人生100年と言われる今、多くの人が定年後には隠居ではなくセカンドキャリアを考えています。
中でも注目を集めているのが、転職という働き方でなく「起業」という選択肢。
自分の裁量で働きたい、経験を活かしたい、趣味を仕事にしたい、など、起業を考える理由は人それぞれです。
育児で仕事を離れたものの、母親としてだけでなく自分自身として新たなキャリアを築きたい、という女性も増えています。
とはいえ、いきなり起業というのも勇気がいるものですよね。実際、起業すれば誰でも順調にいくわけではありません。
本記事では、セカンドキャリアに起業を選ぶ前に知っておきたいメリット・デメリットや、セカンドキャリアの見つけ方について解説していきます。
セカンドキャリアとその意義
まず「セカンドキャリア」とは何か、そしてその意義とは何かをあらためて見ておきましょう。
セカンドキャリアとは
セカンドキャリアは直訳で「第2の職業(キャリア)」、一般的には定年以降に就く職業を指す言葉ですが、その意味する範囲は広がりつつあります。
現在では50代などの現役世代がキャリアプランを実現するために行う転職や独立・起業、子育てを終えた女性が社会復帰して新たなキャリアを築くことなども指すようになりました。
年金2000万円問題などもあり、年金だけでは定年退職後の生活を十分に担保できないと危惧する人も増えています。
また、終身雇用や定年再雇用など従来の雇用制度が当たり前でなくなった一方で、会社に依存したくない、自由な働き方をしたい、と思う人も。
そういった背景から、セカンドキャリアとして「起業」が注目を集め始めているのです。
セカンドキャリアを持つことの意義
セカンドキャリアを持つことで、新たな分野で活躍できたり、自分が社会の役に立てている、という自己有用感を得ることができたりします。
若ければ将来の希望や選択肢をたくさん持つことができますが、1つの会社にいるだけでは可能性や選択肢は年を取るにつれて減っていくのが現状です。
出世などの先が見えてしまえば、仕事へのモチベーションも下がるのが人の心というものです。
しかしたいていの場合、セカンドキャリアは自分で切り開いていくものです。特に起業であれば何歳からでも挑戦できますし、自由にキャリアを描いていくことができます。
仕事のやりがいだけでなく、人生の新たな目標や生きる意味を見出すこともできるでしょう。
自分らしく生き、豊かな生活をする「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」という観点でも、セカンドキャリアを持つことには大いに意義があります。
セカンドキャリアの見つけ方
すでにセカンドキャリアとしてやりたいことがある人はよいのですが、セカンドキャリアを築くことに興味はあっても、何をすればいいのかなかなか思いつかない人もいるかもしれません。
有意義なセカンドキャリアを探すなら、次の3つの視点を軸にしてみてください。
第二の人生の目標を明確にする
明確な目標があるかどうかは、成功するかどうかに大きく関わってきます。
これまでのいわゆる「第一の人生」を終えたとして、その時点で考えるこれからの人生の目標は何でしょうか。
仕事よりも人とのつながりを大切にしたい、より広く社会の役に立ちたい、困っている人を助けたい、これまでのキャリアをさらにハイレベルなものにしたい、など、人それぞれ過去の経験からくる今後の展望、人生観は異なるものです。
第二の人生では自分はどう生きたいか、どんな人たちと、何をして生きていきたいのか。そこを深掘りして考えてみましょう。
経験やスキル、人脈や強みを生かせる仕事を探す
セカンドキャリアで何をするかを見つけるにも、より良いセカンドキャリアを築くにも、これまでの経験やスキル、自分の得意なことなどを見つめ直し、それが生かせる仕事は何かを考えるのが一番の近道です。
「やりたいこと」というのもモチベーションとして大切な要素ですが、仕事にするなら知識やスキルは不可欠です。
まったくの未経験や人脈のない領域では、思わぬ壁にぶつかって挫折してしまうことも。
これまでとは違う分野であっても、経験やスキルが生かせるものであれば始めやすいですし、うまくもいきやすいでしょう。
社会や市場のニーズを見極める
セカンドキャリアが社会や市場のニーズを満たすかどうかも重要な視点です。
やりたいことがある程度決まっている場合には、それを求めている人がどこにいるか、どれだけいるかを知る必要があります。
ニーズがなければ成功しないのはビジネスの常識。セカンドキャリアとしてせっかく始めるのであれば、社会や市場、大多数でなくても誰かの役に立つ、求められるものでありたいものです。
