スタートアップにおける資金調達手段としては、融資を受けることが代表的です。
融資を受けることで、自身で経営権を保持したまま資金調達を行えます。
とはいえ、事業が安定している一般企業とは異なり、融資を受ける際には多くの注意点が存在します。
この記事では、スタートアップ企業の事業段階における資金調達方法および融資金額、融資を受ける際の注意点などをまとめました。
目次
自社の事業段階によって融資金額は異なる
スタートアップでは、いかにして事業に必要な資金を調達するかが成功を大きく左右するポイントです。
また、ひとことにスタートアップといっても、事業に必要な資金は各社で異なるうえに、その会社の事業段階によって適切な資金調達方法や融資を受けられる金額が異なる点にも注意しましょう。
融資を受けられる金額は、一般的に以下の事業段階ごとに変化します。
- 創業期
- 安定期
- 成長期
まず初めに結論から記載しますと、上記のうち、
創業期における融資金額の目安は「自己資金の3倍程度」
安定期では「月商の3倍程度」
成長期では「前期の年商程度」
以上が、それぞれ融資金額の大まかな目安とされています。
各段階における資金調達方法および融資金額については、次章より詳しく解説していきます。
創業期の資金調達の場合
創業期とは、起業前もしくは起業直後(軌道に乗る前段階)の時期のことです。
創業期では、国が100%出資する日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の利用を検討すると良いでしょう。
新創業融資制度とは、実績よりも将来性を重視して創業に必要な事業資金を最大で3,000万円(うち運転資金が1,500万円)まで融資してもらえる制度のことです。
主なメリットとしては、「原則として担保や保証人が不要」「希望すれば代表者が連帯保証人になれる」「申し込みから1カ月程度(最短で2週間)で融資が実行される」点などが挙げられます。
この制度を利用するには、最低条件として融資額の1/10の自己資金が求められますが、返済のバランスを考慮すると3分の1以上の自己資本比率を確保しておくことが望ましいとされます。
言い換えれば、融資金額は自己資金の3倍程度に留めておくと良いでしょう。
ちなみに、売上実績を十分に持たない創業期には、あえて小さく取引を始めて返済実績を作っておき、次回の取引で融資枠の拡大を狙う方法も有効策です。
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安定期の資金調達の場合
安定期とは、事業が開始されてある程度軌道に乗り始めた時期のことです。
安定期に入り1期以上を終えた段階であれば、実績次第で民間金融機関など融資を受けられる選択肢が増えます。
民間金融機関とは文字どおり民間の資本で運営されている金融機関のことであり、銀行・信用金庫・信用組合・リースや信販会社などのノンバンク・証券会社などが代表例です。
いずれの金融機関を利用する場合でも、融資金額の目安は平均月商の2〜3倍程度と考えておきましょう。
例えば、年商が4,800万円の企業では平均月商が400万円であるため、融資金額の目安は800万円〜1,200万円と求められます。
最近では将来性のあるスタートアップ企業に融資を行う民間金融機関が増加傾向にあるため、融資の選択肢として積極的な検討をおすすめします。
成長期の資金調達の場合
成長期とは、組織が確立し業績の急上昇によって追加で運転資金が必要となった時期のことです。
この時期には、多くの企業で株式公開(上場・IPO)やM&Aを視野に入れた事業運営が開始されます。
融資金額の目安は、前期の年商程度です。
なお、この段階で初回の融資を受けるというケースでは、金融機関などが慎重な態度を示す可能性が高いため注意しましょう。
スタートアップの資金調達で注意するべきポイント
スタートアップの企業が資金調達を行う際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 創業時は出来るだけ自己資金を多く用意する
- 事業段階に応じて融資金額の目安は変わる
- 「事業計画書」で緻密な資金調達計画を立てる
- 専門家(認定支援機関など)のサポート活用で融資成功率アップ
それぞれのポイントについて順番に詳しく解説します。
