
日本政策金融公庫の融資が、インターネットで申し込みできるようになったことはご存じでしょうか?
便利になった一方で、インターネットやITに詳しくない人は、ネットでの申し込みに不安を感じるかもしれません。
本記事記事では、インターネット申し込みの具体的手順や必要な書類、よくある疑問点などについて解説します。
インターネットやITに関する難しい知識は必要ありません。
むしろ従来のように書類を紙に出力したり郵送したりする手間が省けるため、慣れてしまえば融資手続きの手間が大幅に削減できるでしょう。
参考にして公庫のインターネット申し込みを活用してみてください。
目次
日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫(以下、「公庫」)は、政府が100%出資する公的な政策金融機関です。
公庫の融資は民間金融機関に比べて審査のハードルが比較的低く設定されており、特に民間金融機関で融資を受けにくい創業融資には力を入れているため多くの企業で公庫の新創業融資制度が利用されています。
また、創業融資では限度額3,000万円、無担保・無保証で融資を受けられるのもメリットです。
さらに金利は利用する制度によって変わりますが、民間金融機関に比べておおよそ0.5~1%程度低めに設定されています。
このように、公庫はこれから起業する人や起業したばかりの会社にとって、とても利用しやすい融資制度を揃えている金融機関と言えます。
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2020年4月からネット申し込みが可能に

公庫の融資の申し込みは、従来窓口か郵送でしかすることができませんでしたが、2020年4月からはインターネット申し込みが可能になりました。
ただし、この時点ではすべての手続きがインターネットで完結したわけではありません。
当時は申込書の提出がインターネットでできるようになったのみで、審査に必要な書類は別途提出しなければならなかったのです。
また、インターネット申し込みができる融資制度の種類も一部に限定されていました。
2021年5月システム改修で利便性がアップ!
2021年5月のシステム改修により、インターネット申し込みの利便性は大きく向上しました。
融資の種類も拡大し、いまでは多くの人にインターネット申し込みが認知され利用者も増加しています。
新たに追加された機能
2021年5月システム改修では、具体的にどのような機能が追加されたのかを紹介します。
ここでは追加された機能の簡単な説明にとどめ、詳しい使い方や操作の手順については後ほどより詳しく解説するのでそちらを参照してください。
必要書類アップロード機能
従来は、必要書類をすべて紙に印刷して窓口もしくは郵送にて提出しなければなりませんでした。
2021年5月からは必要書類をアップロードできる機能が追加されたため、PDFやWordといった電子データを紙に出力せずに提出することができます。
最近ではリモート化も進んでおり書類をデータで管理している会社も多いので、わざわざ紙に出力する手間が省けるのは嬉しいことです。
一時保存機能
インターネット申し込みの操作を途中で一度中断したいときに使えるのが、一時保存機能です。
インターネット申し込みの最中に、一時的に操作を中断してあとから再開したいということがあるでしょう。
中断のたびに入力項目の最初からやり直さなければいけないのは、大変な労力と時間のロスになります。
そんなときにこの一時保存機能を使えば、わざわざ最初から入力する手間を省くことができます。
ネット申し込み前に確認しておくべきこと

基本的には、PCもしくはスマートフォンとメールアドレスがあれば問題ありませんが、場合によってはそれでもインターネット申し込みができない可能性もあります。
そこで申し込みをする前に、メールアドレスと対応ブラウザについて簡単に確認しておきましょう。
メールアドレスが必要
インターネット申し込み利用の際はまずメールアドレスを登録し、登録したアドレスに送られてくるメールに書かれたURLから入力フォームへアクセスします。
メールアドレスは、必ず申し込みをする本人のメールアドレス(法人の場合、法人または代表者のアドレス)を登録してください。
経理担当者や顧問税理士など、本人以外のメールアドレスを登録することはできません。
対応ブラウザを確認
公庫で推奨している対応ブラウザは以下のとおりです。
【PCの場合】
OS | Webブラウザ |
Windows | Microsoft Internet Explorer11 Microsoft Edge Mozilla Firefox Google Chrome |
Mac | Safari |
【スマートフォン・タブレットの場合】
OS | Webブラウザ |
iOS 10.0以降 | Safari |
Android 4.4以降 | Google Chrome |
(日本政策金融公庫国民生活事業「当サービスのご利用にあたって」参照)
※デバイスによっては正常に操作が行えない場合もあるので、その場合は別のPCやスマートフォンでもう一度試してみてください。
ブラウザのセキュリティ設定でJavaScriptやクッキーを「無効」にしている場合、「有効」にして利用しましょう。
また、一部の画面にポップアップ機能が使用されているので、ポップアップブロックを設定している場合は設定の変更が推奨されています。
ネット申し込みに必要な書類

