
目次
起業の準備と覚えるべき法律

会社設立を決意したのであれば、起業時に準備する内容は多岐に渡ります。
当然、開業資金が必要になりますし、会社を継続させていくためには、運転資金の調達など資金繰りも考えておかなくてはなりません。
また、会社を経営していくにあたり、覚える必要がある法律は、会社を始める以前に知識として勉強するといいでしょう。
本記事では、起業する前の準備段階で実践するべき項目や流れについて解説いたします。
合わせて読みたいおすすめ記事
会社を設立するための目的を明確に!
現代はインターネットを使用して、一人で仕事をしている人も大勢います。
また会社法の改正で資本金が1円からでも法人設立が可能となり、昔と比較して会社を設立する敷居は低くなっています。
ですので、どちらかと言えばどのような会社にしていきたいのか?どのような事業を展開していきたいのか?など目的を明確にする必要があります。
反面、設立する障壁が低いということは、ライバル会社が多い状況のため、競合調査は綿密に行わなわなければいけません。
そのため、例えば専門性をより強化して、それを強みに仕事を行いたい、物作りが得意なので、やはり技術で勝負したいなど、じっくりアイデアを練ることをおすすめします。
何に特化しているのかをはっきりさせるなどして、方向性をブレないようにしないと、短命で廃業になるかもしれません。
たとえ1人であっても社長になれる、チャレンジの機会が多い環境は嬉しいですが、ライバルに圧倒されないためには、どのように仕事を進めていくか目標を立てることが大切です。
準備としてはワードやエクセルなどで、会社の方向性など自分なりの考えを、まとめて作成するのがコツです。
またライバル会社に関しても、最新情報を収集するなどして、分析をしてライバルに勝つ方法もまとめておきます。
自分の頭の中だけで考えていますと、人間は時間が経過すると忘れてしまうことも考慮して、文字にして残す方法が自分に対しても、誰かに説明する場合でも便利です。
会社に資金を融資してもらうには銀行などに、事業計画書を提出する必要がありますが、お金を借りたい社長でも借りる予定がない社長でも、事業計画書を作成しておきますと、会社が進む方向性がはっきりします。
合わせて読みたいおすすめ記事
株式会社を設立するには登記申請書類を作成
株式会社は資金を株式の発行により、資金調達する会社なので自己資金が無くても会社を設立できます。
時代のニーズを掴んでいて、将来も発展成長していける事業内容の、会社を設立する社長は、株式会社にして設立する方法が最適です。
事業が上向きで売上を出し成功すると、株価が上昇して株主の利益も増えますので、人気企業になり株主を増やせます。
株式会社を設立する場合は、登記申請書類を作成する必要があります。
手続きは法務局で行っていますので登記申請書と一緒に、
- 登録免許税納付用台紙
- OCR用申請用紙
- 定款
- 払込証明書
- 発起人の決定書
- 就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 調査報告書
- 財産引継書
- 資本金額証明書
- 印鑑届書
を提出します。
会社を設立して登記申請する期限は、設立時取締役の調査完了日より2週間以内です。
登記にかかる費用としては、
- 定款認証手数料に50,000円
- 定款謄本作成に約2,000円
- 定款に貼る収入印紙40,000円(紙用紙の場合)
- 登録免許税150,000円
になっています。
その他としては、会社の印鑑作成や印鑑証明書などの費用を用意しておきましょう。
登記申請書類の作成や申請は、社長が自分で行ってもいいですし、司法書士や弁護士等にお願いして作成してもらう方法もあります。
銀行で口座を開設して、通帳のコピーも一緒に提出し、約1週間後に登記され会社が正式に設立になります。
お金を借りるために事業計画書を作成
会社を運営する資金に余裕があれば、お金を借りるための事業計画書を作成する必要は絶対ではありません。
ですが、貯金をしてきたけど資金が足りない場合や、準備資金が少ない状態で会社を設立したのであれば、事業計画書の作成が必須です。
事業計画書は未来に向けて会社を発展させるための、将来性がある内容になっているといいでしょう。
事業の将来性に見込みがあると判断できれば、銀行の融資担当は融資をしてくれます。
事業計画書が、現実的ではない内容になっていると信用してもらえず、審査を通過することはできないでしょう。
事業計画書は社長が自分で作成する方法がベストですが、税理士などに依頼して作成してもらう方法もあります。
会社を運営していくには、様々な税金にも対応していくことになりますので、会社を設立する前に税理士にアドバイスをもらうことを、検討してみるのもいいかもしれません。
合わせて読みたいおすすめ記事
競合他社を分析する

