日本政策金融公庫で資金調達する7つのメリットと4つのデメリット

日本政策金融公庫の融資制度のメリット・デメリット
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起業に必要な資金を借りたい、事業の継続のために融資を受けたい、という中小規模の事業主によく利用されているのが、日本政策金融公庫の融資制度です。

「公庫(日本公庫)」「国金」などと呼ばれ、聞いたことはあるけれども、銀行とはどう違うのか、どういうものかがよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本政策金融公庫で資金調達をすることのメリット・デメリットを解説します。

そもそも日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、政府系金融機関の1つです。資本金は100%、政府が出資。「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づいて設立され、株もすべて日本政府が保有することになっています。

業務は大きく国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つです。

国民生活事業では、個人事業主や社員数が十数人など小規模の法人への融資を行っています。中小企業事業で行っているのは、社員数数十人~数百人といった中堅規模の企業への融資です。

それぞれの事業内容について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

日本政策金融公庫と民間の金融機関との違い

日本政策金融公庫と民間金融機関との違いを解説する人

融資を受けるという点で見ると、日本政策金融公庫が民間の金融機関と大きく異なるのは、小・中規模の事業主への融資に積極的であるということ。

民間の銀行では、自身や株主の利益を最優先とするため、返済不能となるリスクが高い相手への融資は消極的です。事業を始めたばかりの事業主などには実績がないため、融資を受けるのは難しい傾向にあります。

その点、日本政策金融公庫の場合はその目的の1つが一般の金融機関の業務を補うこと。小・中規模の事業主の資金調達も支援することで、ひいては国民生活を向上させようとしているのです。

「国金」はもうない?現在は日本政策金融公庫(公庫)が役割を継承

公庫からの融資で資金調達するメリット7つ

日本政策金融公庫の融資のメリット

日本政策金融公庫で融資を受けることには、次のようなメリットがあります。

  • 創業時や創業直後でも融資を受けやすい
  • 固定金利で融資を受けられる
  • 長期での借り入れができる
  • 無担保・無保証人での借り入れも可能
  • 他からの融資も受けやすくなる
  • 貸しはがしや拘束預金の恐れがない
  • 数字でない部分でも判断

1)創業時や創業直後でも融資を受けやすい

日本政策金融公庫の融資のメリットその1

日本政策金融公庫の融資で資金調達する最大のメリットは、創業時や創業して間もない時期でも資金調達できる可能性が高いということです。

その理由は前述のとおり、公庫に民間金融機関の業務の補完をする役割があることや、自身の利益最優先ではなく、小規模・中規模の事業主への支援も積極的に行う機関であるということ。

一般的に、事業実績がない創業時や創業直後では融資のハードルが高いものですが、公庫では積極的に融資を行っています。

とはいえ、融資には審査があります。実績の代わりとなる創業計画書など、返済能力を示す何らかの材料は必須です。

公庫には、数多くの融資実績があり、経営に関するノウハウも蓄積されています。
もし結果として融資が不可能との判断が下されても、審査への過程で経営に関する有益な情報・アドバイスを得られる可能性もあります。

2)固定金利で融資が受けられる

日本政策金融公庫の創業融資は固定金利

公庫による創業時の融資では、 完済するまで基本的に融資の決定時もしくは融資実行時の金利が適用されます。つまり金利が固定されています。

固定金利であれば、市中経済などの動向によって利息が高くなったりする心配をしなくて済みます。

当初2年間の金利を政策的に引き下げる、といった融資制度も中にはあります。しかしいずれにせよ、融資期間中に経済情勢の変化によって変動するようなことはありません。

3)長期での借り入れができる

公庫の融資期間は、長期での借入ができるというのも大きなメリットです。融資制度にもよりますが、運転資金ならおおむね7年、設備資金なら10年や20年に及ぶものも。

長期の借り入れができるということは、返済にも時間的余裕が持てるということです。月々の返済額が少なくなれば、資金が安定しやすいというメリットにもつながります。

もちろん、短期での返済が可能であれば短期の借り入れにすることも可能です。

4)無担保・無保証人で受けられる融資もある

公庫による創業融資制度として有名な「新創業融資制度」は、担保や保証人なしで融資を受けられることも大きなメリットです。

その他の制度でも、無担保での融資を希望する場合、原則として個人の場合は無担保・無保証人、法人の場合は無担保・代表者を保証人として融資を行うこととしています。

日本政策金融公庫によると、小規模事業主が約8割を占める国民生活事業において、無担保融資の割合は全体の9割を超えています。

自治体が取り次ぎを行う、いわゆる制度融資でも、無担保・無保証人をうたっています。しかし実際は各都道府県の保証協会に保証料を支払い、保証してもらう形です。
公庫では、保証料も必要ありません。