もちろん、収益性という意味でも、ボランティアでないならニーズを満たしてより多くの利益を得る必要があるでしょう。
このように、セカンドキャリアを見つけるためには、自分の目標、やりたいこと、できることをすべて満たしたうえ、ニーズがある、役に立つ仕事を選ぶことをおすすめします。
セカンドキャリアに「起業」を選ぶメリット・デメリット
起業をすすめる本が数多く出版され、より手軽に起業ができるようになった昨今では、セカンドキャリアの選択肢として起業も人気を集めています。
特に、組織の歯車の1つで居続けるのは嫌だ、自分が主体性を持って、思い描く通りに仕事を進めたい、もっと自由な働き方をしたい、という人は起業を選ぶのも1つの方法です。
しかし、起業は簡単にできても継続していくのは難しいものです。
「こんなはずじゃなかった」を防ぐために、セカンドキャリアに起業を選ぶ場合のメリットとデメリットをおさえておきましょう。
セカンドキャリアに起業を選ぶメリット
起業では、会社を立ち上げるなどして自分が事業主となります。
文字通り自分が「主(あるじ)」であり、次のようなメリットがあります。
自由な意思決定ができる
事業主となれば、経営方針から意思決定、業務の進め方まで会社経営に関するあらゆる事柄を自分で決めることができます。
この点が起業の最大のメリットといえるでしょう。
セカンドキャリアには「転職」という選択肢もありますが、転職先でも会社組織に所属しながら働くことになるので、自由な意思決定や柔軟な時間の使い方は基本的にはできません。
高収入を実現できる可能性がある
業績がよければ、という条件付きではありますが、起業には収入面でも大きなメリットがあります。
サラリーマンには、会社の規定に沿った額の給与が支払われるのみで、大きな業績を上げたとしてもさほど顕著な収入の増加は見込めません。
昇給があるとしても、一年ごとの伸びは大きいとは言えず、長年勤めたとしてもやはり限りがあると言わざるを得ません。
その点、自身で会社を起こせば役員報酬の額など自身の収入は自らが決められます。
業績が好調であればサラリーマン時代には考えられなかったような収入を得ることも夢ではなくなります。
より自分事として仕事に向き合える
起業することで、仕事に対するモチベーションもサラリーマン時代とは異なってくるでしょう。
起業するアクションも、始める事業も、自分が決めて行うことです。誰に指示されたわけでもありません。
成功するかどうかも自分次第なので、仕事への向き合い方も変わってくるはずですし、やりがいも大きくなるはずです。
会社勤めの場合は、たとえ自分のやりたい仕事だったとしても、足掛かりから最終的な判断まで上層部が行い、「指示される感」は否めません。
前述の通り、昇給にも限りがあるため、自分事としてがんばるにも限度があります。
納得することなく気の進まない仕事をさせられ、自分の意思をないがしろにされていると感じてしまう人も少なくありません。
セカンドキャリアに起業を選ぶデメリット
起業には大きなメリットがあります。
しかし当然ながら次のようなデメリットもあることは頭に入れておきましょう。
すべての責任が自分にのしかかる
前述の通り、意思決定などあらゆる点で自由にできることが起業のメリットの1つです。
しかし自由には責任が伴うことも避けられない事実です。
取引先との交渉や商品・サービスの価格決定など、その判断のすべてを自分の責任で行うこととなるため、起こりうるあらゆる事態を想定して事を進める必要があります。
何か不測の事態など起きた場合には、事態の収拾や謝罪、賠償など、責任を取るための適切な行動を取らなくてはなりません。
サラリーマンなら、仮に失敗をしたとしても最終的には上司や会社が責任を取ってくれることがほとんどでしょう。
責任を負う覚悟も、起業には必要です。
すべてがゼロからのはじまりとなる
起業をすると、会社のブランティングはもちろん、取引先や顧客など、すべてゼロの状態から作り上げなくてはなりません。
これには苦労する人も多いでしょう。
特に大企業に勤める人が気づきにくいのは、自分には見えなくとも会社の大きな看板が後ろ盾となっていて、それによって仕事がもらえていた部分が大きいということ。
そのため、サラリーマン時代には比較的順調に取引先が見つかったり顧客が付いたりしていても、起業してみると「○○の○○さん」という肩書がなくなり、思うようにいかず焦るかもしれません。
サラリーマン時代から、社内外ともに「形だけではない人脈」を作っておくことも必要です。
安定した収入・生活が失われる
