ここ数年、空前の唐揚げ専門店ブームと言われて久しいですが、2022年になった現在もその勢いは続いており、唐揚げ専門店の新規出店は増加傾向です。
そんな大ブームの唐揚げ専門店を、「ビジネスチャンスを逃したくない!」と今からでも開業したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、これから唐揚げ専門店を開業したい人のために、必要な手続きや費用、開業を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
目次
唐揚げ専門店が激増中!今後の動向予想は?
コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食業界にあって、唐揚げ専門店の出店ラッシュが続いています。
近年の唐揚げブームと唐揚げ専門店の店舗数が増加する背景について解説します。
近年、唐揚げ専門店が全国的に増加
日本唐揚協会の発表によれば「唐揚げ専門店は、2022年4月現在、全国で推定4379店舗。1年で1256店 舗増え(約40%増)、2012年の450店舗から10年で約10倍」と、近年で出店数が爆発的に伸びています。
このようなデータを見ると、ここ数年の唐揚げブームの勢いは目を見張るものがありますが、その反面、ブームの終焉に対する不安を感じるかもしれません。
過去にも、高級食パンやタピオカなど食べ物を中心にさまざまなブームが到来してきました。
ただし「ブーム」を過ぎれば、あっという間に廃れてしまう一過性のものがほとんどでした。
今回の唐揚げについて言えば、ブーム以前から日本国民にとって定番の食べ物であり、幅広い年齢層に好かれているメニューであるため、仮にブームのピークを過ぎても大きく消費が落ち込むことはないでしょう。
一過性のブームという心配は不要かもしれません。
ニチレイフーズの調査では、全29品のおかずから全体の72.4%が「から揚げ」を選択。好きなおかずランキングの第1位に輝きました。
店舗数増加の要因と背景
唐揚げ専門店がこれだけ店舗数を増やしていけた、その要因と背景について見ていきましょう。
店舗数の爆発的な増加要因としては、以下のことが挙げられます。
●タピオカ店がブーム終焉と共に鞍替え
●既存飲食店が唐揚げ専門店へ業態変更
●大手外食チェーン店やフランチャイズ店の参入
タピオカは2018年頃から若者の間でブームとなり全国に店舗が急増しましたが、数年でブームは終焉しました。
これにより業績厳しい店舗の一部は唐揚げ店舗へと鞍替えする動きがみられました。
また、唐揚げの人気に目を付けた既存の飲食店による業態変更や、大手外食チェーンやフランチャイズによる店舗参入も相次ぎました。
以上のように、さまざまなプレーヤーが唐揚げ業態に入ったことが店舗急増に繋がっています。
なぜ?唐揚げ専門店が続々開業の理由
では多くのプレーヤーが参入するほど唐揚げ専門店は人気となったのには、どのような理由があるのでしょうか?
理由.1 唐揚げは幅広い世代に人気のメニュー
先ほども触れたように、唐揚げは、もはや国民食の1つと言ってよいほど若者からシニアまで幅広世代に受け入れられる定番のメニューです。
テイクアウトなどで気軽食べられるのはもちろん、食卓にも並べられるなどさまざまなシチュエーションで消費されています。
このように人気メニューである唐揚げは、消費量・消費頻度ともに期待できるため、今後も需要が見込める市場として続々と新規参入が続いている状況と考えられます。
理由.2 原価率が低く、少ない初期投資で開業できる
唐揚げはコストの観点からも大きなメリットがあります。それは「原価率が低い」ことです。
原材料が鶏肉であり、牛肉や豚肉といった他の肉食材に比べて安価に入手することができます。
また調理は小スペースでも可能であり、調理に必要な人数も最小限で済むため、家賃・人件費を低く抑えることができます。
唐揚げ専門店は、他の業態と比較して少ない初期投資で開業することができるという点も、新規出店を加速させている要因と言ってもよいでしょう。
理由.3 特殊な調理技術が不要なため新規参入しやすい
唐揚げは、鶏肉を油で揚げるというシンプルな方法で作ることができ、特殊な調理技術が不要であるということも大きなポイントです。
一般のフード業態では、調理マニュアルなどは整備されているものの特殊な調理技術が必要なものも多く、一定期間の訓練や技能が求められる場合があります。
しかし、唐揚げの場合には調理手法が比較的単純なため、調理未経験であってもマニュアルに基づいて一定品質の商品を作ることができます。
理由.4 味付けのバリエーションが豊富でリピーターを確保しやすい
いくら人気メニューであっても、食べ続ければ飽きがくるという問題がどうしても出てしまいます。これはリピーターを増やす際の大きな悩みと言えるでしょう。
唐揚げの場合には、定番の塩やしょうゆ味だけではなく、チーズ味や唐辛子の効いたスパイシーな味付けなど、味付け次第で豊富なバリエーションを実現することができるので、飽きがきにくくリピーターを確保しやすいというメリットがあります。
また、味のバリエーションは店ごとの個性にもなるため、差別化を図る手段としても有効でしょう。
唐揚げ専門店の開業スタイル
一言に唐揚げ店舗といっても開業スタイルには複数の種類があります。
以下で、タイプとそれぞれの特徴について解説します。
①個人店として開業
自分で唐揚げ店舗を開設して開業する方法です。
店舗物件の確保や調理設備・店内設備の導入などの準備の他、サービスのコンセプトや商品ラインナップなど、唐揚げ販売に関するすべてを自身の判断で行います。
店舗を開設するまでに費用や手間が掛かりますが、店舗の運営方法やメニュー設定などを自由に決めることができます。
②フランチャイズで開業
