【倍返しだ!】「半沢直樹」を現実のビジネス視点で解説!・第八話

【倍返しだ!】「半沢直樹」を現実のビジネス視点で解説!・第八話
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「半沢直樹 第八話」の解説・今後の考察※ネタバレ注意

半沢直樹第八話はいよいよ、東京中央銀行内部の派閥争いから政界の大物との対立へと話が進んでいきます。

内部の派閥争いといえば、この銀行はかつて2つの大手都市銀行が合併して誕生したメガバンクでした。
それが、東京第一銀行と産業中央銀行です。
第一話から見返してみると、すべての争いの根源は、それぞれ合併前の両銀行の出身者同士の対立に起因していることがわかります。
半沢と大和田は旧・産業中央銀行出身。
中野渡頭取と紀本常務は旧・東京第一銀行出身。
電脳雑技集団と癒着していた三笠副頭取も、旧・東京第一銀行出身者でした。

中野渡頭取は、こうした対立を収めて銀行を正常化しようと「行内融和に」努めてきたわけですが、なかなか一筋縄ではいかず、とうとう政界を巻き込んだ話に発展します。
一体どうなっていくのか、ストーリーもさることながら、現実と照らし合わせた場合はどうなんでしょうか。

今回は銀行の派閥と、合併の現実について解説していきます。

前回分はこちらから

半沢直樹セカンドシーズン第八話のあらすじ

前回の合同報告会で、メインバンクである開発投資銀行の債権放棄拒否を受け、東京中央銀行を含め、すべての銀行が債権放棄を拒否しました。
白井大臣と再生タスクフォースは、完全に面目を潰された形になります。

前回は、中野渡頭取が箕部幹事長に呼び出されるところで終わりました。
箕部幹事長の「東京中央が他行に債権放棄をけしかけたのではないか?」との疑念に、中野渡頭取は素知らぬ振りでかわします。
簑部幹事長はなおも、自分は誤解だと思っているが、党の若手議員たちが公の場で糾弾するべきと息まいている。どうするかおたく次第かな、と揺さぶりを掛けてくるのでした。

一方、役員会で大和田はすべての銀行が債権放棄拒否で一致したことにより、紀本常務の責任を追及しますが、紀本常務は中野渡頭取が国会に参考人招致される噂を聞いたことを引き合いに、未だ決着がついていない今、担当を放棄するわけにはいかない。最後まで責任を全うすると主張し、他の役員の同意を得て大和田を退けました。

そんな中、半沢は再生タスクフォースが作成した再建案を、山久から密かに見せてもらっていました。
驚くことに、半沢達の作った再建案に瓜二つ。
ただ違うのは、廃止するとされていた赤字路線のうち、羽田・伊勢志摩路線が復活されていたことです。

ここで伊勢志摩は、箕部幹事長の選挙地盤だったことに気づく半沢。
伊勢志摩空港は、箕部幹事長が主導して誘致したことから別名「箕部空港」とも呼ばれていました。
さらにその再建案は、銀行の債権放棄を前提に作られており、再生タスクフォース側はまだ銀行に債権を放棄させる自信があるのだと踏みます。

その帰り、半沢は金融庁の黒崎の下へ連れていかれます。
黒崎は、半沢が箕部幹事長の番記者と会っていたことを知っていました。
何を探っているのかと問いただします。

半沢は逆に、先日の検査が箕部幹事長の指示だったと看破し、スカイホープへの融資の件でも白井大臣が強烈な横車を押すなど、金融庁も辛酸を舐めさせられていることから、意趣返しに箕部幹事長の不正について調査し、何か掴んでいるのではと訊き返します。
政府系だった開投銀でさえ債権拒否したのに、なぜ官僚は幹事長に逆らえないのかと挑発までして見せます。

