近年、起業する人の数が増加傾向にあります。
中でも、主婦からの起業でビジネスを成功させた人の事例がメディアなどで紹介される機会も増えており、それに憧れる人もいることでしょう。
働く場所も時間も自分で選ぶことができ、自由に働くことができる起業は忙しい主婦にとっても魅力的と言えます。
ただし、起業というとやる事も多く大変なイメージを持つ方も多いはず。実際のところ主婦での起業は可能なのでしょうか?
この記事では、主婦が起業する場合のメリット・デメリットや起業に際して気を付けるべきことなどについて紹介します。
目次
女性の起業家が増加中!
日本政策金融公庫が発表したアンケート「2021年度新規開業実態調査」によると、企業かに占める女性の比率は年々増加する傾向にあり、ビジネス創出の担い手として女性が躍進していることが示されています。
一昔前までの日本では、女性は結婚を機に退職しそのまま主婦として生活をするというスタイルが主流でした。
女性の社会進出が叫ばれて久しい現在では、仕事のキャリアを積み重ねる人が増え、さらにその中で自ら会社を経営したいと考える意欲溢れる女性が増えている状況です。
また、子育てをしながらの再就職が困難であるという、現在の社会情勢も大いに影響しています。
職場の支援制度が整っていない、子供の預けられる場所が見つからない、など子育てと仕事の両立の難しさからも「起業」という選択が増加していると言えます。
主婦からの起業で成功した経営者
主婦の場合、家事や育児など多忙であり新しいことに挑戦するのには大変な勇気が必要です。
実はそんな状況から起業し、成功を収めた主婦起業者も多くいます。
ここでは、主婦から起業し成功を収めた先輩経営者を紹介しましょう。
1.株式会社アイエフラッシュを創業・南まゆ子さん
埼玉県内でまつげエクステサロンや美容スクールを展開されている南さんは、専業主婦から起業され、株式会社アイエフラッシュのほか、複数の会社経営や一般社団法人の代表を務めるなど多方面で活躍されています。
結婚後、子育てを行う中で社会復帰をしたいという強い思いから起業を決意され、イチから美容の勉強を始めて、いまでは10店以上の店舗展開を行い多くの従業員をかかえる会社へと成長させています。
2.株式会社ブラウンシュガーファーストを創業・荻野みどりさん
食材を厳選する手作りの菓子店「BROWN SUGAR 1ST.」を創業された荻野さんは、子育ての中で起こった実体験から子供に与える食の重要性を実感し会社を起業されています。
会社名でもある「ブラウンシュガーファースト」をブランド名として事業スタートされ、「わが子に食べさせたいかどうか?」という基準のもと食材を厳選。
同ブランドの食品はすべて母親目線で商品開発を行い、商品化に際しては子供が試食するなど、一貫したポリシーでビジネスを展開しています。
3.チューリップ不動産株式会社を創業・水谷紀枝さん
女性用シェアハウスの運営・管理を手掛ける「チューリップ不動産」を経営する水谷さんは、デザイン会社勤務で結婚を機に退職し専業主婦へ、その後、不動産会社に就職され出産を機に2度目の退職をした後に起業されました。
育児と仕事の両立を目指す手段として起業を決意され、出産後に不動産事業者の免許を取得されています。
不動産業でありながら自らが大家になるというアイディアで、女性が安心して暮らせる「シェアハウス」を多く展開されています。
4.フォロワー47万人・主婦インスタグラマーせっちゃんさん
「100均マニア」としてInstagram上でおすすめの100円ショップの商品情報を毎日発信されている「せっちゃん」さんは、3人のお子さんを育てるシングルマザーでありながら、フォロワー数が47万人を超える人気のインスタグラマーです。
仕事と育児と家事を行いながら隙間時間にスマートフォンを使って独学でInstagramフォロワー数を増やし、最高月収1,200万円を達成されているとのことです。
また、Instagram以外にもECショップの運営や本の出版など精力的に活躍されています。
5.チャンネル登録者数58万人・主婦YouTuberよめ子さん
旦那様の月収15万円で専業主婦を目指すという内容で日々の節約術や暮らしのアイディアについてのコンテンツを配信されている「よめ子」さんは、登録者が58万人を超える人気のYouTuberです。
「1週間食費3500円肉盛りがっつり献立生活」といった家事関連や「スマートロック手作りしてみた」といったDIY関連など、アイディアと工夫に富んだコンテンツが多くの人に支持されています。
主婦が起業するメリット
主婦が起業するメリットとしては、次のような点が挙げられるのではないでしょうか。
