこととは

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

経営者になるためには何が必要なのでしょう。
資格や知識、経験などについて見ていきましょう。

資格は必要か

経営者になるのに必須の資格はありません。
つまり、何の資格を持たずとも経営者になることは可能です。

しかし、安定的に事業経営を展開していくにあたって、経営者には事業に関する知識のみならず、マネジメントや財務、マーケティングなどあらゆる知識が必要となります。
そのため、次のような資格があると経営に役立ちます。

●MBA(経営学修士)
●中小企業診断士
●経営士
●ビジネスマネジャー検定
●日商簿記検定(2級以上)
●税理士
●社会保険労務士
●公認会計士
●マーケティング・ビジネス実務検定
●ビジネス実務法務検定
●企業経営アドバイザー

この中で、特におすすめの資格が「MBA(経営学修士)」「中小企業診断士」「経営士」「ビジネスマネジャー検定」「日商簿記検定2級」です。
これらの資格については、後ほど詳しく解説します。

学歴は関係あるのか

東京商工リサーチによると、経営者の最終学歴は「大卒(52.4%)」「高卒(37.5%)」「中卒(6.7%)」となっています。

大企業に絞ると約9割が大卒以上ですが、高卒や中卒で経営者になっている人もいます。この数値からは、「学歴はあるに越したことはない」と言えそうです。

ただし、事業の経営には「学歴」そのものより重要なことがたくさんあります。
「この事業を世に広めたい」という信念など事業への強い思いや、常に学び続けようとする姿勢、それによって得た知識などが重要になってくるでしょう。

もっとも大企業に限って言えば、入社時の学歴フィルターや学歴による派閥が存在する会社もあり、学歴が関係してくる可能性も高いです。

【参考資料】東京商工リサーチ「130万人の社長データ

社会人経験はあった方がいいか

近年では、社会人経験がないまま経営者になる学生起業家の事例も増えてきており、就職せずに経営者になることは十分可能です。
その一方で、事業を継続しより大きく成長させるためには、就職して社会人経験を積んでおくのがおすすめです。

組織の一員として働くことで学べることはたくさんあり、それは経営にも役立つはずです。
ただし、何を得られるかは自分がその組織でどう過ごすかにより大きく異なります。

実際、日本政策金融公庫の調査では97.2%の経営者が「起業前に就業経験あり」で、30~40代での起業が主流となっています。
なお「経営」の経験があって起業した人は15.6%であり、必ずしも起業に「経営経験」が必要なわけではありません。
起業を視野に入れて社会人経験を積み、事業のヒントや経営ノウハウを身に着けて起業している人が多いのではないでしょうか。

【参考資料】日本政策金融公庫「2021年度新規開業実態調査

形として「経営者」になるだけなら資格も社会人経験も必須ではありません。
しかし、経営者として成功するには、知識や社会での経験はあった方が良いと言わざるを得ません。

経営者になるにはどんな方法があるのか

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

では、具体的にはどうすれば経営者になれるのでしょうか。
主なルートは次の4つです。

1.自分が起業して経営者になる

最もオーソドックスな方法が、自力で起業して経営者になる方法です。
事業計画の策定や開業のための資金集めなど、起業準備の大変さはありますが、自分の思い描く会社をつくれます。

会社がうまく行くかどうかは自分の力量次第でもあり、会社を1から作り上げ、成長させるという面白味もあります。
自分で設立した会社であれば、自分の意思・判断で経営し、会社が大きくなってからも創業者として存在感を示しながら経営に携わって行くことも可能でしょう。

2.従業員から出世して経営者になる

就職した会社で出世し、経営者にのぼり詰めるのも1つの方法です。
ただ、会社の規模にもよりますが、同族経営などでなければ他の社員より技術や知識、業績などに秀でるものがなければ経営者に抜擢されることは難しいでしょう。

まずは目の前の仕事に全力を尽くし、実力を磨くことが大切です。
中小企業であれば、現在の経営者が引退を考え、後継者を探しているタイミングにあるかどうかも影響します。