すると黒崎は「何もわかっていないのね」と半沢をあざけりつつも、箕部幹事長が東京中央と関りがあることを仄めかし、去っていくのでした。

半沢は銀行に戻り、早速、箕部幹事長と東京中央との取引履歴を調べます。
すると、合併前に旧・東京第一銀行が箕部幹事長に対して運転資金名目で数千万円の貸付を行っていることが分かりました。
明細は機密扱いのため役員承認がないと閲覧できません。

仕方なく、半沢は大和田に承認を依頼。
一悶着あった後、両者ともに渋々ながら手を組むことを承諾し、ついに握手しました。

大和田の権限で明細を確認したところ、数回に渡りかなりの金額が融資されていることが判明。
さらにマンション建設費名目で、なんと20億円もの大金が貸付られていました。
しかも5年間無担保と、通常の融資ではあり得ない条件です。

箕部幹事長に対する20億円の融資について、半沢は当時の担当者である灰谷に尋ねます。

灰谷は現在、法人営業部の課長代理になっていました。
20億円もの大金が無担保で融資されていた事実を、灰谷に突きつけても、「昔の話なんで覚えていない。部外者が口出すんじゃない」などと取り合ってもらえません。

そこで半沢は、検査部へ赴き、大先輩の富岡部長代理・通称「富さん」に相談をもちかけます。
箕部幹事長への融資の資料を見せると、トミさんは当時、合併前の旧・東京第一には、不正な融資が数多くあったことを打ち明けます。
半沢は、この箕部幹事長への融資も不正融資の可能性を疑いますが、詳細が不明なため結論は出せません。
しかし、この融資に関するクレジットファイルは所在不明になっていました。

そのとき、半沢のスマホに何者かからのメールが。

紀本常務が検査部に向かっている

当時の担当者、灰谷が紀本常務に半沢のことを報告したため、半沢を止めようとして動き始めたのです。
慌てて資料を隠そうとしましたが、ついに紀本常務が到着。
何をしていたのかと追及される半沢。
ごまかそうとするも、田島の目線から例の資料が置いてあるのがバレます。

そこに、タイミングよく福山が登場。
以前から依頼していた、伊勢志摩ホテルの資料を渡すように、半沢に詰め寄る芝居をうちます。
福山のフォローを察した半沢は、問題の20億円の資料を福山にサッと渡して難を逃れます。

この後、福山は大和田の指示で半沢をフォローしたことを告白します。
富岡と一緒に大和田の部屋に行った半沢は、旧・東京第一出身の役員たちの名前のリストを福山から見せられました。
そのリストとは、10年前に自殺した牧野元副頭取の部下たちでした。

牧野は旧東京第一の不正融資の全てに関わっており、その責任を取って自殺していたのです。
そのリストのメンバーたちは牧野の命日に集まり、今は亡き牧野を偲ぶ「棺の会」を開催していました。

半沢はそのリストの中に、行きつけの小料理屋の女将・智美の名前を見つけます。
智美は牧野の元秘書だったのでした。
そして9月6日、今年も棺の会が行われていました。
少し離れたところから手を合わせる智美。
半沢と渡真利は、智美を待ち10年前のことを聞き始めます。

智美は、牧野は無実であることと、当時の審査部長であった紀本に、多額の金が振り込まれているとの噂があることを話しました。
半沢は紀本常務のしっぽを握ろうと証拠探しに奔走します。
それを察知した紀本常務は、大和田に圧力をかけようとしますが、逆に大和田は自分を常務に推薦することを交換条件に、重要な情報を紀本常務に教えます。

それは、智美が牧野元副頭取の遺書を持っているということと、そこに箕部幹事長のクレジットファイルのありかが書かれているということでした。
もちろん紀本常務は、クレジットファイルの本当の保管場所を知っていたので、すぐに灰谷に電話をかけ、なくなっていないか確認させつつ智美の元に向かいます。

灰谷からちゃんと保管されている、という報告を受けた紀本常務は安心し、智美に牧野の遺書を見せて欲しいと頼みます。
智美は「その個室に置いてあります」と指し示します。
紀本常務が、確認するために個室を開けると、そこには遺書を持った半沢が立っていました。

