「革新的なアイデアはあるけど起業する資金がない」
「創業した後の資金繰りってどうするの?」
「ベンチャー企業って資金調達が大変そう…」
と思っている方は多いのではないでしょうか。
実際、創業から間もない規模が小さいベンチャー企業には信用や実績が十分でないため、金融機関に融資を断られることが多く、自己資本で運営している企業もあります。
たとえ革新的なアイデアや優れたビジネスモデルがあっても、資金の問題からビジネスの拡大ができなくなってしまうことがあるのです。
しかし資金調達の手段は、なにも金融機関からの融資だけではありません。
企業や投資家からの出資、国や自治体からの補助金・助成金の活用などもあります。
最近では、こういった資金調達によって事業を拡大させるベンチャー企業が増えています。
この記事では、ベンチャー企業の資金調達の方法についてご説明します。
目次
資金調達の方法 1. 融資
「融資」とは、銀行や信用金庫などの金融機関からの借り入れによって資金調達をすることです。
融資で借りたお金は返済の義務があり、利子も付きます。
ここでは融資の種類について説明します。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫とは政府系の金融機関で、民間の金融機関では融資を受けにくい中小企業や個人事業主を中心に支援を行っており、創業時の融資にも対応しています。
日本政策金融公庫の「新創業融資」は事業を始めようとしている人や、始めたばかりの経営者が事業資金を借りられる制度です。
無担保・無保証で利用することができ、融資上限額は3,000万円です。
総じて民間の金融機関よりも金利が低く、返済期限も比較的長いのが特徴です。
ただし審査には面談などもあり、融資の実行までに早ければ2週間、中には2カ月程度かかるケースもあります。
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信用保証協会の制度融資
信用保証協会とは、中小企業が金融機関から融資を受けやすくなるべく信用保証を行う公的機関です。
創業して間もないベンチャー企業などが保証料を払うことで、金融機関から資金を借入する際に信用保証協会が保証人となってくれます。
企業が融資の返済を滞った場合、信用保証協会が肩代わりします。
信用保証協会は各都道府県に設置されており、場所によっては金融面以外にも創業計画の査定サポートのような総合的な支援をしているところもあります。
信用保証を利用すると、融資が受けやすくなるほかに、創業前でも申し込みが可能、無担保・無利子で借りられるという利点があります。
その一方で、自己資金をある程度準備しなければいけないことや、手数料が必要、信用保証協会と金融機関の双方で審査を行うため融資までに時間がかかる、などのデメリットもあります。
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民間金融機関の創業融資
民間金融機関には、都市銀行や地方銀行、信用金庫などがあります。
多くの中小企業は地方銀行や信用金庫などから融資を受けています。
最近では、大手の都市銀行も中小企業の対応をするようになってきましたが、まだまだ中小企業への融資は受けにくい傾向です。
また従来、創業の際の融資(創業融資)はリスクが高いため、民間金融機関では避けられる傾向にありました。
しかし最近では日銀の政策などにより、創業融資にも取り組む金融機関も増えてきつつあります。
とはいえ、創業融資の経験が多くない民間金融機関では、単独で創業融資を行うことは少なく、公庫などと協力して融資を行っています(協調融資)。
民間金融機関から融資を受けるメリットは、金融商品をはじめ取引先や補助金の紹介、その他サービスの情報提供などの経営支援サービスを受けられることです。
創業時に公庫だけでなく民間金融機関から融資を受けて信用を高めておくと、会社が成長期などに入ったときに、より大きな融資を受けやすくなります。
資金調達の方法 2. 出資
ベンチャー企業が資金調達をする場合、最も相性がいい方法が出資です。
原則、出資金は返済の必要がなく利息もかかりません。
出資には大きく分けて3つの方法があります。
ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
ベンチャーキャピタル(VC)とは、高い成長率が予想されるベンチャー企業やスタートアップ企業に投資し、上場後に保有している株式売却や株式譲渡で利益を上げる企業のことです。
ベンチャー企業にとって、最もなじみ深い資金調達方法がこのVCの活用です。
日本のVCは銀行や証券会社などの金融機関で構成されていることが多く、最近ではコンサルティング会社などもVC事業への参入が増え、出資が盛んに行われています。
VCから出資を受けることには、財務状況が改善され、金融機関からの融資を受けやすくなるというメリットがあります。
これによって数億円単位での資金調達ができるほか、VCから経営のアドバイスを受けたり、VCが持つネットワークを使って事業提携を行えたりするメリットもあります。
