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連帯保証人が見つからなくても…大丈夫!
連帯保証人には大きなリスクがあります。
そのため、融資を望んでいても、連帯保証人が見つからない場合も珍しくありません。また信条で、家族をはじめ、知り合いや友達に迷惑をかけたくないので連帯保証人を頼めないという人もいるでしょう。
それでは融資を得られません。ただ、連帯保証人を見つける方法は実はあるのです。
経営者が連帯保証人になる
一般的に、金融機関から融資を受ける場合、連帯保証人は経営者がなります。
会社のお金がなくなっても、経営者には個人資産があるのを忘れてはいけません。
もし、経営者が連帯保証人にならないと、どういうことが起きるのでしょうか?
法人と経営者は別と考えたとします。法人に対してのみ融資を行えば、倒産すれば借金を支払わなくても問題ないということになってしまいます。
これでは、債権者の損害だけが増えるだけでしょう。
だからこそ、会社の経営が厳しくなり借金を返済できなくなることを考慮し、金融機関は担保として経営者を連帯保証人にするのです。
信用保証制度
各自治体では、信用保証制度を設けています。
信用保証制度では、公的機関である信用保証協会から信用保証を得ることで、金融機関から融資が受けやすくなる仕組みです。
信用保証協会は、信用保証協会法という法律に基づき、信用保証業務を行います。
公的機関の保証ですから、金融機関は安心して融資ができるようになるのです。
全国に51の信用保証協会があるので、利用を検討してみてください。
新創業融資制度
日本政策金融公庫では、多くの無担保保証制度を設けています。
その中のひとつに新創業融資制度があり、起業する多くの人が利用している制度のひとつです。
新しく事業をスタートさせる人や、事業を開始してから税務申告2期を終えていない人が対象となっています。
2019年時点、融資限度額として、3,000万円、このうち運転資金は1,500万円が融資可能です。原則、無担保、無保証人の融資制度となっており、代表者個人は責任を求められません。
ただし、代表者個人が希望する場合、代表者が連帯保証人になることも可能です。その場合、利率は0.1%低減します。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/dai3fuyou_m.html
経営者保証免除特例制度
日本政策金融公庫では、経営者保証免除特例制度を設けています。
この制度は、一定の条件を満たした場合、経営者の保証が免除されるという制度です。条件は大きく分けて3つあります。
3つのうちのどれかの要件を満たしており、経営状況を見て借り入れ返済が可能と判断された法人の方の場合です。
経営者保証免除特例制度 条件その1
1つ目の条件はさらに3つに分けられています。
- 「法人と代表者の一体性の解消が、一定程度図られていることを公庫で確認できる」
- 「税務申告を2期以上実施。また、公庫からの普通貸付又は生活衛生貸付の借入がある場合、取引状況に問題がない」
- 「財務状況に問題がない」
この3つを満たしていれば、1の条件はクリアでき、融資を受けられます。
ただし、物的担保を提供することができれば「法人と代表者の一体性の解消が、一定程度図られていることを公庫で確認できる」を満たすだけでも大丈夫です。
経営者保証免除特例制度 条件その2
2つ目の条件は「取引金融機関で代表者保証の免除に関する協調対応が見込める。または取引金融機関から代表者保証を免除された借入の残高がある」
経営者保証免除特例制度 条件その3
3つ目の条件は「事業承継・集約・活性化支援資金を適用し融資を受ける」というケースです。
経営者保証免除特例制度を活用すれば、融資で経営者の保証は免除できます。
また、担保の提供は申込時に選ぶことができるのです。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keitoku.html
制度融資
制度融資は、各地方自治体が、信用保証協会や金融機関と連携して設けています。中小企業の資金調達をサポートするための制度です。
地方自治体が金融機関に制度融資のあっせんをしてくれます。融資の保証人は信用保証協会です。
地方自治体は、保証料、金利の一部を負担などをしてサポートしてくれます。
また、金融機関に預託金の提供も行ってくれるのです。
制度融資には、多くのメリットがあります。
例えば、起業したばかりの立場でも、融資を得られやすいことが挙げられるでしょう。
