起業・会社設立時の事務所はどうする?オフィスの種類や選び方

どこで起業する?都会や地方、オフィスの種類など場所選び
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起業する際、場所選びは重要なポイントのひとつです。
オフィスの場所は一度決めてしまうと簡単には変更できないので、安易に決めると後悔する可能性があります。

日本のビジネスの中心地が東京であり、起業場所としても大都市圏を選んでしまいがちですが、近年では賃料の安さや魅力的な起業・移住支援制度の登場を理由に、地方で起業する人も増えてきています。

そこでこの記事では、起業場所をどこに決めようか悩んでいる方に向けて、起業場所として候補となる地域や場所について解説します。
都会および地方で起業するメリット・デメリットや、U・I・Jターンを歓迎する地方自治体の取り組みなども把握して、自身にとって最適な起業場所を選びましょう。

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目次

どこにオフィスを構える?地理的な選択肢

どこで起業する?都会や地方、オフィスの種類など場所選び

起業時のオフィス選びを考える際には、地理的な選択肢として主に次の3つが挙げられます。

  • 大都市圏
  • 地方都市
  • 地方の都市部以外

ちなみに、ここでいう大都市圏とは、一般的に「大都市」と見なされる札幌や仙台、東京近郊や静岡、名古屋、大阪近郊、広島、福岡近郊を指し、それ以外の都市を地方都市としています。

地理的な選択肢としては上記3つが挙げられますが、この記事では大まかに「地方」「都会」という2つに分けて、それぞれの起業場所を比較していきます。
地域によって起業への影響は大きく異なるので、自身の起業内容や状況に応じて適切な場所を選びましょう。

オフィスの形態にも選択肢はある

起業場所を選ぶ際には、オフィスの形態も考慮する必要があります。
起業時に選択肢として候補に上がるオフィスの形態は、主に次の5つが挙げられます。都会に近いほど、選択肢は多くなります。

1. 自宅とオフィスの兼用
2. 賃貸オフィス
3. レンタルオフィス
4. コワーキングスペース
5. シェアオフィス

それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.自宅とオフィスの兼用

これは、ホームオフィスとも呼ばれており、自宅の一室などをオフィスとして利用する形態です。

自宅とオフィスを兼用すると、通勤の手間や時間・費用のほか、事業運営にかかる固定費(オフィスの家賃)などを削減できる点がメリットです。
自宅の家賃や光熱費などを、自宅に占める事務所部分の割合によって経費とすることもできます(家事按分)。

持ち家であれば、会社登記(法人登記)が行えます。賃貸住宅では、事務所としての利用が認められないケースも多いので注意が必要です。

そのほか「公私を区別しにくい」「人との交流が減り孤独を感じやすい」「スペース上、事業に必要な設備をそろえにくい」といったデメリットもあります。

自宅とオフィスの兼用は、起業にかかる費用をなるべく抑えたい人、まずは副業から始めたい人におすすめです。

住まいと事務所の兼用としては、都心を中心に、ホテルのような機能もあわせ持つ執務室付きの賃貸住宅「サービスアパートメント」もあり、高級志向の起業家に注目されています。

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2.賃貸オフィス

次によく選ばれているのは、オフィスビルの一室など自社専用のスペースを借りる、賃貸オフィスでの起業です。
基本的にどの地域にでも多くある形態なので、業務内容や事業の規模などに応じて多くの選択肢から選べるメリットがあります。

賃貸オフィスでは、自社オフィスということで外部からの信頼が得られやすいのが一番のメリットでしょう。自社独自の空間なので、レイアウト変更なども自由に行えます。
ただし、家賃や保証金、必要な設備の購入・導入にかなりの出費が必要です。

ある程度の資金があり、公私の区別をしっかり付けたい、信用度を高めたい人におすすめのオフィス形態です。

3.レンタルオフィス

レンタルオフィスも、個室スペースをレンタルする形です。賃貸オフィスとの大きな違いは、賃貸オフィスが不動産会社などと直接契約を結ぶのに対し、レンタルオフィス運営会社との契約を結ぶ点です。
また、会議室やラウンジなどは共用スペースとなっています。他社との適度な交流が図れることも魅力の1つでしょう。

