
すでに働いている女性や子育てで一旦離職した女性の中には、会社勤めではなく、起業して自分の得意なことや好きなことを仕事にしたいと考える人もいると思います。
起業する際には、資金調達や経営ノウハウなど求められる要件は多く、起業家はそれらが十分ではない状態で起業するケースがほとんどでしょう。
そんな不安な起業時に、ぜひ活用したい支援制度があることはご存じでしょうか?
本記事では、女性で起業を検討または情報収集をしている方のために、注目の支援制度について解説します。
目次
女性の起業家は継続して増加中

日本政策金融公庫が発表したアンケート「2021年度新規開業実態調査」の結果によると、起業する女性の比率は1991年以降年々増加しており、ビジネス創出の担い手として女性が躍進していることが示されています。
なお、起業する人の開業動機として「自由に仕事がしたかった」が最も多いことからもわかるように、近年は国が推進する多様な働き方を求めて起業にチャレンジする人が増える傾向にあるようです。

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女性が起業する際の課題

中小企業庁が発表している「2012年版 中小企業白書」によると、女性が起業前に感じる心配事のトップが、経営や事業に関する知識やノウハウが不足していることであり、開業時に苦労したことには他の経営者との交流機会の少なさが挙げられています。


これに対して、男性起業家が挙げる課題としては「資金繰り、資金調達」についてが最も高くなっており、男女間で創業時の資金確保に対する意識や、何に不安を抱いているかに差異があることが見て取れます。
女性の起業支援にはどんなものがある?

女性を対象とした創業支援は、政府・地方自治体や民間企業などからさまざまなかたちで提供されています。
代表的な例としては、経済産業省の「女性起業家等支援(わたしの起業応援団)」など政府や自治体による支援事業。
日本政策金融公庫による「女性、若者/シニア起業家支援資金」などの融資制度。
厚生労働省の「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」などの補助金・助成金の制度のほか、「女性起業チャレンジ大賞」といった民間団体による支援事業などが挙げられます。
次の章から各支援制度の概要をご紹介いたします。
今回は、特に「女性向け」の制度に限定してピックアップしておりますので、どのような制度があるのか参考にしてみてください。
政府主導の女性向け起業支援

まず、政府が主導する女性起業家向けの支援事業について紹介します。
経済産業省「女性起業家等支援(わたしの起業応援団)」
この取り組みは、起業したい女性とそれを応援する応援者の情報交換・連携ネットワークとして2020年12月に開設されました。
起業したい女性向けのコンテンツとして、起業に向けた行動ステップに関する情報や、起業者向けのセミナーやイベント情報、起業応援者に関する情報などが提供されています。
提供される情報の利用や連携ネットワークを介した企業応援者との交流・情報交換を通じて、起業に関する不安や疑問を解消したり、起業の伴走支援を受けたりすることが期待できます。
内閣府男女共同参画局「女性応援ポータルサイト」
このポータルサイトでは、女性の活躍促進を目的として起業、就業、子育てなどに関するさまざまな情報が提供されています。
起業支援としては、起業を目指す女性に向けた起業プランづくりや起業のための学び支援に関する情報や、創業に必要な条件面の整備や創業の資金繰りや開業資金の調達といった財政面での支援に役立つ情報など。
女性が起業する際に助けとなる情報が提供されています。
地方自治体の女性向け起業支援

