独立開業を考えていて、ふと「チェーン」と「フランチャイズ」の違いは何か、考えたことはありませんか?
チェーン店とフランチャイズ店は、ともによくある経営形態で一般的には混同されがちですが、実は大きな違いがあります。
そこでこの記事では、「チェーン」と「フランチャイズ」両者の相違点をわかりやすく徹底的に紹介します。
それぞれのメリット・デメリットのほか、開業する際の向き・不向きも紹介しますので、ぜひ役立ててください。
目次
チェーンとフランチャイズ、その他との違い
ここでは、混同されやすい「チェーン」と「フランチャイズ」の違いや、フランチャイズの「直営店」と「フランチャイズ店」の違いを解説していきます。ボランタリーチェーンについても説明します。
まずは、チェーンとフランチャイズの違いから順番に把握していきましょう。
チェーンとフランチャイズの違い
前提知識として、チェーンには、レギュラーチェーン・ボランタリーチェーン・フランチャイズチェーンの3種類が存在します。
つまり厳密に言えば、フランチャイズ店もチェーン店の1つと言えます。
ただ、一般的にチェーン店という言葉が用いられる場合、レギュラーチェーンを意味することが多いです。
レギュラーチェーンとは、同じ(もしくは類似する)商品を取り扱う複数の店舗が1つの資本(企業)のもとに結合され、本社による統一的な経営方針のもとで管理や運営が行われる事業形態を指します。
簡単にいうと、複数のチェーン店の間で、経営方針やサービス内容、メニュー、店舗デザインなどが統一されているのがレギュラーチェーンです。
一方でフランチャイズチェーンとは、フランチャイズ本部と独立事業者などが契約を結び、本部が開発した事業の商標や経営ノウハウなどの権利を与え、加盟店として出店を認める代わりに、ロイヤリティを受け取るという事業形態を指します。
上記を踏まえると、レギュラーチェーンとフランチャイズチェーンの間には、資本と契約の面で大きな違いがあります。
つまり、レギュラーチェーン店は「本社の資本による直営店舗。フランチャイズチェーン店は、本社と店舗経営者が「フランチャイズ契約」を結び、店舗経営者の資本で出店されるものです。
レギュラーチェーン店の事業形態を採用しているチェーンには、次のようなものがあります。
- スターバックス コーヒー ジャパン(STARBUCKS)
- C-United(カフェ・ベローチェ、珈琲館など)
- カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYAなど)
- 東急ハンズ(同名店舗、ハンズビーなど)
- スタイリングライフ・ホールディングス(PLAZA)
これに対して、フランチャイズチェーン店の事業形態を採用している企業の代表例は、次のとおりです。
- ドトールコーヒー(同名店舗、エクセルシオールカフェなど)
- グロービート・ジャパン(らあめん花月嵐など)
- はらどーなっつ(同名店舗、カフェ豆茶など)
- ファミリーマート(同名店舗、ファミマ!!など)
- ローソン(同名店舗、ローソンストア100、ナチュラルローソンなど)
- セブンイレブン・ジャパン(セブンイレブン)
- カインズ(ホームセンター カインズ)
- ボーコンセプト(北欧インテリア雑貨販売 BoConcept)
- ブックオフグループホールディングス(BOOKOFF、B・KIDSなど)
- いーふらん(買取専門ビジネス おたからや)
- HITOWAライフパートナー(おそうじ本舗)
- TRGネットワーク(個別指導塾 トライプラス)
ちなみに、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」や「スタイリングライフ・ホールディングス」のように、レギュラーチェーン店とフランチャイズチェーン店の双方で事業展開を行っている企業も存在します。
それぞれの特徴を見てみると、レギュラーチェーンには飲食業や小売業の会社が多く見られます。
一方フランチャイズチェーンでは、「カフェ・ラーメン屋などの飲食業」をはじめ、「コンビニエンスストア・ホームセンターをはじめとする小売業」や、「買取専門店・ハウスクリーニング店といったサービス業」に至るまで、多種多様な業種が見られます。
フランチャイズの「直営店」と「フランチャイズ店」の違い
レギュラーチェーンとフランチャイズの違いが分かったところで、フランチャイズチェーンにも2タイプあることも把握しておきましょう。
フランチャイズチェーンには、大きく分けて「直営店」と「フランチャイズ店」があり、それぞれに違いがあります。
はじめに、フランチャイズの直営店とは、フランチャイズ本部の出資で開業した店舗のことです。
出資や開業だけでなく、店舗の運営もフランチャイズ本部の自社社員によって行われており、自社の資金によって運営されています。
そのため、もちろんフランチャイズ契約は締結されていません。
フランチャイズの直営店では、さまざまなテストを本部で行える点に大きなメリットが存在します。
一般的には、「チェーン展開を進めていく前に、直営店で運営ノウハウを蓄積し実績を活用してフランチャイズ店を展開していく」といった形をとっている企業が多いです。