しかし、株式売却や株式譲渡で利益を出すVCから出資を受けるには、株式上場など事業の大幅な成長を見込める必要があり、事業計画の明確さなどが重要となってきます。
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エンジェル投資家からの出資
ベンチャー企業やスタートアップが、資金調達をするのに欠かせない方法の1つとして、エンジェル投資家からの出資があります。
エンジェル投資家とは、創業後間もないベンチャー企業に資金提供をする個人投資家のことです。
VCのように出資をすることで株式を受け取りますが、エンジェル投資家は経営者の熱意や革新的なアイデア、ユニークなビジネスプランなどに将来性を感じて出資を行う場合もあります。
そのため、実績がなくても資金を調達しやすいことが大きな特徴です。
最近ではエンジェル投資家に向けての税制も実施されており、ベンチャー企業への出資が促進されています。
また、エンジェル投資家には経営者や元経営者といった人が多く、ビジネスのノウハウや人脈を持っており、それを活かしたアドバイスやサポートを受けられることもあります。
ただしエンジェル投資家によっては、経営に必要以上に介入されてしまい事業が滞ることや、株式比率によっては経営権そのものを握られてしまうこともあるので注意しましょう。
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クラウドファンディングの活用
クラウドファンディングとは、インターネット上で多くの人に支援を募り、資金を調達する方法です。
金融機関からの融資やVCからの出資に比べて厳しい審査がないため、スピード感をもって資金を集めることが可能です。
クラウドファンディングで資金を調達するには、どういった事業をしたいのか、どんなサービスを提供するのかといったことを、支援者に熱意をもってプレゼンしなければいけません。
うまくPRすれば多くの目にとまり、多額の出資を受けることができるでしょう。
また、クラウドファンディングの利用には、資金調達をしながら企業や事業の宣伝ができるというメリットもあります。
資金調達の段階から多くの人に知られることになるので、注目を浴びられればその後のマーケティングでも大きな効果を生み出せる可能性があります。
ただし不特定多数の人に見られることで、事業アイデアを真似されるというリスクもあります。
また、クラウドファンディングで集めた資金のいくらかは、プラットフォームの業者に手数料として取られることも覚えておきましょう。
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資金調達の方法 3. 補助金・助成金
政府や自治体が提供する補助金や助成金を活用するのも、ベンチャー企業やスタートアップ企業が資金を調達するのに有効です。
助成金・助成金を活用する大きなメリットは、原則として返済の必要がなく、経営への介入が少ないということです。
一般的に、補助金は経済産業省から払われるお金のことで、審査があり倍率も高いため受給するのが難しい場合もあります。
一方、助成金は厚生労働省の管轄で、条件を満たしていれば基本的に受け取ることができます。
受給の条件は雇用に関連するものが多く、社会保険や雇用保険の加入などがあります。
補助金や助成金はどちらも申請から受給までに時間がかかるため、それだけを頼りにせず、他の資金調達の方法も併せて考えておいた方がよいでしょう。
調達方法それぞれのメリット・デメリット
融資のメリット・デメリット
金融機関から融資を受ける最大のメリットは、経営に介入されないということです。
これは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップにとっては非常に重要なことで、介入が少ないことで自由な経営が可能になります。
また、最近では国の政策などによってベンチャー企業やスタートアップへの創業融資が低金利で受けやすくなっていることもメリットと言えます。
反面、融資を受けると元本の返済に加え、金利の支払いも必要です。
月々の返済が必要だったり、返済が滞ると次の融資が受けられなかったりする可能性があることは覚悟しなければいけません。
また、融資を受けるにあたって担保や保証人を求められることや、自己資金がある程度必要な場合が多いことも、融資を受けることのデメリットと言えるでしょう。
出資のメリット・デメリット
出資を受ける大きなメリットは、融資と違って返済の義務がないことです。
加えてエンジェル投資家のように、経営者の熱意やビジネスプランのおもしろさなどで出資をしてもらえる場合もあり、信頼性などの厳しい審査を受けなくていいというメリットもあります。
また、金銭面だけでなく、ベンチャーキャピタルでは事業の成長を支援してくれる、経営者の経験があるエンジェル投資家にはビジネスのアドバイスやサポートをしてもらえる、というのも大きな利点です。
しかし、上の章でも述べたように、出資を受けることで経営に介入されてしまうというデメリットも発生します。
