会社登記の方法とは?会社設立の必要書類から申請の流れまで詳細解説

会社登記(法人登記)とは?
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会社設立をするには、「登記」という手続きが必要です。

登記には不動産や商業など複数の種類があり、会社を設立する際の登記は「会社登記」あるいは「設立登記」と呼ばれています。正確には「商業登記」の1つであり、商業登記法や会社法に基づいて行うものです。

どんな会社を設立するかを決め、定款を作成するなどして準備が整ったら、登記を行います。登記をすると、公に会社として認められたことになるのです。

この記事では、会社を設立する際の「登記」について、登記とは何をすることなのか、どのように行うのかなどをわかりやすく解説します。

登記とは

登記とは、個人や法人などの権利や義務を明らかにし、保護するための制度です。この記事で説明する会社設立時の登記以外に、不動産の登記などがあります。

法務局(登記所)にある登記簿に情報を記録することで、法的な効力が生じます。

会社に関する登記は、「商業登記」のほか会社登記、設立登記、法人登記とも呼ばれています。

「法人登記」は、厳密にいえば会社以外の一般社団法人やNPO法人のような団体の登記をいいます。しかし、個人と法人との区別と同様に、「会社」について「法人登記」と呼ばれることも一般的となっています。

会社設立の際に登記する事項

会社設立時に登記すべき事項

株式会社の設立時に登記する内容は、会社法で指定されています(会社法第911条第3項)。

  • 目的
  • 商号
  • 本店および支店の所在地
  • 存続期間や解散の事由について定款に定めたときはその定め
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数
  • 発行する株式の内容
  • 発行済株式の総数と種類、種類ごとの数
  • 取締役の氏名
  • 代表取締役の氏名と住所
  • 取締役会設置会社の場合はその旨
  • 監査役設置会社の場合はその旨

目的とは、事業の目的のこと。会社としてどのような事業を行うのかを記載します。

記載されていない事業を行うと、会社の信頼性を損ねたり、株主から指摘を受けたりするおそれも。
事業目的は1つである必要はありません。ちなみにトヨタ自動車の事業目的には、19の項目が定められています(2022年5月時点)。
事業目的は後から追加や変更をすることも可能です。

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資本金の額は、自由に決めることができます。法的な制限はないため、資本金1円での会社設立も可能です。しかし社会的な信用度は低くなるほか融資を受けにくいなどのデメリットもあり、現実的ではありません。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

このほかにも、単元株式数について定款に定めたときはその数、株券発行会社であるときはその旨、株主名簿管理人を置いた時はその氏名または名称と住所・営業所など、それぞれの場合に応じて細かな指定があります。