インターネット申し込みでの必要書類について解説します。
個人か法人か、また公庫の利用が初めてか取引実績があるかによって必要書類は異なるので、自分に当てはまるものを確認しましょう。
必要書類のなかには公庫指定のテンプレートがある書類もあるので、適宜公式の案内等を参照してください。
また、面談では提出書類以外の書類を求められることもあるため、売り上げや資産状況など事業に関する資料の用意も怠らないことが大事です。
公庫との取引実績がある個人の場合
個人で既に公庫との取引実績がある場合は、以下の1~3の書類を用意する必要があります。
1 | 最近2期分の確定申告書(青色申告決算書・収支内訳書等含む) |
2 | 見積書(設備資金を申し込む場合) |
3 | 新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書 |
初めて融資を申し込む個人の場合
初めて融資を申し込む個人の場合、上記の1~3に加えて以下の4〜6の書類が必要です。
4 | 下記a~cいずれかの書類 a.下記b、cのいずれにも該当しない場合 ⇒ 企業概要書 b.新型コロナウイルス感染症特別貸付をご希望される場合 ⇒ ご商売の概要(お客さまの自己申告書) c.これから事業を開始される場合、事業を開始して間もない場合 ⇒ 創業計画書 |
5 | 運転免許証(両面)またはパスポート |
6 | 許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営んでいる場合) |
公庫との取引実績がある法人の場合
これまでに公庫との取引実績がある法人は、以下の1~3の書類を用意する必要があります。
1 | 最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む) |
2 | 見積書(設備資金を申し込む場合) |
3 | 新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書 (新型コロナウイルス感染症特別貸付をご希望する場合) |
初めて融資を申し込む法人の場合
初めて融資を申し込む法人の場合、上記の1~3に加えて以下の4~7の書類が必要です。
4 | 法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本 |
5 | 下記a~cいづれかの書類 a.下記b、cのいずれにも該当しない場合 ⇒ 企業概要書 b.新型コロナウイルス感染症特別貸付をご希望する場合 ⇒ ご商売の概要(お客さまの自己申告書) c.これから事業を開始される場合、事業を開始して間もない場合 ⇒ 創業計画書 |
6 | 代表者の運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページ) |
7 | 許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営んでいる場合) |
ネット申し込みの流れ

インターネット申し込みの流れを3ステップで説明します。
手順に従って手続きを進めていくだけなので、特に難しいパソコンの知識は必要ありません。
説明には適宜「日本政策金融公庫(国民生活事業)事業資金インターネット申込操作ガイド(以下、「インターネット申込操作ガイド」)」の該当ページを紹介しているので、詳しくはそちらを参考にしてください。
STEP.1 「インターネット申込」で申込者のメールアドレスを登録

公庫のインターネット申し込みを利用するにはまず、メールアドレスの登録が必要です。
インターネット申し込みの受付画面でメールアドレスを入力し、記載されている「ご利用にあたっての注意事項・同意事項」をよく読みましょう。
同意する場合は「上記の「ご利用にあたっての注意事項・同意事項」に同意する」にチェックをし、「同意してメール登録」をクリックしてください。
アドレス登録完了後に送られてくるメールに書かれたURLからアクセスし、申し込みの入力フォームに進みます。
STEP.2 届いたメールのURLから「入力フォーム」を開き、必要項目を入力

申し込み内容の入力フォームにしたがって、名前・住所・申し込み金額などの必要事項を入力します。
申し込み情報⼊⼒項目の一覧は、前述の「インターネット申込操作ガイド」23~30ページを参照ください。
既に公庫との取引がある場合、支払額の明細を確認し明細書に記載されている「お取引番号」を入力し、支店名を選択します。
お取引番号と支店名を誤って入力すると取引に時間がかかる場合があるので、正確に入力するようにしましょう。
STEP.3 電子データを添付して申し込み

申し込みに必要な書類をアップロードして提出します。
法人と個人では提出する書類が異なるので、それぞれ必要な添付書類を確認してファイルをアップロードしてください。
「資料アップロード画面へ」をクリックすると別画面が起動するので、別画面での手続きをします。
アップロード画面の詳しい手続きについては、「インターネット申込操作ガイド」6~13ページを参照ください。
アップロードが完了したら、アップロードした書類のチェックボックスにチェックをし、最後に「確認画面へ」をクリックしましょう。
申し込み後には審査担当との面談あり