1名用のレンタルオフィスから数十人が入れるところまでさまざまあり、部屋のタイプにも半個室や個室、 パーティションだけのところもあるようです。また、サービスも必要最小限のシンプルなものからコンシェルジュが常駐するハイクラスなものまで多種多様です。

レンタルオフィスの利用には、次のようなメリットがあります。

  • ビジネスに必要な設備が備わっている場合が多い
  • 賃貸オフィスと比べて初期投資が抑えられる
  • 一定のセキュリティは保たれる
  • タイプの異なるいろいろな選択肢がある
  • スペースの拡充などが自由にできるオフィスもある

ただし、商品のストックや書類管理などに大きなスペースを必要とする事業には不向きです。その場合は別でレンタルスペースを借りるなどする必要性が出てくるでしょう。

また、レンタルオフィスはあくまで「事務所」としてのスペースであり、小売業など第三者が出入りするような事業を行うことは禁止されていることにも注意してください。

他業者との交流を図りたい、個室は必要だが費用は抑えたい、といった人にはおすすめのオフィス形態です。

4.コワーキングスペース

コワーキング(協働)という名のとおり、スペースを他者と共有するのがコワーキングスペースです。人と人との交流を目的として集まる人が多いのも特徴です。

仕事用のスペースとしては、フリーアドレスで空いている席を使うパターンと、固定の席が利用できるパターンがあります。中には個室スペースがあるところもあります。

利用料金は、漫画喫茶のように時間単位・1日単位で利用する「ドロップイン制」や月額制などがあります。
また最近では、温浴施設がコワーキングスペースを開設したり、エンジニアやクリエイターなど同業者が集まるコワーキングスペースなどが作られたりしています。

コワーキングスペースの利用には、以下のようなメリットがあります。

  • 他の利用者との交流ができる
  • 賃貸オフィスと比較して料金が安価
  • ビジネスに必要な設備(OA機器や商談スペースなど)を備えている施設が多く、初期投資を抑えられる
  • 移動が容易で柔軟に動ける

ただし、基本的に個人専用のスペースはないため、他の利用者への配慮や自身でのセキュリティ管理は不可欠です。

固定のオフィスは不要なものの、一時的に事務作業をする必要がある、外部とのかかわりを持ちながらフレキシブルに活動したい、という場合におすすめです。

5.シェアオフィス

シェアオフィスは、コワーキングスペースと同義で使われることも多いですが、他社とのコミュニケーションは取れつつも、より「仕事」に重点を置いた形態と言えます。
執務スペースは、空いている席に座るフリーアドレス制となっているのが一般的です。

シェアオフィス利用時のメリット・デメリットは、基本的にコワーキングスペースと同じです。
電気代や水道代、インターネットなどの料金が含まれていることで、コストを抑えることができます。

では次に、都会か地方か、という視点でも見ていきましょう。

都会での起業のメリット・デメリット

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起業場所として、まず人が集まる都会を思い浮かべる人の方が多いかもしれません。都会のメリット・デメリットについて改めて考えてみます。

都会で起業するメリット

起業場所として都会を選ぶ主なメリットには、次の3つが挙げられます。

  • 交通の便がよい
  • 人材が確保しやすい
  • ビジネス系のイベントが多い

それぞれ見ていきましょう。

交通の便がよい

都会で起業する最大のメリットは、交通の利便性の高さです。
都会では、電車やバスなどの公共交通機関が充実しているため、移動手段の心配がありません。時間的にも頻繁に運行されているので、好きな時間に移動できます。

深夜でも都会であればタクシーも多く、時間を気にせず仕事をすることができるでしょう。

人材が確保しやすい

都会には地方と比べて人口が多いのはもちろんですが、主要な大学も多く、ビジネス面で優秀な人材がそろいやすい環境となっています。

求人を募集したとして、都会と地方のどちらが人を集めやすいかといえば、それは人口の多い都会に軍配が上がるでしょう。高い能力を持つ人材と出会うためにも、人口の多い都会は起業に適していると言えます。