登記内容は一般に公開されるため、取引先や取引先見込みとなる企業、金融機関などが閲覧する可能性もあります。

会社の登記は、会社の信用性を示す役割も担っているのです。

会社登記の申請までの流れ

会社登記の手続きの流れ

会社の登記には、必要事項を記入した申請書や添付書類を法務局に提出して申請する必要があります。

その添付書類の中には「定款」があり、実質的にはまず定款を作成するところから会社設立の手続きが始まります。

登記を行う前にしておくべきこと

登記を行うまでの下準備

登記を行う前に、次のような作業が必要です。

  • 会社の基本的事項を決める
  • 法人用の印鑑を作る
  • 印鑑証明書を取得する
  • 定款を作成する
  • 資本金を口座に入れる

それぞれ具体的に何をするのかを見ていきましょう。

会社の基本的事項を決める

まずはどんな会社にするのか、会社の軸となる基本的な事項を決めます。いわゆる「会社概要」として表示する、次のような項目です。

  • 商号(社名)
  • 事業内容
  • 本社所在地
  • 発起人氏名
  • 取締役
  • 取締役会の有無
  • 資本金の額
  • 事業年度

上に挙げた登記事項と重複する項目もあります。

株式会社には、取締役が必ず1人以上いなくてはならないと会社法で定められています。取締役が3人以上いる場合には「取締役会」を作ることができます。

取締役会があることにより意思決定が独断でなくなることから、外部からの信用度も上がります。

取締役など役員については、こちらの記事も参考にしてください。

資本金の額をいくらにするかについては、法的には0円で可能なものの現実的ではありません。企業としての信頼性にも関わるので慎重に決めましょう。

ちなみに、統計資料で見ると、会社企業のうち資本金1000万円未満の企業が56.3%、次いで1000万円~3000万円未満が34.7%となっています。

1000万円未満より下の区分が設けられていないため、それ以上の少額資本については不明です。

法人用の印鑑を作る

会社登記の前に法人の印鑑をつくる

会社を設立したら、さまざまな手続きをする際に法人としての実印が必要になります。

登記書類に使うものだけを準備すればとりあえずは間に合いますが、今後のことを考え、銀行印や社印、ゴム印などを同時に作っておくと便利です。

会社設立時の印鑑作成についてはこちらの記事を参考にしてください。

印鑑証明書を取得する

会社登記の際には個人の印鑑証明書も必要

会社の設立手続きには、個人の印鑑証明書が必要です。発起人と取締役全員の分を用意しなくてはなりません。市役所などで申請します。

取締役会を置く場合は、代表取締役の印鑑証明書のみで事足ります。

定款を作成する

会社登記に必要な定款の作成

定款とは、会社の根幹となる規則を定めたものです。定款の作成も、会社法によって義務付けられています。

中でも、事業の目的や商号、本社所在地などは「絶対的記載事項」と呼ばれ、必ず記載しなくてはなりません。

絶対的記載事項のほか、取り決めをした場合には効力を持たせるために定款に記載すべき「相対的記載事項」や、定款以外の文書で取り決めがあれば効力を認められる「任意的記載事項」があります。

定款の記載項目については、こちらの記事で詳しく説明しています。

定款の認証を受ける

J_News_photo – stock.adobe.com

株式会社を設立する際には、定款を公証役場で認証してもらう必要があります。作成しただけで認証されていない定款では、登記申請はできません。

定款の認証には、資本金に応じて3~5万円の手数料がかかります。登記申請に必要となる謄本の交付手数料なども必要となります。

会社設立にかかる費用については、こちらの記事を参考にしてください。

資本金を銀行口座に入れる

会社登記の前にしておくべきこと

定款を作成して認証が完了したら、次に出資金(資本金)を銀行口座に振り込みます。

この段階では会社名義の口座は存在しない(作れない)ため、振込先は発起人個人名義の口座です。

入金したら、資本金を振り込んだことを証明するために通帳のコピーを取っておきましょう。 後の登記申請で必要となります。

必要なのは、通帳の表紙と表紙の裏、出資金の入金が記帳されたページです。

会社登記の申請を行う流れ

会社の基本情報を決め、定款を作成して認証を受け、資本金を振り込んだら、いよいよ会社設立の登記を行います。

申請書類の提出は書面(持参または郵送)でもオンラインでも可能です。この記事では、書面での申請を軸に説明していきます。

登記申請に必要な書類を揃える

会社設立登記には、主に次のような書類の提出が必要です。

  • 設立登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人決定書
  • 代表取締役・取締役・監査役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 資本金の払込証明書

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

設立登記申請書

設立登記の申請

申請の軸となるのは、設立登記の申請書です。申請書には、次のような項目を記載します。

  • 商号と本店、代表者の氏名と住所
  • 代理人の氏名と住所(代理人による申請の場合)
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 登記すべき事項について必要な許可書の到達年月日(該当する場合)
  • 課税標準金額(資本金の額)
  • 登録免許税の額
  • 申請年月日

登記すべき事項は先に紹介した内容で項目の数が多いため、別紙やCD-Rに記録して提出するのが一般的です。

申請書には、書類の不備があった場合の連絡先として電話番号などの連絡先も必ず書いておいてください。

登録免許税納付用台紙

株式会社設立の登記には、登録免許税が必要です。登録免許税の金額は「資本金の1000分の7」の額。収入印紙で納付します。

ただし、算出した額が15万円未満の場合は一律で15万円と決められています。

定款

先述のとおり、公証役場で認証を受けた定款を提出する必要があります。

発起人決定書(発起人の同意書)