つぎに、地方自治体が主導する女性起業家向けの支援事業について紹介します。
神奈川県「かながわの女性応援サイト(起業)」
さまざまな分野で能力を発揮したいと考える女性による起業を情報面からサポートすることを目的として、神奈川県によって開設されている情報サイトです。
この情報サイトには、起業に関する基礎知識や支援施策などをまとめた情報、起業についてのまなびや起業プランづくりに役立つ情報、起業の条件整備のための情報、創業融資の相談に関する情報が、各情報を提供する支援機関とともにまとめられています。
山梨県「co+shegoto(コーシゴト)」
「未来を切り拓く女性起業家支援」を目的に山梨県によって開設されている起業支援プログラムです。
このプログラム(co+shegoto)は、起業の基礎講座や先輩起業家の現場見学会、起業家やプログラム参加者同士の交流会などをセットにした内容で、同じ立場にいる女性同志が共に考え・共感し・問題に向き合える関係性を構築し、自分のぶれない軸をつくることにより、女性の起業を支える取り組みを行っています。
徳島県「はたらく女性応援ネット」
起業やキャリアアップ支援など女性の働き方に関するさまざまな情報を提供する情報サイトです。
このサイトには徳島県が創業支援として行っている「創業促進・あったかビジネス支援事業」についての情報が掲載されています。
この創業支援事業では、今の時代にあったマーケティング勉強会や子供同伴での起業に関する勉強会の開催や、起業したての女性向けの専門家派遣事業など、起業する女性をバックアップするための取り組みが行われています。
奈良県「Leapなら(奈良県女性の起業支援プロジェクト)」
奈良県では、このプロジェクトを通じて「女性のための起業ガイド」の発行や、起業して飛躍するまでに行うべきアクションについての情報掲載、起業支援機関の紹介など、女性の起業を支援する取り組みを行っています。
このプロジェクトでは、奈良県の施策として行われている制度融資や補助金についての案内もあり、女性の起業を資金調達、資金繰りの面から支援する取り組みも行われています。
女性起業家が資金調達で使える融資制度

ここでは、女性起業家が活用しやすい融資制度の代表例について紹介します。
前述の「女性起業家等実態調査」の結果では、多くの女性起業家は資金調達についてはさほど緊急性を感じていないとご紹介しましたが、起業の際や立ち上げ直後の資金繰りは事業を軌道に乗せる重要なファクターでもあります。
いざという時のために、これらの融資制度を知っておいて損はないと思われます。
日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」
新規開業資金を特別利率で受けられる支援制度で、女性の場合には年齢に限らず、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の方が対象となります。
設備資金の場合には20年以内、運転資金の場合には7年以内と比較的余裕のある返済期間が設けられていることが特徴です。
また、新たに事業を始める人の場合には、日本政策金融公庫が同じく提供する「新創業融資制度」を併用することも可能です。
ちなみに公庫の通常の創業融資と「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利率を比較すると下記のようになります。
仮に1,000万円の融資を受けた場合、およそ67,000円もの差(2.3%と1.63%で比較) が出る計算になります。
通常の創業融資 | 2.03~2.70% |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 1.63~2.30% |
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岩手県「いわて起業家育成資金(若者・女性創業支援資金)」
岩手県では、産業振興の一環として岩手県内で新たに事業を始める人、もしくは創業して間もない人を支援する制度を設けています。対象は39歳以下の人、あるいは女性。
制度の利用には商工会議所や商工会による認定書が必要なので、まずは岩手県内の商工会議所や商工会に相談してみましょう。
融資期間は10年以内(条件により3年以内)、限度額は1000万円、保証料率は県が全期間分を負担してくれます。
茨城県「女性・若者・障害者創業支援融資」
茨城県が設けるこの制度は、新たに事業を開始する女性、若者、障害者向けの低利の融資制度です。
これから起業する女性の場合には、茨城県内に住所・居所を持ち、1月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有する人か、2月以内に新たに会社を設立し、この会社が事業を開始する具体的計画を有する人が対象となります。
融資期間は、設備資金の場合には10年以内、運転資金の場合には7年以内、設備資金・運転資金併用の場合には7年以内と設定されています。
女性起業家におすすめの補助金・助成金

つぎに、女性が起業する場合におすすめの助成金制度を解説します。
助成金は受給要件を満たしていれば、申請を行うことで原則受け取ることが出来ます。
また、融資とは異なり返済の義務がないため、起業時に有効活用すればより安定した事業経営が実現できるでしょう。
厚生労働省「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」
厚労省が女性活躍推進法に基づき、社内で働く女性の活躍を推進する取り組みを行っている事業者に対して助成金を支給する制度で、女性の活躍推進に力を入れた女性起業家は検討しておきたい助成金制度です。
自社における女性の活躍状況を把握し、男性と比べて女性の活躍に関し改善すべき事情がある場合に、事情解消に向けた目標を掲げて環境整備に取り組み、掲げた目標を達成した場合に、その事業者に対して最大で60万円の助成金が支給されます。
東京都「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」
都内商店街の活性化を図る目的で、都内商店街で女性または若手男性が新規開業する場合に、店舗の新装又は改装及び設備導入等に必要な経費の一部を助成する助成金事業です。
申請予定の店舗が都内商店街であり、開業が交付決定日以降であり、申請時点で実店舗を持っていないことなどの要件を満たすことで、店舗改装工事費用や実務研修費用、店舗貸借料などの経費に対して最大で730万円の助成を受けることができます。
女性起業家を対象にした民間での支援事業

