会社設立のメリットとは?会社形態別のメリット・デメリットも解説

会社設立のメリット
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個人事業主としてある程度の成果が出れば、会社を設立すること、いわゆる法人化(法人成り)も視野に入ってきます。

しかし気になるのは、個人事業と法人としての事業とでは何が異なるのかということ。メリットよりデメリットの方が大きければ、法人成りする必要性は感じませんよね。

会社設立には、もちろん複数のメリットがあります。この記事では、そのメリットに焦点を当てて紹介していきます。
また「会社」といっても大まかに4つの種類があるので、それぞれのメリットについても解説していきます。

会社設立の7つのメリット

会社設立の7つのメリット

個人事業主が会社を設立する(法人成りする)ことには、主に7つのメリットがあります。

  • 取引先や金融機関からの信用度が上がる
  • 所得によっては税金の負担が減る
  • 設立初期は消費税の免税措置がある
  • 節税しやすい
  • 人材が確保しやすくなる
  • 決算時期を自由に決められる
  • 経営を後継者に譲る手続きがスムーズになる

それぞれ具体的に見ていきましょう。

取引先や金融機関からの信用度が上がる

会社設立による信頼度の上昇

個人事業主として活動する事業主と、会社を立ち上げ法人として活動している事業主とでは、法人企業の事業主の方が信用されやすいのが現実です。

その主な理由には、会社設立には登記の手続きが必要なため、より公(おおやけ)に認められた存在であることが挙げられます。また、法人企業であれば事業主個人のプライベートと事業とがはっきり分離されていると見なされることも大きいでしょう。

また、個人事業は開業届を出しさえすればスタートできますし、今では資本金1円から設立が可能です。そのため、個人事業では立場や資金面で信用度を図ることができません。

所得によっては税金の負担が減る

会社設立による税金負担の減少

法人成りして大きな利益を得られれば、税金の負担が個人事業主として納めるより少なくなります。

事業で得た利益に税金がかかるのは誰もが知るところでしょう。個人事業の場合、事業で得た利益には所得税が課せられます。法人企業の場合は、これが法人税という形で課せられます。

所得税には、所得が多いほど負担が大きい「累進課税」という制度が採用されています。一方で法人税には、所得の多い少ないにかかわらず同じ税率が適用される「比例税率」の制度が取られています。

ただし、このメリットはある程度の利益がなければメリットにはなりません。利益や売り上げから見た法人成りのタイミングについては、こちらの記事で解説しています。

設立初期は消費税の免税措置がある

個人事業でも会社でも、 原則として設立当初の2年間は消費税が免除されます(新設法人の納税義務の免除の特例)。

基本的に消費税は、個人事業主の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が1000万円を超えた場合に課税されます。

例えば、個人事業主として事業を2年間行い、3年目に法人成りする場合で考えてみます。この場合、個人事業主だった2年間は免税となりますし、法人成りしてからの2年間も免税、つまり最長4年間は消費税が免税となるのです。

ただし、事業年度開始日時点での資本金が1000万円以上ある場合は免税にならないなど、例外もあります。

節税しやすい

節税しやすい

法人には、税制上の優遇措置が個人より手厚くなっています。つまり個人事業主よりも節税対策として使える選択肢が多く、節税しやすいのです。
主な節税ポイントは次の3つです。

赤字の繰り越し期間が長くなる

まず、事業が赤字になった場合の繰り越しに関しては、個人の場合は最長3年の繰り越し(青色申告に限る)です。

対して法人では、最長10年の繰り越しが可能です。黒字になったときに相殺ができれば税金の負担が軽くなるので、繰り越し期間が長いことはメリットとなります。

役員報酬を経費にできる

また、法人は役員への報酬を損金(経費)とすることができます。経費が多くなれば課税所得が少なくなるため、節税になります。

役員本人には給与所得として個人に所得税がかかりますが、給与所得控除が受けられます。

役員への退職金も経費にできる

さらに、役員への退職金も経費にできるので、同じく所得税の負担が軽くなります。個人事業主の場合、自分が自分に退職金を払う、という形になるので認められません。

ただ当然ながら、法外な額の退職金は損金として認められない可能性もあります。

人材が確保しやすくなる

会社設立のメリット

法人になれば、求人を募集した際に個人事業主としてより多くの応募者を集められる可能性が高いです。前項に通じることですが、応募者側(求職者側)からすれば個人よりも企業の方が勤務先として信用できるでしょう。