創業時は出来るだけ自己資金を多く用意する
スタートアップの創業時には、可能な限り自己資金を多く用意しておきましょう。
日本政策金融公庫や自治体などの融資制度を利用する際は、自己資金の多寡が非常に重視されており、重点的にチェックされる要素です。
仮に自己資金が不足していても、創業計画書の内容がしっかりしていれば、創業資金の融資に成功できる可能性は十分あります。
とはいえ、自己資金が多ければ、それだけ審査が有利になるのも確かです。
なぜなら、仮に必要資金をすべて借金で賄ってしまうと、将来的にスタートアップの事業で資金ショートを起こす可能性が高いためです。
そのため、自己資金が少ないほど、資金繰りの破綻リスクが高いと判断されやすくなります。
また、自己資金が不足していると、審査担当者から、「スタートアップの起業準備の努力や計画性が足りない」と判断される傾向があるため注意しましょう。
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事業段階に応じて融資金額の目安は変わる
前述のように事業段階に応じて、融資金額の目安は大きく変動します。
あらためて融資金額の大まかな目安をまとめると、創業期では「自己資金の3倍程度」、安定期では「月商の3倍程度」、成長期では「前期の年商程度」です。
この点を踏まえて、自社で受けられる融資金額を把握しながら事業計画を策定し事業の推進を図りましょう。
「事業計画書」で緻密な資金調達計画を立てる
スタートアップ期に融資を受ける際は、事業計画書において緻密な資金調達計画を立てる必要があります。
特に日本政策金融公庫の新創業融資制度では、事業計画書をもとに「起業するビジネスで利益を得られるのか」や「返済が遅れないか」といった点がチェックされます。
ここでは「融資を行う資金の使い道が適切であるかどうか」も判断されるため、目的および根拠のある金額を提示しつつ、スタートアップの事業に必要な支出であることをアピールしましょう。
ちなみに、融資を受ける際は、経営者個人の信用情報も大切な判断材料です。
例えば、「過去の借入を踏み倒していないか」「税金を滞納していないか」などの観点で審査されます。
専門家(認定支援機関など)のサポート活用で融資成功率アップ
これまで紹介したように、スタートアップ期に融資を受けるためには、綿密な事前準備・計画の策定などが必要不可欠です。
準備不足の状態で漠然と進めていると融資を受けられず、事業運営に支障をきたすおそれがあるため、融資の成功率を向上させたいならば専門家のサポートを受けましょう。
とはいえ、専門家選びで悩んでしまう経営者の方も多いです。
その際は、「認定支援機関」である専門家に絞って相談先を決めると良いでしょう。
認定支援機関とは、中小企業が経営相談などをする相談先として、専門的知識や実務経験が一定レベル以上に達している者として国に認定されている機関です。
スタートアップの融資に関する相談先としても適している専門家であるため、積極的に利用を検討しましょう。
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まとめ~自身の事業段階に応じて適切な融資金額を選択~
この記事では、スタートアップにおける資金調達方法および融資金額、融資を受ける際の注意点を中心に解説しました。
出資とは違い、融資では株主の干渉を心配せずに事業を推進できます。
その一方で、融資では原則として毎月の返済が必要となるうえに、利息の支払いが発生する点もデメリットです。
上記に加えて、スタートアップでは、「創業期」「安定期」「成長期」という3つの事業段階によって融資の金額が大きく異なる点にも注意しましょう。
そして、スタートアップが融資を成功させるには、事前準備が大きなカギを握っています。
もしもスタートアップで融資を受ける際の準備に不安がある場合には、起業準備の一括サポートを手掛ける認定支援機関である「Bricks&UK」にお任せください。
競合の激しい飲食業界で生き残りをかけるためには、あらゆる手段を用いて、用意周到に事を進める必要があります。
必要があれば、専門家のコンサルティングに頼るのも良い手段です。
客観的な意見も参考にしながら、開業準備を進めていきましょう。
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