もし投資家との相性が悪い場合、最悪、事業が滞ってしまうリスクもあり、経営権を握られるようなことは避けなくてはいけません。
また、自分の理念や方針に共感して出資してくれる投資家に出会うこと自体が難しい、それが出資の最大のデメリットと言えるかもしれません。
補助金・助成金のメリット・デメリット
補助金や助成金を受給するメリットは、返済が不要で経営権や株式を維持できるということです。
融資のように返済義務があるわけではないので、担保や保証人がいりません。
経営に介入される心配がないのもベンチャー企業やスタートアップにとって大きなポイントです。
しかし、補助金や助成金には、申請期間が決まっていること、高倍率で厳しい審査があること、労働環境に関する要件を満たしていないと受給できないことなど、クリアしなければならない条件があります。
また、申請してから実際に受給できるまで時間がかかるものが多く、すぐに資金調達ができるわけではないということもデメリットの1つです。
資金調達で成功するために知っておきたいポイント
創業して事業を拡大していくには、資金調達は必要不可欠です。
その後の会社の成長や存続そのものにかかわってくるので、資金調達のポイントはしっかりと押さえておきましょう。
資金調達のカギは「事業計画書」の出来次第
資金調達を成功させるためには、事業計画書(創業計画書)が必要不可欠です。
融資や出資を受ける際には、これが資金提供者の判断材料として非常に重要な役割を果たします。
事業計画書には「なぜこの事業を始めようとしているのか」「それによって何につながるのか」といった事業を始める理由や目的、「どのような商品やサービスをどういった方法で提供するのか」といった仕入れや販売などの計画性、「自分たちにしかできない競合他社との違い」など、自社独自の事業内容を記載します。
できる限り具体的に、そして客観的に記載するようにし、実際に見積もりを取るなどして根拠のある数字を乗せましょう。
具体的かつ実現性の高い事業計画書なら、企業の将来性や経営者の思いが評価され、融資や出資が受けやすくなります。
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メリット・デメリットを鑑み最適の方法を選択
資金をどう調達するかを決める際は、目的や手段、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことが必要です。
例えば事務所の家賃や給料の支払い、税金の納付などすぐに資金が必要な場合、補助金や助成金の申請では受給までに時間がかかり、間に合わなくなることもあり得ます。
出資には株式の保有率によって経営への介入があることや、クラウドファンディングでは多額の資金を集めるのが難しいうえに手数料もかかるということも考慮すべきです。
資金調達を行う際は、事業計画とそれぞれの調達方法を照らし合わせ、適した方法を選ぶことが大切です。
専門家のサポート活用で成功率アップ!
それぞれの資金調達の方法に合った事業計画書を作成することや、融資審査通過のための対応、補助金・助成金の確認など難しい上に時間もかかります。
ただでさえ忙しい創業時に、すべてを自身で行うのは想像以上に大変です。
そんなときには、専門家のサポートを受けることを視野に入れましょう。
自社に適した調達方法を見つけることができ、事業計画書や申請書の書き方のサポートもしてもらえます。
もちろん、専門家のアドバイスを受けることで融資や補助金受給の可能性も高まるでしょう。
例として、日本政策金融公庫の新商業融資制度を利用するなら「認定支援機関」が頼りになります。
認定支援機関とは、税務や金融、企業財務などに精通しているとして国から認定された機関のことです。
日本政策金融公庫などで融資を受ける場合には、認定支援機関のサポートがあると融資額が上がる可能性もあり、金利の優遇を受けやすくなるほか、必要書類作成のサポートや審査のための面談での各種アドバイスなどのサポートが受けられます。
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まとめ
資金調達にもいくつかの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どの方法で資金調達するかは、事業計画や会社の方針などによって変わってきます。
「税理士法人Bricks&UK」は国から認定された認定支援機関で、事業計画書サポートや創業融資に関する相談を承っています。
新しく事業を始めようとしている方やベンチャー企業の経営をされている方にとって、創業時の資金調達は大きなハードルです。
ぜひプロに任せてみてはいかがでしょうか。
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資金調達に必要な試算表、収支計画書などを作成していきますので、資金調達のサポートと、借入後の資金繰りをしっかりと見ていくことができます。
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