
ネイルやまつげエクステンション(まつエク)サロンは、 美容系の中では開業費用が比較的安く済むため、独立開業を目指す人が多い業種です。美容室やエステサロンのような大がかりな機材や設備が必要ないからです。
従業員を雇わず自分ひとりで営業すれば、人件費も節約できます。自宅や他の店舗の間借りで開業すれば、初期費用だけでなく家賃や光熱費などランニングコストも抑えられます。
とはいえ、費用面だけでなく経営についてもしっかり考えておかなければ、上手くいくのは難しいもの。
せっかく開業したものの知り合いしか来てくれない、なんてことになりかねません。
この記事では、ネイルサロンやまつエクサロンの開業について、店舗や設備選びのコツや注意点などを解説します。

目次
開業に必要な資格はある?

まずは改めて、ネイルサロンやまつエクサロン(アイリスト)が開業するのに必要な資格について見ておきましょう。
ネイリストに必要な資格
結論から言うと、ネイリストに必須の資格はありません。
ただしもちろん、安心して施術を受けてもらうには知識や経験、高い技術が必要です。スキルの証明として、民間資格を持っている人も多くいます。
ネイリストになるには、美容専門学校のネイリストコースやネイル専門のスクールを卒業し、検定試験の合格を目指すのが一般的。
ネイルサロンに勤務しながら実務経験を積み、独学で検定試験を受ける人もいます。
なお、民間団体の発行する資格としてよく知られているのが、公益法人日本ネイリスト協会(JNA)の「ネイリスト技能検定試験(1級・2級・3級)」。国内でもっとも歴史の長い検定試験です。
他にもさまざまな技能検定試験や資格試験があるので、 経験を積みながらスキルアップしていくのが良いでしょう。
アイリストに必要な資格
まつエクサロンなどアイリストとして業務を行うには、美容師免許を持っている必要があります。
かつてまつげエクステは、資格がなくても施術できました。
しかし、無資格での施術・接客レベルの低さにより消費者とのトラブルが続出。
2008年3月に厚生労働省から「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」という通達が出され、美容師免許が必須となりました。
ちなみに従業員が常に2人以上いるサロンでは「管理美容師」も置く必要があるので注意してください。
管理美容師の資格を取るためには、次の条件を満たす必要があります。
- 美容師の実務経験が3年以上あること
- 都道府県知事指定の講習会を受講すること
試験はなく、講習をすべて履修した後にレポートを提出すれば資格が取得できます。
ちなみに国家資格である美容師免許を取得するには、「美容師国家試験」に合格しなければいけません。
受験には、国の定める「美容師養成施設」を卒業する必要があります。
また、民間団体によるアイリスト向けの資格も複数あります。
アイリストとしての資格は必須ではないものの、名刺などに記載できればお客さんからの安心感にもつながります。持っておいて損はないでしょう。
ネイルやまつエクの店舗に最適な立地とは