起業して自らの手で収入を得るということは、給与所得のような安定的な収入が見込めなくなるということです。
時間に追われているように見えるサラリーマンには、法律で労働時間が制限され、権利が保障されていますが、事業主にその保障はありません。
特に起業後まもなくは、経営がうまく回らない人がほとんどでしょう。収入が安定しないどころか、無収入の期間も覚悟する必要があります。
そうなると時間的にも昼夜問わず仕事の心配をし、何かあればいつでも対応しなくてはなりません。
いつまでも軌道に乗らなければ、その不安定な生活が続くことになってしまいます。
定期的な休みが取れない、安定した収入が得られないかもしれません。
自分にそういう生活ができるかどうかも、起業する前に考えておきましょう。
起業前にしておきたいこと
セカンドキャリアとして起業を選ぶことのメリットやデメリットを踏まえて、順調なスタートを切るためにやっておきたいこととは何でしょうか。
最低限必要となる3つのポイントについて説明して行きます。
開業資金・運転資金をつくる
ビジネスが軌道に乗るまでには、少なくとも数カ月~半年ほどかかるのが一般的です。
会社勤めのうちに貯金をし、起業の際の自己資金を蓄えておく、金融機関などから融資を受けるなどして、十分な開業資金や運転資金を用意しておきましょう。
融資を受けるなら、創業時に利用できる日本政策金融公庫の新創業融資制度がおすすめです。
創業時は前年の業績など比較対象がないことから、自身の熱意や展望、収支計画などを記載した創業計画書で融資の可否が決まります。
日本政策金融公庫は、中小企業などに資金調達を行う政府100%出資の金融機関なので安心して利用できますし、新創業融資制度なら無担保・無保証人で融資をしてくれます。
資金繰りに行き詰まったタイミングでは融資を受けられない可能性もあるので、融資を受けるタイミングも考慮しましょう。
そして融資を受けるには、綿密な創業計画書を作りましょう。
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未経験なら副業などで経験しておく
未経験の分野で起業するのであれば、少しでも知識やスキル、経験などを身につけてから起業することをおすすめします。
外から見ているだけではわからないことも多いですし、どう進めていけばいいのかもわからないでしょう。
その状況で自己判断をすれば、まさに素人判断になり、失敗のリスクも高くなってしまいます。
副業としてアルバイトをしておくなど、事前に業務経験をしておくことによって、業界の動向や具体的な業務の流れ、経営に必要なことや直面する課題などを垣間見ることができます。
経営者との距離を縮めて相談することができれば、有益な情報も得られるでしょう。
また、開業資金を融資でまかないたい場合にも、経験の有無はものを言います。経験も自己資金もない場合、融資審査には通りにくいのです。
返済能力があるかどうかが審査のポイントとなれば、経験がないことがマイナスになるのも致し方ありません。
必要な資格や免許を取得する
特に未経験分野で起業しようとする場合、それで収入を得るために必要な資格や届け出、免許などがないかを必ず確認しましょう。
もちろん、必要なものがあるなら取得しなくてはなりません。取得までに時間がかかるものもあるので要注意です。
例えば未経験で不動産業界に参入しようとする場合、土地建物の売買をするには宅地建物取引士の国家資格が必須です。
飲食店では、食品衛生責任者の設置や、提供するメニューなどによって異なる営業許可の取得が必要です。
深夜にお酒を出すなら届け出が必要ですし、風営法に該当しないかどうかなどの確認もしておかなくてはなりません。
もちろん、必須の資格でなくても、取っておけば信頼性が上がり、集客に役立つことも多いものです。
起業をするなら勉強は常に欠かせないものとなるので、基礎知識として取得するのも1つの方法です。
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まとめ
第二の人生を活かす「セカンドキャリア」。
自身の経験や知識などを活かしつつ自由な働き方を実現できる「起業」を目指す人が増えてきています。
起業は、自分が自由に会社を動かせる、仕事ができるという点で魅力的な選択肢です。
しかし、事前の準備や経営に関する知識のないまま開業しても失敗するかもしれません。
リスクを抑え、セカンドキャリアを順調にスタートさせるためにも、準備をしっかりと行いましょう。
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