勤めている会社に愛着があり、経営者として会社を維持・成長させていきたいと考えているなら、出世して経営者になる道を模索してもよいでしょう。

3.雇われて経営者になる

インターネット上には、経営者や経営幹部、CEO、外国企業のカントリーマネージャーなど、経営にかかわる人材を募集している企業の求人も見られます。
そういった求人に応募し、雇われて経営者になるという方法もあります。

また、勤めている会社で実績を残せば、他社からのヘッドハンティングで経営ポジションにつける可能性もあります。
しかし、すでに事業を展開中の会社の経営を任せられるには、相当な実力が求められます。

資格や社会人としての実績など、第三者にも明確に能力がわかる「何か」がなければ、この方法で経営者になるのは難しいです。

4.事業承継して経営者になる

事業承継とは会社の経営権はもちろん、経営理念や社風などを後継者に引き継ぐことです。
一般的には、親族や自社の役員に引き継ぐことが多いですが、最近では後継者不足が深刻で、M&Aで第三者に承継されることも増えています。
この事業承継を利用して経営者になるという方法です。

中小企業庁によると、2025年までに経営者が70歳を超える企業は約245万社あり、その約半数は後継者が未定だといいます。
ここにチャンスがあると言えるでしょう。

この場合は、M&Aを仲介してくれる専門家に相談してみるのが近道です。
ただしこれも決して簡単ではなく、自分が経営を引き継ぐ者としてふさわしい人物であることを証明する必要が出てきます。

【参考資料】中小企業庁「中小M&Aガイドライン-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-

経営者に必要な知識・勉強方法

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

ここからは、経営者を目指す人が知っておきたい点について解説します。
まずは、必要な知識や勉強方法について解説します。

経営者に必要な知識

経営者に必要なのは、ビジネスパーソンならもっておくべき「基本知識」、会社の経営にまつわる「経営スキル」があります。
事業承継のようにすでに運営している会社を引き継ぐ場合は、自社の運営に関する「自社知識」も必要でしょう。

具体的には、次のものが挙げられます。

●基本知識:経理・財務・マーケティング・人事・採用・法務・契約・情報リテラシなど
●経営スキル:経営戦略・事業計画の策定・マインドセット・リスク感覚・人間関係の構築力・維持力など
●自社知識:商品知識・経営資源・営業方法・オペレーションなど

社内外問わず、経営者には幅広い知識が求められます。

経営者になるための勉強方法

経営を学ぶ方法としては、次のものが挙げられます。

●書籍から学ぶ(マーケティングや財務・会計、マネジメントなどに関するビジネス書や雑誌など)
●セミナーや研修で学ぶ(商工会議所や研修を展開する企業、ソフトウエア会社などが実施するものなど)
●経営者団体で学ぶ(商工会議所、青年会議所、ライオンズクラブなど)
●スクールで学ぶ(経営を学べる専門学校に通う・大学院でMBAを取得するなど)
●ネット情報から学ぶ
●YouTubeやSNSで学ぶ

ネットやYouTube、SNSでは、手軽に最新の情報を得ることができます。しかし、より詳しくしっかり学びたいなら、深い知識をもった人から直接学ぶほうがよいでしょう。

経営者に向いている人にはこんな特徴がある

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

経営者に向いている人には共通する特徴があります。
主なものを挙げてみましょう。

フットワークが軽い・即行動に移せる

経営者として活躍している人の多くに、フットワークの軽さや行動力が挙げられます。
経営者になりたいと思っても、行動に移さなければ始まりません。
失敗やリスクを懸念してなかなか動けずにいるうちに、タイミングを逸す可能性もあります。

「失敗は成功のもと」とどっしり構え、まずはチャレンジすることができる人が経営者として数多く成功しています。

客観的な判断ができる・周りに流されない

経営者は、社会や市場の動向を見定め、今後を予測して事業を進めなければなりません。
その際、自分の主観で判断したり、周りの意見に流されたりしていては、判断を誤ることもあります。

経営者には、自分で経営の責任を負う覚悟を持ちつつも、冷静かつ客観的に物事を判断する必要があります。
周りの意見に流されず参考にしながら、確固たる信念や適正な判断力とのバランスを取っていくことが重要です。