これに対しフランチャイズ店は、それぞれの店舗に経営者(オーナー)が存在しており、本部とは異なる法人および個人事業主によって経営が行われています。
フランチャイズ店のオーナーは、すでに確立されている本部のブランドを利用して店舗を運営し、事業の拡大や利益の獲得などを目指します。
ボランタリーチェーンとは
ボランタリーチェーンとは、それぞれ独立した小売店が同じ目的を持った仲間たちと1つの組織を作り、チェーンストア経営を展開している団体のことです。
ボランタリーチェーンにはフランチャイズチェーンと同じように、加盟店を指導するチェーン本部が存在します。
ただし、あくまでも加盟店が主体で、加盟店同士で横のつながりを持っている(相互助成が可能である)点が特徴的です。
つまりボランタリー店と本部の組織は、上下関係ではなく対等です。
チェーンストア経営を行う大きなメリットには、仕入れの集中化による仕入価格のコスト低減が挙げられます。
個人経営などの店舗では、これを実現することは現実的に不可能です。
しかし、チェーンストア経営の展開では、商品の仕入れなどを共同化して経営ノウハウを共有できるため、大口取引による仕入価格の低減・経営の効率化などが実現できます。
また、各加盟店から集められた情報を活用すれば、地域消費者のニーズを店舗運営に反映させやすい点もメリットです。
つまり、ボランタリーチェーンでは、地域の消費者に支持される「適正な価格」や「要望に対応した品ぞろえ」を継続的に提示することで、地域に密着した中小独立小売店の「近隣性」という優位性を最大限に発揮させられます。
ただし、ボランタリーチェーンでは、個人経営とは違って入会金や会費などの費用が発生します。
それぞれの店舗に対する本部の統制力が比較的弱いことから、経営リスクが高いというデメリットも存在するため、開業を検討する際は注意しましょう。
フランチャイズ店のメリット・デメリットとは
本章では、開業する際にフランチャイズチェーン店の経営形態を採用するメリットとデメリットを順番に取り上げます。
フランチャイズ店のメリット
大きなメリットは、人気や知名度のある大手企業のブランドネームを利用しながら、経営基盤をスピーディーに安定させられる点です。
また、本部企業からノウハウや経営指導を提供してもらえるため、店舗運営の経験や実績がなくても一定の収益が期待できます。
さらに、研修制度や業務マニュアルが充実しているケースが多い上に、商品開発やマス広告、接客マニュアルの改善など、すべて本部に手掛けてもらえます。決められたルールに則るだけで店舗運営ができるのです。
そのため店舗経営未経験者でも取り組みやすく、比較的開業のハードルが低い点もメリットと言えるでしょう。
フランチャイズ店のデメリット
フランチャイズ店を選ぶ際のデメリットは、いわば上記で紹介したメリットの裏返しです。
フランチャイズ店を運営する場合、どうしてもブランドの毀損に伴うリスクを背負わなければなりません。
もともとフランチャイズ店は、加盟する本部のブランド力を利用した経営形態です。
そのため、何らかの原因で加盟しているブランドのイメージが低下した場合、自店舗の運営にも悪い影響が及ぶ恐れがあります。
また「ノウハウや経営指導を提供してもらえる」というメリットは、裏を返せば「本部が定めたルールやマニュアルに沿った自由度の低い店舗運営を求められる」というデメリットとして問題視されます。
具体的には、経営者の判断のみでは地域性や客層に合わせた独自メニューの開発やサービスの展開は難しいでしょう。
さらに、計画どおりに売上を確保できなかった場合にも、ロイヤリティとして一定の費用を支払う義務が生じるので注意が必要となります。
チェーン店のメリット・デメリットとは
続いて、開業する際にレギュラーチェーン店の経営形態を採用するメリットとデメリットを順番に取り上げます。
フランチャイズチェーン店の場合と比較しながら確認しておきましょう。
チェーン店のメリット
大きなメリットとしては、本部によってそれぞれの店舗が標準化されている点が挙げられます。
つまり、組織構成や店内レイアウト・商品・サービス・従業員教育・パートやアルバイト教育のノウハウなど、店舗経営に関する要素がすべて標準化されているため、すべてを1から考え出す必要がありません。
またチェーン店の消費者は、「同じ商品・味・サービス」を期待して店舗を利用しています。集客の面でもゼロから構築していく必要がありません。
さらにチェーン店は本部の直営であるため、店舗責任者が本部とコミュニケーションを密にしやすい体制が取られているケースが多く、情報交換が活発にできるだけでなく、店舗同士の横のつながりも生まれます。
責任者同士が情報共有を行うことで、良質なサービスの提供につなげられる点もメリットの1つです。
そのほか、チェーン店の店長クラスになると、店舗運営や人材マネジメントに関するスキルも身につけられます。
さらに、複数店舗を統括するエリアマネージャークラスになれば、店長クラスよりも店舗や人材の管理スキルを向上させられる上に、経営ノウハウも身につくでしょう。
チェーン店のデメリット
チェーン店の場合、店舗運営に関するすべての意思決定権はあくまでも本部側にあるというケースがほとんどです。