ビジネス系のイベントが多い

起業セミナーや交流会などビジネス系イベントの開催数を比較しても、地方より都会の方が圧倒的に多いです。

最近では地方でもオンライン上でさまざまな人とのコミュニケーションが可能ですが、対面でしか得られない情報も少なくありません。都会にオフィスがあれば、交通費もさほどかからないでしょう。

ビジネス関連のセミナーや交流会などは大都市で行われることが多いので、同業種に限らずさまざまな経営者と知り合うなどして人脈を広げられる可能性、ビジネスチャンスが生まれる可能性が高いです。

都会で起業するデメリット

起業場所として都会を選んだ場合、次のようなデメリットがネックとなる可能性があります。

  • コストがかかる
  • 同業他社との競争が激しい

それぞれ具体的に説明します。

コストがかかる

都会で起業すると、物価や家賃、人件費が必然的に高いことから多くの資金が必要となります。

そのほか、例えば新聞の広告宣伝費なども地方より高い傾向にあります。事業を継続する上で必要な固定費が高いことは、経営状態によっては大きなネックとなるでしょう。

同業他社との競争が激しい

都会にはビジネスに関する情報があふれており、同業他社も多数存在します。比較される機会が多くなるため、他者との競争に生き残れる商品やサービスで勝負する必要があります。

いうなれば都会では、激しい競争に勝ち抜く意志・覚悟・ビジネスの才能がより一層必要とされるのです。

地方での起業メリット・デメリット

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では、起業場所として地方を選ぶとどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。都会の場合と比較しながら、自身の起業に最適な起業場所を検討しましょう。

地方で起業するメリット

起業場所に地方を選ぶと、次のようなメリットがあります。

  • コストが抑えられる
  • ライバルが少ない
  • 通勤時のストレスが少ない
  • 注目されやすい
  • 自然環境に恵まれる

それぞれのメリットを順番に詳しく紹介します。

コストが抑えられる

地方での起業には、都市部と比べて物価が安い点に大きなメリットがあります。事務所の家賃や人件費などが安く済むため、開業資金だけでなく事業の運転資金(ランニングコスト)を抑えることも可能です。

例えば、東京で賃貸マンションを利用して起業する場合、家賃相場の平均はワンルームで73,697円、1LDK~2DKで109,654円、2LDK~3DKで136,829円です(2020年9月時点)。
これに対して、地方ではその3分の1あるいは4分の1程度で済むケースも珍しくありません。

人件費に関しても、地方では都会より2割から3割ほど安い場合も多く、最低賃金も地方では低く設定されています。
例えば東京都(1,013円)と秋田県や鳥取県(792円)などの間には、221円もの差があるのです(2020年度時点)。

十分な事業資金がある場合を除いて、起業家の方の多くは起業時のコストをなるべく抑えたいと考えます。
地方では都会と比較して事業のコストを抑えられるケースが多いため、特にベンチャー企業の立ち上げを検討している方にとってメリットの大きい場所です。

(出典:公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集(3月期改訂)」厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

ライバルが少ない

地方は都会と比べて経済規模が小さく大企業が進出していない地域も多いため、競合他社が少ない傾向にあります。
地方の経済状況を見ると、中小企業が営業地域のニーズを満たしているケースがほとんどです。

そのため、たとえ起業から間もない会社であっても、既存企業の営業地域とは異なるエリアを狙ったり、競合他社との差別化を図ったりすれば、顧客の獲得が見込めます。

通勤時の混雑緩和

起業場所として都会を選ぶと、通勤ラッシュは避けられません。
毎朝満員電車に乗り、オフィスに到着する頃には心身ともに疲れ切っている、なんてことも。通勤そのものにストレスを感じる人も多いです。

その点、地方では人が少ないため電車やバスなど公共交通機関の座席も空いている傾向にあります。通勤が大きなストレスになっている人には地方での起業も大きな選択肢となるでしょう。

注目されやすい

地方では、都会よりも住民同士のコミュニケーションが盛んです。新しいことや変わったことは大きな話題となりやすい特徴もあります。
そのため、口コミが広まるスピードが非常に速く、拡散力も強いです。

