コロナ禍での起業は厳しい?創業融資は受けられる?

コロナ禍での起業は厳しい?創業融資は受けられる?
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いまだ世界経済に大きな影響を及ぼし続ける新型コロナウイルス。
そのような状況にあっても「起業」を志す方はいるはずです。
現在、起業をとりまく環境にはどのような影響がでているのでしょうか?
また創業融資を受ける難易度はコロナ以前から変わっているのでしょうか。

この記事では、コロナ禍における創業融資の状況をはじめ、融資審査で引っかかりがちなポイントや融資を獲得するための工夫、その他の注意点など、幅広い視点で解説します。

「起業」にはどんな影響が出ているか

まずは、コロナ禍がもたらしている起業への影響について解説します。

2020年に始まった新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、依然として様々な業界の企業に波及しています。
これに伴い、起業・創業を考える人たちにも大きな影響が出ています。

日本政策金融公庫が実施した「2020年度新規開業実態調査」によると、2020年7月の調査時点において、新型コロナウイルス感染症でマイナスの影響を受けたと回答した開業者は80%を超えています。

なお、マイナスの影響を受けた割合を業種別に見ると、「飲食店・宿泊業」が97.4%と最も高く、次いで「教育・学習支援業」は94.7% 、「運輸業」は92.7%と、いずれも9割を超えている状況です。

また、新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響を内容別に見ると、「売上が予定より減った」が82.3%と最も高く、次いで「利益が予定より減った」は61.8%、「営業を一部自粛した」は38.6%でした。

以上のデータから、コロナ禍が起業に及ぼす影響がいかに甚大であるかがうかがえます。

コロナ禍でも「創業融資」は受けられるのか

この記事では、日本政策金融公庫の運営する「新創業融資制度」を前提に述べます。
新創業融資制度とは、新たに事業を始めるため(または事業開始後すぐ)に必要となる設備資金・運転資金を融資してくれる制度ですが、結論としてこの制度を利用して創業融資を受ける際の難易度はコロナ以前と比較して高まっている状況です。

これには、現在、日本政策金融公庫が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」というコロナ禍の影響で業績悪化に陥った既存の事業者への融資を最優先に行っている事情も関係しています。

特にコロナ禍の影響を大きく受けている飲食業宿泊業では、融資審査が厳しくなる傾向にあるため注意が必要です。
具体的には、コロナの影響によって融資自体が受けられなかったり、融資が減額されてしまったりしたというケースが目立っています。

こうした状況を踏まえて、次章からはコロナ禍における創業融資の審査で着目すべきポイントを解説します。

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コロナ禍での融資審査で失敗するポイント

コロナ禍において融資審査に引っかかってしまうポイントとして、主に次の5つが挙げられます。

  • 自己資金が少なすぎて熱意が伝わらない
  • 事業計画に客観的な根拠がない
  • 信用情報にマイナス情報が記録されている
  • 業界経験が乏しい
  • 面談での印象が良くない

それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.自己資金が少なすぎて熱意が伝わらない

創業融資を受ける際、自己資金の有無および多寡は重大な審査ポイントのひとつです。

創業融資の審査では、自己資金の金額から、開業者(申込者)のこれまでの計画性が判断されます。
そのため、これまで貯蓄してきた自己資金の額を示した上で、自身の具体的な計画を示し、不足分を創業融資で賄いたい姿勢を見せることが大切です。

ただし、自己資金が少なすぎると、創業に対する熱意が伝わらずに、融資を受けにくくなります。
自己資金の金額はどれだけ「起業」に熱意をもって事前準備をしてきたかのバロメーターになるからです。
自己資金が少ない場合は、その理由を明確に答えられるようにしておいたり、資金はなくとも計画は着実に立ててきたことをアピールしたりしましょう。

また、創業融資として妥当な金額を申し込むことも大切です。
用意すべき自己資金の目安については、後述いたします。

2.事業計画に客観的な根拠がない

事業計画に客観的な根拠がないと、創業融資が受けられなくなる恐れがあります。

特に過去に開業した経験がある場合、これまでの経験を踏まえて計画を作成する方が多いですが、経験に基づいただけの内容では金融機関から楽観的な事業計画であると判断されてしまうケースも少なくありません。

創業融資を受ける際は、事業計画に客観的な根拠を持たせる必要があります。
当然ですが、金融機関側も100%計画どおりに進むとは考えておらず、提出される事業計画にはあくまでも客観的な根拠を求めているのです。

