個人事業が軌道に乗るなどして「株式会社を立ち上げたい」と考える人も多いでしょう。株式会社の設立には何が必要なのか、誰にでもできるのかは気になるところです。
例えば年齢で言うと、会社法には年齢制限はありませんが、印鑑登録ができるのは15歳から。
では15歳からすぐに設立可能かというと、民法で法律行為が可能なのは18歳からであり、親などの同意なく会社設立をしたいなら18歳以上である必要があります。
そこで本記事では、会社の中でも多くの人が選ぶ株式会社の設立について、各法令を踏まえた条件や決まりごとを解説していきます。
目次
まずは知っておきたい株式会社の基本
条件を見る前に、まずは株式会社の立ち上げ方と、大まかな種類について知っておきましょう。
株式会社の設立方法は2つある
株式会社の設立は、次の2つのいずれかの方法でする必要があります。
発起設立 | 発起人のみが出資金を調達し、その会社の株主となる |
募集設立 | 発起人以外の人にも株主となってもらう |
株式会社というからには、株式の発行が必須です。その株式をすべて発起人が引き受けて会社を設立することを「発起設立」といいます。
中小企業の設立は、この発起設立が一般的です。この記事では、この発起設立の場合の株式会社設立に絞って説明していきます。
ちなみに、募集設立には、発起人による出資のほか、株主となる人を募集して株式を割り当て、出資金を払い込んでもらうなどの手続きが必要となります。募集設立であっても、発起人による一株以上の引き受けは必須です。
<発起人とは?>
会社設立における発起人とは、会社設立のために資金を出し、手続きを行う人のことです。
株式会社には公開会社と非公開会社がある
株式会社は、株式を公開するか非公開にするかの選択が可能です。
ここでいう「公開」とは、株主が株式を自由に売り買いできるようにすることです。株式を公開している会社を「公開会社」と呼びます。
株式の「上場」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。株式が証券取引所で売買可能となることを「上場」といい、その会社は「上場会社」と呼ばれます。
この上場会社は、公開会社でもあります。ただし会社法では、上場をしていなくても株式の売買に制限(株式譲渡制限)をしていなければ公開会社となります。公開会社=上場会社ではありません。
非公開会社とは、簡単にいえば公開会社でない会社です。
株式の一部または全部について譲渡に会社の承認が必要であると定めた会社で、中小企業では。株式を非公開とすることで、自社の経営権が他人にわたるなどのリスクを防げます。
ちなみに、上場会社になるには証券取引所に申請を行い、基準を満たして承認を得る必要があります。
基準は証券取引所の市場区分によって異なり、例えば東証のスタンダード市場では株主数400以上、流通株式時価総額10億円以上などとなっています。
株式会社を設立するための条件
株式会社を設立するハードルは、平成18年5月に施行された改正会社法によってそれ以前より低くなっています。
開業(起業)には、雇用機会が増えること、新しい技術などが生み出され市場が活性化することなどの期待が持てます。
これが結果として国の経済的な成長につながるのでは、と考えられ、開業率を上げよう、会社を作りやすくしようと法の改正につながりました。
現在、株式会社を設立するためにはどのような条件があるのか、項目を分けて見ていきましょう。
【人数】株式会社の設立は1人でも可能
会社法により、株式会社は1人でも設立可能となりました。
発起人について
非公開会社の発起設立では、発起人が会社設立時に発行する株式の全部を引き受ける、つまり全額を出資することで会社設立が成立します。
株式を引き受ける人がいなければ会社が設立できないので、1人以上の発起人は必要です。人数は複数でもよく、上限はありません。
しかし、特定の事項を定める際には発起人全員の同意が必要だったり、役員の選出は発起人の過半数によらなくてはならなかったりと、さまざまな決まりがあります。
発起人の数が多いほど意思決定に時間がかかり、手続きも煩雑になるでしょう。
取締役について
株式会社の設立には、発起人が取締役を決める必要があります。つまり、「取締役」は株式会社になくてはならない存在です。
取締役は、株式会社の代表となり、業務を執行します。非公開会社では、取締役会を設置しなければ取締役は1人でよいとされており、つまりは1人でも会社の設立が可能です。発起人同様、人数の法的な上限はありません。
代表取締役について
「代表取締役」は、取締役の中から選定するものです。代表取締役となった人は、他の取締役を代表し、株式会社の業務に関する一切の権限を持つこととなります。
ただし、取締役会を設置する場合(次の項参照)を除き、代表取締役を置くことは必須でなく、人数の制限(上限)もありません。