また、人口が少ないために「起業した」というだけでもタウン誌などに掲載されて注目されやすい一面も。話題性があるほど多くの人に興味を持ってもらえる可能性があります。
知名度が上がれば集客に結び付くチャンスとなるため、都会よりも有利にスタートダッシュを切れるでしょう。

また、地方で新しいビジネスを立ち上げようとする場合、クラウドファンディングを使えば、資金だけでなく注目も集まるかもしれません。

自然環境に恵まれる

地方には、豊かな自然環境があります。

起業場所として地方を選べば、澄んだ空気や豊かな自然に囲まれて仕事をすることができます。空が広く感じ、開放感を味わうこともできるでしょう。豊かな環境で過ごすことによって価値観が変わったり、新たなビジネスの構想が生まれたりする可能性もあります。

また、都会とは異なり誘惑が少なく、騒音も少ないため、集中して仕事に打ち込むことができます。静かな環境で生産性の向上にも期待が持てます。

地方で起業するデメリット

起業場所として地方を選ぶ際は、次のようなデメリットもあるので注意しましょう。

  • 市場の規模が小さい
  • 人材の確保に苦労する
  • 移動が不便
  • 新参者に厳しい

それぞれ具体的に説明していきます。

市場の規模が小さい

地方は都会と比べて人口が少なく、市場規模が小さい点がデメリットです。
都市部と比較してモノやサービスの消費額が低いため、事業の収益や売上が思うように伸びないリスクがあります。

また、「都市部では成功しても地方では失敗する」というケースも少なくありません。営業するエリアの市場に合った経営戦略を立てることが必要です。

人材の確保に苦労する

地方にも優秀な人材は存在するものの、都市部と比べると獲得に苦労しやすいです。
そもそも都会より人口が少ないこともありますし、地方には仕事がないからと近郊の都市に移ってしまう人も多いのが現状です。

そのため、都市部では容易に集められると思っていたレベルの人材がなかなか確保できないこともあるでしょう。

その地域で人脈を形成し、紹介などで優秀な人材を確保できる可能性はあるので、自分がいかに地域のコミュニティになじんでいけるかがポイントとなるでしょう。

なお、IT系などであればフルリモート勤務を許可することも1つの方法です。

移動が不便

地方では、公共交通機関が十分に整備されていない地域も多く見られます。
そのため、立地次第では休憩時間にコンビニへ行ったり、普段の生活用品や食材の買い出しにスーパーに行ったりすることが一苦労、というような場合も。バスや電車の運行本数も都会に比べるとかなり少ないため、スケジュール管理にも注意が必要です。

起業場所として地方を選ぶならば、自動車は必須です。その維持費などに費用がかかるのは致し方ないでしょう。

新参者に厳しい

地域によって異なりますが、地方ではビジネス・プライベートを問わず、閉鎖的で新規参入しにくい傾向があります。
特にビジネスにおいては、古くから商売を続けている会社が商圏を強く握っている可能性も。

こうした状況では、自身が新参者として信頼を得て顧客を勝ち取っていくのは非常に困難です。
起業場所として目星をつけたら、その地域でのビジネスの状況や競合他社についてリサーチしておくことをおすすめします。

例えばその地域の特産物を使って新たなビジネスを始めるとなると、いくらその地域にとって大きな利益となることでも、はじめは苦労するかもしれません。

地方での起業を考えるのであれば、最低限これらのデメリットを把握した上で戦略を立てましょう。

U・I・Jターンを歓迎する地方自治体の取り組み

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近年では、移住する起業家を歓迎し、積極的に受け入れようとする動きが全国各地で見られます。
「新たなビジネスで地域を活性化したい」という狙いのほか、雇用機会を増やすことや、少子高齢化による単純な人口減少を食い止めることにも期待が持てるためです。

ここでは、地方での代表的な取り組み事例を取り上げます。詳しい情報は必ず各自治体のホームページで確認してください。

青森県つがる市「つがる市U I Jターン起業支援事業」

これは、青森県つがる市が雇用の場を創出することを目的に、UIJターンにより市内で起業する方を対象として、事業活動に必要な資金(事務所費など)の一部を補助する事業です。
つがる市UIJターン起業支援事業の補助対象となるのは、次のような人です。