店舗を選ぶ際には、ターゲットとする客層に合った立地であることが重要です。
公共交通機関を利用する人たちか、車やタクシーを利用する人たちか。周りにどんな店舗があるか、近隣住民の生活レベルはどんな感じかなども見て、ベストな場所を探す必要があります。
サロンは自宅でも開業可能です。賃貸物件(テナント)でなく自宅で始めようか悩む人も多いですよね。
店舗型・自宅型それぞれのサロン運営の違いやメリット・デメリットも見ておきましょう。
店舗型(テナント)で開業する場合
賃貸のテナントを借りて開業する場合は、 目安としておおよそ100〜300万円前後の費用がかかります。この額は家賃や内装工事代、家具代などによって大きく変動します。
テナントで開業するメリット
賃貸物件を利用するメリットには、次のようなものがあります。
- 顧客ターゲットに合わせた地域・立地が選べる
- 新規の集客がしやすい
- 不特定多数に向けた店舗の宣伝がしやすい
- 私生活と仕事の切り替えができる
ネイルやまつげエクステでガッツリ稼ぎたいと思っている人にとっては、テナント型のサロンの方がやり甲斐を感じられるでしょう。プライベートとの区別がしっかりできることもポイントです。
テナントで開業するデメリット
ただしテナントでサロンを開業することには、次のようなデメリットもあります。
- 初期費用が高く借金が必要となるケースもある
- ランニングコストがかかる
賃貸物件を選ぶと、とにかくネックになるのが賃料です。
入居の際には敷金や礼金、月々には家賃の支払いが必須です。
しかしそれを上回る利益が出せれば、サロン経営は面白くなります。
自宅型でサロンを開業する場合
自宅で開業する場合は、施術器具や家具の購入、内装費などで30万円〜100万円程度が必要です。
すでに施術する道具が揃っていれば、0円で開業することも可能です。
自宅でサロンを開業するメリット
自宅サロンのメリットには、次のようなことが挙げられます。
- 月々の賃料がかからない
- 自分のペースで仕事ができる
- 家事などとの両立がしやすい
- 内装工事などで理想に近づけやすい
- 通勤時間が不要で急な予約でも対応しやすい
いわゆる「家賃」が不要なのは、自宅サロンの大きなメリットです。通う必要がなければ交通費や通勤時間もかかりません。子どもがいる人も比較的安心できるでしょう。
自宅サロンから始めて顧客が増えたら、テナントでの開業を検討する、というのもおすすめの方法です。
自宅サロンで開業するデメリット
自宅での開業にはメリットもありますが、同時に次のようなデメリットもあります。
- サロンに生活感が出がち
- 仕事と私生活の区別が付けにくい
- 新規のお客様の獲得が難しい
- 駐車などでご近所トラブルのおそれもある
- 賃貸では営業不可のところも多い
自宅での開業といっても、生活する空間とサロンの空間とは分けることになります。とはいえ、生活音や家族の声、においなどで生活感が出やすいデメリットがあります。
また、自宅が賃貸の場合は、商業での利用が不可能なケースも多いです。分譲マンションであっても、必ず契約内容を確認してください。
さらに、自宅に不特定多数の人が訪れるため、駐車などに関して近所から苦情が来ることも。あらかじめ知らせて理解を得ておくなどの対処をしておきましょう。
自宅での開業については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
ネイルサロン・まつエクサロンの店舗づくりのコツ
ネイルサロンの店内は、衛生面に十分配慮しなくてはいけません。
清潔さを保つため、こまめに掃除しましょう。ネイルは爪やジェルなどを削る作業も多いので、掃除のしやすさを考えた店づくりも必要です。
物件選びの際も、窓の大きさや数、換気状態、トイレが汚かったり暗かったりしないかなどをチェックしてください。
サロンにはゆっくりと過ごしたい女性が集まります。癒しのある、非日常的な空間を作る工夫も大切です。
内装や調度品などのデザインはもちろん、家具などの配置による動線や視界にも注意が必要です。アロマや間接照明、BGMなど「視覚」以外でも演出しましょう。
ネイルサロン・まつエクサロンに必要なもの(設備・備品)
ネイルサロン・まつエクサロンの開業に必要な設備・備品には次のようなものがあります。
- 施術用のテーブル・スツール
(まつエクの場合はリクライニングチェアやベッド) - ピンセットなど施術に必要なツール類
- コットンなど施術用の消耗品類
- カーテンや間仕切り
- 待機スペース用のスツール
- 荷物置き用のラック
- 手元用の照明
- 鏡
- スタッフ用・客用スリッパ
- エプロン
- タオル類
- 集塵機、掃除用具
- 電話
- パソコン
- エアコンなどの空調設備や空気清浄機
- CDプレーヤーなどBGM用のツール
- お客様用の飲み物、雑誌
どんなメニューを取り入れるか、どんなサービスを行うかによって、用意すべきものも変わってきます。必ず紙に書いてリストアップし、必要となる資金を正しく試算しましょう。
他にも、準備しておくといい物や徐々に増やしていくとよい物として、次のような物が挙げられます。
- テレビ
(施術中や待ち時間にMVや映画が見られるように) - フットバス・フットマッサージ器
(ネイル施術中のサービスとして利用) - レジ・レジカウンター
(iPadなどを利用したタブレットレジを含む)
営業をしながら「これもあるといいな」と思った物があれば増やしていくのもよいでしょう。
ただし物を増やしすぎると空間にゆとりがなくなり、リラックス感を損なう原因にもなり得ます。ほどほどにするのがおすすめです。
まとめ

ネイルやまつげエクステサロンは、美容院や全身を対象にしたエステサロンなどに比べれば開業資金が抑えられ、金銭的に少ない負担で始められます。
ただし継続して稼いでいくのは難しい業界でもあるので、しっかりとした経営計画を立てることも重要です。
まずはどんなサロンをオープンさせるのか。コンセプトや客層を決めたら、それに合うサロンの空間を整えましょう。SNSなども活用して効率よく集客活動も行い、リピーターも増やして安定的な利益を目指しましょう。
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