日々の記帳がなぜ大切なのか
日々の帳簿は対内的、対外的、両方の意味で重要です。
今回は、具体的になぜ日々の帳簿が必要なのかについて解説します。
日々の帳簿が重要な理由
日々の帳簿が重要な理由は以下です。
- 自社、または個人で経営状況を正確に把握できる
- 金融機関からの信用を失わない
- 青色申告で不備が生じない
ざっくりまとめると上記のような理由から日々の帳簿が重要と言えます。
自社、または個人で経営状況を正確に把握すること、外部の人に正確に経営状況を伝えて信用を得ること、両方の面において日々の帳簿が重要ということです。
経営状況をリアルタイムで把握できる
日々帳簿をきっちり付けていると、会社の財政状況、経営成績を正確に把握しやすくなります。
逆に言えば、帳簿以外の情報から経営状況を正確に把握するのは困難なので、帳簿をきっちり付けていない=会社の経営状況を把握できていない、と言っても過言ではありません。
今、手元にある資金は帳簿がなくてもわかるかもしれませんが、いつどこでどのような収益が出たのか、今後どれだけの費用が必要なのか、資金繰りに問題がないのか、などの判断には帳簿が必要でしょう。
漏れをなくして信用力アップ
多少帳簿に漏れがあっても、はっきり言って対内的にはそこまで困りません。
数字がきっちり合っていたらそれがベストですが、多少合わなくても特に大きな影響はないでしょう。
数字がしっかり合っていなくても利益が出ているときはそれで良いですし、逆に赤字のときは改善が必要です。
それは数字が合っていてもずれていても同じことで、今後の対策に大きな違いは出ません。
しかし、対外的な書類としては話が別です。
漏れがあると信用問題につながります。
特に株主や金融機関からの信用を失うと大きな損失につながるでしょう。
日々の帳簿をきっちり付けることは、企業にとっては対外的な説明責任と言っても過言ではありません。
確定申告のときに困らない
確定申告では日々の帳簿を保管しておく必要があり、なおかつ確定申告時に提出する書類も帳簿を基に作られます。
日々の帳簿付けができていないと、申告した数字が合っていない、税務署が違和感を感じて税務調査に入られる、といったデメリットが発生します。
日々の帳簿の付け方
まず帳簿を付ける上で外せないのが仕訳帳と総勘定元帳です。
仕訳帳は勘定科目を借方と貸方に分けてまとめていくものです。
借方と貸方というと難しく聞こえますが、要するに左右に分けてまとめていくということです。
勘定科目には、資産、負債、純資産、収益、費用、という種類があります。
そして、資産は増えたら左の借方、減ったら右の貸方、負債は増えたら右の貸方、減ったら左の借方、と決まっています。
また資産、負債、純資産は貸借対照表、費用、収益は損益計算書、となっています。
それぞれを対応する項目ごとにまとめていくと、仕訳帳が完成します。
総勘定元帳は、各勘定ごとに金額の増減等をまとめたものです。
仕訳帳はすべての取引を網羅的に記入していきますが、総勘定元帳は勘定科目ごとに複数存在することになります。
記入欄としては、日付欄、摘要欄、仕丁欄、借方欄、貸方欄、残高欄があります。
注意点としては、仕訳帳のときと借方、貸方が逆になるような印象があることです。
たとえば借入金で現金が増えた場合、仕訳帳では借方に現金、貸方に借入金となります。
しかしこれを現金の総勘定元帳に転記する際は、摘要に借入金と記入し、金額は借方の方に記入します。
借入金が増えたら負債が増えるので貸方に金額を記載すべきと思われるかもしれませんが、借入金によって資産である現金が増加したという意味合いで、借方に金額を記載します。
総勘定元帳の場合摘要欄ではなく、それが何の総勘定元帳なのかが土台になるので、混乱しないようご注意ください。
帳簿の保管期間
日々記帳した帳簿は、法律で一定期間の保管が義務付けられています。
ただ書類によって保存義務の期間が異なるため、実際何年保存するのが正解なのかは間違って解釈されているケースが多々あります。
ひとまず7年保存しておけば間違いないでしょう。
なぜなら一番長いもので7年だからです。
つまり全部の帳簿を7年保管しておけば、間違いありません。
具体的には、貸借対照表、損益計算書、総勘定元帳は保存期間が7年です。
また帳簿ではありませんが、領収書、請求書、預金通帳も保存期間は7年です。
ただし、所得が300万円以下の場合は保存期間5年となっています。
また見積書、注文書、納品書などは5年の保存期間です。
まとめ
日々の帳簿は対内的にも対外的にも重要です。またひとことに帳簿と言っても複数の種類がありますが、特に重要なのは仕訳帳と総勘定元帳です。
日々仕訳を行った帳簿は、基本的に7年間保存する義務が定められています。