メリット 1. 主婦ならではの目線がビジネスに反映できる
経営者として成功された事例としても紹介したように、子育てや家事を行っている主婦ならではの目線や実体験が事業を立ち上げる大きなヒントとなり、ビジネスを成功させている人が多くいらっしゃいます。
自身と同じように主婦として生活をされている人が日々感じる困りごとを解決したり、実現したいことを叶えたりすることができるビジネスであれば、このような主婦層から大きな支持が得られるかもしれません。
メリット 2. ブランクに左右されない
主婦の再就職に大きな壁となるのが仕事のブランクです。仕事をしていない期間が長いほど、企業に採用されるのは難しくなるのが現実です。
しかし、起業であれば自分の雇用主は自分。ブランクだけで判断されてしまう心配がありません。
起業すれば、過去の経験や主婦として家事などから培った知識やスキルを活かしてすぐにでも働くことができます。
メリット 3. パートよりも自由度が高い
自らビジネスを起業すれば、自分の意思で仕事を進めていくので高い自由度が魅力です。
一方、会社員となれば、勤務時間や勤務シフトなどが決められてしまうので、仕事のスケジュールに合わせた生活を送る必要があります。
育児や家事、介護などがあっても自分のペースで仕事ができる起業は大きなメリットと言えるでしょう。
メリット 4. 成功すれば高収入を望める
ビジネスを成功させられれば、高収入が実現できます。
先ほども紹介したように、多店舗展開によるビジネスや、主婦や女性の視点でのビジネス、また最近はSNSを活用したビジネスなど、で高収入を得る人が多くいます。
誰でも成功できるわけではありませんが、パートや会社員では到底実現できないような収入を得ることも夢ではありません。
主婦が起業するデメリット
主婦の起業には反対にデメリットも存在します。ここではデメリットについても解説します。
デメリット.1 家族の理解が必要
起業する場合に、旦那さんやお子さんなど同居する家族の理解は欠かせません。起業をすれば少なからず生活パターンが変わってしまうので、家庭内の生活にも影響が出ることが十分に考えられます。
起業する仕事の内容はもちろんのこと、起業によって家庭内の生活がどのように変わってしまうのか、自分が起業することへの理解と起業後の協力が得られるように同居家族や関係する人たちにしっかりと説明しておくことが重要です。
デメリット.2 収入が安定しない可能性
起業しても必ずしもビジネスを成功させられるとは限りません。
また、知名度も実績もない状況からのスタートであるため、多くの起業の場合には、ビジネスを軌道に乗せるまでに相当な時間を要します。
特に主婦の場合には、家事や育児をこなしながら仕事を行うことになるので、思うようなスピードで事業を進めることができず、起業しても最初のうちは収入が安定しないことが十分に考えられます。
ビジネスによる収益化は長期的な視野で考えておいた方がよいでしょう。
デメリット.3 ワークライフバランスの問題
起業したことにより、これまでの生活パターンが崩れ、健康的な生活が送れなくなってしまうという事態も考えられます。
例えば、家事や育児以外に仕事に割く時間が増えてしまい睡眠不足になったり、家族とのコミュニケーションの時間が減ったりすると、家庭生活内にも悪い影響が出てしまいます。
起業した後も健全で健康的な生活パターンが作れるように、仕事を行う場合のルールやスケジュールを事前に立てておくことが重要です。
主婦が起業・開業する前に考えるべきこと
実際に主婦が起業に向けて動く場合、ただ闇雲に動いても成功を収めることはできません。
開業するにあたり、まず何を考えておくべきかについて解説します。
起業の目的を明確にする
起業は、ビジネスの中身や仕事のやり方などすべて自分の判断で自由に決められることがメリットですが、ビジネスの目的を明確にしておく必要があります。
先ほど紹介したような起業に成功している主婦の事例を参考にして、とりあえず起業してみるというやり方では、ビジネスの方向性や軸が定まらず、場合によっては何のための起業だったのかすらわからなくなり、ビジネスの継続を諦めてしまうという事態にもなりかねません。
「何のために起業するのか?」「これから立ち上げるビジネスによって何を実現したいのか?」など、起業に対する自分自身の考えやビジネスの目的・コンセプトをまずしっかりと定めましょう。
家族の理解を得るよう相談
家族の理解や協力なしに起業を成功させることは難しいと考えておきましょう。
主婦兼経営者になるので、それまでの家事や育児に加えて仕事をする時間を確保しなければなりません。