チェーン店舗などを運営するフランチャイズ本部と契約し、知名度のあるブランドを使って唐揚げ店舗を運営する方法です。
店舗を運営するためのノウハウや必要な教育を受けられるため、飲食店舗などを経営したことのない初心者でも始めやすいのが特徴です。
フランチャイズ本部に対してロイヤルティの支払いが発生しますが、店舗オペレーションや経営ノウハウのマニュアル提供や宣伝集客などの面で、個人店で開業するよりも事業を軌道に乗せやすいことがメリットと言えます。
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③キッチンカー・テイクアウト専門で開業
キッチン設備を搭載した車両や小スペースの店舗設備を使い、テイクアウト専門として開業する方法です。
キッチンカーは場所を選ばずに営業できることから近年人気の販売形態です。
キッチンカー・テイクアウト店舗ともに、一般の店舗のような本格的な厨房や店舗設備などが必要ないため、開業にかかる初期費用を低く抑えることができます。
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唐揚げ専門店の開業に必要な許可・届出
次に、唐揚げ専門店を開業するためには、どのような手続きや許可が必要となるのかについて解説します。
①開業届
新規に唐揚げ専門店を開業する場合には、一般の事業開設と同様に「開業・廃業等届出書」を提出します。
この開業届は、開業した日から1カ月以内に店舗を構える所在地の管轄の税務署に対して提出することが義務付けられています。
また、確定申告の際の特別控除を受ける場合には、開業届と合わせて「青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。
開業届を提出する際につい忘れがちになるので覚えておきましょう。
②食品衛生責任者
唐揚げ専門店は飲食関連の開業であるので、「食品衛生責任者」を必ず1名設置することが義務付けられています。
調理師や栄養士など資格を持っている人は届出をすることで食品衛生責任者になることができます。
対して、調理師などの資格を持った人がいない場合には、各自治体で開催される養成講習会を受講し修了することで食品衛生責任者の資格を取得することができます。
③飲食店営業許可
唐揚げ店舗を開設するために必須となるのが「飲食店営業許可」です。
営業許可は保健所に申請を行います。申請から許可がおりるまでには数週間かかる場合があるので余裕を持った申請を行いましょう。
なお、保健所への申請はなるべく店舗の着工の前に行っておくことをおすすめします。
営業許可申請後は保健所により検査が行われますが、着工後に指摘を受けると設備の改修などが必要となり、余計な手間やコストが掛かるおそれがあるためです。
④防火管理者
店舗の収容人数が30名以上の場合には「防火管理者」を設置する必要があります。
防火管理者は、都道府県知事や市町村の消防長などが実施する講習会を受講し終了することで取得することができます。
なお防火管理者には甲種と乙種があり、店舗の延床面積が300m2以上の場合には甲種、店舗の延床面積が300m2未満の場合には乙種の資格が必要です。
店舗の収容人数や延床面積の情報から、自身の店舗での防火管理者の要否について予め確認しておきましょう。
⑤移動販売車許可(キッチンカー販売の場合)
キッチンカー販売を行う場合に注意しなければならないのが、移動販売を行う場所に応じた営業許可の取得です。
営業許可は各自治体の保健所に申請することで行いますが、自治体で定める地域をまたぐ場合にはそれぞれの地域での営業許可を取得しなければなりません。
キッチンカーであればどこでも自由に営業できると考えがちですが、地域ごとの営業許可が必要となるため、営業するエリアを事前に決めておきましょう。
唐揚げ専門店開業に必要な費用はいくら
唐揚げ専門店を開業するには、はたしてどのくらいの費用が掛かるのか気になるところでしょう。
ここでは、個人事業として開業する場合とフランチャイズ制度を活用して開業する場合について解説します。
個人経営の場合
個人で唐揚げ専門店を開業するためには、お店を設ける物件を確保や店舗の外装・内装工事、調理設備や什器の購入・設置などが必要です。
これらの掛かる費用の目安としてはだいたい以下のようになり、開業するための初期費用としては300~500万円くらいが相場と言えます。
■項目 | ■費用(目安) |
物件取得費用 | 100~150万円 |
外装・内装工事費用 | 100~200万円 |
調理設備・什器購入費用 | 100~150万円 |
競争が激しくなりつつある唐揚げ専門店を成功させるためには、初期費用を抑えることも重要です。
例えば、外装・内装をシンプルにすることで工事費用を抑えることができ、また調理設備や什器などは購入ではなくレンタルで調達することでコストを減らすができるでしょう。
また、テイクアウト専門のお店とすれば店舗スペースを最小限に抑えられるため、物件取得費用を抑えることも可能となります。
フランチャイズの場合
フランチャイズに加盟して開業する場合には、個人経営で説明した店舗設置に掛かる費用に加え、フランチャイズへの加盟費用が掛かります。
加盟費用の目安として100~200万円くらいでしょう。
またそれ以外には、研修や店舗教育などの店舗立ち上げに関する指導費用も掛かってきます。
加盟するフランチャイズによって変わってきますが、開業するための費用としては400~600万円程度は考えておいた方が良いでしょう。
フランチャイズ本部によっては開業までの初期費用を支援してくれる場合もあるので、開業に掛けられる費用や自己資金などを踏まえながら、無理のない店舗運営ができるフランチャイズを選択することをおすすめします。
こんな場所に開業すれば失敗しない!