コミュニケーション能力が高い

経営者はコミュニケーション能力が高いのも特徴です。
特に、「素晴らしい経営者」と言われる人ほど、周りの人から仕事でもプライベートでも慕われていることが多いです。

仕事をする上で、取引先やお客さま、ともに働く仲間といった人とのかかわりは切り離せません。
どんな人脈が仕事につながるかもわからないため、初対面の人と適切な関係を築けたり、築いた関係を維持できたりするコミュニケーション能力は大切でしょう。

会社経営に役立つ資格

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

第2章の「資格は必要か?」で触れた「資格」の中で代表的なものをピックアップし、どのような資格か、どう活用できるのか、取得方法などを詳しく解説します。

ハードルはかなり高い「MBA(経営学修士)」

MBA(Master of Business Administration)は、日本では「経営学修士」と訳されます。
実際には、MBAは資格ではなく、経営に関する専門知識を取得した人に与えられる「学位」です。

【活用方法】

MBAを取得することで、しっかりとした経営知識があることを証明できます。
外資系企業やコンサルティング企業の中には、経営に携わるにあたってMBA取得を必須条件にしているところもあります。

つまり、MBAがあれば外資系企業へ転職して経営に携わったり、MBA取得までに学んだ知識を活かして起業したりすることが可能です。

【取得方法】

ビジネススクールなどで所定の単位を取得すれば学位が与えられますが、取得ハードルは高めです。

国家資格「中小企業診断士」

国家資格のひとつである中小企業診断士は、中小企業の経営状況を診断し、助言を与えるという役割を担う仕事。
中小企業の経営に関する知識を得られることから、経営者を目指す人にも人気のある資格です。

【活用方法】

ヒト・モノ・カネ・情報・法律・外部環境といった経営資源を横断的に見る力を身につけられます。
そのため、コンサルタントとして経営に携わったり、自ら起業したりする際に知識を役立てられます。

【取得方法】

一般社団法人中小企業診断協会が実施する試験に合格し、実務補修または診断実務に従事する、もしくは、中小企業基盤整備機構や養成機関の養成課程を修了することで資格を取得できます。

経営管理の実務経験が必要「経営士」

経営士は、経営計画の策定から運営、調査、管理まで幅広い業務を担う、日本で初めての経営コンサルタント資格です。

【活用方法】

コンサルタント系のカリスマ資格といわれることもあり、経営士を取得して経営コンサルタント会社で活躍したり、企業で経営に携わったりする際に活用できます。

【取得方法】

資格を取得するには、経営士(経営士補)の試験に合格する、養成講座を修了する、推薦制度を利用するといった方法がありますが、いずれも、経営管理の実務経験が求められます。

一般社団法人日本経営士協会に一般会員として入会し、所定の講習の後に昇格試験を受けて取得するのが一般的です。

マネジメント能力をアピール「ビジネスマネジャー検定」

ビジネスマネジャー検定は、管理職に就く人が備えておくべきマネージャーとしての役割や心構え、人・組織・業務のマネジメント、リスクマネジメントなどの知識を測る検定試験です。
マネジメントにおける実務的で実践的な知識が得られます。

【活用方法】

これからマネジメント職に就きたい人、すでに管理職に就いている人のどちらにも役立つ知識が得られます。
経営者は英語で「manager」ともいいます。つまり経営者にマネジメントは必須の知識です。

【取得方法】

誰でも受験可能です。ビジネスマネジャー検定を受験し、100点満点中70点以上を獲得すれば合格です。

経営状況の把握に「日商簿記2級」

日商簿記は、日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験です。
1から3級までありますが、経営者を目指すなら2級以上は取得しておきたいところです。
これを取得することで、企業の経理に必要な会計知識や、財務諸表を読む力、経営管理や分析力などを身につけられます。

【活用方法】

日商簿記2級は、取得して経理職を目指す人の多い資格です。
経営者の場合は、細かい経理の実務は従業員に任せられたとしても、決算書類は見てわかるようにしておく必要があります。
そのために簿記の資格が役立ちます。