家庭内の生活パターンを変えたり、家事や育児の役割分担を調整したりするなど、業務の時間を作り出すためには、それまでの生活スタイルを変更しなければならないケースが大半だと考えられます。
家族の反対を押し切ってまで起業してもその後の協力が得られにくいため、仕事がうまくいかない、あるいは家庭内でわだかまりが生じる、など望ましくない状況が生まれるリスクがあります。
せっかく起業するのですから、家族の理解が得られ、気持ちよく応援してもらえる環境を作ることが起業を成功させる第一歩となるでしょう。
扶養や控除について検討
現在、配偶者の扶養に入っている場合に気を付けたいのが、起業後の所得です。
旦那さんの所得が1,000万円以下の場合、年間の合計所得が48万円以下でないと配偶者控除の対象から外れます。
年間所得が48万円を超えても、133万円以下であれば、所得税は最大で38万円、住民税は最大33万円の配偶者特別控除が受けられます。
社会保険については年間収入が130万円以下であれば扶養範囲内ですが、130万円を超えた場合には扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要があります。予め計画を立てておいたほうがよいでしょう。
起業の形態はどうするか?
「起業」と言っても形態により詳細が異なります。
ここでは起業の仕方の代表例として3つの形態について説明します。
個人事業主の場合
個人事業主は、その名の通り、自分自身を事業主としてビジネスを行う起業形態で、個人事業の「開業・廃業等届出書」を管轄の税務署に提出することで事業を開始します。
法人のように会社設立のための費用などは必要とないため、比較的、気軽に事業を始めることができます。
個人事業主は、法人のような企業名称(会社名)はありませんが、屋号を使用して事業を行います。
仕事に関する自由度は高く、仕事のやり方などや収入などを自身の裁量で自由に決めることができます。
その一方で、個人事業主は法人と比較して社会的な信用度では不利であると考えられています。
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法人設立の場合
「株式会社」または「合同会社」などの会社を設立して、その代表者としてビジネスを行う起業形態です。
会社設立に際しては、事業所本店所在地を管轄する法務局に対して会社登記の申請を行うとともに、登記後に事業所本店所在地を管轄する税務署に対して「法人設立届出書」を提出します。
法人設立した場合には、個人事業主と比較して一般的には社会的な信用度が高まるので、仕事の依頼を受けやすくなる、金融機関などのからの借入も個人事業主と比較すると受けやすくなる、などのメリットがあります。
反面、会社登記など法人を設立するための費用がかかり、また社会保険への加入義務があるため個人事業主よりも開業のハードルがやや高くなります。
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フランチャイズ加盟の場合
個人事業主、法人設立以外の起業形態として挙げられるのが、フランチャイズ加盟です。
フランチャイズ加盟とは、フランチャイズを展開する本部企業にロイヤリティ(加盟料)を支払って加盟店となり、ブランド名や看板を使用する権利や経営・事業運営に関するノウハウの提供を受けて事業を行うことです。
フランチャイズ本部から事業活動を行うためのさまざまな支援を受けられる上、既に知名度のあるブランド名でビジネスを行うことができるので、イチから自分で立ち上げる場合と比べて事業を軌道に乗せやすいというメリットがあります。
ただし、継続的なロイヤリティの支払いが発生するなど費用が掛かるため、売上があまり立っていない状況だと経営の負担になるリスクがあります。
失敗しない!起業する業種選びのポイント
ここでは、主婦で起業する場合に失敗しない業種選びのポイントについて解説します。
ポイント.1 低予算で始められるか
起業後の経営リスクを少しでも下げるためには、開業にかかる費用をいかに抑えられるかが重要です。
低予算で始められる起業の1つが、ネットショップの開業です。
ネットショップ経営であれば、ショップサイトの製作費用と、商品の仕入れに関する費用だけで開業することができます。
ショップサイトの製作についても、最近は「BASE」や「Shopify」、「STORES」などのネットショップの開設支援サービスが充実しており、低価格で簡単につくることができます。
また、さまざまな記事の作成を仕事とするWebライターやブログなどで企業の商品やサービスを紹介することで収入を得るアフィリエイトなどのIT系の仕事は、作業用のパソコンとインターネット環境さえ整っていれば始めることができるため、初期投資の少ないビジネスと言えます。
