大きな夢を抱いて、事業をスタートさせることを決意したあなた。もう、まとめましたね?創業計画書。
「紙に描いた創業計画書なんていらない!全部自分の頭に入っている」なんておっしゃる方は少数派であることを切に願います。
なぜなら、あなたの事業の行方を決めるのは、開業前にいかに綿密に創業計画書を創り上げられたか?による、といっても過言ではないからです。
創業融資を受けたいと考えているなら、創業計画書の提出は必須です。
目次
創業計画書が必要になるのはどんな時?
日本の創業者にとって大きな味方となってくれるのが、「日本政策金融公庫」や「自治体」などからの創業融資です。
創業前もしくは創業したばかりの事業者(=税務申告2回目未満)だけの「無担保」「無保証人」という融資制度です。
また、かなりまとまった融資金額を受けることが可能で、日本政策金融公庫の「新創業融資」の場合は上限3,000万円となり、事業者の信用力のみの貸付金額としては、破格ともいえる融資金額です。
そして創業融資を受けるなら、返済計画と直結した創業計画書はかならず必要になります。
返済の当てもない事業者に、大金を融資するわけにはいかないからです。
しかし創業融資を受けなくとも、事業展開プランと資金繰りや業務スケジュールを組み立てておくことは重要です。
創業計画書と事業計画書とは違う?
事業における計画立案とは、経営者が考えやアイデアを整理して事業戦略を練るために行うもの。
事業規模などによって差異はありますが、まったくのノープランで事業を継続する事業者はまずいないでしょう。
創業計画書も同様に、事業プランを文章にまとめたものですが、特に考えを練り綿密な計画を立てる必要な個所があります。
まず自分自身のスキル、そして事業遂行出来る論拠をまとめておくことです。
過去の経験や培ったスキルをアピールし、どのようにして事業を展開し、成功する可能性を示す論拠を示す必要があります。
次に創業融資以外の自己資金です。
たとえ少額でも、創業時に事業のための自己資金を用意することは、非常に重要です。
創業融資においても、融資されたお金をそのまま借金返済などに流用する申請者が少なくないため、自己資金の保有の有無については重視されます。
おかがでしょう。創業計画書の重要性がお分かりいただけたでしょうか。
この記事では、具体的な創業計画書の書き方や、創業計画書を準備することの重要性についてお伝えします。
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創業計画書の具体的な書き方とは?
自分の描く事業のイメージを、具体的に文字や数字で確かめてみましょう。
創業計画書は借入の際の説明資料として必要ですが、自分のやりたいことが実現可能なのかを明らかにすることにも役立ちます。
日本政策金融公庫のホームページに掲載されている創業計画書フォーマットを例にして、書き方ポイントをまとめてみました。
【参考:日本政策金融公庫 借入申込書等ダウンロード】
1.創業の動機
創業の目的と動機について整理します。
自分が事業をしたいと考えたいきさつや、よい店舗物件を見つけたなど、きっかけとなった事柄を記載します。
2.経営者の略歴 等
自分の略歴についてまとめます。
スキルなどをアピールする根拠となります。
3.取扱商品・サービス
事業で取り扱う商品やサービスをわかりやすく説明します。
一般的に流通していない類のものを扱う場合には、商品説明や利益を得る仕組みをフロー図にして、わかりやすく伝える工夫が大切です。
4.取引先・取引関係
商品やサービスを購入してもらえる、確定した取引先がまだないことは、創業時点では至って普通です。
しかし、顧客ターゲットを想定した内容を記載しておくと、売上数字に信頼性が高まります。
ある程度の顧客層は、創業時からイメージしておきましょう。
5.従業員
創業時から、従業員を雇用する必要がある場合も往々にしてあります。
賃金やシフト計画などは前もって入念に考えておきましょう。
開業前の従業員トレーニングにかかる費用は、開業費として控除対象となりますから、厳密に仕分けしておくように注意しましょう。
また雇用については、社会保険などの手続きが必要となります。
6.借り入れ状況
資金繰りが苦しくなる大きな理由に、「借入金の返済」があります。
しかも事業主の財布から出されるおかげで、費用として計上されない現金での支出が多くなっているケースが多々あります。
帳簿上からは黒字に見える事業主も、借り入れ返済ウエイトが大きく支払いに回す資金が不足する場合も往々にしてあります。
7.必要な資金と調達方法
創業融資とは、創業を無条件に支援するというスタンスの融資ではありません。
あくまでも事業を成功させるため不足資金を融資することで、我が国の産業を支えてきた中小企業になる予定のあなたをサポートしますよ、というスタンスです。
ですので、創業に必要な資金総額すなわち「設備資金+運転資金」は、「自己資金+借入金」が一致しているはず。
筋の通らない融資依頼はまず審査を通過できないと覚えておきましょう。
8.事業の見通し
創業計画書の中でも一番重要な下りとなるのが事業の見通しの記載です。
スタートとなる「創業時」そして安定時期に入った「事業が軌道に乗ってから」の2パターンを作成するとわかりやすいでしょう。
おおよその目安ですが、個人事業主の場合は利益から返済額を差し引いた最終利益すなわち生活費が20~25万円は確保したいところです。
住宅ローンなどの借り入れ状況によりますが「生活が成り立たない」計画の場合は、融資が成立する可能性は低くなると考えておいたほうがベターです。
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創業計画書で事業の見通しを立てる「事業展開をイメージ」
事業の見通しを予測し、 創業計画を立てることで、自己資金額の把握、創業融資の見通しがつきやすくなります。
自己資金をどれだけ調達できるかを確認しながら、同時に融資計画のプランを練り、資金繰りを回していくことは事業回転の基本。
しかしあまりにも無理のある資金計画は無謀です。
また、創業計画書は後々のモチベーション維持にとても大きな支えとなってくれます。
創業時は思うように事が運ばないことがほとんど。
お客が来なかったり、従業員が入社すぐやめてしまったり、とがっかりすることも少なくないでしょう。
そんなとき、意欲と希望に満ち溢れた創業時の自分を思い出すことで又気持ちを奮い立たせることに役立つはずです。
創業計画書には、あなたの事業への熱意と決意が記されているのです。
創業計画書の作成は重要な準備のひとつと心得よう!
ひとたび起業への夢が膨らんだら、なんとしても事業をスタートさせたいという気持ちは止められません。
どうしても自分が世の中に提供したいこと、人々に喜ばれる=儲かるアイデアであることの確信があるのなら一歩前進!ぜひチャレンジしてみましょう。
企業を支援する体制が整っている現在においては、実現しない手はありません。
思い描いた事業を、いかにして実現していくかを表したものが創業計画書です。
- 創業計画書は創業融資に必要になる
- 事業計画を再確認するよい機会になる
というメリットがあります。
まとめ
金融機関や役場で創業計画書の内容を担当者に説明することは、
- 計画に無理がないか
- 自分の考えに落ち度はないか
- 必要な手続きを把握しているか
などについて、もう一度振り返り確認するにもよい機会となります。
このように、綿密にプランを立ててゴールまでの道のりを常に把握するためにも、創業計画書の作成は必要不可欠な作業であるといえるでしょう。
創業融資を受けないという場合にも、創業前には必ず創業計画書をまとめることをおすすめします。