「マーケティングリサーチ」とよく言われますが、お客様のニーズを掴むために、市場を調査して分析する必要があります。
これは会社を設立する以前も、会社を設立した後も、継続的に行っていって下さい。
継続的に行わなければ、時代のニーズが把握できませんし、競合他社がすごい商品を発売したなど、情報を掴み損ねて自社のビジネス方法は、これでいいんだと思い込んでしまい、競争の中で埋没する可能性が出てきます。
現在はマーケティングリサーチと一言で言いましても、いろんな手法がありますが大きく分けて2種類の方法で考えてみるといいでしょう。
1つは実際スーパーなどの売り場に行って、何歳ぐらいの人がどのような商品を購入しているのか?他に一緒に購入している商品などあるのか?など、目で見て確認する方法です。
売り場によっても購買行動に違いがあるかもしれませんので、例えばスーパーとコンビニエンスストアと、ドラッグストアなどそれぞれ実際見に行き現場で分析します。
2つ目はインターネット市場も分析する必要があります。
今や、あらゆるビ業界・業種において、インターネット市場は無視できない存在です。
統計データを掲載しているホームページなどで、消費者ニーズのデータを入手して分析します。
合わせて読みたいおすすめ記事
会社の商品やサービスを宣伝する準備
起業後すぐ一斉に、自社商品やサービスを大勢のお客様に知ってもらうためには、宣伝活動は不可欠になってきます。
せっかく機能性が高い良い商品を開発しても、宣伝しなければ、そもそもお客様に認識してもらえません。
一般的に、宣伝は多額のコストがかかるイメージですが、インターネットのSNSの活用や、無料のWebサイト開設などを利用したりなどすれば、少ないコストでも宣伝はできます。
コストに余裕がある場合は、TV媒体や雑誌媒体などで宣伝するといいでしょう。
どちらにしてもお客様が宣伝媒体を見ている時間は、ほんの数秒間になってきますので、宣伝に関しましても継続していけるかがポイントになってきます。
理想的な展開としては、最初の宣伝である程度商品が売れて、次の宣伝費に余裕が出る状況にできるかです。
会社を設立して最初の宣伝が失敗しますと、商品も予定より売れない状態になり、宣伝費も出なくなり稼げない状況になってしまいますので、最初は慎重に宣伝手法を検討する必要があります。
取引会社などに営業して仕事を確保
起業してすぐ仕事ができる状態にするには、様々な取引先企業や新規開拓などをして、営業に走り回る必要があります。
なるべく多く名刺交換して、後で連絡しても嫌がられない、いい雰囲気を構築することがすごく重要です。
より人脈を広げるきっかけ作りのために、異業種交流会などに参加するのもいいでしょう。
人脈が多ければそれだけ、質が高いビジネスをしていくことができますので、地道に会社を発展していけます。
独立する前の在職中に出会った会社の人や、新規で開拓してみたいと思っていた会社に、営業をかけておくのも一つの手法です。
営業力は会社の経営を軌道に乗せる、重要なポイントになってきますので、コミュニケーション力を養うという意味もあり、なるべく大勢の人と会話を交わして、質が高い商談をして仕事に結びつけます。
営業メール送信時は法律の規定にも注意
インターネットを使用して営業する場合は、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」で規定されるガイドラインに注意しましょう。
特定電子メール法の要点である「オプトイン方式」と「送信者の表示義務」を守らなかった場合には、罰則の対象となり、重いと懲役刑や罰金が科せられるケースもあります。
「オプトイン方式」とは、特定電子メールの送信について、事前に同意を得ること。
同意を得てないユーザーに対して、メールを勝手に送信するのは違法になります。
(ちなみに、名刺交換で入手したアドレスへの送信は問題ありません)
ホームページなどでは、資料請求や会員登録の際、メール送信することに同意をもらうなどの手法で、ユーザーを集めていきます。
もう一つの「送信者の表示義務」については、下記の項目を記載することが義務付けられています。
- 送信者の名称・氏名
- 受信拒否ができる旨の通知
- 送信者の住所
- 苦情や問い合わせの受付先
「送信者の名称・氏名」と「受信拒否ができる旨の通知」は本文中に必須となっており、「送信者の住所」と「苦情や問い合わせの受付先」はリンク先のページでも可能になっています。
もちろん、内容に虚偽があってはいけません。
特定商取引法を知識として覚える

特定商取引法は消費者を守るための法律になっていますので、お客様よりクレームを受けない商品やサービスを提供するために、会社を設立する前に知識として覚える必要がある法律です。
対象になってくる販売手法としては、
- 訪問販売
- 通信販売
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引
- 特定継続的役務提供
- 業務提携誘引販売取引
- 訪問販売
になります。
悪質な販売方法をする会社は、特定商取引法の違反とみなされます。
業務停止命令などの措置を受けますので、きちんとした体制で事業を行うのは必須です。
お客様に対しては特に、広告など宣伝を記載する文言は、誇大表現などになっていて、お客様が間違って理解する内容の媒体を、作成しないように気を付けなければいけません。
契約した後に解約するクーリングオフについては、通信販売以外は対象になっています。
お客様より解約の申し出があった場合は、 連鎖販売取引と 業務提携誘引販売取引は20日間以内であれば、クーリングオフが認められています。
これ以外の取引に関しましては、8日間が対象期間になっています。
※クーリングオフは「消費者保護」の目的で設けられた制度ですので、一般消費者と事業者での契約が対象となっており、事業者間取引の場合は原則的に、適用除外となっています。
なお、法律的な解釈で事業者間取引とはみなされず、クーリングオフの適用を受けられる場合もあります。
誇大表現の広告を作り続け、記載すべき内容が記載されていないなど続いている場合は、広告で宣伝することを規制されますので、正確な内容の宣伝媒体を作成するようにしましょう。
まとめ

起業準備の際に、一番大事なポイントとしては、事業計画書などを作成しながら、会社の方向性を明確にすることです。
市場分析をしてターゲットを定め、お客様の購買傾向を把握し、商品やサービスを考えると、ニーズを掴んだ商品やサービスを提供できます。
特定電子メール法や特定商取引法など、お客様に直接関連する法律は、知識として覚えるとトラブルなど起きた場合に、的確な対応に繋がります。
合わせて読みたいおすすめ記事