大和田と半沢は、わざと紀本常務にこちらの動きを感づかせて、ファイルを確認させることで在り処を探ったのでした。
半沢は紀本常務にすべてを話すよう詰め寄ろうとします。
と、紀本常務に箕部幹事長から電話が。
箕部幹事長が半沢と大和田に会いたがっているといいます。

半沢と大和田は箕部幹事長に面会しました。
箕部幹事長は例の20億円の融資について、全く不正はないと説明します。
半沢は牧野の死後、ある人物の口座に多額の金が振り込まれていることを指摘し、逆に怪しい点があることを指摘して反論。
すると、箕部幹事長は牧野の口座に、不正融資が疑われる会社から何度も振り込みがある資料を、半沢たちに見せました。
これを箕部幹事長は銀行へ配慮し、これまで表沙汰にしなかったことを告げます。

驚きひるむ半沢と大和田。
簑部幹事長は間髪入れず、疑いが晴れないのなら金融庁長官に今から電話すると言って、秘書に電話を掛けさせます。
金融庁への電話が繋がったところで、半沢は「大変失礼しました」と頭を下げ、なんとかその場は収まります。

その後、半沢達は中野渡頭取の参考人招致が、紀本常務が箕部幹事長に頼み込んで見送られることになったと聞かされます。
これで頭取を含め大和田たちは、紀本常務に頭が上がらなくなりました。

大和田は半沢に、金融庁の黒崎が異動になるという情報を伝えます。
黒崎は箕部幹事長のことに首を突っ込み過ぎて、金融庁から国税局に飛ばされたのです。
半沢が別れを告げようと黒崎の元に急ぐと、黒崎は

伊勢志摩ステートを調べなさい

と意味深な言葉を残して去っていくところで、第八話は終わります。

なぜ銀行は相次いで合併したのか

ドラマ半沢直樹は、合併してできたメガバンク「東京中央銀行」が舞台となっています。

もともと違う銀行の出身者同士の対立を基調にしたドラマが描かれていますが、そもそも、銀行はなぜ合併したのでしょうか。
1985年のプラザ合意に端を発した、円高ドル安誘導による輸出企業の業績低下を助けようと、日本の金利が引き下げられた結果、市場に「金余り現象」が出現しました。

余った金は「財テク」などといって株式投資や、不動産投資へ向けられます。
1989年、昭和は終わり平成が始まりました。
このころがバブル経済のピークでその年の12月29日、日経平均株価は38,915円という史上最高の価格を付けました。
32年後の令和2年10月9日現在で23,619円ですので、当時の株価がどれだけ異常に高かったかお分かりかと思います。

土地など不動産の価格はどんどん値上がりをし、不動産を評価してこれを担保としてお金を貸し出す、銀行の融資額もどんどん伸びていきました。
ところが、平成元年の10月には株価が急落。
2万円以下にまで落ち込みます。いわゆる「バブル崩壊」です。
その後は、地価もどんどん下落を続けました。

不動産を担保に、お金を借りていた不動産業者やノンバンクは、お金が返せなくなります。
同様に、一般企業も資金繰りが悪化。
銀行による「貸し渋り・貸しはがし」が流行語となり、資金ショートする企業が続出します。

1997年、三洋証券が破綻、北海道拓殖銀行が破綻。
同年、山一證券が自主廃業。
1998年には日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が国有化される形となり、地方銀行の多くも立ちいかなくなってしまいます。

銀行は多額の不良債権処理コストを捻出するため、合併による統合を進めます。
政府も公的資金で銀行の統合を後押ししました。
こうして、銀行は合併・統合を繰り返し、都市銀行と言われた銀行は3つのメガバンクに再編。
そして現在は、地方銀行の合併と統合が進行中です。