最後に、民間団体が行う女性起業家への支援事業の代表例について紹介します。
行政だけでなく、さまざまな民間団体が女性の起業をバックアップする事業を展開しています。
(一社)日本起業アイディア実現プロジェクト「女性起業チャレンジ大賞」
産業界、教育界からの有志によって運営されている、女性の起業家育成を支援するプロジェクトです。
このプロジェクトでは、新たに起業を希望する女性、または既に起業をしていて新しいアイディアで事業を拡大しようとしている女性を募集し、先行の結果支援する事業を決定し、支援事業者に対して最大で200万円の資金が無償で支給されています。
新しいアイディアで起業を目指す女性はぜひチャレンジしたい支援事業です。
株式会社コラボラボ「女性社長.net」
20 代~40 代を中心とした現役女性経営者に特化した女性起業家データベースサイトであり、編集記事やイベント・セミナー開催を通じて女性経営者最新情報が配信されています。
特に起業を目指す女性のために、理想のロールモデルを探せる情報源として「女性社長インタビュー」や「女性社長一覧」などが掲載されているほか、女性社長の最新情報などが常時配信されており、起業したい女性が参考にできる情報を入手することができます。
学び舎mom株式会社「Myスタイル起業」
東海3県エリア(愛知・岐阜・三重)で起業したい女性のために、さまざまな支援事業を展開するプロジェクトです。
このプロジェクトではステージ0~3の起業ステージを設定し、各起業ステージに合った支援や支援機関に関する情報を提供しています。
また、先輩女性起業家との交流会やスキルアップのためのセミナー開催などを行われており、東海3県の地域ごとの構成機関と連携を組み、チームで女性の起業を応援する取り組みが行われています。
(公財)ふくい女性財団「チャレンジサイト」
起業など社会貢献したい、社会のあらゆる分野で活躍した女性を応援するための情報サイトです。
起業したい女性向けの支援としては、起業するためのプランづくりや融資の相談など、起業実現に向けたサポートを行う各機関の紹介を行っており、「起業のプランをつくりたい」、「融資の相談をしたい」など起業に関してチャレンジしたいことの種別ごとに支援機関がまとめられています。
支援制度・専門家のサポートうまく活用して開業をスムーズに!

日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」では、起業家の約7割が開業に満足していると回答しており、これから起業をする人にとって大いに期待がもてる調査結果がでています。
また、同じく日本政策金融公庫による「2021年度起業と起業意識に関する調査」によれば、起業時においては資金面よりも経営スキル面での支援を求める割合が高いという調査結果が得られています。
このことからも、起業するための手続きやノウハウなど知識面での支援が得られる支援制度の活用や、専門家へのサポート依頼が起業を成功させる重要な鍵になると言えるでしょう。
なお、当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、女性起業家など起業を志す人に向けた総合的なサポートを行っています。
「起業したいけど何から始めればいい?」
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など、起業に関する疑問や不安などお気軽にご相談くださいませ。
まとめ

女性起業家は増加傾向にありますが、身近に起業している女性がおらず、どのように家事・育児や介護とキャリアを両立させているのか相談できる人がいない為、起業後のイメージが沸かずに一歩踏み出す事が出来ない方も多くいるのが実情です。
そんな中でも起業をして活躍されているクライアント様もたくさんいらっしゃいます。支援制度や、別の記事でとりあげている開業手順や開業にかかるコストを理解して、夢実現のための第一歩を踏み出してみましょう。
認定支援機関である「税理士法人Bricks&UK」なら開業資金の調達から、収支計画書の策定などの経営コンサル、集客支援、確定申告まで一貫してお手伝い行っています。起業をお考えの方は、当サイトおよびBricks&UKにぜひ一度ご相談ください!
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