具体的には、すでに集めている顧客リストや取引先からの受注書・見積書などが、今後の売上計画の客観的な根拠を示す資料として有用となります。
また、コロナ禍においても売上が確保できることを示すための根拠も必要です。
取引先が複数存在することなどを説明できれば、融資担当者からの評価が高まるでしょう。

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3.信用情報にマイナス情報が記録されている

日本政策金融公庫の新創業融資制度に限らず融資審査では、申込者の個人信用情報が必ず照会されます。

ただし借入やローンがあると絶対に融資してもらえないかというと、必ずしもそうではありません。
例えば、「債務整理を行った後で期日どおりに返済し、すでに完済している」という過去がある場合、自己資金・経験・事業計画に問題がないと判断されれば、創業融資を受けられる可能性も高いです。

これに対して、支払いが頻繁に遅れていたり、直近の返済に遅れが見られたり公共料金や税金に滞納があったりすれば、創業融資の利用は困難です。

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4.業界経験が乏しい

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合、6年以上の業界経験を積んでいることが望ましいです。
そのため、業界経験が乏しい場合、コロナ禍で他に困っている事業者が多い状況を鑑みると、融資審査には通らないおそれが高いと考えられます。

特に、フランチャイズに加盟して事業を始める場合は業界未経験の方が多く、融資を断られてしまうケースも。
また、フランチャイズ本部に頼って理解の足りないまま事業計画を作成してしまうと、融資担当者からの質問に答えられないといった状態になりがちなため注意しましょう。

業界経験が乏しい場合には、創業までに短くとも1年以上の経験を積み、その後に創業融資の利用を検討することをおすすめします。

5.面談での印象が良くない

ここまで紹介した以外にも、次に紹介するような面が見られれば、融資面談時に担当者に与える印象が悪くなり、審査をクリアできないおそれがあります。

  • 自己資金について疑わしい入出金があった
  • 創業の動機が不十分だった
  • 新型コロナウイルス感染症への対策が不十分だった

自己資金について疑わしい入出金、とは、出所が不明なお金だと判断されるようなケースです。例えば預金残高がほとんどない状態だったにも関わらず、直近の数カ月間で急激に残高が増えていたり、数十万円や100万円単位のまとまった入出金が頻繁にあったりする場合が当てはまります。

また、創業の動機としては、例えば既存の事業者が抱える問題点への解決策を具体的に説明するなど、自分が何をしたいか、自分ならどのようにして計画を実行・成功できるかの合理的な説明で担当者を納得させる必要があります。

コロナ禍での創業に懐疑的な姿勢を取る金融機関に対して、この時期に創業すべき理由をわかりやすく伝える準備をしておきましょう。
そして、根拠なく楽観的だったり感染症への対策が不十分な状態だったりしてしまうと、担当者の質問に答えられなかったり見通しが甘いと判断されたりして低評価につながるため注意が必要です。

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融資を獲得するために必要なこと

コロナ禍で市場が停滞している現在、金融機関に返済に関する不安を抱かせないよう、効果的なビジネスプランを立てなければなりません。

そこで本章では、コロナ禍において融資を獲得するために必要な工夫として、次の4つを例に取り上げます。

  • デリバリーやネット販売など、新たな仕組みを取り入れる
  • 感染症対策をしっかり立てる(実店舗型の場合)
  • 先払い予約システムを導入する
  • テレワークを行う顧客に対するサービスを展開する

それぞれの工夫について順番に詳しく解説します。

1.デリバリーやネット販売など、新たな仕組みを取り入れる

これは、当面の間は席数を6〜7割程度に抑えつつ、土日はデリバリーを中心にした売上を想定したうえで、デリバリー専用メニューの開発などを行う施策です。
思い切って「ゴーストレストラン」や「クラウドキッチン」などと呼ばれる、客席のないデリバリー等の専門店にしてしまうのも選択肢の1つです。

また、ネット販売で全国からの注文に対応する施策も効果的です。
ネット販売は飲食店に限らず、ほとんどの小売店で導入が可能な施策と言えるでしょう。

こうしたデリバリーやネット販売などの施策を講じると、時短営業要請への対応にもなりますし、コロナ禍で外出に抵抗のある消費者への訴求効果も高められます。

2.感染症対策をしっかり行う(実店舗型の場合)

実店舗での開業なら、感染症対策を確実に講じる必要があります。
特に、検温や3密回避のための設備や機器の導入は必要不可欠です。

また、ロボットやアバターを用いた非接触な接客システムの導入も有効でしょう。
感染症対策が万全であることを顧客にアピールし、安全・安心への意識が高い店舗であることを理解してもらうことが必要です。