銀行の派閥の実態とは

ドラマ中の東京中央銀行によく似た実際の例として、みずほ銀行があると思います。
三菱UFJ銀行と、三井住友銀行も合併に合併を繰り返して現在の姿になっていますが、合併する銀行同士の規模に歴然とした差があり、力関係がはっきりしていたため派閥争いのようなトラブルはさほど大きく影響しませんでした。

ところが、みずほ銀行は、旧富士銀行、旧第一勧業銀行、旧日本興業銀行の三行が合併してできた銀行で規模にさほどの差がなく、「三行対等合併」をうたって合併したことから、出身銀行に対する帰属意識が強く、上から下、系列子会社にいたるまで人事がなんとなく不自然な形になってしまいました。

その結果なのか、三行のシステムが十分に統合できないことからくるトラブルを2回、暴力団への融資が問題化するなど社会的に大きな影響のある不祥事を連発、メガバンクとしては他の2行に大きく後れを取ることとなってしまったのです。
このようになってしまった、みずほFGを再建するには、「旧行意識との決別」が重要であるとして社内にそれを徹底。
現役世代に干渉しがちだった有力OBに対しても、旧行ごとに現役幹部を送り込み、説得に当たらせるなど苦肉の策を行ってきました。

このような苦労にもかかわらず、いまだに支店長人事は旧行ベースで決まっているという証言も聞こえてくるなど、完全に旧行意識は払しょくできていないようです。
ちなみに三菱UFJ銀行の取締役は、その半数が三菱銀行出身者にすることと決まっており、三井住友銀行はほとんどを住友銀行出身者がしめていて、この比率が変わることはないのだそうです。

銀行の派閥が完全に解消するのは、派閥に関係のない合併後の入行組が幹部になる時まで待たなければならないのだろう、とする見方もあるようです。

近年の地銀の合併促進の背景

メガバンクは3行に落ち着きましたが、これからは地方銀行の再編が進んでいく時代となっています。

管総理大臣は、自民党総裁選への立候補表明の記者会見のとき、地方銀行について「将来的には数が多すぎるのではないか」と述べました。
くすぶっていた地方銀行の再編機運は、ここへきて一気に高まったかのように見えます。

政府の重要な政策課題である「地方創生」、ことに菅総理大臣は地方再生に熱心であり、これまで「GOTOキャンペーン」「ふるさと納税」などを推進してきた立場にあります。
業績不振の地銀を淘汰するということではなく、これからの地方には健全な体力に余裕のある地方銀行が必要である、との見方をしているともいえます。
政府は2020年3月に地銀の統合・合併について、独占禁止法を適用しないという特例法案を閣議決定しました。

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は長崎県の親和銀行を傘下に収めていましたが、同県の地銀である十八銀行を統合しようとしたところ、公正取引委員会が「企業の貸出シェアが高まりすぎる」として待ったをかけたことに起因する決定でした。

株式市場でも、規模の小さく業績振るわない地銀株を、今のうちに買っておく動きも見受けられました。
これから地方銀行の再編が、どんどん進行していくことが予想されると、投資家たちはにらんでいるようです。

まとめ

【倍返しだ!】「半沢直樹」を現実のビジネス視点で解説!・第八話

銀行を舞台とするドラマ「半沢直樹」ですが、ドラマ中に描かれている銀行は、これまでの銀行の姿でした。
フィンテックをはじめとするDX(デジタルトランスフォーメンション)がとりただされる現代では、キャッシュレスの流れが加速し、インターネットで出資を募るクラウドファンディングの登場など、資金調達の方法や金融業界そのものの役割が大きく変化しようとしています。

先に紹介した3つのメガバンクも、支店の統廃合をはじめ大きなリストラの波がうねっています。
これからの銀行の役割とは何かを模索しながら、銀行はその姿を変えていくのでしょう。
我々が考えている銀行に対する店舗窓口、ATM、預金通帳やハンコやキャッシュカードなどの常識はまもなく崩れ、ドラマで描かれた世界も、あっという間に過去のものとなる日が来るかもしれませんね。

次回は、クライマックス直前!の第九話を解説いたします。

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