開業するからには当然事業を成功させたいですが、そんな成功の鍵を握るのが開業する場所です。
ここでは、唐揚げ専門店の開業場所としてぜひとも押さえておきたい条件を2つ挙げて解説します。
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1.人通りが多く、駅などから立ち寄りやすい場所
唐揚げは手軽に食べられるファストフード的な要素が強い商材です。
そのため、会社帰りや学校帰りなどにテイクアウトで購入してもらえることが大いに期待できます。
人通りが多いことはもちろんですが、帰宅途中や出かける途中などの「ちょっと買い」をターゲットとして、駅やバス停などから駅などから立ち寄りやすい場所での開業を目指しましょう。
2.周辺に競合店がない場所
昨今の唐揚げ専門店の急増により、人気のエリアには店舗がひしめき合う状況となっていますが、新規開業する場合には周辺に競合店がない場所を極力選びましょう。
新規開業で特に個人経営の場合には知名度も実績もないため、すでにライバル店が周辺にあるエリアで開業してしまうと、開業当初から苦戦を強いられる可能性が高くなります。
周辺地域の商圏分析は入念に行ってください。
唐揚げ専門店の開業で成功するポイント
からあげ専門店は飲食系の中でも利益率が高いため儲けが出しやすく、需要が高いビジネスであると言えます。
ただし、闇雲に開業しても当然ながら上手くは行かないでしょう。
最後に唐揚げ専門店の開業を成功させる秘訣について解説します。
POINT.1 初期費用はなるべく抑える
これは唐揚げ専門店に限ったことではありませんが、開業してすぐに事業が軌道に乗ることは稀です。
初めのうちは収益が見込めない時期が続くため、運転資金がショートしないように店舗運営することが重要です。
そのため、初期費用はなるべく抑えて開業することを心がけましょう。
開業時には店舗物件の取得や店舗工事、調理設備の確保などに費用が掛かります。
前の章でも解説したように、必要最小限の店舗環境だけを整えることによって開業費用の削減が期待できます。
POINT.2 回転率を可能な限り上げる
店舗売り上げを大きく左右するのが回転率です。
特にランチタイムや夕方の時間帯など、最も売り上げが期待できるピーク時間帯の回転率を可能な限り上げることが重要となるでしょう。
回転率を上げるためには、調理スピードや商品の提供スピードを高めることが必要です。
ピーク時間帯だけ店舗人員を増やすなどして回転率を高め、機会損失を抑えることが収益アップには欠かせません。
POINT.3 ワンオペで人件費を抑える
店舗運営にかかる固定費として大きいのが人件費です。
飲食店舗においては、人件費が嵩むことで店舗収益が赤字に陥ってしまうといった事例は数多く見られます。
少なくとも収益が一定額見込めるようになり経営が安定化するまでは、1人(ワンオペ)での店舗運営を考えましょう。
どうしても1人では回せない時間帯だけ応援を頼み、それ以外はワンオペ対応とすることにより収益の向上に繋げることができます。
POINT.4 SNSやウェブを有効活用した集客
ライバル店が周囲に増えるほど集客の重要性が増してきます。
自社のウェブサイトやインターネット広告などを活用して商品メニューや、お得情報などを掲載することで、店舗の魅力発信や他店との差別化を図りましょう。
特に昨今は「Twitter」や「Instagram」などのSNSツールによって店舗や商品メニューの情報を入手することが一般的となっているので、店舗専用のアカウントを作成し、継続的な除法発信を行っていくことが効果的な集客に繋がるでしょう。
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POINT.5 「からあげグランプリ」で金賞を取れば知名度大幅アップ!
日本唐揚協会は毎年「からあげグランプリ」を主催し、全国にある唐揚げ店舗の中から「素揚げ・半身揚げ部門」や「しょうゆダレ部門」などカテゴリごとに受賞店を発表しています。
このグランプリで「最高金賞」や「金賞」を受賞することができれば、知名度の大幅アップに繋がります。
特に「最高金賞」に選ばれれば、メディアなどで取り上げてもらえる可能性が高まるので、知名度や収益の更なる向上が期待できるでしょう。
まとめ
空前のブームにより唐揚げ専門店の開業が急増しており、当面はこの勢いが続くことが予想されます。
初期費用が少なく済む上に原価率も低い商材を扱うため、儲かるビジネスとして注目される唐揚げ専門店ですが、事業成功のためには初期費用・固定費を最小限に抑えることや効果的な集客を行うなどの工夫が求められます。
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