つまり、自分1人だけの会社で自分が代表取締役となることに何も問題はありません。複数いる取締役全員が代表取締役となることも可能です。
役員について
会社法上、役員とは前述の「取締役」のほか、「監査役」や「会計参与」をいいます。
取締役は前述の通り、株式会社である限り1人以上は必須です。しかし監査役や会計参与は、非公開会社かつ中小企業なら基本的には設置しなくても問題ありません。
ただし、取締役会を設置した場合には、監査役か会計参与を置く必要があります。
取締役会について
非公開会社の場合、基本的には取締役会の設置は任意であり、必須ではありません。
ただし、公開会社のほか、非公開会社でも監査役会、監査等委員会、指名委員会等をそれぞれ置く場合には取締役会も設置する必要があります。
また、非公開・公開会社ともに、取締役会を設置する場合には3人以上の取締役が必要です。
取締役会を設置する場合には、代表取締役の選任も必須となります。
従業員について
株式会社の従業員とは、会社と雇用契約を結んで働く人のことです。従業員についての人数の制限等はありません。
1人で会社を設立し、従業員なしで1人だけで事業を行うことも可能です。
ちなみに会社法上、株式会社の社員とは「株主」と同義であり、従業員ではなく出資者を指すため、法を解釈する際には注意が必要です。
【年齢】親の同意なしの会社設立は18歳から
会社法には、年齢に関する規定はありません。
とはいえ、実際にいわゆる「子ども」と見なされる年齢の人が、自分の意思だけで株式会社を設立することはできません。
結論から言えば、親など法定代理人の同意なく会社の設立ができるのは18歳以上、法定代理人の同意があっても、自身の会社として設立できるのは15歳以上と言えます。
会社設立にかかわる年齢の制限について見ておきましょう。
民法上の法律行為は18歳以上
株式会社の設立は、会社法などに則って行う法律行為の1つです。
民法が2022年4月に改正され、成年年齢が18歳となったことはよく知られているでしょう。つまり親などの同意なく法定行為ができるのは18歳以上だということです。
17歳までは親など法定代理人の同意が必要です。
印鑑登録は15歳以上
会社設立に必須の登記手続き(詳しくは後述)には市町村に印鑑登録がされた本人の印鑑と印鑑証明書が必要です。
しかし、この印鑑登録ができるのは15歳以上に限られます。
つまり、親などの同意があったとしても、15歳以上でなくては自分の会社を設立することはできないということです。
銀行口座・クレジットカードについて
銀行など金融機関では、未成年が親などの同意なく口座を開設できるのは早いところで15歳以上、18歳以上としている金融機関が多くなっています。
会社法では、会社設立時に出資金を払い込むことも必要としています(詳しくは後述)。その出資金は、原則として発起人の名義の口座でなくてはなりません。
ちなみに、銀行口座の開設には本人の印鑑(銀行印)を作る必要もあります。
本人名義のクレジットカードは、18歳以上(高校生除く)から作れます。ただし審査があるため、アルバイトもしくは就職しているかどうかなども見られます。
【資金】株式会社は資本金1円でも設立可能
会社法が施行されるまでは、商法で株式会社には資本金が1000万円以上が必要だと定められていました(最低資本金規制)。しかし会社法ではその下限条件がなくなり、理論上は資本金1円からの会社設立が可能となっています。
ただし、資本金が1円であっても、定款の認証や登記といった実質上の手続き(後述)や事業の開始にはお金がかかります。
資本金はその会社の体力とも言われ、少ないほど信用もされにくいのが現状です。
【登記】株式会社の設立には「登記」が必要
会社法が定める株式会社成立の条件は、「設立の登記をすること」です。設立の登記とは、会社を「法人」という人格として登録し、存在を公的なものにする手続きです。
本店所在地を管轄する法務局に、設立登記の申請書と定款や印鑑届書など添付書類を提出し、申請が受理されれば登記が完了します。
ただし、株式会社の設立登記には、最低でも15万円の登録免許税が必要です。
【定款】株式会社の登記には定款の「作成」と「認証」が必要
定款とは、会社の基本的な情報やルールを定めておくものです。
定款の作成
会社の設立には、定款の作成が必須です。また、定款に記載する内容にも指定があります。
株式会社の場合、次の項目は「絶対的記載事項」とされ、定款に必ず記載しなくてはなりません。
- 事業目的
- 商号(社名)
- 本店所在地
- 資本金の額
- 発起人の氏名および住所
この他、会社の設立登記までには「発行可能株式総数」の記載も必須です。
また、規則として定めるなら定款への記載が必要な「相対的記載事項」や、自主的に記載する「任意的記載事項」があります。
定款の認証