理由は、信用保証協会が立て替え返済などを行ってくれるからです。金融機関は回収できない危険性が減るため、審査基準も低く設定されています。
また、金利も1.0~2.0程度なので低金利です。
ただし制度融資では、個人について不要ですが、法人は経営者が連帯保証人になることは覚えておきましょう。
物的担保を選ぶ
連帯保証人がいなくても物的担保があれば、銀行から融資を受けることができます。物的担保は不動産や証券など「物」が対象です。
どうしても返済が難しくなった場合、物的担保を処分することで、返済にあてることができます。担保になる物は、複数あり、具体的には、抵当権、質権、先取特権、留置権などが挙げられるでしょう。
抵当権や質権は事前に担保とする旨を債権者と合意しなければなりません。
これは、約定担保物権となります。
先取特権や留置権については一定条件を満たせば、担保権を行使できます。
これが、法定担保物権です。
連帯保証人になってもらうことのリスク
第三者に連帯保証人になってもらうことには、多くのリスクがあります。
大前提として、連帯保証人になってくれる人はほとんどいません。
たとえ、両親や兄弟であっても、断られることは覚悟したほうがよいでしょう。
特に高額な融資を金融機関から受ける場合はなおさらです。
最悪の場合、断られるだけでは済まず、人間関係が破綻する覚悟も持たなければなりません。できるなら、迷惑をかけることのない方法を選択したほうがよいでしょう。
保証人のための情報義務
2020年4月から民法の一部を改正する法律が施行されます。
その中で、連帯保証人を守るための情報に関する内容も組み込まれているのでチェックしておいてください。主催債務者は、保証人になってもらう依頼者に対し、さまざまな情報を提供しなければなりません。
例えば、財産や収支状況、主債務以外の債務金額や履行状況に関する情報がそれに当たります。
また、保証人になってもらったあとも、 主債務の支払状況や、期限の利益の喪失が起きたときの通知 を債務者は保証人に伝えなければなりません。
なお、改正による連帯保証人制度の重要な変更点は、以下に3点になります。
改正のポイント1:個人根保証契約の極度額ルールについて
継続的な売買や賃貸借の契約、フランチャイズ契約などについて、契約相手企業の社長などの個人を連帯保証人にする場合は、契約書で極度額(連帯保証人の責任限度額)を定めることが義務付けられました。(改正民法465条の2)
改正のポイント2:主債務者から連帯保証人への情報提供義務について
連帯保証人をつける契約の際には、主債務者から連帯保証人に主債務者の財産状況等を情報提供することが義務付けられました。(改正民法465条の10)
改正のポイント3:債権者から連帯保証人への情報提供義務について
これが今回新たに新設された重要なルールです。下記の2点が義務付けされることになりました。
(1)連帯保証人からの債権者への問い合わせがあった場合の回答の義務(改正民法458 条の2)
(2)主債務者が期限の利益を喪失したときの、債権者から連帯保証人への通知の義務(改正民法458条の3)
連帯保証人になってもらえるとしても説明は必須
中には連帯保証人になってくれる人もいるかもしれません。
ただ、それで喜ぶのではなく、きちんとリスクについて説明をする必要があります。
意味は分からないが、信頼して「なろう」という人もいるはずです。
その人に対しリスクを説明するのは債務者の責任と考えてください。
この4つがないこともきちんと説明しておきましょう。
下手をすれば、相手だけではなく相手の家族の人生まで狂わせる可能性があるためです。
債務者の責任について詳しく説明している記事がありますので是非ご覧ください!
民法改正により「連帯保証人制度」が廃止される!?
結論から言うと、廃止まではいかずとも様々な制約が加わり、より規制が厳しくなったと言えます。
120年前に作成されて以来の民法の大改正により、これまで多くの問題を抱えてきた「連帯保証人制度」にも、大幅に手が加えれることになります。
改正の中間試案では「経営者などを除き廃止の方向で検討」との内容が示されたそうですが、制度自体を廃止してしまうと、金融機関や金融業者の融資審査はより条件が厳しくなることが予想されます。その場合、中小企業経営者やベンチャー企業、若年の起業家などへの貸し渋りが発生する恐れもあるでしょう。
連帯保証人制度の廃止で、未然に救われる人々がいる一方で、貸し渋りにあい資金調達が出来ず、悲しい結末を迎える人が出てこないとも限りません。
今回の民法改正では制度の廃止はありませんでしたが、その責任やリスクの重さは変わらないので、今後も引き続き慎重な取扱が必要とされます。