インターネット申し込み後、手続きに不備がなければ公庫から電話連絡が来て面談の日程を設定します。
面談の際には、インターネット申し込みでアップロードした書類の原本の提出が求められる場合があるので、念のため面談時には原本を必ず持参しましょう。
また、アップロードした書類以外にも添付資料の提出が求められる場合があるので、売上台帳や顧客リスト、発注書に資産・負債がわかる源泉徴収票等の資料など、起業後の事業計画や根拠となるデータ・資料を用意しておくと、なおよいです。
インターネット申し込みでも面談が重要であることには変わりないので、面談対策には十分に力を入れてください。
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ネット申し込みに関する疑問

インターネット申し込みに関するよくある疑問を4つ紹介します。
融資が通りやすくなるのか、融資結果が早いのかといった点は気になる人も多いと思うので、よく内容をチェックしてください。
また公庫でも「【国民生活事業】インターネット申込(事業資金)の手続きに関するQ&A(令和3年8月24日現在)」(以下、「手続きに関するQ&A」)でよくある質問をまとめているので、こちらも参照しましょう。
Q.ネット申し込みだと融資が通りやすくなるのか
結論から言うと、インターネット申し込みであっても融資の通りやすさは変わりません。
インターネット申し込みは手続きがオンライン化したに過ぎず、AI(人工知能)を用いて融資審査をIT化したわけではないため、審査に関してはこれまでと同じく人の手によって行われます。
民間の金融機関では申し込みから審査、そして融資実行まですべてオンライン上で完結する「オンライン融資」を行っている銀行もありますが、公庫のインターネット申し込みはオンライン融資ではないので混同しないよう注意してください。
Q.ネット申し込みだと融資結果は早いのか
融資結果が出るまでの期間は基本的にこれまでと変わりません。
もっとも、あらかじめ先回りして補足資料をアップロードしておけば追加で依頼される資料も減り、面談~融資決定までの時間が短縮可能です。
少しでも結果を早めたいなら事前準備をしっかりしておきましょう。
また、申し込み後の面談等の案内は申し込みの受付順であるため、インターネット申し込みは郵送による時間がかからない分、案内が早くなる可能性はあります。
ただし一方で、書類不備等によって手続きに時間がかかり、逆に融資結果が出るまでの期間が長くなる場合もあるので、手続きのミスには注意してください。
Q.入力途中でも中断できるのか
インターネット申し込みでは申し込み内容の一時保存が可能なので、入力途中でも中断できます。
入力中の各画面にある「一時保存」をクリックし、パスワードを設定して「一時保存をして閉じる」をクリックしてください。
手続きを再開するときは、一時保存完了後に送られてくるメールに記載されたURLからアクセスし、申し込みの入力フォームに進みます。
一時保存の有効期間は一時保存完了から72時間であり、有効期間が過ぎるとアップロードした書類を含め入力内容が無効になるので注意しましょう。
Q.パソコンなどの知識に乏しい場合どうする
インターネット申込操作ガイドなどを参考にしても、どうしても手続きができない場合は、従来どおり窓口や郵送で申し込みをするのが無難です。
これまで説明した通り、インターネット申し込みによって融資が通りやすくなったり結果が早く出たりするといったメリットがあるわけではありません。
そのため、申し込み方法が融資の可否に直接影響することはないので、パソコンなどの知識に乏しくインターネット申し込みでかえって手続きに時間がかかるのであれば、窓口や郵送で申し込みをしても特に不利益はないでしょう。
しっかりとした事業計画書で融資を獲得!

融資の審査は事業計画書の内容が要ですが、インターネット申し込みであってもそのことは変わりません。
特に創業して間もない会社は実績がないため、客観的なデータなどを用いて詳細に事業計画書を作り込み、自社の将来性に納得してもらう必要があります。
検索すればインターネット上で記入例などを見つけることができますが、実際のところテンプレートに沿って書いただけの事業計画書では内容が浅くなってしまうため審査に通るのは難しいでしょう。
事業計画書の作成に慣れていなくて不安な場合は、専門家に相談してアドバイスを受けることもおすすめです。
当サイトでは事業計画書の無料添削を承っております。
まずはそちらを利用して、どれくらい正しく書けているかチェックしてみることをおすすめします。

まとめ

インターネット申し込みが可能になったことで手間が省け、公庫の融資をより便利に活用できるようになりました。
窓口や郵送とは手続きの手順が異なるので、記事で紹介した流れに沿って確実に手続きを行いましょう。
ただし、インターネット申し込みでも審査期間や融資の通りやすさはこれまでと変わりません。
事業計画書の作り込みや根拠となる添付資料の用意、面談の対策は入念に行ってください。
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