近年、働き方の多様化やコロナ渦の影響で、会社に属さずに独立開業を考える人が増えてきました。
不動産業は未経験ながら、「不動産会社を起業したい」と考える人もいるでしょう。
もちろん未経験からでも開業は不可能ではありませんが、経験者と比べると覚えなければいけない知識が多くなります。
では、未経験から開業する場合、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。
今回は、不動産業での開業費用、業界の慣習、おすすめの事業展開の手法など、知っておきたい不動産業界のあれこれを伝授いたします。
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目次
不動産業で必要な開業費用は?
不動産業で独立をする場合、どれぐらいの費用が必要なのでしょうか?
1人で開業した場合を想定して、おおまかに必要な項目と金額を解説いたします。
事務所初期費用 | 約125万円~410万円 | 物件の取得費用、OA機器代、電話開設費用など |
営業保証費用 (法務局への供託金) | 一ヶ所で1,000万円 支店ごとに500万円 | 保証協会に加入すれば本店60万円、支店30万円の分担金で免除 ※全日本不動産協会の場合 |
業界団体への加入費用・年会費 | 1,173,300円 | 全日本不動産協会、不動産保証協会、関東流通センターに加入した計算 |
宅建業免許の申請手数料 | 3万3,000円 | 収入印紙代 |
その他の諸経費 | 約20万円~150万円 | 印鑑・名刺・事務用品、自動車、関連書類の準備 |
営業維持費 | 約60万円~200万円(3か月) | 毎月の家賃や光熱費、通信費、リース料など |
当面の運転資金 | 約100万円~200万円 | 収益を得られるまでの資金 |
個人事業主ではなく会社として開業するのであれば、別途、法人設立費用が必要です。
法人設立費用は「株式会社」にするか「合同会社」にするかで金額が異なります。
ちなみに、不動産会社の平均的な開業費用はおよそ400万円とされます。
知っておきたい不動産業界の慣習
業界内では常識となっていることでも、外から見ると一風変わった慣習だった、ということもよくある話です。
不動産業界にも独特の慣習や特色があり、開業した後は、その点にも注意しながら事業を展開していく必要があります。
以下に代表的なものをご紹介します。
慣習その1 アナログな営業方法が多い
インターネットが発達し、ほとんどの顧客は物件情報をネットから収集しています。
また、IT技術を活用した不動産会社が増えている一方で、従来通りのFAXや電話、飛び込みなどのアナログな営業方法を行っている事業者も少なくありません。
特に、年配の経営者などの場合には、かなりの確率で連絡方法などは、メールではなくFAXや電話でしょう。
ただ、人の心に対してダイレクトに訴えかける方法でもあるため、いまだに飛び込み営業やアポ電を主力としている不動産会社は多いようです。
慣習その2 休日が少なめで長時間労働が多い
不動産の営業はサービス業に当たるため、繁忙期にはろくに休みを取れない辛い日々も多々あります。
世間がお休みの土日は、商談や内見などで来店客が多いので、基本は平日が休日になります。
とはいえ、平日にはたまった事務作業を片付けなければなりません。
金融機関や役所関係の業務は、平日しか 窓口が開いていませんので、平日も稼働することになりがちです。
また、お客様の都合で商談の日時が決められるため、長時間労働になってしまうことも多いでしょう。
休日でも、お客様から問合せがあると対応したり、要請があれば商談に行ったりすることも多いようです。
慣習その3 水曜日が休日
水曜日が休みというのも不動産会社の大きな特徴です。
ほとんどの売買・賃貸仲介会社は、水曜日を中心に平日が休みとなります。
不動産業はサービス業なので土日が稼ぎ時であり、どうしても休日は平日になりがちです。
また、水曜日は、他の不動産会社も休みが多いため、内見や商談のアポが取れにくいこともあります。
なお一説によると、水曜日の「水」に「流れる」というイメージがあるので縁起が悪いことから水曜休みが多いのだとも。
不動産業界は扱う契約が高額なこともあり、「契約が水に流れてしまう」ことを避けたい、ゲン担ぎの意味合いもあるようです。
開業する人におすすめの事業展開の手法
不動産テックを利用する
これから新たに開業する方は、アナログな方法も頭に入れつつ、最新のIT技術を活用した「不動産テック」を利用するのもおすすめです。
不動産テックとは、不動産に関連する事業や業務にIT技術(Technology)を取り入れた、新しいサービスや技術革新の流れを指す造語です。
近年では、IT技術を活用した不動産テクノロジーが進化しており、例えばスマートキーを活用すると、現地に営業マンが行かなくても、お客様が自由に内見することができます。
また、VR技術を利用した内覧方法もあり、遠方にある物件でも、パソコンなどの画面で手軽に部屋の様子が分かるのです。
上手く利用すると、時間や費用、労力をあまりかけずに成約することができます。
不動産投資に必要な基礎知識を身に付ける
不動産業を開業する際には、小規模の会社の場合は「売買・賃貸の仲介」「管理」など、トータル的に営業している会社が多く見られます。
そのため、売買物件を取り扱うことも多いため、不動産投資に必要な基礎知識を身に付けることが必要でしょう。
近年では、サラリーマンの方でも、ワンルームマンションなどの不動産投資を行っている人が多く、株式投資などと比較すると利回りが高く、資産として家族にも残せるため、人気があるのです。
また、会社の資産として不動産を購入して、賃貸収入を得ることも将来的にあるかもしれません。
不動産投資の知識があると、お客様に売る際にも信頼されるようになりますから、ぜひ、知識を身につけておくことをお勧めします。
土日も休みたい人は管理専門や法人向けがおすすめ
土日も休みたい人は、管理専門や法人向けの事業がおすすめです。
管理や法人相手の不動産会社は土日祝日は休みにしている場合も多いので、しっかり休日を取りたい方は、業態を管理専門や法人向けにするの良いでしょう。
ただ、入居者からのクレーム対応など急を要する場合には、もちろん休日であっても即対応しなくてはなりません。
まとめ
今回は、未経験の方むけに不動産業での開業費用、業界の慣習、おすすめの事業展開の手法など、知っておきたい不動産業界のあれこれを解説いたしました。
未経験から不動産業で開業することは不可能ではありません。
実際に、未経験からでも成功を収めている例もたくさんあります。
資格取得や資金の調達、知識・経験の不足など、乗り越えるべき障壁はありますが、事前の業界リサーチをしっかり行って挑戦してみてください。