  • UIJターンにより市内に移住した方
  • 申請日より1年以内に事業を興すこと
  • 住所決定と開業との間がおおむね1年以内であること
  • 主たる事業所が市内にある方
  • 市税等に滞納がない納税者(市民税、国民健康保険税、固定資産税、軽自動車税等 )

対象者には、いずれかの経費に対して補助が受けられます。

  • 機器リース料
  • 人件費(代表者、3親等以内の家族と役員分は除く)
  • 賃借料および共益費

ただし補助には上限があり、月額25,000円までとなっています。

千葉県「U I Jターンによる起業・就業者創出事業(市町村向け補助制度)」

これは、千葉県内の条件不利地域(過疎地域・半島振興対策実施地域・振興山村などに指定されている区域を有する市町村)への移住や就業・起業を加速させる目的で、対象市町村の行う移住支援事業(条件不利地域へ移住し、中小企業などに就業する方や特定分野で起業する方に対し、移住に要する経費の一部を補助する事業)に対して助成を行う制度です。

本制度そのものは市町村に対する補助制度であり、移住支援事業による補助を希望する方は、事業を実施する移住先の市町村に問い合わせる必要があります。
補助対象者は以下のいずれかに該当する方です。

  • 東京23区の在住者(連続して5年以上在住)
  • 東京都・埼玉県・神奈川県(条件不利地域を除く)在住で東京23区への通勤者(連続して5年以上通勤)

また、補助額の上限は以下のとおりです。

・申請者の属する世帯の世帯員が2人以上の場合:100万円
・申請者の属する世帯が単身世帯の場合:60万円

長野県「U I Jターン就業・創業移住支援事業」

これは、県内企業などの担い手不足の解消および地域課題の解決ならびに県内への移住の促進を図る目的で、東京圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)、愛知県または大阪府から移住し、県内で就業または創業をしようとする人に移住支援金を支給する事業です。

移住支援金の対象となるには、県が定めた「移住等に関する要件」を満たし、さらに「就業に関する要件」または「創業に関する要件」を満たさなければなりません。

要件の内容は細かく設定されているため、詳細は公式ホームページにて確認してください。
支給される金額は、以下の範囲内であって、市町村が定める額です。

・単身世帯の場合:最大60万円/人
・2人以上世帯の場合:最大100万円/世帯

富山県「とやまU I Jターン起業支援事業」

これは、富山県外から移住して県内で新たに起業する方や、事業承継・第二創業する方を支援する事業です。

地域課題に対して「社会性」「事業性」「必要性」の観点から取り組む事業計画を募集して、優秀なビジネスプランだと認められた場合に経費の一部が補助されます。
この事業の対象者は、以下のすべての要件を満たす方です。

富山県外に一定の期間、在住した後、この事業への申請時点で移住後1年以内、または、補助対象期間内に移住し、同期間内に起業を予定する方、または、事業承継、第二創業をする方

また、対象事業はすべての要件を満たす事業です。

  • 地域活性化や子育て支援など、地域社会が抱える課題が解決できること
  • 自社のサービスによる収益で自律的な事業が継続できること
  • 当該地域に同じ課題を解決するサービス業者が少ないこと

補助金額と補助率は「上限200万円(補助率1/2以内)」、募集は10件程度とされています。

奈良県「Leapなら(女性の起業支援プロジェクト)」

これは、奈良県が起業を通じて飛躍する女性を応援するプロジェクトです。
起業に興味があったり、起業を目指していたりする女性に向けて、セミナーや個別の起業相談などを開催しています。

また、女性が抱える起業の課題を解決するために、制度融資や創業補助金の申請などのサポートも手掛けています。
ホームページの情報がわかりやすくまとめられたリーフレット「女性のための起業ガイド」も閲覧できるため、奈良県での起業を検討している女性には、積極的な活用をおすすめします。

このほかにも、さまざまな地方自治体が起業をサポートする取り組みを行っています。起業場所として興味のある地域については必ず事前に調べておきましょう。

開業資金(創業資金)を確保する方法

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最後に、起業を検討するなら避けられない開業資金(創業資金)を確保する方法として、以下の3つを取り上げます。