実態はどうあれ、個人事業では経営が安定しているのかどうかがよくわからない、というデメリットもあります。

また、社長の個人商店(ワンマン経営)状態になっているのではないかという懸念や、家族が従業員にいることで「家族経営=公私混同」というよくないイメージを持ち、応募を敬遠する人もいます。

決算時期を自由に決められる

会社設立で決算時期が自由になるメリット

個人事業主の場合、1年間の所得税の計算・申告は毎年決まった確定申告の時期(2/16~3/15)に行わなくてはなりません。

しかし法人の確定申告は、決算月より2カ月以内に行えばOKです。決算月を3月とする企業が多いですが、何月にしてもかまいません。事業の繁忙期を避けたり、消費税の節税効果を狙って時期を決めたりする会社もあります。

決算月は、後で変えることも可能です。しかし事業年度を変えることになるため、定款の変更が必要となります。株主総会の開催や役所への届け出、取引先金融機関への連絡などをしなくてはなりません。

経営を後継者に譲る手続きがスムーズになる

会社設立の経営者交代に関するメリット

個人事業を行っている人が誰かに事業を引き継ごうとする場合、いったん廃業の手続きを行ったうえで、継承する人が開業の手続きを行う必要があります。

事業を行っていた人が死亡した場合には、相続の手続きも必要となります。また、事業用の資産を無償で譲渡した場合には、贈与税などの税金がかかる可能性もあります。

しかし法人であれば、単なる経営者の交代という形で手続きができます。

このように個人事業主から法人成りして会社を設立することには大きなメリットがあります。ただし、デメリットも存在することは否めません。会社設立にどのようなデメリットが伴うのかについては、こちらの記事をお読みください。

会社の種類4つとそれぞれのメリット・デメリット

会社の4種類

「会社」と一口に言っても、細かくは主に次の4種類があります。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社

このほか、実在する会社の中には「有限会社」もあります。しかし現在では、有限会社は新たに設立できなくなっています。

いま新たに設立できる4種の会社について、設立にどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。

株式会社を設立するメリット・デメリット

株式会社

まずはもっともポピュラーな会社形態、株式会社について説明します。

株式会社の主なメリット

株式会社の設立には、主に次の4つのメリットがあります。

  • 認知度が高く信用が得られやすい
  • 資金調達がしやすい
  • 出資者は有限責任となる
  • 1人でも設立できる

「株式会社」は会社の中でももっとも多い形態です。国税庁による調査では、単体法人のうち株式会社の占める割合は92.8%です(有限会社を含む/令和元年度「会社標本調査」)。

大多数の企業が選ぶ形態であること、また任意とは言え株式が公開されたり、設立などの手続きも簡単ではなかったりすることから、信頼が得られやすい特徴があります。

株式で資金調達ができること、そして倒産時などに負う責任が出資額を限度とする「有限責任」であることも、株式会社の代表的なメリットです。

株式会社の主なデメリット

株式会社には、次のようなデメリットもあります。

  • 設立手続きなどにかかる費用が高い
  • 役員に任期があり、手続きの手間や費用がかかる
  • 決算公告をしなくてはならない

株式会社は資本金1円から作れる、というのはよく知られていますが、資本金がすべてではありません。定款の認証など登記手続きのためには、約25万円の費用がかかります。

また、取締役など役員の設置が義務付けられているうえ、役員には任期があります。辞任や変更の場合はもちろん、再任(重任)でも登記申請の必要があります。そしてその都度、登録免許税や書類作成のための費用がかかるのです。

株式会社は、決算のたびに貸借対照表(要旨)を官報などで公表しなくてはなりません。官報での決算公告には7万円以上の料金がかかります。
自社サイトでの電子公告にすれば掲載費用はかかりませんが、貸借対照表の全部を公開する必要が出てきます。

合同会社を設立するメリット・デメリット

合同会社設立の握手

合同会社は、日本では比較的新しい会社形態です。株主と経営者がはっきりと分けられている株式会社とは違い、出資者と経営者の両立が可能です。

合同会社の主なメリット

近年では、株式会社でなく合同会社を設立しようとする人も増えているようです。合同会社には次のようなメリットがあります。

  • 株式会社より手軽で安く早く設立・運営できる
  • 意思決定が早くできる
  • 経営の自由度が高い
  • 出資者は有限責任となる
  • 1人でも設立できる