つまり、フランチャイズでは 独自の工夫で店舗運営を行うことがある程度認められる一方で、チェーン店では決められた経営方針に従う形で経営を任されます。
相対的に経営の自由度が低いことから、独立志向の強い人からすると大きなデメリットとなり得ます。
フランチャイズ店にも向き・不向きがある
フランチャイズ店には多くのメリットがあるものの、開業に向いている人もいれば、もちろん不向きな人もいるためです。
ここからは、フランチャイズ加盟に向いている人、向いていない人、それぞれの人に見られる特徴を紹介します。
フランチャイズ店に向いているのはこんな人
フランチャイズでの開業に向いている人を一言で表すなら、「フランチャイザー(本部)と良好な関係を築ける人」です。
フランチャイズ店は、本部から円滑な経営に役立つさまざまなノウハウを提供してもらえます。
そのノウハウを十分に把握し徹底的に遵守することが、開業を成功させるためのポイントです。
とはいえ、それだけでは実際にフランチャイズ店の経営を成功させることは難しいでしょう。
実際に店舗を経営していくのは、あくまでも自分自身です。
つまり、提供されるノウハウをしっかり守りつつ、状況に応じて自ら考え、行動していく姿勢も必要です。
したがって、本部からの指示どおりに動ける点と自ら考えて動ける点の双方をこなせることが、フランチャイズ店の開業に向いている人の特徴です。
そのほか、フランチャイズ店の開業に向いている人の特徴をまとめて紹介します。
- 広い人脈を持っている
- 好奇心が旺盛である
- 社交的である
- 何かを強制されることへの抵抗が少ない
- 常にプラス思考で物事を捉えられる
- 負けず嫌いである
- わからないことを素直に人に尋ねられる
- 加盟金・ロイヤリティの支払いを厭わない
上記の特徴に当てはまる人は、フランチャイズ店での開業も検討してみてください。
フランチャイズ店に向いていない人
上記の説明を踏まえると、フランチャイズ店の開業に向いていない人の特徴も見えてきますよね。
例えば、次のような人には、フランチャイズの加盟は向いていません。
- 自分が思うままの、オリジナルな店舗にしたい
- 他人に指図されたくない
- 本部からの指導を聞き入れられない・信じられない
- 言われたとおりのことしかしたくない
- 加盟金・ロイヤリティの支払いに抵抗がある
なお、フランチャイズ加盟を検討している人の中には、「本部と手を組めば簡単に店舗が運営できる」と楽観視する人も少なくありません。
しかし、こうした方がフランチャイズ店を開業すると、むしろサラリーマンの方が楽だったと気付くケースが多いものです。
フランチャイズ店の開業には容易に新規参入できるというメリットがあるものの、開業して10年間ほどは売り上げが伸びないことも多く、忍耐が求められます。
適切なマネージメントを行いつつ、フランチャイズ店の事業を安定させて、はじめて楽を手に入れたと言えるのです。
そのため、フランチャイズは「楽なビジネス」というよりも、成功への近道をサポートしてくれるものだと捉えると良いでしょう。
「未経験の業界でも成功確率が高い」「サポートしてくれる本部がある」などのメリットに着目すれば、フランチャイズは「気持ちを楽にさせてくれるビジネス」だと言えます。
いい換えれば、「独力で開業するよりも成功への近道となるビジネス」です。
フランチャイズ契約の流れ
実際にフランチャイズ店を開業する際は、本部との契約締結が必要不可欠です。
この契約締結のプロセスは、大まかに以下の流れで進めていきます。
(コンビニの開業例)
STEP.1 本部が開催する相談会への参加
STEP.2 個別の相談・説明を受ける
STEP.3 物件(店舗)を紹介してもらう
STEP.4 既存店舗を訪問する
STEP.5 1日業務体験を行う
STEP.6 候補物件をチェックする
STEP.7 フランチャイズ契約内容の説明を受ける
STEP.8 意思の確認・契約を締結する
契約の締結まで進めば、ついに開業です。
なお、フランチャイズに加盟する際は、入念な事前調査が必要不可欠です。
加盟を希望する本部の相談会・説明会に参加したり、同じフランチャイズに加盟している同業者を訪問するなど、フランチャイズ契約の実態を把握するところから始めましょう。
なお、物件を確認する際や店舗訪問・業務体験を行う際にも、注意すべきポイントが多く存在します。
フランチャイズ店を成功させて高収入を目指すためにも、事前にしっかりと把握しておきましょう。
詳しくはこちらの記事でご確認ください。
まとめ
チェーンとフランチャイズの間には、資本と契約という面で大きな違いがあります。
チェーン店とは、本社が直営する店舗であり、本社の資本によって展開される事業形態です。
これに対して、フランチャイズ店は、本社と店舗経営者が契約を結び、店舗経営者の資本で運営をします。
フランチャイズ店に加盟するには、加盟金などの費用を準備する必要があります。
準備が必要な開業費用の金額はフランチャイズ本部によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。
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