  • 日本政策金融公庫「新創業融資制度」
  • 日本政策金融公庫「新規開業資金」
  • 起業支援金・移住支援金

それぞれの制度を把握して、必要に応じて活用しましょう。ただし、日本政策金融公庫の融資制度は借りる側から選ぶことができません。状況に応じた制度を紹介してもらえるので、まずは事業計画を作成し、相談するところから始めましょう。

日本政策金融公庫「新創業融資制度」

これは、新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人が無担保・無保証人で利用できる制度です。

対象者は、「対象者の要件」と「自己資金の要件」のいずれも満たす人と定められています。
このうち対象者の要件は、「新たに事業を始める方または、事業開始後税務申告を2期終えていない方」です。

また、自己資金の要件は以下のとおりです。

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」などに該当する場合は、本要件を満たすものとする 
( 日本政策金融公庫「新創業融資制度」 )

なお、融資限度額は「3,000万円(うち運転資金1,500万円)」です。

日本政策金融公庫「新規開業資金」

これは、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方に向けて融資を行う制度です。
融資の使いみちは、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金と定められています。
また、融資限度額は「7,200万円(うち運転資金4,800万円)」です。

なお、地方で創業する場合には、基準利率よりも低い「特別利率」で融資を受けられる可能性があるため、積極的に活用を検討すると良いでしょう。

起業支援金・移住支援金

地方自治体によっては、起業支援金や移住支援金などの制度を設けているケースがあります。創業や移住の実施前に自治体の公式サイトで制度の有無や実施時期、概要を見ておいてください。

ただ、年度ごとの実施となることがほとんどであり、制度内容は毎年見直されています。また、多くが年度前半に締め切られるなどしているので、年度末には募集しているところは少ない傾向です。
情報はまめにチェックしておきましょう。

ここでは、参考例として、愛知県の「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」と、埼玉県の「移住支援金制度(移住就業等支援金支給事業)」を取り上げます。

愛知県「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」

これは、単なる起業ではなく、「スタートアップ」と呼ばれる企業を創出する目的で作られた制度です。スタートアップとは、革新的なアイデアにより短期で急成長が見込める企業のこと。

地域課題の解決などにつながる社会的な事業を、事業継承や第二創業で始める個人事業主または会社などで、愛知県内で開業届の提出をした、あるいは法人設立の登記を行った代表者が対象です。県内に居住、あるいは補助対象期間の末日までに県内に転居する予定がなくてはなりません。


また、事業の成長を加速するための経営面などに関して、専門家による伴走支援も行っています。

起業支援金の上限額は200万円で、補助率は補助対象経費の2分の1以内とされています。

宮崎県「宮崎県移住支援金制度」

宮崎県では、東京や名古屋、大阪あるいはその近郊の府県からの移住者に対し、支援金を支給する制度を設けています。

令和5年度の場合、移住支援金の支給金額は次のとおり。

単身での移住の場合:60万円または30万円
世帯(世帯人員が2人以上)での移住の場合:100万円+子育て世帯加算

単身の場合は、東京23区内に5年以上在住などの場合は60万円となっています。子育て加算は、市町村により実施の有無や要件が異なります。


このように、起業に際して受けられる融資や支援制度はさまざまに存在しています。中でも一般的なのは日本政策金融公庫による新創業融資制度です。

この融資を受ける際には、事業計画書の作成・提出が必須で、その内容によって融資の可否が決まります。融資審査に通る事業計画を作成するには、専門家のサポートを受けるのが一番の方法です。当サイトのサービスもぜひご利用ください。

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まとめ

どこで起業する?都会や地方、オフィスの種類など場所選び

この記事では、起業場所として候補とされる地域や場所のメリット・デメリットなどを中心に紹介しました。
都会・地方ごとに起業面でのメリット・デメリットは大きく異なるため、オフィスの形態とともに、自身の状況に応じて適切な場所を選び取りましょう。

なお、資金調達の手段として融資を受けたい場合、事業計画書の作成が求められます。
事業計画書を漠然と作成・提出してしまうと融資の審査を通過できない可能性が高いため、専門家からサポートを得ると良いでしょう。

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