定款において、発起人が割り当てられる株式の数や払い込む金額、株式発行事項や発行可能株式総数について定められていない場合に添付が必要となる文書です。

資本金の額が定められていない場合や、本店所在地を区などの必要最小区画までしか記載していない場合などにも作成しなくてはなりません。

代表取締役・取締役・監査役の就任承諾書

会社の設立時に決められたそれぞれの役員について、各人の就任承諾書が必要です。

取締役が自分1人の場合には、代表取締役の就任承諾書の提出は必須ではありません。

取締役が2名以上いる場合は、1名以上の代表取締役を決めます。代表取締役となった人は代表取締役と取締役の両方の承諾書を用意する必要があります。

取締役の印鑑証明書

発起人や取締役が複数いる場合には、人数分の印鑑証明書が必要です。

取締役会を置く場合には、代表取締役の印鑑証明書だけでかまいません。

印鑑届書

設立登記の申請を書面で行う場合、代表者の実印を法務局に届け出ることも義務付けられています。

もちろん印鑑そのものを提出するのではなく、「印鑑届書」の様式に押印して届け出ます。

従来は、オンラインで申請する場合にも印鑑届書は書面にて作成・提出する必要がありました。しかし令和3年2月より、オンラインで申請する場合に限り印鑑届書の提出が任意となり、オンラインでの電子証明書の送信も可能となりました。

書面での申請の場合は、従来通り印鑑届書を書面で提出する必要があるので注意してください。

印鑑届書は、必ず法務省の公式サイトにある様式を使うよう指定されています。細かな注意事項もあるので確認のうえ作成してください。

印鑑届書の様式(PDF)と記載例のページ|法務省公式サイト

資本金の払込証明書

前の章の、登記までにしておくことの説明の中で、資本金を払い込んだ際に通帳のコピーを取ることをお伝えしました。

この時取ったコピーを、登記申請の添付書類として使います。

コピーしたものだけでなく、「払込があったことを証明する」という内容と代表取締役名などを記載した紙とともにホチキスなどで綴じましょう。それを「払込証明書」として提出します。

申請書類を法務局に提出する

会社登記の書類提出先は管轄の法務局

書類が揃ったら申請手続きを行います。申請先は、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)です。窓口への書面の持参、郵送、オンラインのいずれかの方法があります。
管轄が違うと受け付けてもらえないので注意してください。

不備などがあれば電話などで連絡が入り、補正が必要な箇所と同時に申請書の受付年月日と受付番号を伝えられます。

指示のとおりに補正をしますが、この際は申請書や添付書類の差し替えでも、正誤を明らかにする形でもどちらでもOKです。

再提出の際は、「補正書」を作成し、伝えられた申請受付年月日と受付番号を書いて一緒に提出します。

「補正書」の記載例と様式の掲載ページ|法務省公式サイト

登記申請が完了したら

会社登記が完了して喜ぶ男性

会社の設立登記が完了したかどうかは、完了報告のような連絡はありません。しかし次のいずれかで確認できます。

  • 法人番号公表サイトへの掲載
  • 法人番号指定通知書の送付

登記完了日の16時または翌営業日の11時に、国税庁の法人番号公表サイトで情報が見られるようになります。

また、登記完了日の2営業日後に、登記した本店所在地あてに法人番号通知書が発送されます。発送が2営業日後なので、到着は翌日以降となる可能性が高いです。

ただし、「法人設立ワンストップサービス」を利用した場合には、法人番号指定通知書はデータファイルが原本となり、紙の通知書は送られてきません。金融機関などで番号通知書の提出を求められた場合は、データファイルを提示する必要があります。

また、法務局によれば、法人番号指定通知書は「宛先不明」で戻ってくることも多いとのことです。

社名の看板を設置しておくなど、配達する人にわかりやすく表示しておくとよいでしょう。再送や再交付はしてもらえません。

必要となる書類の取得もしておこう

登記後に文書を取得する法務局

登記の完了が確認できたら、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」と「印鑑登録証明書(印鑑証明書)」を取得しておきましょう。

銀行で法人口座を開設する時や、税務署への各種の届け出をする際などに、登記事項証明書の提出が必要となることがあります。

登記事項証明書は法務局の窓口だけでなく、郵送、オンラインでも請求可能です。

各種手続きの際には印鑑証明書を求められるケースもあるので、これも準備しておくとよいでしょう。個人ではなく法人の印鑑証明書が必要となります。

印鑑登録証明書の取得手続きについては、こちらの記事で説明しています。

登記申請は委託することも可能です

登録申請の委託

ここまで登記申請の流れなどについて説明しましたが、定款作成から登記申請まで、会社設立の一連の流れは簡単な作業とは言えません。

不備なくスムーズに手続きを済ませるには、専門家に委託するのが得策です。

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