創業時に頼りになる日本政策金融公庫ですが、公的な事業を行う政策金融機関とはいえ、誰でも無条件に融資してもらえるわけではありません。
では、日本政策金融公庫で融資を受けるために、必要な「融資条件」とはなんでしょうか?
ここでは、申し込み前にぜひチェックしておきたいポイントをご紹介します。
目次
創業融資には日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は日本政府100%出資の政府系金融機関です。
公共性の高い事業を行うことために設立されたので、民間金融機関と違い、利益追求を目的としていません。
そのため、創業時でも民間の金融機関と比較して、審査が通りやすいとされます。
新たに起業を目指している方、または事業開始後に税務申告を2年終えてない方を対象に、担保・保証人が原則不要、固定金利で借りられる特別貸付が多く用意されているのも特徴です。
(若者やシニア層、女性の起業を支援する融資制度も用意されています)
返済期間に関しても、運転資金は5年~7年、設備資金では5年~10年で設定が可能ですので、借入金額や返済計画に合わせて、無理のない返済期間設定を行えます。
融資を受けるための要件は?
税金の未納や滞納はありませんか?
税金の未納や滞納があれば、日本政策金融公庫から融資を受けられる可能性はかなり低くなります。
会社に雇用され、給与から税金分を天引されていた人以外は特に注意したいところです。
開業後、日本政策金融公庫から融資を検討している人も、所得税・住民税・法人税といった各種税金をきちんと支払っていたか確認してください。
未納や滞納がある場合、全額支払わないと融資を受けることは難しいでしょう。
過去5年で債務整理をしたことはありますか?
自己破産や債務整理などの経験があると、融資はほぼ無理と言えます。初めて創業する人の場合は特に難しいでしょう。
会社経営によって破産した場合は、まだ融資される可能性はあります。会社を経営していたことが実績として判断される場合があるからです。
しかし、過去に消費者金融から借金をして破産した、ギャンブルで破産したという非常に個人的な理由だと、担当者も高いリスクがあると判断します。
また、消費者金融から借金がある場合、返済の延滞があると融資の可能性は低くなります。
カードローンや銀行ローンも同じと考えておきましょう。
融資を考えるなら、債務整理の場合だと、一定期間(5年間)を開けて申し込みしてください。
これは信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に情報が記載される期間が5年だからです。
自己資金はありますか?
自己資金は、起業のために一生懸命準備してきたという「意欲」を示す強力なアピール材料になるため、融資には必須と言えます。
最低限、融資希望額の3割程度は用意していないと融資は難しいでしょう。
厳しいかもしれませんが、創業のために自己資本も用意できない人は能力不足と判断される可能性もあります。
一応、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、要件として「10分の1以上の自己資金を確認できる方」としていますが、あくまで最低金額で十分とは言えません。
融資してもらう可能性を高めるなら、融資希望額の3割~5割ほど用意したほうがよいでしょう。
なお融資担当者は、通帳も半年分ほど遡ってチェックします。
見せ金かどうか確認することが理由の1つです。
見せ金とは相手に信用させるために、一時的に用意するお金のことと考えてください。
融資担当者に十分な資本金があると見せて、会社設立後に引き出して第三者に返済することになります。
見せ金は詐欺行為であり、担当者も厳しくチェックしているので隠し通すのは困難だと言えます。
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公共料金や携帯電話料金の滞納はしていませんか?
税金と同じく公共料金も滞納などがあれば、融資を断られる可能性は十分あります。
家賃や水道光熱費を滞納したことがないか確認しておきましょう。
また、意外と盲点となるのが携帯代です。
携帯代の支払遅延でも、融資を受けられない場合があります。
指定信用情報機関CICに情報が記載される可能性があるからです。
開業する場所はすでに決まっていますか?
創業前で融資を検討するときに注意したいのが、開業予定地が決まっているかどうかです。
そもそも開業予定地が決まっていなければ、融資は申込手続き自体ができません。
ただし、契約はしていないが、不動産業者に仮押さえしているという状況でしたら申し込むことが可能です。
また、開業予定地関連で注意したいのが融資手続き中の変更です。
融資の手続きをしているとき、開業予定地を変更すると、また最初から手続自体をやり直さなければなりません。
融資の申し込みをする前には、本当に開業予定地はそこでいいのかしっかりと決めておきましょう。
ビジネスプランをしっかり考えましたか?
ビジネスプランがいい加減なら、担当者も不安を感じて融資を断るでしょう。
創業したとしてどのような方法で収益を上げるのか?経営を安定して継続させて行くための具体的なプランはあるのか?など、担当者は厳しくチェックします。
ビジネスプランについて自分では完璧だと信じていても、プロから見れば穴だらけという場合もあるでしょう。
矛盾点なども厳しくチェックされ、現実的に収益をあげるのは明らかに不可能というビジネスプランも門前払いされるでしょう。
従業員は何人雇用するのか・すでに確保しているのか、商品を取り扱うなら取引先と仕入先は決まっているのかなど細かくチェックされます。
面談に向かう心の準備はできていますか?
日本政策金融公庫で融資を受けるには、担当者との面接を突破しなければなりません。
ビジネスプラン、融資の希望理由など細かい点まで厳しくチェックされます。
創業に対する熱意や希望なども質問されるでしょう。
どのような質問が来ても、理路整然と答えられるだけの心の準備をしておいてください。
口下手かどうかは関係ありません。自分の考えていることを、正確に伝えるという気持ちを意識しましょう。
面談の準備ができていない場合、厳しい質問に対し怒る人もいますが、担当者に対する不満が言動や態度に出ると融資はまず無理でしょう。
あくまでも自分は「融資をしてもらう立場」ということを意識してください。
最低限のマナーも守れないと、結果として経営者としての資質が疑われ、融資を受けることは難しいでしょう。
まとめ
今回は、日本政策金融公庫で創業融資を受けるための融資条件の概要について解説しました。
日本政策金融公庫から融資を受けるには、申請前にしっかり準備をしておくことが大切です。
十分な自己資金はあるか、ビジネスプランは大丈夫か、中長期的な収支計画は問題ないか、など担当者はきちんとチェックしています。
これらに説得力を持たせる資料として、客観的な根拠を示すことです。
これは事業開始後にも当てはまる事ですが、いわゆる「絵に描いた餅」では、融資担当者を納得させることはできません。
もし税金や公共料金の遅延や滞納があるなら、融資は厳しいものになるでしょう。
同様に、商社金融やカードローン・銀行ローンなどの借入があれば、審査に大いに影響が出ます。
また申し込み後の面接内容も、条件に該当します。
まず無いとは思いますが、面接で態度が悪いと門前払いです。
変に隠したり繕ったりせず、融資を受けるための条件を満たしているなら堂々と申し込んでください。