合同会社は株式会社と違って定款の認証が不要です(ただし作成は必要)。なのでその分の手間と費用、そして時間がかかりません。そして登記申請にかかる費用も約6万円と、株式会社より安く設定されています。

役員に任期がないので手続き等も不要ですし、決算公告も不要です。

利益の分配や議決権も出資割合と関係がなく、経営の自由度が比較的高いというのも大きな特徴です。出資者の責任は、株式会社と同じ有限責任です。

合同会社の主なデメリット

合同会社には、次のようなデメリットもあります。

  • 知名度や浸透性が低く信用度が低い
  • 出資=経営参加となるため資金集めがしにくい
  • 意見の対立があると意思決定等が困難になる

「合同会社」の知名度はまだ低く、株式会社のように市場に開かれた形態でもないため、信用度が低いのが一番のデメリットでしょう。取締役がおらず役職が「代表社員」となり、やや重みに欠けることも影響するかもしれません。

また、「出資はするけど経営には参加しない」という形を取れないため、資金を集めにくいこともデメリットです。「経営に参加したいけど出資はできない」という人に参加してもらうこともできません。

合同会社には、友人や夫婦で立ち上げるケースも多く見られます。関係が上手くいっていれば問題ありませんが、常に良好な関係を保つのは難しいもの。経営に関する意見の相違が生じた際に社としての意思が決まりにくい、プライベートでのいざこざが経営に支障をきたす、といったリスクもあります。

東京商工リサーチの調査によると、合同会社は2020年の新規設立法人のうち25.3%を占め、増加が続いています。とはいえ全体で見ればまだまだ数は少ない状態。
前述の国税局の調査結果でも、株式会社の次に多いとはいえ4.1%にとどまっています。

合同会社の設立やメリット・デメリットについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

合資会社を設立するメリット・デメリット

合資会社の特徴は、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成されていることです。無限責任社員とは、文字通り会社の債務に限りない責任を負うものです。ちなみにこの場合の「社員」とは従業員ではなく、出資者を指します。

「会社標本調査」の結果によれば、合資会社は令和元年度時点で全国に約14,000社、法人全体の0.5%ほどしかありません。

合資会社のメリット

合資会社のメリットは、責任の面以外は上で述べた合同会社のケースとほぼ同じです。

設立費用が安く抑えられる、決算公告の義務がない、経営の自由度が高い、というのは、株式会社以外の形態、つまり合同会社、合資会社、合名会社(この3つは持分会社と総称される)に共通する特徴です。

合資会社のデメリット

合資会社の一番のデメリットは、株式会社や合同会社と異なり1人では設立ができないことです。有限責任社員と無限責任社員の双方がいなければ成り立たないので、最低でも2名はいなくては立ち上げられません。

そして、無限責任社員は倒産などの場合にすべての負債の責任を負わなくてはなりません。つまり、会社のお金がなくなり負債が返せなくなったら、個人の財産から返済しなくてはならないのです。

その他のデメリットは合同会社と同じです。メリットもデメリットも合同会社とほぼ同じで、合資会社には無限責任を負う存在が必要となれば、合同会社の設立を選ぶのが得策といえるでしょう。

合名会社を設立するメリット・デメリット

合名会社は、会社の債務に無限の責任を持つ無限責任社員だけで構成される会社形態です。

明治時代にはいわゆる大手財閥系の企業が合名会社として数多く設立されていましたが、今では少なくなっています。前述の調査では、令和元年現在の合名会社の構成比は0.1%、数にして全国で約3,300社です。

合名会社のメリット・デメリットも、合資会社とほぼ同じです。1人でも設立できることは2人以上が必要な合資会社と比べてメリットと言えるかもしれません。しかし全員が無限責任社員となることを考えると、あえて合名会社を選ぶメリットは特にないと言えます。

まとめ

会社設立して笑顔の男性

個人事業主が会社設立(法人成り)すると、社会的な信用度が高まったり、節税がしやすくなったりという大きなメリットがあります。個人で動くより、会社として動く方が取引先などにも信用されやすいので、事業規模を広げていくには会社を設立する方がよいでしょう。

法人税や消費税の免税などでの節税メリットも大きいので、事業が軌道に乗り、ある程度の利益が確保できるようになったら法人成りを考えましょう。

会社といっても主に4つの形態がありますが、実質的には株式会社か合同会社の2択と言えます。それぞれのメリット・デメリットと自分の事業や周りの状況を考慮して合う方を選択してください。

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