税務調査~一体なにするの?~
法人や個人事業主が税務関連で警戒しているものの一つとして、税務調査があります。
しかし、実際税務調査がどのようなものなのか、なにをするのか知らない、という人も少なくはないはずです。
というのも、税務調査に入られる法人はごく一部で、何十年も経営を続けているけれど一度も税務調査に入られたことはない、という法人も少なくはないからです。
むしろ多くの企業は税務調査の経験がない、と言っても過言ではないでしょう。
個人事業主の場合はさらに税務調査に入られる確率が低く、私自身も税務調査に入られた経験はありません。
一応申告して書類等は残しているのですが、実際に使った機会はないということです。
だからといって税務調査をまったく意識しなくて良いかというとそうではありません。
いずれ税務調査を経験する可能性もあるので、対策しておいた方が無難です。
少なくともなにも把握していないまま税務調査に来られると厄介かもしれないので、事前に税務調査について把握しておきましょう。
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税務調査とは
まず税務調査とはなにかですが、税務署の職員がオフィスや自宅に来て、書類を確認したり、話を聞きに来たりすることです。
場合によっては机の中などを探られますが、悪質なことをしていない限りはこのようなことにはならないでしょう。
よくドラマなどで調査官と納税者が争っていたり、がさ入れされて高価な物を差し押さえられたりしています。
あれは実際にあることなのですが、少なくとも最初の税務調査の段階でそのようなことにはなりません。
ドラマで取り上げられているのは悪質な滞納者や脱税者で、普通に税務調査に入られただけであのようなことにはならないのでその点はご安心ください。
普通の税務調査ではドラマにならなくて面白いものでもないので、ドラマでは極端な部分がピックアップされているイメージです。
税務調査の流れ
ドラマのイメージだと調査官が突然来るように思えますが、実際は事前に連絡が入るケースが大半です。
事前に連絡しないのは、悪質な脱税者で、所得隠しなどが疑われるケースです。
そうでないのなら、事前に連絡した方が税務署にとってもメリットがあります。
なぜなら、いきなり調査に行って担当者がいなかったり、書類が用意されていないと無駄足になるからです。
税務署の職員は公務員で公務を執行しているのですが、ある意味営業マンに近い部分もあります。
というのも税収の確保という役割があるため、なるべく多く回収できるところに行って、効率的に回収することを考えるからです。
税務署は効率的に税金を回収することを考えているので、事前に連絡し、納税者側がスムーズに対応できるように配慮しているということです。
また連絡のタイミングに関しては税務署側の任意で、数日前くらいに電話がかかってくるケースが多いようです。
そして約束の日時に税務署の職員が来て、税務調査を実施します。
具体的には、帳簿や領収書などをまず確認します。
このとき領収書などの書類がきちんとそろっていないと指摘され、場合によっては経費から外されます。
また数字が本当に実際のものと一致しているかどうかも確認されます。
たとえば人件費や交際費を多めに計上しているケースは多々あります。
こういったところに税務署の職員は目を付けているので、矛盾が生じないよう準備しておく必要があるでしょう。
そして税務調査が終了したら、職員はいったん情報を持ち帰ります。
持ち帰った情報を精査した上で、修正が必要と判断されれば修正申告を求められます。
悪質な問題があれば、追徴課税の対象になったり、場合によっては刑事罰も課されます。
とはいえ一回の税務調査ですべてが決定するわけではなく、大きな問題があれば数日間にわたって職員が訪れるケースが多いようです。
一回の調査で終了したのであれば、その後修正申告を求められるか、特になにもないかのいずれかでしょう。
どのような法人が税務調査に入られるのか
税務署は任意に調査対象を決めて税務調査に入っていますが、当然完全にランダムで対象を決めているわけではありません。
無駄足になっては無意味なので、税金を回収できそうな対象を選んで訪問しています。
そして税金を回収できそうだと思われる法人には一定の特徴があります。
過去税務調査に入られたことがある企業
一度税務調査に入られたことのある企業は、その後も税務調査に入られやすいです。
なぜなら、再び申告に問題がある可能性もあるからです。
また一度入られたからもう大丈夫だろう、と安心している企業が多いのも事実です。
一回不正を働いていて安心した企業は、再び不正を働く可能性が高いと考えられます。
そのため税務署にとってはリピーターのようなもので、再び訪れて税金を回収するということです。
不正が疑われる企業
単純な話ですが、不正が疑われる企業は税務調査に入られる可能性が高いです。
具体的には、申告の数字に違和感がある、明らかに経費の割合が多すぎる、申告されている所得が少ないように感じる、などです。
ある程度職員の裁量によって調査対象を決定しているので、現場の勘のようなもので選定されることも多々あるようです。
つまり不正を働いていると、職員の勘で目を付けられる可能性が高いということです。
変化のあった企業
なにかしらの大きな変化があった企業は、税務調査の対象になりやすいです。
具体的には、売買された、経営者が代替わりした、売上が急速に伸びた、などです。
こういった企業は変化の速さに事務処理が追いつかず、結果的に意図的にせよそうでないにせよ、脱税につながる可能性が高いと言えます。
そういう意味で、毎年安定的に経営している企業よりも、変化の激しい企業の方が税務調査の対象になりやすいです。
儲かっている企業
儲かっている企業は税務調査の対象になりやすいです。
税務署は公平な機関ということにはなっていますが、国の税源を担う責任があります。
言い換えると、より多くの税金を集めなければなりません。
同じ時間と労力で多くのお金を集めるためには、より多くのお金があるところに足を運ぶ必要があります。
そのため税務署はお金持ちをターゲットにするケースが多いのです。
売上が伸びた途端に税務調査が入った、なんて話も少なくありません。
まとめ
税務調査に入られる可能性は高くはありませんが、いざ入られたときのために、税務調査についてある程度把握しておくべきでしょう。
また付け焼刃では対応が難しいので、日々の帳簿や領収書を残しておく、数字に矛盾を残さない、などの対策も重要です。
税務調査に入られる企業には一定の傾向があるので、その傾向も把握しておいて、該当するならなおさら対策しておくことをおすすめします。
とはいえドラマのイメージほど厳しいものではないので、必要以上に身構えることはありません。