【取得方法】

受験資格は特になく、誰も受験できます。
2級の場合、100点満点(商業簿記60点+工業簿記40点)中、70点以上取得すれば合格です。

MBAや中小企業診断士といった資格は、取得に向けた勉強で知識が自分の身になるのはもちろんですが、経営者となれば経歴や能力について周りから注目もされるため、対外的にも役立ちます。

経営者として成功するためのポイント

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

「経営者になりたい」と言っても、なることがゴールではありません。
経営を成功させるために重要な4つのポイントも押さえておきましょう。

POINT.1 明確な目標を立てる

経営者の目標は、会社の軸となり将来を左右するものです。

「どんな経営者になりたいのか」「どんな事業を行いたいのか」「どのように社会に貢献していきたいのか」など、目標を明確にし、経営理念を策定しましょう。
それに向けて何をするかの経営戦略も、目標設定がしっかりしていれば、筋が通りブレのないものになります。

また、経営を続ける中でうまくいかなかったり迷ったりすることもあります。
そんなとき、明確な目標に基づく経営理念は、進むべき道を決める指標となります。

POINT.2 多くの協力者を得る

事業経営は一人ではできないので、永続する経営・事業の発展のためにはたくさんの協力者を得ることが必要です。

事業や会社、商品やサービスのファンとなってくれるお客様や取引先などはもちろん、経営を応援してくれる仲間、ともに事業を広めてくれる従業員なども大切な協力者です。

自分あるいは自社の得意・不得意を正確に把握し、不得意分野をカバーしてくれる人材を採用・育成したり、社外の協力体制を築いたりするのも経営者の大事な仕事の1つと言えます。

POINT.3 時間を浪費せず仕事に費やす

成功した経営者の多くが、時間の大切さを説いています。
無駄な時間を過ごすことなく、仕事に集中するようにしましょう。

とはいえ、長時間ダラダラと仕事をすればよいわけではありません。
「何に時間を使うべきか」「使える時間がどれだけあるのか」を明確にし、効率的に進めることが重要です。

  • 自分がやらなくてもいいことは誰かに任せる
  • これは自分が今やらねばならない
  • パフォーマンスアップのために休む。

といった判断を常に行い、貴重な時間を管理してください。

POINT.4 コストの見極め・選択と集中

経営を行う上でどこにコストをかけるのか、削れる部分はあるかなどもしっかり見極めて選択しなくてはなりません。
これは創業時だけでなく、事業を継続するためにも資金は必須です。

例えば、開業時に多額の資金を投じ、経営が軌道に乗る前に破綻してしまうケースもあります。
在庫を抱えすぎて処理できず、無駄に資金を費やし続けた結果、倒産する可能性もあるでしょう。

資金繰りは会社にとって重要な事項です。
このためにも経理や会計の資格があるとよいのですが、判断が難しい場合には、専門家への相談も視野に入れることをおすすめします。

経営者の重要な役割「事業計画書の作成」

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

経営者の重要な役割に、事業方針の策定があります。
頭の中にあるビジョンを明確にするためにも、必ず「事業計画書」を作成しましょう。

事業計画書とは、事業内容や取引先、売上予測などを盛り込んだ計画書のこと。
融資を受けようとする際にも、金融機関への提出が必須です。

事業計画書は自分で作成することもできますが、インターネット上などにある見本通りの抽象的な内容ではあまり意味がありません。
専門家のサポートを受け、具体的な計画を練ることをおすすめします。

なお当サイトでは、事業計画書の無料添削サービスも提供しております。
融資で失敗したくない方はぜひご利用くださいませ。

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まとめ

経営者になるには?必要な知識、資格はなに?

特別な知識や資格がなくても経営者になることは可能です。
しかし、経営を続けていくためには、MBAや中小企業診断士といった資格もしくは相応の知識があった方が安心です。

とはいえ、これらの資格を取得するのも簡単ではありません。
そんなときは、それぞれの分野の専門家に任せるとスムーズに事を運べます。

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