ポイント.2 収益化できる見込みはあるか
選べる仕事は無限にありますが、ビジネスとして成功させるためには収益化できる見込みの高いものを選ぶことが重要です。
例えば、英会話やダイエットなど専門知識を必要とするセミナー系の仕事であれば、小売りサービスのような仕入れコストや設備投資にかかるコストが低く抑えられるため、比較的高い利益率を確保することができます。
また、税理士や公認会計士、ファイナンシャルプランナーなどの資格をもっている場合には、資格を活用した企業の経営支援やコンサルティングなどが収益化できる仕事として挙げられるでしょう。
ポイント.3 趣味や特技は活かせるか
趣味や特技を生かした仕事は、他人・他社にはない強みを活かしたビジネスを行える可能性があります。
例えば、お菓子作りやハンドメイド雑貨を趣味とする人であれば、それを販売するネットショップや教室の開設などが挙げられます。
その他、パソコン上での画像編集や動画編集を特技として持つ人であれば、企業からの依頼に基づいて動画コンテンツの製作を行うフリーランサーとしての起業や、自ら動画コンテンツを制作して配信するYouTuberとしての起業などが考えられるでしょう。
また主婦としての経験を活かし、家事代行やベビーシッターとして起業するのも主婦の強みを生かした起業と言えます。
ポイント.4 自宅で開業できるか
起業する場合に店舗やオフィスなどを物件契約によって開設すると、内装工事などで多額の初期費用がかかります。
このため、自宅で開業できる仕事を選ぶこともコスト削減のためには重要です。
既に紹介したIT系の仕事などはもちろん、これ以外にもネイルサロンやエステサロンのような美容系の仕事や、カフェやレストランなどの飲食系の仕事の場合には、自宅での開業も検討対象となりうるでしょう。
なお、自宅を店舗として使用する場合には営業許可を受けるために、住居部分と店舗部分が区別されているよう、自宅の改装が必要となる場合があるので注意が必要です。
主婦が起業する際の注意点
主婦の起業で注意が必要な点について解説します。以下を事前に確認しておくことをおすすめします。
1.税金控除のメリットがなくなる可能性を検討する
既に5章でも紹介したように、これまで旦那さんの扶養に入っていた場合には、起業による収入が発生することによって、配偶者控除などの税金控除の適用が受けられなくなる可能性があります。
起業によって得られる収入の見込みをたてておき、税金控除がなくなることで家計全体の所得としてみた場合にどの程度マイナス(あるいはプラス)となるのか検討しておいた方がよいでしょう。
2.開業届や確定申告など必要な手続きを確認する
個人事業主でも法人でも起業する場合には「開業届」の提出が必要です。
また個人、法人に限らず、事業による所得に応じた確定申告が必要です。
確定申告に際して青色申告特別控除を受ける場合には、開業届と合わせて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
その他、個人事業主の場合には個人の住民税や個人事業税などが発生し、法人の場合には法人税、法人住民税、法人事業税などが発生します。
なお、法人設立の場合には、社会保険への加入も義務付けられています。
このように事業を開始した後は税金関連や社会保険などさまざまな手続きが必要となるため、起業前に必要な手続きを確認しておきましょう。
3.使える制度を前もって調べておく
開業資金を自己資金でまかなえればベストですが、設備投資などを伴う事業の場合にはなかなかそうもいきません。
開業資金が足りない場合には、金融機関などが行っている融資制度を利用するという方法があります。
融資制度によって利用できる対象者や利用条件などが定められているので、自分に合ったものを予め調べておきましょう。
そんな中、主婦の起業におすすめなのが、日本政策金融公庫が行っている「女性、若者/シニア起業家支援資金」による融資制度です。
女性の場合年齢に限らず、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方であれば対象となります。
なお、融資を受けるためには事業計画書の作成が必須であり、その完成度が融資の成否を分けます。
特に記載方法は決まっていませんが、ビジョンや事業内容などを明確に記載し、融資審査の担当者に事業内容を理解してもらい、融資する価値のあるビジネスであると認めてもらえなければいけません。
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