株式会社の設立をするには、作成した定款を公証人に認証してもらう必要もあります。手続きは、本店のある地区を管轄する公証役場で行います。
定款を認証してもらうためには、資本金に応じた手数料(3~5万円)や登記申請用の謄本の手数料(1ページにつき250円)、印紙代4万円(電子定款を除く)が必要です。
【資本金の払込】出資金の払込完了と証明書の作成
株式会社の設立には、出資金が払い込まれていることが必要です。
払い込みを行い、それを証明するための書類も作成しなくてはなりません。
出資の履行(資本金の払込)
出資金(資本金)は、全額、発起人の口座に払い込みます。法人口座はまだない段階なので、個人口座をつかいます。払い込む方法は振込でも入金でも問題ありませんが、名前が表示される場合は発起人の名前でなくてはなりません。
払込のタイミングは、定款作成日以降の日付となるようにするのが一般的。そのお金が会社設立のための出資金だということを明らかにするためです。
この払込については、もともとその口座に入れてあったお金と合算して出資金の額とすることはできないことにも注意が必要です。
例えば出資金を100万円とした場合、「その口座にはもう70万円が入っているから」と差額の30万円を入金しても「出資の履行」とは認められません。いったん引き出すなどして、一度に100万円以上(多くても問題なし)の額を払い込みます。
ただし、発起人が2人以上いる場合は、それぞれの払込はまとめず、2回に分けて行う必要があります。
払込証明書の作成
資本金の払込については、その事実を第三者的に証明するための書類も必要です。
払込をしたら、通帳のコピーも取っておきましょう。
必要となるのは、通帳の表と裏表紙、銀行や支店名、口座番号や名義人が記載されているページ、出資金の入金がわかるページです。
A4の用紙にコピーし、「証明書」などとタイトルを付け、発行株式の数や払込金額、日付と会社名、代表取締役の氏名を記入します。
払込証明書を含む登記書類の具体的な書き方の例は、法務局の公式サイトで紹介されています。
株式会社の設立に関するその他の決まりごと
株式会社の設立には、条件とは異なるものの、決められた事柄がいくつかあります。
それについても合わせて見ておきましょう。
社名(商号)には「株式会社」を入れる
株式会社の定款には、商号を記載する必要があります。商号とは会社名のことですが、これにも決まりがあります。
株式会社には、「株式会社」という文字を含めなければなりません。いわゆる前株(株式会社○○)でも後株(○○株式会社)でもどちらでもOKです。
また、株式会社に限らず、「銀行」や「保険会社」など特定の業種を表す文言を、それ以外の業種の会社が社名に使うことも禁じられています。
会社の代表者印(実印)を作成する
株式会社の設立時には、会社の印鑑を作ることも必要です。
というのも、会社設立に必須の設立登記の手続きには「株式会社設立登記申請書」の提出が必要で、この申請書には、登記の申請人(代表取締役)の印鑑を押すのが決まりです。
手続きを委任する場合にも、委任状にその印鑑の押印が必要です。
この印鑑は、市町村に届け出た個人のものではなく、登記所に出した法人の「印鑑届書」の印鑑でなくてはなりません。印鑑にはサイズの指定があるので、作成時にも注意が必要です。
登記内容の変更には「変更登記」が必要
設立時に登記をした内容を変える場合には、変更の登記の手続きをする必要があります。
内容を変えるとは、例えば役員を変える、役員の人数が増える、会社を引っ越しする、新たに支店を作る、事業目的を変更、あるいは追加する、などの場合です。
手続きは「株式会社変更登記申請書」を法務局に提出するだけですが、その際に新たに数千円~数万円「登録免許税」が必要となります(税額は内容や企業規模による)。
そのため、設立の登記をする時点では「とりあえず」で決めず、変更の必要がなるべくないように各項目を設定しておかなくてはなりません。
まとめ~株式会社設立は専門家に頼るのが正解~
株式会社を設立するには主に会社法に則った数々の条件や決まりがあり、調べつつ手続きするのは簡単ではありません。
間違えればやり直しなどの必要もありますし、行うべきことや決められた期限などを知らず、意図せず法に反することとなる恐れも。
例えば資本金の払い込みは、1人による複数回に分けての入金は認められませんし、定款認証よりかなり前に払込を行ってしまえば、会社設立のためのお金かどうか証明するのは難しくなるでしょう。
こうした些末な注意事項に気を取られることなくスムーズに会社設立を進めるなら、専門家に依頼するのが一番の方法です。
必要な書類やその書き方、手続きのタイミングなどもアドバイスをもらえれば安心です。
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