5)他の金融機関からの融資が受けやすくなる

民間の金融機関でも、以前に比べれば創業時の融資に積極的な姿勢を見せるところもあります。とはいえ、公庫に比べれば融資に通るハードルは高いもの。

しかし、日本政策金融公庫が融資を実行したとなれば、民間金融機関での融資のハードルが下がるというメリットも生じます。

というのも、やはり政府系金融器庵なので審査への信頼性が高く、公庫が融資を認めたということは、事業の将来性や継続性が認められたということが言えるからです。

そのため、企業側にも、まず公庫から融資を受け、借入・返済の実績を作ることで民間金融機関からの融資を受ける布石にしようとするケースが多く見られます。

6)貸しはがし・拘束預金などの恐れがない

貸しはがしや拘束預金のない公庫への安心感

民間金融機関は、健全な経営状態を保つため、銀行としての自己資本比率を国際的には8%(BIS規制)、国内では4%以上で維持することが求められています。

この規制の適用によりかつて、さほど業績の悪化がみられたわけでもない企業への継続融資を断ったりする銀行が複数あらわれ、社会的な問題となりました。これをいわゆる貸し渋り・貸しはがし問題といいます。

また、債権を担保する目的で債権者が預金を自由に払い出せないように設定する、いわゆる拘束預金(拘束性預金)と呼ばれる取引が行われることも。これにも、銀行が優位な立場を利用した不当な取引ではないかという見方があります。

しかし政府系の金融機関である公庫では、そのような公共性に反する行為を行うことはありません。

7)数字以外のところでも判断してくれる

日本政策金融公庫の融資審査メリット

公庫には政策的な使命があるため、なるべく融資をしたいというスタンスで業務を行っています。

そのため融資の審査では、公庫の長年の独自ノウハウにより、定数面(主に数字で表せる売上、原価率など)だけでなく、定性面(数字で表せない債務観念や営業力など)も考慮して融資可否の判断をします。

いかに売上と利益を上げるかの定数面を最重要視する銀行より、融資を受けられる可能性が高くなるのです。

ただし、審査がある以上、数字的な要素も重要な判断基準であることは間違いありません。資料はしっかり準備しておく必要があります。

資金調達における公庫の4つのデメリット

日本政策金融公庫の融資のデメリット

日本政策金融公庫の融資には、デメリットと言える点もあります。主な4つを見ておきましょう。

1)審査が厳しく提出書類が多い

日本政策金融公庫の担当者との面談

公庫への融資の申し込み時や面談時には、さまざまな提出書類が必要です。審査項目も多岐にわたります。

その準備には手間もかかりますし、計画書などの作成も容易ではありません。面倒だと感じる人も多いでしょう。「創業時でも借りやすいと聞いていたのに簡単じゃないじゃないか」と思うかもしれません。

しかし、民間の銀行などが融資しないようなケースでも融資を行うためには、公庫側も判断材料を多く集め、厳正な審査をする必要があります。

実績のない創業時などでも判断にプラスの要素を見出すための、 融資に積極的だからこその必要書類なのだと理解しておきましょう。上記で挙げたメリットの1つ、他の金融機関からの借入がしやすくなるというのも、公庫の審査が簡単ではないと知られているからです。

2)融資実行までの期間がやや長い

公庫の融資が下りるまでの時間

公庫で融資を受ける場合、「融資まで最短〇時間」とはいきません。創業時や初回の融資であれば、公庫への申し込みから融資の実行まで3週間から1カ月はかかるのが一般的です。

早く貸してくれるところは金利が高い」、これは金融業界で常識とされている言葉。 時間がかかるのは、融資可否の判断が難しい相手に、数字だけに寄らない判断と低金利での融資を実行するためと考えれば納得もできるのではないでしょうか。

公庫の側でも、融資実行までの期間短縮に向けさまざまな努力がされているといいます。早い判断がなされるには、提出書類の精度などに気を付ける必要もありそうです。

3)どんな財務内容でも金利は同じ

同じ金利の適用

創業後、事業が順調でそれなりの業績が出た時点で公庫に融資を申し込み、審査に通ったとしても、融資制度や担保の有無、返済期間が同じであれば、業績に関わらずどの企業にも同じ金利が適用されます。

民間の金融機関では、業績の良い企業には低い金利、業績の悪い企業には高い金利、など業績によって異なる金利を設定するのが一般的です。

しかし公庫は政府系金融機関であり、公平さを期すべき立場からそのような金利の設定は行いません。

ちなみに担保の有無や開業する業種、事業主の年齢など、信用リスク(貸し倒れリスク)によって通常の利率より低い特別利率が適用されることはあります。これは公庫側が決めるものであり、選ぶことはできません。

4)他の銀行からの借り換えはできないのが原則

他行から日本政策金融公庫への借り換えは不可

日本政策金融公庫の融資には無担保・無保証人で借りられるものが多く、金利も低めで固定と聞けば、今ある別の金融機関からの借り換えをしたいと考える人もいるかもしれません。

しかし、公庫では原則として他の金融機関からの借り換えは不可としています。これは借入申込書にも注意事項として記載されています。

公庫で受けた別の融資制度についても、借り換えできるものとできないものとがあります。

日本政策金融公庫の融資を賢く利用しよう

日本政策金融公庫への融資にやる気を出す男性

日本政策金融公庫は、創業時にもおすすめの融資申し込み先です。政府が100%出資する金融機関のため、営利最優先ではなく中小規模の事業主への支援を積極的に行ってくれます。

無担保・無保証人での融資が可能だったり、金利が固定で景気の変動に影響されないことだったりとメリットも多い一方、簡単に借りられるわけではなく、融資実行にもやや時間がかかります。

こういったメリット・デメリットを把握したうえで、書類などに万全の準備を進めて融資を勝ち取り、事業を成功させましょう。

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