3.先払い予約システムを導入する

飲食店や美容室など継続的なサービスの利用が見込める業態では、先払い予約システムの導入を検討しましょう。

事業者としてはキャッシュを前受けできるほか、利用客のリピーター化も期待できます。
利用客としても贔屓の店舗を応援する意図を示す手段やコロナ禍収束後の予定として予約をしておくことで通常よりお得な価格で利用できるなど、双方にとってメリットが見込めます。

4.テレワークを行う顧客に対するサービスを展開する

最近ではテレワークを行う人のニーズに応えて、多くのビジネスホテルが専用のプランを開始するなど人気を博しています。
また、PC端末のレンタルを行う企業も増加傾向にある状況です。

このように、コロナ禍あるいはアフターコロナにおいても需要の高まるサービスに着目することで、金融機関に対して売上が見込める根拠をアピールできます。

コロナ禍での創業融資はここに注意

最後に、コロナ禍に創業融資を利用する際の注意点として、次の4つを取り上げます。

  • できるだけ自己資金を多く用意する
  • 信用情報にマイナス情報がないか事前チェック
  • 「事業計画書」で緻密な資金調達計画を立てる
  • 専門家(認定支援機関など)のサポート活用で融資成功率アップ

それぞれの注意点を順番に詳しく紹介します。

1.できるだけ自己資金を多く用意する

コロナ禍での創業を目指す場合、できるだけ自己資金を多く確保しておきましょう。

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合、自己資金の多寡が非常に重視されており、重点的にチェックされる要素です。
新創業融資制度では、融資希望金額の10分の1の自己資金が求められます。

とは言え、これはあくまで最低限の規定なので、コロナ禍の状況を鑑みると、自己資金は融資希望額の3割〜5割を目安に準備しておくと良いでしょう。

2.信用情報にマイナス情報がないか事前チェック

前述したように、コロナ禍に創業融資を受けるうえで、申込者の信用情報は審査対象に該当します。

もしも申込者の過去の借入について、支払いが頻繁に遅れていたり、直近に遅れが見られたりするならば、創業融資の利用は非常に困難です。

自身の信用情報に不安がある場合は、事前に「CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)」などの信用情報機関に問い合わせて状況を確認しておきましょう。

3.「事業計画書」で緻密な資金調達計画を立てる

コロナ禍に創業融資を受ける際は、事業計画書において緻密な資金調達計画を立てなければなりません。
特に新創業融資制度では、事業計画書をもとに「創業するビジネスで利益を得られるのか」「事業に将来性はあるか」「返済が遅れないか」などの点がチェックされます。

また「創業融資を行う資金の使い道が適切であるかどうか」も判断されるため、目的および根拠のある金額を提示しながら、コロナ禍での創業に必要な支出であることをアピールしましょう。

4.専門家(認定支援機関など)のサポート活用で融資成功率アップ

これまで紹介したように、コロナ禍の状況で創業融資を受けるためには、綿密な事前準備・計画の策定などが必要不可欠です。
準備不足の状態で漠然と進めていると創業融資を受けられない可能性が高いため、創業融資の成功率を向上させるには専門家のサポートを受けるのが得策です。

とはいえ、専門家をどう選べばいいのかわからない方も多いでしょう。
その際は、「認定支援機関」である専門家に絞って相談先を決めることをおすすめします。

認定支援機関とは国に認定されている機関です。中小企業が経営相談などをする相談先として、専門的知識や実務経験が一定レベル以上に達していると認められたところばかりです。
コロナ禍における創業融資の相談先としても適しているので、積極的に利用しましょう。

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まとめ

コロナ禍での起業は厳しい?創業融資は受けられる?

この記事では、コロナ禍における創業融資の状況をはじめ、融資審査で引っかかりがちなポイントや融資を獲得するための工夫、その他の注意点などについて解説しました。

2021年4月現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はさまざまな業界の企業に波及しており、創業を考える人たちにも大きな影響をもたらしています。
日本政策金融公庫の運営する制度をはじめ、創業融資を受ける際の難易度も、以前と比べて高まっています。

そのため、失敗しがちな点や融資を獲得するためのポイントを把握したうえで準備を進めていきましょう。
コロナ禍において創業融資を受けるには、事前準備が大きなカギを握っています。

創業融資を受ける際の準備に不安がある場合には、創業準備の一括サポートを手掛けている認定支援機関である「税理士法人Bricks&UK」におまかせください。

Bricks&UKでは、創業時の資金調達サポートや事業計画書の無料診断などで、コロナ禍での創業を支援しております。
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